中国空母の用途とは

 直接の関係はありませんがタイムリーな記事を2つまとめて紹介します。なお、最初の記事は日本語版で「抄訳」されており、どの部分を省いているか比較するのも興味深いかもしれません( http://japanese.china.org.cn/politics/txt/2013-05/02/content_28711217.htm )。

http://military.china.com/important/11132797/20130502/17809751.html


ロシアメディア:中国が建造する国産空母は東西から日本全域を挟撃できるものになる

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「遼寧艦の戦闘力はまだ形成されておらず、なお試験段階にある」)

【グローバルネット総合報道】 ロシアの週刊「軍工信使」5月1日の報道によれば、長年のテストを経て中国はついに052C/D駆逐艦、054A護衛艦、056型軽護衛艦の大規模建造を開始した。世界最大の造船工業を持つ北京はもうすぐ艦船の総量がアメリカのすぐ次の、世界第2の大艦隊を作り出す。そして中国海軍の今後の発展方向は疑いなく空母建造である。

ロシアメディアは、もし中国が空母を作らないなら、大きな費用をかけ、苦心してウクライナの古い廃棄された「ワリヤーグ」号を購入し、「遼寧艦」に改造したりはしなかった、とする。この軍艦は中国海軍によって訓練艦として使用される。この後、中国は本国で設計した正規空母を大量建造することになる。文章は、中国が艦体が「遼寧艦」に比べより大きな大型空母の建造を開始することになるのは全く疑いない、と考える。現在なお中国が作り出す意志のある国産空母の数を断言することはできないが、6隻である可能性が高い。北海、東海、南海という3大艦隊にそれぞれ2隻を配備するのだ。こうすれば中国海軍とアメリカ太平洋艦隊の空母の総数は互角になる。

文章は、中国の問題は空母建造経験の欠乏にある、とする。中国人は明らかにブラジルの「サンパウロ」号空母(フランスから購入。元「フォッシュ」号)を仔細に研究しているが、その価値は相当に限られてもいる。その艦は「遼寧艦」に比べてさらに小さく、しかも完成時期が早すぎる。中国が興味を持つのはおよそこの艦のカタパルト装置だけだろう。最も重要な問題は中国の新たな空母の動力装置で、それは普通動力か、それとも原子力動力か? 現在、中国軍事工業最大の弱点はまさにエンジンの製造であり、戦車も、戦闘機も、軍艦も全て例外ではない。空母のために普通エンジンを研究開発することは中国にとって絶対にやさしいことではないと言え、核反応炉はなおさら言うまでもない。

(頑住吉注:これより2ページ目。画像のキャプションは「中国が単に遼寧艦という1隻の空母しか持たないということは絶対にない」です。どうでもいいですけどこのキャプション、よっぽど気に入ったらしく何度も何度も流用されてますな。)

中国の国産空母建造の方向という問題に関し文章は、中国が従事する大型空母研究開発は主にアメリカの経験を参考にしている、と考える。ソ連は空母製造方面においても順を追って一歩一歩進める方式である。もし中国がアメリカ、フランス、ソ連の道に準じて前進するならば、まず2、3隻の普通動力空母を建造し、さらに3、4隻の原子力空母を建造する、ということができる。当然、北京は6隻全て普通空母とし、より安価に、より迅速にすることもでき、あるいは全部原子力空母として作り、費やされる費用を非常に高く、消耗される時間を非常に長くし、全世界の先例を開くこともできる。一切はエンジンの研究開発の進度、および中国人民解放軍が空母を手に入れるのを急ぐか否かによって決まる。

文章は、原子力空母建造の経験ということで言えば、現在アメリカ、フランスだけが持ち、しかもフランスの経験は「成功」の言葉を用いて形容するのはごく難しい、と指摘する。というのは就役から12年、「ドゴール」号はずっと技術的故障が絶えず、核反応炉にも問題が生じたことがあるからだ。このため、アメリカはこの領域で唯一の成功者である。こうなれば、中国はアメリカの核反応を模倣する他ないに違いないが、ロシアのものをコピー生産する可能性も排除されない。だが、アメリカであろうとロシアであろうと、いずれもこのような技術を中国に渡すことはなく、あるいは直接原潜の反応炉を空母に用いるかもしれない。要するに、エンジンの問題は長引くが、絶対に中国に空母の夢を放棄させることはない。

文章は、中国人民解放軍は空母を持った後、以下のような問題を解決することができる、と考える。アメリカ空軍および海軍の中国本土に対する襲撃の防止、アメリカ艦隊の中国近海および遠海に対する封鎖の突破。中国がエネルギー源を輸入する海上交通ルートの安全保障。アメリカは現在大洋上でしか中国に勝てず、中国の海岸線付近では充分な勝算がなく、これは10年前の一方的な状況とは全く異なる。ひとたび中国が自分の空母を持てば、さらに鬼に金棒である。もし中国が日本と衝突を勃発させたら、この場合も空母を持つことは中国の実力を顕著に増強させ得る。何故ならその時西側からだけでなく、東側からも日本に対し全土の打撃が実施できるからである。南海の島嶼の帰属をめぐる争いでも、空母は中国の重要な手段になる。文章は、空母は中国とロシアおよびインドなどの国との外交のゲームの中でもポジティブな作用を発揮すると考える。

