中国中央テレビが中段対ミサイル試験を公表した意味は

 「THAAD」韓国配備への対抗という説もあるようですが。

http://military.china.com/important/11132797/20160730/23182604.html


中央テレビは何故この時を選択して中国の中段対ミサイル試験を明るみに出したのか

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「中国の中段対ミサイル迎撃試験の画面が明るみに」)

7月24日、中央テレビニュース放送は我が国の2010年および2013年の2回にわたる中段対ミサイル試験の画面を公開し、かつ対ミサイル弾および対ミサイル試験専門家である陳徳明の事跡に対し報道を行った。少し前アメリカが韓国に「THAAD」ミサイル防衛システムの配備を決定したことと、今回中央テレビニュース放送が我が国の2回にわたる中段対ミサイル試験の画面を明るみに出したことの関係は、一体偶然の一致なのかそれとも別に深い意味があるのか? 中段対ミサイルには一体どんな意義があり、それを中米といったような大国のゲームの重要な駒にさせることはできるのか?

中段対ミサイルとは何か?

ミサイルは戦闘部を搭載し、自身の動力装置に頼って推進し、制御誘導システムによって制御され飛行の軌跡が誘導され、目標に向かいかつ破壊する飛行体である。弾道ミサイルの飛行の状態を根拠に、その飛行の全過程は一般に以下の3つの段階に分けることができる。

1つ目は上昇段階である。これはミサイルが発射架から発射されて大気圏を飛び出すまでの段階を指す。

2つ目は飛行の中段で、ミサイルが大気圏外に飛び出し、大気圏外で目標区域に向かって飛行する段階である。

3つ目は末端段階で、ミサイルが目標区域上空付近に到達して、大気圏に再突入し、目標に命中するまでの段階を指す。

中段対ミサイルとはミサイルが飛行の中段にある時それに対し迎撃を行うことを指す。つまり大気圏を飛び出した後、まだ大気圏再突入する前、宇宙の真空での飛行状態にある来襲する弾頭に対し迎撃を行う。何故中段対ミサイルは重大な意義があるのか? 根本的な原因は中段対ミサイルが、上昇段階対ミサイル、あるいは末端段階対ミサイルが持たない非常に多くの優勢を持つことにある。

当然、上昇段階でミサイルに対する迎撃を行うことは最も有効で、何故ならこの段階ではミサイルは飛び立ったばかりで、ミサイルを破壊することは本国の目標に敵サイドのミサイルの殺傷を免れさせることができるだけでなく、さらにミサイルが撃破された後の破片および放射性物質を敵サイドの区域に落下させることができるからである。だが上昇段階で敵サイドのミサイルを破壊するのは決して現実的ではない。これには弾道ミサイル点火後いち早くもう発見しかつ攻撃を展開する必要があり、あるいは敵サイドの非常に厳重な防御を突破し、敵の縦深に深入りして攻撃を発動する必要がある。

(頑住吉注:これより2ページ目。画像のキャプションは「中央テレビが明るみに出した中国の陸上基地中段対ミサイル試験」です。)

末端段階の時は、迎撃を準備する充足した時間がある、および敵サイドのミサイルの飛行データを基本的に掌握しているなどの優勢があるが、末端段階で迎撃する時、弾道ミサイルは大気圏入りした後急降下を始め、弾頭の軌跡は傾斜角が大きなものに変わり、速度は通常マッハ7〜8で、このことは末端段階迎撃に非常に大きな困難をもたらす。もし分離誘導式弾道ミサイルだったら、多くの分離弾頭がすでに全部放出され、目標の数が大きく増えて迎撃し難い。もしミサイルが核兵器あるいは生物・化学兵器を搭載していたら、もし末端段階迎撃に成功しても、放射性物質あるいは生物・化学汚染物質はやはり本土に落ちるだろう。また、新世代弾道ミサイルはさらに末端段階で軌道を変えるだろう。このことは全て末端段階迎撃の不確定性を非常に大きく増加させている。このため、末端段階迎撃は決して良い選択ではなく、非常に多くの時止むを得ざることなのである。

