中国航空産業関連2題

 「またフランスか」ですな。

http://military.china.com/important/11132797/20140331/18423510.html


中国・フランス協定書に署名 共同で1,000機のAC352ヘリを生産へ

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「AC352ヘリ(資料画像)」 なおこの記事のキャプションは全てこれと同じなので以下省略します。)

本報の情報(記者 徐一新) フランス現地時間3月26日、国家主席習近平とフランス大統領フランソワ オランドの立ち会いの下、中国サイドとエアバス社はパリで一連の協定書に署名し、これには中国航空機材集団社がエアバスから70機のエアバスの飛行機(43機のA320系列機と27機のA330系列機を含む)を購入し、金額が100億アメリカドルであることの確認、および中航工業ヘリとエアバスヘリが共同で1,000機の新世代EC175/AC352ヘリを生産することの協定書への署名などが含まれた。同時に、両国指導者の立ち会いの下、中航工業とサフラングループは民間用ターボプロップ機エンジン領域の契約プロジェクト協定書に署名し、双方はすでに120台のエンジンの購入の、最初の一定数の発注につき共通認識が達成されている、とした。

EC175/AC352プロジェクトは中国・フランス双方が2005年に始動させたもので、双方は50:50のリスクの協力方式をもって共同でこの世界で最も先進的な水準の中型ヘリを研究開発する。今回署名された1,000機の生産協定書の中では、双方は継続してプロジェクトの研究開発で各自が50%の作業を分担するという原則に照らし、各方の能力が均等であることに基づいてEC175/AC352の量産作業を担うことになる。同じプラットフォームで、2タイプの異なるヘリが生産されることになる。AC352は中航工業ヘリによって製造され、かつアフターサービス支援が提供され、主に中国の市場を満足させる。EC175はエアバスヘリ社によって製造および支持され、主に全世界のその他の市場を満足させる。

中航工業副社長李方勇は協定書に署名した。彼は、「この生産協定書への署名は、我々双方が中国および全世界の市場の中型ヘリ方面における需要を満足させられるようにする。これはまた我々の活力に富んだ生産資源を有効に世界航空産業のリンクに溶け込ませる。」とした。

エアバスヘリの主席執行官Guillaume Fauryは、「今日署名した協定書は、双方の団体が過去何年か密接に協力した結果である。これは我々双方のためにいまだかつてなかった大規模協力生産の新たな舞台を開き、同時に我々と中航工業ヘリとの協力の新たな局面を切り開いた。」とした。

AC352ヘリに装備されるWZ16/ARDIDEN 3Cエンジンの研究開発は2008年に始まった。サフラングループ傘下のターボメカ社と中航工業東安エンジン社は2008年に共同で合同研究開発、生産を始動し、WZ16/ARDIDEN 3Cヘリ用新世代エンジンプロジェクトを支持した。このエンジンの計画は2015年末に中国の航行適性証を獲得する計画である。当日、中航工業とサフラングループはこの新たな段階の協力を高度に賞賛し、かつ日増しに発展する協力を保持し強化するとした。

(頑住吉注:これより2ページ目)

EC175は今年すでにヨーロッパ航空安全局EASAの航行適性証を取得した、とされる。この機は全世界の市場の、高性能多任務中型双発回転翼機に対する要求を満足させ、その任務の範囲は近海の人員輸送、捜索救援、VIP、公共事業、医療救援を含む。エアバスヘリは2014年後半に最初の3つのEC175クライアントへの引き渡しを完成させる計画である。予測によれば、AC352が航行適性認証を完成させた後、製品の市場への売り込みは急速に成長するルートに入り、今後20年内で、中国サイドの市場のAC352に対する需要は400機に達することになる。

