中国戦車は中東で通用するか

 中東への売り込みにからめて中国戦車の実力と問題点について語ったページです。

http://military.china.com/top01/11053246/20120801/17349157.html


中国戦車の中東の戦場におけるパフォーマンスはレオパルド2をはるかに超えるはずである

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「レオパルド2A7メインバトルタンク」です)

韓国の軍事ウェブサイト「Viggen軍事フォーラム」2012年7月31日発表の文章は、カタールがサウジアラビアに次いで、ドイツの「レオパルド」-2戦車の購入を言明したとの情報、および中国戦車の中東への輸出の見通しに対し分析を行っている。文章は、ドイツ製「レオパルド」-2に代表されるヨーロッパの戦車は重すぎる重量と高すぎる技術レベルに制限されて、あるいは中東の戦場の必要性に適応することが難しいかもしれない、と考えている。これとは違い、技術がすでに西側戦車に匹敵するが、明らかにロシア式戦車の風格を帯びた中国戦車は、あるいはよりアラブ世界の実際の必要性に適応することになるかもしれない。ただし中国戦車は、エンジンと火力コントロールシステムにグレードアップを行って、中東の砂漠地域での高強度の使用に適応できるようにする必要がある。

まず、「レオパルド」-2に代表されるヨーロッパ戦車は、あるいは中東の戦場の必要性を満足させることが難しいかもしれない。

ソ連解体時、あるアメリカ陸軍高級将校がこんな話をしたことがある。「長い冷戦時代、ソ連の核軍備の優勢がアメリカに与えることができたのは、心理的ないくばくかのなぐさめだけであり(頑住吉注:「なぐさめ」はどう考えてもおかしいんですが、調べても大きく異なる意味は見つかりません)、一方ソ連が保有する膨大な装甲部隊こそ、彼らがアメリカ人を威嚇する最良の手段だった。」 冷戦時期、米ソに代表される2大戦車陣営は真っ向勝負で第3世代メインバトルタンクを研究開発した。だが西側の一貫した視点によれば、ロシア製戦車はずっと一定の技術的優勢を占めていた。だがこの西側の人間が自分で作り上げた神話は、西側の戦車が2回のイラク戦争でロシア製戦車に完勝するにつれほとんど雲散霧消した。またソ連の主要な継承者であるロシアは、本国の経済的限界に制限されており、短時間内に性能上西側の現役戦車を全面的に圧倒できる全く新しい戦車を登場させることもほとんどできなかった。これで何故2回のイラク戦争を境に主要な中東の国々がいずれもアメリカ式や西側の戦車を本国陸軍の新時代の主力装備として大量購入し始めたのかもすぐ理解される。最近サウジアラビアとカタールがドイツ製「レオパルド」-2メインバトルタンクの大量購入を準備していることは、あるいはこの趨勢の延長と見なせるかもしれない。だが西側戦車はあるいは中東の戦場の必要性を満足させることが難しいかもしれない。

(頑住吉注:これより2ページ目。画像のキャプションは「99式メインバトルタンク」です)

現在、エジプト、アラブ首長国連邦、オマーン、イラクなどの中東の主要国はいずれも性能が最先端の西側先進戦車を装備済みである。理由は簡単で、これらの戦車が2回のイラク戦争で体現したずば抜けた性能である。だがこれらの中東諸国はいずれも1つの先入観による錯誤を犯した。すなわちこれらの戦車が戦争中強大な戦力を発揮できた根本原因は戦車自体の性能ではなく、西側諸国の素質の高い装甲兵と装備の有効な融合だということである。中東諸国がその前に装備していた最も先進的なメインバトルタンクは基本的に全てロシア製のT-72メインバトルタンクだった。この戦車は技術レベルから言っても操作規範から言っても、西側先進戦車とでは大きな隔たりと差異がある。このため、中東諸国の装甲部隊が盲目的に多すぎる西側の先進装備を取り入れても、その全体的戦力はあるいは希望する大幅な向上を獲得することが難しいかもしれない。これで何故、エジプトのようなアメリカ製M1A1「エイブラムス」系列メインバトルタンクを装備して10年を超える国が、その陸軍が行う各種軍事演習で、西側装備と元々あった装備とで有効な共同訓練を行うのがほとんど見られないのがすぐ理解される。同時に、中東諸国の仇敵イスラエルが、何故その確固たる盟友アメリカが中東諸国に向け大量に先進戦車を販売することに対し全く動じないのかも理解される(頑住吉注:どうせ使いこなせないから脅威にならんと思っている、と言いたいらしいですがちょっと無理あるのでは。アラブ諸国の中でも親アメリカ傾向が強い国、親アメリカ傾向を強めたい国に売っているだけで、それはイスラエルにとっても悪いことではない、ということではないでしょうか)。

