中国の航空母艦の能力は?

 日本だけでなく韓国、フィリピン、ベトナム、マレーシアなど多数の周辺国と海をめぐるトラブルを抱えている中国が海軍力を急速に増強させていることは不気味に感じざるを得ません。今回は中国初の空母であるワリヤーグに関するページの内容を紹介します。ただ、私現代の軍艦に関しては戦車や航空機よりもっと知識が乏しいんでよく分からない部分も多いです。

http://13856477078.blog.163.com/blog/static/1210183402012322101026973/


長纓在手 航空母艦ワリヤーグ号の航空機・母艦一体作戦能力を簡単に分析 (頑住吉注:「長纓在手」は、手に長い縄を持ち、敵を捕虜にしようとしている、という意味だそうです。泥縄の逆で準備万端というようなニュアンスでしょうか)

(頑住吉注:原ページの最初の画像のキャプションです。「給油車を搭載して出港する我が国の空母」)

4月20日、我が国の空母ワリヤーグ号が再び出港し、海洋試験を行った。以前とは異なり、この海洋試験は人々の特別の注目を集めた。何故なら外部から、今回は初の艦載機着艦試験が行われるかもしれないと推測されたからである。

もし情報が事実なら、これは絶対に我が国海軍空母発展史上の1つの飛躍であり、我が国が固定翼航空母艦保有に向け、大きな一歩を踏み出し、今後の発展のために堅実な基礎を築いたことを示す。

国外の資料によれば、我が国の空母の艦載機は殲-15型艦載戦闘機であり、この機はスホーイ-33を基礎にコピーしてできたもので、デジタル式電伝操縦システムおよび三翼面、前翼、辺条翼共同作業を採用し、1つのコントロール可能な渦を形成でき、航空機の俯、仰操縦性能が向上している。さらに一歩航空機の静穏性が改善され、揚力係数、機動性能が向上している。エンジンには国産のターボファン-10エンジンを採用し、スホーイ-33のAL-31F-3エンジン同様、このエンジンにはテイクオフモードが追加され、すなわち短時間のうちにエンジンの推力を上げる。したがって航空機がより速く、より良好に離陸できるようにさせる。航空電子方面では、国産の連合式航空電子システムを採用し、航空機の主要な探知計測システムと有機的に連結一体化でき、統一されたネットワークを形成し、戦術情報の総合処理と統一表示を行う。コックピットにはガラス化コックピットを採用し、飛行員による戦場の状況および目標に関する情報の獲得能力が向上している。搭載レーダー方面では国産のフェーズドアレイ火器管制レーダーが用いられている可能性がある。加えて殲-15はより大きな機体スペースを持ち、より大口径のレーダーアンテナが装備でき、電力供給能力も比較的強く、このためより良好なパワーx口径の積が得られ、したがってより大きな探知計測距離が達成される。搭載兵器には国産の霹靂-12アクティブレーダー制御誘導空対空誘導弾および近距離格闘空対空誘導弾が使用でき、しかも対艦誘導弾発射、光電照準懸垂ポッドを吊り下げ装備し空対地正確制御誘導兵器投下の能力を具備している。すなわち全体性能に関して言えば、国外の第3世代、第3世代半作戦航空機にさえ完全に対抗できる。

(頑住吉注:「辺条翼」って知識不足で日本語や英語で何て呼ぶのか知らないんですが、



こういう部分のことだそうです)

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「完全装備で発進を待つ我が国の殲-15」)

筆者の見るところでは殲-15の最大の長所はその強大な搭載能力ではなく、比較的大きな作戦半径と比較的長い滞空時間を具備することである。これは防空が主要任務である艦載作戦航空機に関して言えば非常に大きなメリットである。何故ならこうした作戦航空機にはできる限り空中待機し、もって脅威に対し素早く反応しやすくすることが要求されるからである。しかもスホーイ-27系列の航空機の特徴の1つは本体内の燃料搭載量が非常に大きいことで、スホーイ‐33のそれは10トン近い。これがもたらすメリットは、この機が外部タンクを吊り下げ装備する必要がないことで、これなら機の外部吊り下げ架の全てを搭載兵器に配分することができる。他の中、小型航空機のように、外部タンクと搭載兵器、特に中距離空対空誘導弾、空対地誘導弾といった比較的大型の搭載兵器が重量物吊り下げ搭載ポイントを奪い合う状況は起きない。例えばミグ‐29Kが比較的遠距離の任務を執行するとき、多くの外部タンクを吊り下げ装備する必要がある。これではR-77やKH-35などの誘導弾の搭載量に影響し、したがってその作戦能力にも影響する。旧ソ連海軍の要求によれば、スホーイ‐33は8発の空対空誘導弾を吊り下げ搭載した状況下でも1000km以上の作戦半径を持ち、あるいは母艦から距離250kmのところで2時間パトロールができる。この指標はすでにアメリカのF-14とさして変わらない。これに比べ、もし最新のミグ‐29Kが4発の誘導弾を吊り下げ装備し、母艦からの距離250kmという状況だと、任務執行時間は1時間前後しかない。違いは相当に顕著といえる。スホーイ‐33の比較的大きな欠点は航空電子設備や搭載兵器が比較的劣ることである。この機の装備するSUV-33機載火力コントロールシステムは実際上スホーイ‐27のSUV-27の簡単な改良型であり、依然カセグレンアンテナを使用している。探知計測距離は比較的限られており、複数目標への攻撃能力も具備していない。搭載兵器としてはR-27セミアクティブレーダー制御誘導空対空誘導弾しか使用できず、R-77アクティブレーダー制御誘導空対空誘導弾の発射能力は具備していない。これら全てはスホーイ‐33の作戦機能発揮を制限する。一方殲-15は国産新型航空電子設備と搭載兵器の採用により、より有効に航空機の作戦機能を発揮できる。近年来ロシア海軍がミグ‐29Kをもってスホーイ‐33に換えるとの情報がある。筆者はこれは航空機自体とは関係がないと考える。ロシア海軍に関して言えば、比較的長い期間クズネツォフ1艘しか空母を持っておらず、このことはスホーイ‐33の装備数が比較的少なくなることをもたらし、こうなると使用コストが非常に高くなる。もしミグ‐29Kに換装し、加えてインド海軍にもそうさせれば(頑住吉注:インドもロシアから古い空母を購入しているようです)、ミグ‐29Kの使用規模を拡大でき、使用コストが下がるのである。もう少しはっきり言えば、関係するコストをインドに転嫁できるということに他ならない。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「搭載量が大きく、航続距離が長いことはスホーイ‐33の長所である」)