ロシアメディアは、台湾は大陸と極めて近いので、必ずしも空母を必要としない、と考える。北京の陸上基地航空隊の実力ですでに充分である。だが、空母を持つことはさらに一歩中国の実力を増強し、台湾に東から進攻を発起し、台湾の防空力を散々な目に遭わせることができる。また、空母はさらに海上から台湾を封鎖し、アメリカにこの衝突に手を出すことができなくさせることができる。しかし、解放軍海軍は2020年までに初の真の意味での空母を獲得し、2030〜2035年に6隻全てを得るという可能性は極々小さい。だが北京はきっとその前に台湾問題の解決を企図する。このため、北京が空母を必要とするのは決して台湾の攻撃占領のためではなく、台湾を取り戻した後の考慮に着眼してのことである。

(頑住吉注:3ページ目)中国の航空エンジンは西側先進レベルを基準にすればまだ一定の隔たりがあるが、中国はすでに奮起してまっしぐらに追っている

(頑住吉注:4ページ目)中国空母の遠洋航海はどの海域に行くのか? どんな艦隊を組成するのか? これらは時が来たら各方面の状況を根拠に総合的に考慮する必要がある。

(頑住吉注:5ページ目)中国の空母発展は特定の目標に照準を合わせたものではない

(頑住吉注:6ページ目)遼寧艦が戦闘力を形成すれば充分な威嚇能力を持つことになる

(頑住吉注:7ページ目)空母がひとたび戦闘力を形成すれば中国海軍の制海制空能力を向上させることができる

(頑住吉注:8ページ目)空母は中国海軍の戦力配置を非常に大きく増強し、豊富な打撃能力を持たせることができる


 やはり中国が空母分野で他国の真似をするとか、エンジン技術に難があるとか、空母が揃うのは相当先だとかの部分は日本語版では省くんですね。国内向けの記事で唯一太字で強調されている部分も日本語版には反映されていません。

http://military.china.com/important/11132797/20130502/17809766.html


中国サイド、珍しくアメリカサイドに中日釣魚島紛争に巻き込まれるなかれと警告

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「アメリカ軍統合参謀本部議長デンプシーは訪中期間に中国サイドに対し、釣魚島に『米日安保条約』を適用すると明確に表明し、これにより中国サイドに向け圧力をかけた。」)

「日本というこの石っころに自分の足をぶつけるな」中国駐アメリカ大使崔天凱は4月30日、アメリカに警告した。この稀に見る厳しい表現が照準を合わせるのはアメリカ国防長官ヘーゲルである。何故なら彼は最近、日本の釣魚島に対する管轄権を承認しただけでなく、さらに「日本の管轄権に損害を与えるいかなる一方的行動にも反対する」と公言したからである。

日本の防衛省官僚は興奮し、ヘーゲルの言い方は「想像していた中国に対する警告よりさらに強力だった」と言った。最近、少なからぬアメリカの当局者が東アジアに頻繁にやって来ており、伝えられる情報はことのほか混乱していて、日本に警告したとするものもあれば、中国を牽制したとするものもある。当局をバックに持つ「 Voice of America」の4月30日の評論は1つの基調を決めるかのようである。すなわち、「アメリカ国防、外務上層は中国サイドに向け一致した立場を伝達しており、日本の管轄権を破壊する主旨のいかなる一方的あるいは強制的行動にも反対する」というものである。

釣魚島問題で「中立」を標榜するアメリカの態度ははっきりし始め、より日本を支持して勇気付けており、このことは本来もう緊張していた東アジアに新たにして複雑な変数を加えた。アメリカの「フォーブス」誌の評論は、米日同盟は釣魚島をめぐる争いの情勢の不変を保証することはできず、アメリカは何らかのタイミングでこれにより中国と衝突が発生するのを避けることが必須である、とした。中国の国際問題研究所の学者阮宗沢は5月1日「グローバル時報」に対し、安倍晋三の右翼的やり方はすでに一目で全て分かるほどになっており、アメリカがもし日本を放任し続ければ最後にはおそらく自ら災難を招くことになる、と語った。

(頑住吉注:これより2ページ目。画像のキャプションは「中国陸軍航空隊訓練基地は来訪したアメリカ軍統合参謀本部議長デンプシーに記載武器装備を見せた。」です。)