上昇段階対ミサイルに比べ、中間段階対ミサイルはより充足した準備の時機も持つし、また敵サイドの非常に厳重な防御を突破し、敵サイドの縦深に深入りして攻撃を発動する必要もない。末端段階防御の「点防御」と比べると、中間段階防御は「面防御」に属し、その防御面積は末端段階防御の10倍以上で、加えて飛行の中段は全弾道飛行時間のおよそ80〜90%を占め、しかもこの段階で、ミサイルの弾道は相対的に平穏で固定され、したがってより高い迎撃成功率がある。また、この段階で分離誘導式弾道ミサイルが搭載する多くの弾頭はまだミサイルと分離しておらず、1回の迎撃でもうあらゆる分離弾頭を全部破壊することができる。このため、中間段階対ミサイルは迎撃効率最高の段階でもある。もし来襲するミサイルが核弾頭を搭載していても、弾道ミサイルの撃破後それが搭載する放射性物質は本土に落ちないだろう。

このことから、中段対ミサイル技術の成熟は、国家の安全保障に対し重要な意義があることが見て取れ、戦略核打撃能力を戦略進攻の利剣と呼ぶならば、中段対ミサイル技術はまさに戦略防御の堅固な盾である。

(頑住吉注:これより3ページ目。画像のキャプションは「中国の中段対ミサイル試験の画面が明るみに」です。)

中段対ミサイルにはどういったカギとなる重要技術があるのか?

中段で迎撃を実施したければ、できる限り前倒しで来襲する弾道ミサイルを発見し、同時にその上方で追跡を行い、飛行弾道を計算する必要がある。このようにしてこそ最も良い迎撃ポイントを見積もることができる。このことは強大なシステム探知計測および追跡能力、正確な目標識別や位置決定能力、強大なシステム抗妨害および誘導能力、および相応の戦場指揮、コントロール、通信能力を具備し、もって大気圏外の目標に対する早期警戒、探知計測、追跡、識別、および対ミサイル迎撃弾頭の軌道変更衝突など一連のカギとなる重要技術を解決する必要がある。具体的に言えば中段対ミサイルの重要なカギたる技術には以下のいくつかの方面がある。

1つ目は弾道ミサイル早期警戒技術である。中段対ミサイル作戦の中で、赤外線手段だろうと、レーダー手段だろうと、広大な宇宙の中で目標の弾道ミサイルを発見しかつ識別しようというのはいずれにしても比較的困難なことである。1つ目に監視コントロールを必要とする空間の範囲が非常に広大である。2つ目に大気圏外では空力的加熱がなく、ミサイルは純粋に慣性で飛行し、加えて目標の赤外線ステルス技術の発展があり、弾道ミサイルは自身の赤外線信号を低下させ、ミサイルの目標としての特徴の不明確をもたらすことができる。3つ目にデコイ弾が識別し難い。デコイ弾頭など多種の防御突破技術の発展につれ、来襲するミサイルが放出するだろうデコイと自身は同じ速度同じ方向に慣性飛行し、飛行中の弾道ミサイルの捜索とデコイとの識別区分をいずれも難題とさせる。4つ目に来襲するミサイル電波吸収材料を採用して弾体を設計することができ、同時にさらに弾頭を金属ポリエステル薄膜気球の中に包み込み、かつ大量の外観がこれと似た気球の中に混在させて一緒に放出し、レーダーに本物と偽物の目標を識別し難くさせることができる。現在、中段対ミサイル迎撃早期警戒システムには主に宇宙基地早期警戒衛星、海上基地および陸上基地大型遠距離観測レーダー、および陸、海、空、宇宙など多くのプラットフォームが搭載する多種の探知計測器があり、一体化した立体早期警戒探知計測網を組成し、もってできる限り早く来襲するミサイルを発見する目標を実現する。

(頑住吉注:これより4ページ目)