もし単純に技術面から言えば、西側の先進戦車も同様に中東の戦場の必要性に適合しない(頑住吉注:「惨敗したソ連系戦車同様」という意味ですかね)。2回のイラク戦争中、アメリカおよび多国籍軍地上部隊の主要な戦場の大部分は地形が平坦な砂漠地域で、でこぼこの山地が現れることは極めて稀だった。このため、西側メインバトルタンクの戦闘総重量が比較的重い欠点ははっきり現れなかった。だがアラブ諸国の陸上の仮想敵はずっとイスラエルである。何度にもわたる中東戦争を思い起こせば、主戦場はいずれもゴラン高原のように地形が複雑な山地、高原地域に集中していた。これで何故、ロシア製戦車の西側戦車に比べての主砲の射界上の「わずかな劣勢」が再三にわたり地上作戦の勝負を決し得たのかもすぐ理解される(頑住吉注:確かソ連系戦車は西側戦車より砲を俯角に向けられないのが不利になったんでしたっけ)。この種の環境の中で、戦闘全備重量がややもすれば70トンに近づく西側メインバトルタンクは疑いなくでこぼこで変化の多い戦場の地形に適応するのは難しい。イスラエルの「メルカバ」メインバトルタンクの戦闘全備重量も軽くないが、イスラエルの効果の高い後方勤務維持メンテナンス、保障能力は、疑いなくアラブ諸国が努力して追いつくことが難しいものである(頑住吉注:現場で重すぎることが後方勤務でどうにかなるんでしょうか)。これにかんがみれば、中東諸国の未来の戦車装備は、西側戦車の先進性と比較的軽いロシア製戦車の機動性を併せ持つ理想的装備であるべきである。そして中国の戦車はちょうど中東諸国のメインバトルタンクに対するほとんどあらゆる良い想像に符合する。

(頑住吉注:これより3ページ目。画像のキャプションは「1980年代、中国はかつて中東に戦車を大量に輸出したが、その性能は良くなかった。今日この局面はすでに根本的に変わっている。」です)

次に、高い技術とロシア製の風格を併せ持つ中国戦車は、あるいは中東諸国の最良の選択になるかもしれない。

1991年の湾岸戦争において、あるイギリス軍の「チャレンジャー」-1型メインバトルタンクが、5,100mの超遠距離でイラク陸軍のT-55戦車を1発で破壊するという射程の記録を作り、この記録は今に至るもまだ破られていない。これには多くの偶然性が存在しているが、中東における戦車戦のある重要な基本原則を明らかにしている。すなわち戦車の射程の優勢を掌握しているサイドが、より容易に戦場において優位を占めることになる、ということである。西側戦車に比べ、T-72に代表されるロシア製第3世代メインバトルタンクが装備する48口径(頑住吉注:中国語では「48倍口径」で、この方が分かりやすいですね)125mmスムーズボア戦車砲は、射程でも威力でも、西側が大量装備する44口径120mmスムーズボア戦車砲(頑住吉注:エイブラムス、90式など多くの西側戦車が採用)に勝っている。しかもそのグレードアップ版、すなわち50口径125mmスムーズボア戦車砲は、もし西側で射程が最長の55口径120mmスムーズボア戦車砲と比べたとしても(頑住吉注:ちなみに射程の記録を持っているというチャレンジャー1、および2が装備しているのがこれです)、総合性能は伯仲している。だが火力コントロールシステムと砲弾の制限を受けて、ロシア製戦車は元々持っている射程と火力の優勢の有効な発揮を獲得することがずっとできておらず、これで何故イスラエルが最新型の「メルカバ」-VI型メインバトルタンクにも依然、射程と威力がすでに不十分であることが目立つ44口径120mmスムーズボア戦車砲を採用しているのかも理解される。