今回中国・フランス双方が署名した一連の協力協定書の中には、さらにエアバス天津総組立ラインの二期協力計画が含まれる。エアバス天津総組立ラインはエアバス社、天津保税地域、中航工業が共同で建設した合資企業で、一期協力計画は2016年に完成することになる。エアバス天津総組立ライン二期協力計画がカバーする期間は2016〜2025年である。二期協力計画の中で、エアバス天津総組立ラインはエアバスA320neoの総組立を加え、かつ不断に総組立ラインの生産能力を高める。エアバスはさらに継続してセットされる部品の供給商が天津に定着することを支持し、天津がエアバスのアジアにおける中心になり、もって当地の航空産業の発展を支持することを推進する、としている。

エアバス社はさらに、関係各方と積極的に中国においてワイドボディー飛行機の完成と引き渡しのセンター、および関連の中航工業とワイドボディー飛行機のキャビン内装飾方面の協力の研究を探索する。協定書の中ではさらに、エアバス社がさらに一歩中国民間航空と空中交通管理領域での協力を強化することに言及され、その重点は全世界で互換性を持つ航空管制新技術の中国における応用の促進である。

エアバス社総裁兼主席執行官のファブリス ブリエは、エアバスと中国航空業の相互に利益があるウィンウィンのパートナーシップは双方の発展に有利である、とする。来年、エアバスは中国進出30周年を慶祝し、エアバスはこれまでと少しも変わらず中国航空業の発展を支持することになる。


 こうして中国は早期警戒機などに使用するターボプロップエンジン、軍用ヘリ用エンジン、早期警戒機などのベースとなる旅客機や関連技術を手に入れ強化していくわけです。ロシアに強襲揚陸艦を販売する計画が危機に見舞われているように、比較的近い将来こうした協力が中断を強いられ、一方的に損をする可能性は高いと思われますが(当たり前ですが「各方の能力が均等であることに基づいて」というのは建前論に過ぎませんし)。

 次は航空材料に関する記事です。

http://military.china.com/important/11132797/20140331/18422776.html


院士、中国の航空材料を語る:チタン合金材料の発展が航空強国を建設する

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「中国科学院院士曹春暁。」)

航空製造発展の過程で、材料の更新、世代交代は急速な交代、変換を見せ、材料と飛行機はずっと相互に推進しながら不断に発展している。「材料1世代、飛行機1世代」はまさに世界航空発展史の1つの真実の描写である。新材料は航空技術の重要な基礎であり、伝統産業のグレードアップ、世代交代と高度新技術産業発展の先導であり、航空工業発展の中で最も活力と発展ポテンシャルを持つ領域となっている。記者は先日チタン合金など航空新材料の発展、応用の状況につき、中国科学院院士曹春暁に特別インタビューを行った。

「中国航空報」:材料は飛行機製造の基礎であり、先端技術が作る新材料なくして航空工業の発展は先端たることを達成し難いですが、航空工業の発展と新機種の研究開発につれ、航空材料の需要には以前に比べてどういった変化があるのですか?

曹春暁:航空工業の発展につれ、材料に要求される比強度はどんどん高まり、性能はどんどん良くなっています。現在複合材料とチタン合金の飛行機やエンジンへの使用量はどんどん多くなっています。例えば複合材料ですが、1980年代には飛行機への使用はまだごく少なかったですが、ここ何年かの発展は迅速です。最新型のボーイング787旅客機の複合材料の占める比率はすでに50%に達し、チタン合金は15%に達しており、民間用飛行機領域において史上最高記録を破りました。一方かつてのボーイング777旅客機の複合材料の使用量はやっと10%、チタン合金の使用量はやっと8%であり、飛躍度の大きさは想像を超えています。

