F-35の機動性を論じる その3

 さらに続きです。

http://military.china.com/news2/569/20170621/30793469_all.html#page_2


最後の急旋回は当たり障りのないものだった。9Gの急旋回を人々は多く見たがフリンがいったい発表されている飛行コントロールの極限値に照らして7Gまで引き起こしたのか、それともこっそりと極限値を迂回して8〜9Gまで引き起こしたのか、動画の中からだけで見いだすことは非常に難しく、公式な情報を待つだけである。

興味深いのは、フリンが前の何分間かのうちには横転を注意深く行い、最後になってやっと何回かの急な横転をしたことである。F-35Aの翼面荷重が「ウィドウメーカー」F-104と同等で、F-15、F-16、F-18、F-22よりはるかに高いことを考慮すると、このようなパフォーマンスは理解できる。

航空展の動作について言うと、パリ航空展の前に練習飛行したフランスの「ラファール」はより高い横転速度が目立ち、上昇につながる動作もよりてきぱきしていた。もし以前のF-22の飛行デモンストレーションと対比するなら、かの種の勇猛とは増してや比較できず、「階段登り」の動作は今に至るも真似できる者がおらず、これはF-35Aも含めてである。

F-16と比較すると、F-35Aの機動性は少なくともより良くはない。当然、航空展でデモンストレーションするF-16は間違いなくクリーンな外形で、いろいろ搭載した後なら言うのが難しいが。

2016年ファーンバラ航空展で、ヨーロッパの「タイフーン」は間違いなくいろいろいっぱいに搭載して(2発の中距離、2発の近距離空対空ミサイル、2つのサブタンク、2発の爆弾)デモンストレーションし、見せた機動性は不明の重量の状況下のF-35Aより弱くなかった。当然、あの時の「タイフーン」は水平機動動作が比較的多く、垂直機動動作は比較的少なく、動力不足、搭載物が重すぎてできなかったとは言い難く、やはり雲の高さが限られていたせいで、確かにちょっと上昇すればすぐ雲の中に入った。

パリでは、フリンは身に重任を負っていた。航空展はPRの最も良い場合で、航空展でのパフォーマンスは各国公衆のF-35購入案に対する支持に影響する。ステルスと態勢関知は航空展で見せられず、フリンはすばらしい飛行デモンストレーションによって全世界に向けF-35Aの機動性を見せつけるしかなかった。

フリンはやり遂げたのか? 19日の第1回目の飛行デモンストレーションから言って、彼がやり遂げたとは言い難い。

彼が見せたF-35Aの機動性はF-16を超えず、相互に30年を隔てた新世代戦闘機として、このことが公衆を雀躍させるのは非常に難しい。これは第1回目の公衆に向けてのF-35Aの機動性デモンストレーションなので、フリンはある程度留保したかもしれない? これは当然あり得るが、これはロッキード・マーティンの最も良いチャンスでもあり、逃す理由はない。もし続く何日かのうちに、フリンが第1日目のパフォーマンスを突破しなかったら、これがある程度留保した結果だとは非常に言い難くなる。

だが続く何日かのうちに、フリンのF-35Aは約束通り毎日デモンストレーションするのか否か、これも確実ではない。結局のところ連続何日か毎日極限の飛行をするのは非常に過分な要求である。だが非常に長く待つ必要はなく、パリ航空展は週末にはもう終わり、ロッキード・マーティンがもし今回の航空展で頑張って見せなければ、次の機会を待つ必要がある。

現在はF-35にとってカギとなる重要な時である。ロッキード・マーティンは航空展前こっそりと、金額350〜400億アメリカドルで、440機の飛行機と11カ国に関わる巨額の契約を締結すると言明し、時間の幅は今後何年かだという。だがアメリカを除き、その他の国にどういったものが含まれているのか、決して説明していない。

これは実は宣伝ゲームである。契約の主たる部分はアメリカ由来で、アメリカは過去10年内ずっとF-35を購入し(A/B/C型含む)、数は徐々に増加しつつある。F-35AおよびBはすでに初歩作戦状態に到達し、Cは2018年まで待つ必要がある。だがF-35全システムは実際上まだ正式に定型に至っておらず、例えばソフトウェアはまだ3Iの状態だが、定型は3Fの状態で、このためずっと「低速初期生産」(略称LRIP)状態をもって試験生産され、現在はLRIP10だが、最終的な量産はLRIP11で、以後正式な量産に転じる。

初期LRIPに2年に1回があるのを除き、LRIPは基本的に毎年1回で、毎回改めて数量、価格、規格などを談判する必要がある。ロッキード・マーティンは長期的に軍がもはや毎年毎年のLRIP談判を継続せず、1回で複数年の購入量を大量発注するよう要求している。このようにすれば、社の現金の流れには保証ができ、供給のチェーン状の連なりと生産秩序が容易に正常化され、軍に利益を還元し、単価を下げるのも容易だという。

だが初期LRIPの単価は驚くべきもので、さらに飛行機は種々の問題が原因で工場に戻されることが少なくなく、アメリカ議会も定型していない前にもう量産を批准することに反対しており、このため大量購入の件は現在までずっと延ばされている。ロッキード・マーティンの「巨額契約」の主体はこのような大量発注のはずで、その他の10カ国は便乗に過ぎず、アメリカによって購入談判が代理され、大量による優遇の利益が得られる。これは本来もう計画の中の購入で、決して突然に440機の新たに増えた発注が湧いて出たわけではない。

興味深いのは、アメリカ海軍が、今後5年内、71億アメリカドルをもって80機のF-18Eを発注することで、数はさらに増加する可能性がある。350〜400億アメリカドルで440機のF-35を購入することに照らして計算すれば、単価は8,000〜9,000万アメリカドルである。71億アメリカドルで80機のF-18Eを購入する単価は換算すると8,875万アメリカドルである。

当然、440機のF-35の中にA/B/Cがそれぞれどれくらいあるのかは分からず、8,000〜9,000万アメリカドルの単価はごく大雑把な計算である。だがこのことは少なくとも、F-18EとF-35Cのコストはすでに非常に近づいていることを説明し、このような状況下で、アメリカ海軍がF-18Eを大挙して購入増加する動機は考えるに値するが、これは時間だけがやっと回答できる謎である。

世に、不知廬山真面目,隻縁身在此山中という(頑住吉注:その場にいても真相が分からないみたいな感じらしいです)。F-35Aのパリ航空展でのパフォーマンスにはこの言葉がぴったりである。事の真相は依然おぼろで、F-35が機動性がよくないという原罪を洗い清めるのはまだ任務重くして道遠しである。


 まあ日本には当面これ以外の選択肢はないわけで、いろいろ言われる機動性がどうしようもなく悪いわけではないというのはある程度安心できる材料だと思います。もちろん近距離格闘なんかしないで済むのが理想なわけですが。





















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