だが大量の西側先進技術をマッチングした中国のメインバトルタンクは、伝統的なロシア式125mm口径戦車砲を採用してはいるが、その威力はすでに世界先進レベルに到達している。1980年代に中国は早くもスイスから最先端の「電気再溶融および自緊砲身」技術を導入し、高性能戦車砲の研究開発領域の技術レベルにおいて、すでに基本的にアメリカ、ドイツなどの国と対等になり、加えて中国は戦車砲の分離装薬が採用することが難しい細長い形状の徹甲弾の技術上の難関を克服し(この技術は今に至るも依然イギリスを困らせ、その「チャレンジャー」系列メインバトルタンクの火力に比較的大きな向上を獲得することを難しくさせている)、しかも同時に高性能劣化ウランおよびタングステン合金徹甲弾の研究開発技術を掌握し、この結果中国戦車の破壊能力はすでにアメリカ、ロシアを超え、世界トップレベルとなった。これだけではなく、中国はハイエンド装備である99式戦車と組み合わせるために、全く新しい50口径125mmスムーズボア戦車砲(その前は48口径)も専用に研究開発し(頑住吉注:コラムで紹介した99Aの、「スムーズボア砲は明らかにやはり125mmで、ただし明らかに砲身が延長されている」というのがたぶんこれでしょう)、全く新しい「猟-殲」式火力コントロールシステム(頑住吉注:必要な場合車長が砲手を飛ばして直接砲を発射できる)と結合させ、戦車砲の最大射程(3,000〜4,000m)において高精度射撃を行う能力を完全に具備している。これらはいずれも中東諸国が夢にまで見る装備である。

(頑住吉注:これより4ページ目。画像のキャプションは「東西戦車の風格を併せ持つ中国戦車は中東において一定の独特な優勢を持ち、性能上の難関を突破する前提の下でやはり競争力を持っている。」です)

西側の国が中国の戦車に対してマイナス面の評価をする時は、「多くのロシア製戦車の風格を包含する」がずっと最も主要な論拠である。だが西側の国は自分の心の中では、とっくに旧式化したT-72メインバトルタンクが最精鋭の西側戦車に直面した時に惨敗したからといって、それだけで直ちにロシア製戦車がすでに全面的に遅れをとったと考えるのは間違いだ、ということを理解している。また多くのロシア製戦車の風格を包含することは、あるいは中国戦車が中東諸国の装備として適合する1つの重要な要素となるかもしれない。前述のように、中東の主要国は西側の先進的戦車を装備する前、いずれもロシア製戦車を大量装備していた経歴がある。またロシア製戦車と多くの共通点がある中国の新型戦車は、中東諸国の装甲兵を短時間で新装備に適応させ、戦闘力を形成させることができるだけでなく、さらに重要なのは中国戦車の新技術の導入を通じて、全体的に中東諸国の装甲部隊の技術レベルを向上させ、これらの国に徐々にイスラエルと装甲部隊の素質に関する競争を行う能力を持たせることができることだ。そしてこれは疑いなく中東諸国の、装甲部隊建設方面における最も根本的で、最も切迫した要求でもある。

第3に、中国の戦車は動力と火力コントロールをグレードアップして中東の戦場環境に適応できるようにする必要がある。

中国の新型戦車は中東諸国の現実の必要性に相当適合しているが、96式および99式メインバトルタンクに代表される中国戦車は、最初から中東の戦場環境のためにオーダーメイドで作られたものではない。しかも中国の第3世代メインバトルタンク発展の歴史と技術的蓄えは、アメリカ、ロシア、ヨーロッパなどの伝統的「戦車列強」と比べると、いずれとも相当な隔たりが存在する。このため、中国がもし本国の新型メインバトルタンクの中東における販路を開きたいなら、少なくとも戦車の動力と火力コントロールシステムにこれに合わせたグレードアップを行うことが必須である。