複合材料やチタン合金といった材料の大規模な応用、発展が達成されるのは主に2つの原因によります。第1には材料の研究および応用に関する実践経験の累積と共に、材料の性能と使用信頼性がどんどん良くなっていること。第2には加工、製造技術の発展と共に材料自体の価格も以前に比べて大いに下がっていることです。具体的に言うと、過去使用されたTi-6AI-4V(TC4)チタン合金を現在我々が継続して使用しているのと同時に、さらに強度などの性能がより高いチタン合金の新品種が研究開発され、長年の試験を経て、飛行機の非常に多くの部品にすでにこうした新たなチタン合金の使用が開始されています。例えば、ボーイング777旅客機には同時にTi1023、β21S、Ti153という3種のブランドのβ型チタン合金が使用され、これはこの3種のブランドのチタン合金が初めて同時に民間機に使用されたものでもありました。エアバスA380旅客機の脚が使用するTi1023チタン合金の鍛造部品は3.2トンの重さ、4.2mの長さがあり、現在世界最大のチタン合金鍛造部品です。チタン合金が持つ独特の性能は、その応用の前途の見通しをより広くしています。抗砲撃能力を例にすると、チタン合金の抗砲撃能力は複合材料より顕著に優れているので、アメリカのF-22戦闘機の複合材料の使用量は当初の44.7%から現在の24%まで減少し、一方チタン合金の使用量は41%に高まっています。軍用機のチタン合金使用量は民間機に比べて多く、これは戦闘力増強の考慮から出たことでもあります。また、もう1つの断裂靱性が高く、疲労によるクラックの広がる速度の遅さなどの特徴を持つ新品種合金である、高損傷許容限度チタン合金の出現も、飛行機へのチタン合金の使用量がどんどん多くなる重要な原因です。

もう1つの角度から言うと、複合材料とチタン合金は「最良の伴侶」であり、互いに助け合い、補完し合い、相互に促進するのです。複合材料はカーボンファイバーを含有し、応用される中でアルミ合金との間に電位差があり、時間の推移と共にアルミ合金はゆっくりと腐蝕させられ、飛行機の安全性能を低下させる可能性があります。このため、複合材料と接触して使用されるアルミ合金はチタン合金によって取って代わられる必要があり、これは例えば複合材料を緊縛固定するなどの部品です。ここ何年か、複合材料の応用の大幅な増加は、チタン合金の応用の増加をも推し動かしているのです。

(頑住吉注:これより2ページ目。画像のキャプションは「ステルス材料を塗装された殲ー20の新たな機」です。)

「中国航空報」:チタン合金と複合材料は航空の中での応用がどんどん広くなっているわけですが、ならば一方その他の材料の発展状況はどうなんでしょうか?

曹春暁:複合材料、チタン合金、アルミ合金、スチール、高温合金は飛行機およびエンジンの5大選択候補の材料です。それらはずっと競争の中で相互に促進し、優勢を相互補完し、不断に発展しています。複合材料とチタン合金は比強度、抗腐蝕性能などの方面で優勢を持っていますが、アルミ合金やスチールは工程性能や経済性などの方面で優勢を持っています。高温合金は航空エンジン上で公認された主要な地位を占めます。さらに指摘しておくことが必須なのは、アルミ合金とスチールはずっと努力して新たな高性能新品種を発展させ、かつ不断にその競争力を高めている、ということです。

このため、現在全体的な趨勢は複合材料とチタン合金の応用が徐々に広範になるというものですが、アルミ合金やスチールも依然不可欠にして重要な航空材料なのです。現在世界最大の航空鍛造部品はまさしくアルミ合金鍛造部品であり、エアバスA380旅客機の主翼の1本の桁であり、使用されるのはブランドナンバーが7085のアルミ合金で、鍛造部品の長さは6m余りに達し、重量は3.9トンに達します。

「中国航空報」:8万トンの大型鍛造プレス機といった大型重装備が続々登場し、我が国の重装備能力が向上するだけでなく、国家の実力も向上していますが、このことは航空材料発展に対しどんな意義があるのですか?

曹春暁:飛行機とエンジンの構造の一体化(頑住吉注:元々複数の部品を一体成型して部品点数を減らすことを指しているようです)は現代航空装備発展の1つの非常に重要な方向で、一体化は構造重量を軽減し、信頼性を高め、組立の効率をアップできるだけでなく、さらにコストを下げることができます。構造の一体化を達成できた者が、急速に発展できるのです。