2つ目は追跡識別技術である。目標の追跡、識別は大気圏外迎撃器が中間・末端制御誘導交代時に完成させることが必須の作業で、一般に遠距離フェイズドアレイレーダーと多機能フェイズドアレイレーダーとの連合で完成される。遠距離フェイズドアレイレーダーは指示的性質のもので、それは目標の弾道と落下点を識別する。多機能フェイズドアレイレーダーは識別的性質のもので、それは目標の形状と脅威を識別する。中段迎撃システムの迎撃点は一般に大気圏外数十〜数百kmの範囲内にあり、しかも対ミサイルシステムの探知計測、情報伝達処理および指令の伝達には数十秒の時間を費やす必要があり、しかも弾道ミサイルが中段に入った後ではすでに上昇段階の加速を完成させている。このため、迎撃弾発射後は目標の弾道ミサイルと時間の「奪い合い」をする必要がある。弾道の中段はミサイル防衛システムが目標を識別する最も挑戦的性質を持つ段階であり、目標識別能力は非常に大きな程度上ミサイル防衛システムの総体としての水準を反映している。現在、中段ミサイル迎撃の多くは赤外線あるいはレーダー誘導弾頭を使用している。迎撃弾頭は宇宙の中で非常に短時間内に目標の弾頭を発見、追跡そしてロックオンする必要がある。このため、一方において誘導弾頭は比較的大きな視野を持ち、遠いところで目標を発見でき、かつ移動する目標を素早く視野に納める必要がある。もう一方では誘導弾頭は目標の信号をロックオンし、かつ素早く目標を追跡する必要がある。

3つ目は衝突技術である。中段対ミサイル迎撃技術は対ミサイル技術のまた1つのカギとなる重要技術で、こうであるのはそれが各種対ミサイル迎撃技術の中で要求が最高だからである。原因は迎撃弾頭の速度が非常に速く、それ自体の質量を利用してもう目標が破壊できることにある。このため、アメリカなど先進国はいずれもこの種の「衝突-殺傷」技術を迎撃弾頭の対ミサイルの優先選択技術とし、すなわち直接衝突技術で、しかも技術の難点もここにある。何故なら来襲する弾道ミサイルは弾頭の大気圏再突入時に焼けて損傷するのを避けるため、一般に全て非常に堅固で、このため衝突は正確であることが必須で、それでやっと充分な運動エネルギーをもって目標が破壊できる。さもないと、弾道ミサイルには軌道の偏向しか発生させられず、依然空中あるいは地上で爆発を発生させることができ、このことは迎撃弾頭の引律(頑住吉注:意味不明)設計と姿勢コントロールシステムに対し非常に高い要求を提出している。目標をキャッチし、追跡し、衝突し、また標的をはずれる量が「ゼロ」であるようコントロールすることが要求され、しかも瞬間的に来襲する弾道の方位、角度を事前に知らなければ捕捉することはできない。

(頑住吉注:これより5ページ目)

結びの言葉

艦載対空ミサイルは艦艇のトン数およびミサイルやレーダーの性能の制限を受けること比較的大きく、このためアメリカをトップとするNATO諸国が海上基地のスタンダード-3ミサイルを研究開発したことを除き、中ロはいずれも大きな力を入れて陸上基地大推力中段対ミサイルミサイルを開発し、ニュース放送が明るみに出した中段対ミサイル試験は我が国の陸上基地中段対ミサイル試験の画面に他ならない。

中央テレビが我が国の陸上基地中段対ミサイル技術を明るみに出したのは、一方では全世界に向け我が国の中段対ミサイルが情報処理、偵察早期警戒、迎撃武器、武器通信、制御誘導の精度や反応速度ですでに新たな段階に到達したことを表明している。もう一方ではアメリカの「THAAD」の韓国への配備決定に対する有力な回答でもある。中国は戦略核打撃能力も持つし、また中段対ミサイル技術を持ち、域外国家が中国に対し発起する挑戦や衝撃に完全に対応する能力がある。


 事前に予定された目標に命中したとしても実戦で本当に役に立つかは分かりませんが、中国がこの方面でも力をつけてきているのは本当なのでは。













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