(頑住吉注:これより5ページ目。画像のキャプションは「中国がパキスタンに提供するMBT-2000戦車の使用環境は中東地位域に比較的近く、かつ評価は良好である。」です)

周知のように、エンジンはずっと中国新型戦車発展のボトルネックである。中国の第3世代メインバトルタンク研究開発の初期、ウクライナからの技術支援が重要な作用を発揮した。ウクライナの6TD-2/3型ディーゼルエンジンは長期にわたり中国新型メインバトルタンク、および中国の第3世代輸出型メインバトルタンクの主要な動力装置である。だが問題は、ウクライナの戦車技術は相当程度、獲得したソ連戦車の遺産から、後に自ら発展させたものだ、というところにある。だがこの過程で、ウクライナは地域性の国家として、明らかに砂漠のようなウクライナの国土には極めて少ない地理環境を十分考慮することができていない。このため、性能がずば抜けたドイツ製動力装置がインドの「アージュン」戦車上ではパフォーマンスがまずいものだった経験を参考にすると(頑住吉注:戦車関連でも中国とインドは共に動力系に問題を抱えているわけです)、砂漠環境への適応能力が欠乏したウクライナの動力装置、あるいは中国の初期における独自研究の動力装置を装備した中国の新型メインバトルタンクは、あるいは短期的には砂漠環境の戦車の動力装置に対する過酷な要求に適応することが難しいかもしれない。これにかんがみれば、中国は中東諸国あるいはアメリカといった砂漠環境の中で戦車を大量使用した国の経験を参考にし、本国の新型メインバトルタンクの動力装置に対し、砂漠への適応性を高める方向性を持った技術的グレードアップを行う必要がある。

前述のように、中東地域の戦車の遠距離交戦能力に対する要求は高い。しかも中国の新型メインバトルタンクが装備する火力システムは、技術上は遠距離正確打撃の要求を完全に満足させることができる。だが注意に値するのは、すでに知られている中国の最新型の99式メインバトルタンクの3つの改良段階で、中国はずっとこのメインバトルタンクの火力コントロールシステムにグレードアップを行い、火力コントロールシステムのそれぞれのサブシステムの分布から見て、全体構造はすでに基本的に確定しているが、ディテールは頻繁に変換されている。このことは疑いなく、中国がまだアメリカ、ロシア、ヨーロッパなどの国や地域のように、この種の性能を持つメインバトルタンクの火力コントロールシステムの研究開発に完全に成功していないことを事前に示している。中東地域に頻繁に起きる大規模な砂嵐のような、中国では起きることが極めて少ない極端な天候が戦車の火力コントロールに対する妨害を考慮すると、中国が火力コントロールシステムに、戦車が中東地域において3,000〜4,000mの遠距離高精度射撃を実現させることを保証させたいなら、疑いなく依然相当多くの適応性の技術グレードアップを行う必要がある。

(頑住吉注:後のページは画像とキャプションだけです。6ページ目は「中東地域自体は西側とロシアの軍需産業が相争い奪い合う大市場である。中国戦車はここで新たに足場を築く必要がある。西側の競合製品を打ち負かせるか否かがカギとなる。」、7ページ目は「中国戦車はすでにモロッコで市場を切り開くことに成功しており、より多くの中東の国々に売り込むチャンスはある。」、8ページ目は「もし中国戦車が真にレオパルド2A7戦車に匹敵する実力を持てば、国際市場を大規模に切り開くことに問題はない。」)


 中国戦車が中東諸国に適する、と言う部分はやや我田引水気味の印象も受けますが、中国戦車の弱点や課題についても詳しく書かれ、非常に興味深かったです。砂漠環境に中国製兵器が適応できないという問題は無人機でも起きています。中国にも砂漠地帯は結構あるんじゃないかと思うんですが。あと、薄々気付いてはいましたが、やはり戦車でも動力系がネックになっていたんですね。













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