中国二重(頑住吉注:中国第二重型機械集団社)の8万トン大型鍛造プレス機は特大の鍛造部品を鍛造することができ、かつての機械による連結あるいは溶接に頼って飛行機の部品を製造する方式を変え、チタン合金鍛造部品とスチール鍛造部品の大型化、一体化促進に対し非常に重要です。8万トン大型鍛造プレス機はこれまで世界最大だったロシアの7.5万トン鍛造プレス機を超越し、我が国が特大鍛造部品を作れるか否かの問題を解決し、このことは我々が鍛造強国、チタン合金強国、航空強国になることに対する意義が重大です。

8万トン大型鍛造プレス機は特大鍛造部品が鍛造でき、構造の一体化に対し推進作用を果たす他に、鍛造部品(スチール、アルミ合金、チタン合金、高温合金などの材料の鍛造部品どれでも)の精密化にも非常に大きな推進作用を果たします。荒い鍛造部品に比べ、精密鍛造部品に必要とされる鍛造プレス機のトン数は2〜4倍に増大することを必要とします。現在非常に多くの鍛造部品が「太って大柄」であり、原材料の使用率は10%前後でしかありません。大量の浪費には原材料とエネルギーなどの資源が含まれます。鍛造部品を精密化すれば、非常に大きく鍛造部品と完成部品のコストを下げることができます。鍛造部品の精密化はさらに使用の信頼性を高めることができます。かつての荒い鍛造部品内の流線は全て切断され、このことは飛行機の使用性能に影響しました。一方精密鍛造部品は加工後、鍛造部品内の大部分の流線を完全に保存でき、したがって飛行機の使用の信頼性を向上させることができるのです。このため、特大鍛造部品の製造にも、大型鍛造部品の精密化レベル向上にも、8万トン大型鍛造プレス機の使用が必要であり、結果的に我が国の鍛造レベルの全面的な向上を促進するのです。

鍛造部品は飛行機とエンジンに占める比重が非常に大きく、一般に機体の構造重量の30%前後、エンジンの重量の40%前後を占めます。しかも鍛造部品は一般に全てカギとなる重要な部品で、作用が非常に大きいのです。このため、我が国は不断に鍛造能力を高め、競争の優勢を強化し、航空工業の発展を推し動かす必要があるのです。

(頑住吉注:これより3ページ目。画像のキャプションは2ページ目と同じです。)

「中国航空報」:我が国のチタン合金航空材料の発展レベルは国際的にどのような地位にあるのですか? どういった隔たりや不足があるのですか? 現在の発展にはどんな難点があるのですか?

曹春暁:我が国のチタン材の生産量は世界第1位ですが、チタン合金大国と呼べるだけでのことでもあり、我が国の航空材料の発展レベルも大国から強国への過渡期にあります。航空材料について言えば、我が国はまだ自主創新能力を向上させ、オリジナル創新能力を増強し、いくつかの自主知的財産権を持ち、国際的に名声を響きわたらせ得る航空材料を多く研究開発する必要があります。

現在世界ですでに使用されている合金は、我が国は基本的に全て研究開発する能力があり、しかもさらにいくつかの自主知的財産権を持つ工程技術を持ち、研究開発能力はやはり比較的強いのですが、我が国がオリジナルで創新した合金のブランドは逆に多くないのです。難点に関しても存在しています。チタン合金など航空材料の主要な問題は大量生産の安定性に存在しており、大量生産時に品質問題が出現することがあるのです。この問題はむしろ生産管理の問題および人為的要素の影響を受けてのものです。このため、我が国は生産管理を強化し、またできる限り早く熱加工のデジタルコントロール化を推進し、各種の要素がもたらす製品の品質のばらつきを避けるべきです。熱加工装備と工程のデジタルコントロール化を不断に強化することは、我々が今後行くことが必須の道です。

(頑住吉注:4、5ページ目も2ページ目と同じ。6ページ目)殲ー10B戦闘機も大量の複合材料を使用している

(頑住吉注:7ページ目)国産新型殲ー16戦闘機

(頑住吉注:8ページ目)大量の複合材料を採用する米軍のF-22ステルス戦闘機


 以前から指摘されている生産管理など問題も残しているものの、全体的に改善に向かっていることは間違いなさそうです。



















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