アメリカの回答は中国サイドを批判するもの:釣魚島の主権に対し特定の立場は持たないと重ねて言明

中国駐アメリカ大使崔天凱がアメリカ国防長官ヘーゲルの先日の釣魚島に関する発言は事実に符合しないと批判し、かつアメリカサイドに「日本というこの石っころに自分の足をぶつけるなかれ」と暗に勧める言い方をしたことに対し、アメリカ国務省は1日回答し、アメリカサイドは問題を避けることを希望しており、情勢の緊張を引き起こす行動が取られたと聞いたら双方に耳を傾けるよう言い、アメリカは釣魚島の最終的主権に対し特定の立場を持たない、とした。

4月29日ヘーゲルは米日防衛トップ合同記者会見において、アメリカは日本の釣魚島管轄権の破壊を図るいかなる一方的な行動あるいは強制的行為にも反対するとし、かつアメリカ軍統合参謀本部議長デンプシーも北京訪問時中国サイドに向け同様の情報を伝達した、とした。これに対し崔天凱は30日に回答し、ヘーゲルのデンプシー訪中と中国サイドとの会談に関するいくつかの言い方は事実に符合しない、とした。中国サイドは当時明確に釣魚島問題に対する立場と見方を詳述し、アメリカサイドは本当の状況は了解している、と。

崔天凱は、「釣魚島問題の歴史的経緯ははっきりしている。歴史的に見てアメリカサイドはこれに対し責任がある。中国サイドは日本の釣魚島に対する主権あるいは管轄権を承認したことは全くない。この点を中国サイドはすでに繰り返しアメリカサイドに向け説明している。釣魚島問題において、緊張した情勢を挑発して引き起こし、緊張した情勢を激化させたのは日本サイドであり、いわゆる一方的あるいは脅迫性の行動を取ったのも日本である。この問題において、事実と是非は非常にはっきりしている。」と指摘した。

(頑住吉注:これより3ページ目。画像のキャプションは「去年、当時国防部長の任にあった梁光烈は来訪したアメリカ国防長官パネッタを出迎えた。中日の釣魚島をめぐる争いのエスカレート以来、中米の軍による交流とそのレベルはかえって上がっている。」です。)

アメリカ国務省の1日における定例記者会見で、ある記者は崔天凱の話を引用し、かつアメリカは一体日本と中国のどちらが一方的あるいは脅迫性の行動を取っていると見ているのか、と質問した。これに対し、アメリカ国務省代理副スポークスマンのパトリック ウェンテリーは何度もの追加質問の中でずっと直接の回答を避け、アメリカは双方が情勢の緊張を引き起こす可能性のある、あるいは間違った見積もりに基づく行動を取ることを避けることを希望し、「我々は双方いずれもに対しこのように言う。」と強調した。

崔天凱は30日さらに、アメリカは釣魚島問題で中立を保持しているか否か判断するには、その実際の行動を見る必要がある、とした。彼はさらに、「我々は、日本というこの石っころをあらぬ方向に行かせるな、日本というこの石っころに自分の足をぶつけるな、と希望する。くれぐれも小によって大を失ってはいけない。何故なら目の前の一時の需要が長期に渡る災いを引き起こすからだ。」と語った(頑住吉注:つまり我々中国はアメリカの真の敵ではなく、それに対抗するために日本を増長、暴走させると足元をすくわれるぞ、70年前を忘れたか、と言いたいわけでしょう)。

これに答えてウェンテリーは次のように語った。「我々はこの島嶼(釣魚島)の最終的主権に対し特定の立場をとらない。我々は関係各方に、平和的手段を通じて彼らの食い違いを管理コントロールするよう呼びかける。これは我々の長期的政策であり、決して変わっていない。」

アメリカサイドが中国サイドとこの問題を討論して中国サイドの憂慮を和らげるか否かという問題に対しウェンテリーは、我々と関係各方は定期的に地域の安全問題を討論しており、釣魚島の緊張した情勢の問題も含まれる、と語った。(記者 呉慶才 中国ニュースネット)

(頑住吉注:4ページ目)4月23日、中国海監は釣魚島で日本の右翼の船舶を迎撃し、強硬に日本の挑発行為を打撃制圧した。

(頑住吉注:5ページ目)4月23日、多くの日本の議員が集団で靖国神社を参拝した。近頃日本の侵略の歴史(頑住吉注:の肯定?)など一連の右傾化した挙動もアメリカの不満を引き起こしている。

(頑住吉注:6ページ目)最近日本のあたご級イージス駆逐艦が、米日の新たな合同上陸島奪取演習に参加するため出発した。演習地点はことさらにアメリカ本土を選んで行われ、このようにすれば中国の不満を引き起こすことを避けられると考えている。

(頑住吉注:7ページ目)3月6日、日本の海上自衛隊はまた1隻のそうりゅう級AIP潜水艦を配備した。3月に日本は連続して4隻の新型軍艦を装備し、その軍拡の歩みは明らかに加速している。

(頑住吉注:8ページ目)アメリカメディアが制作した中米海軍実力の対比図。事実から遠くかけ離れている。


 中国が日本の右傾化を強調し、アメリカに日本は米中共通の敵だと思わせようとする方向性が見えてきた感じです。まあどう考えても成功するとは思えませんが。














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