だが作戦航空機自体の欠陥は埋め合わせできても、航空母艦自体の制約は改善できないかもしれない。注意してほしいのはクズネツォフ級航空母艦は満載排水量が6.7万トンクラスにもなるのに、航空機搭載数は比較的少ないことだ。最大搭載数は40機前後でしかなく、フランスのシャルル ドゴール号に相当する。同クラスであるアメリカのミッドウェイやイギリスのクイーンエリザベス号の搭載数は最高で60機に達し得、クズネツォフよりはるかに多い。ワリヤーグ号はクズネツォフの同級艦であり、しかも殲-15のサイズはスホーイ‐33とほとんど同じである。ならばワリヤーグの殲-15搭載数はクズネツォフに相当するに違いない。つまり最高でも40機を超えるはずはない。かつてクズネツォフの甲板下のSS-N-19カタパルトを取り外して空いたスペースに航空機庫を増やすという提案を行った人がいる。だがこのような改造は大規模すぎ、空母の構造、重心に対する影響は予測不能である。改造可能性に関しては艦の健全性から考えなければならないし、我が国の海軍にこうした改造を行うつもりがあるかも考えねばならない。このため筆者は最終的に、空母ワリヤーグ号の航空機搭載数はクズネツォフ号とあまり大きく変わらないのではないかと考える。艦載機は航空母艦の作戦能力の主要な源であり、このため艦載機の数の大小は空母の作戦機能、さらには機動部隊全体の作戦能力さえを直接決定するのである。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「クズネツォフ級の艦載機数は比較的限られている」)

空母自体の艦載機に関する制約以外に、飛行甲板の艦載機に対する制約もある。安全という理由から、艦載機は空母の航空機庫内では一般に燃料注入や装弾を行わない。つまり飛行甲板に到達して以後になってやっと艦載機は注油、装備吊り下げ等の整備作業ができる。そこで一定の時間内に空母が出動させることができる航空機は飛行甲板上の航空機だけであり、このようにさらに一歩空母が出動させられる航空機の数は制限される。現代のジェット作戦航空機の離艦、着艦速度は比較的速く、必要とする滑走距離は比較的長く、同時に内装する燃料や搭載兵器も比較的多い。これらは全て比較的大きな面積を必要とする。このため現代の空母の飛行甲板は1艘分が3つの部分に分かれている。すなわち離艦区、着艦区、整備区である。空母の飛行甲板上の空間は比較的限られているため、この3つの区域は往々にして一部が重複している。このため空母の甲板上の航空機は別の編隊で波状攻撃する必要があり、毎回の航空機の離艦、着艦、整備は分かれて行われる。理想的状況下では第2波攻撃隊が離艦後、第1波攻撃隊が着艦し、整備を行う。



ワリヤーグ号飛行甲板の区分説明図

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「クズネツォフ型艦の航空機搭載状態説明図。艦橋前の6機は自分の動力によって滑走して離艦ルートに入れないことが分かる」)

関係する資料によれば、空母ワリヤーグ号はクズネツォフ号同様、飛行甲板上に3つの離艦ポイントを設けている。すなわち距離105mの第1、第2離艦ポイントと、距離195mの第3離艦ポイントである。前の2つの離艦ポイントは航空機が軽搭載状態での離艦に用いる。つまり空戦状態での離艦用である。後の1つの離艦ポイントは重搭載、つまり対地攻撃状態での離艦用である。もし我々がワリヤーグ号の飛行甲板に対し分析を行うならば、すぐにその限界に気付く。第1、第2離艦ポイントは航空機の着艦区を避けているものの、第3離艦ポイントは着艦区に深く入り込んでいる。これでは航空機が第3離艦ポイントを使用すると、離艦区と着艦区の重複が比較的大きいため、実際上航空機は着艦できなくなる。この他、殲-15の寸法は比較的大きいため、安全等の要素を考慮すると一定の安全距離を保持する必要があり、実際上甲板の整備区のスペースも圧縮され、甲板上での航空機の保有数も非常に大きく減少する。したがって空母が出動させられる航空機の数が制限される。この他クズネツォフ級は大型のフェーズドアレイレーダーを装備して空の状況に対する把握を維持しているが、このようにするとその艦橋が非常に大きくなり、したがってさらに一歩空母の第1波攻撃の出動能力が制限される。これは現代のジェットエンジンの尾部から出る炎が1000度以上にもなり、艦橋前に駐機する航空機は艦橋に近すぎるためエンジンから出る炎の建築物に対する影響が非常に大きくなるからである。このためこれらの機はエンジンを始動して自ら離艦ポイントに滑走することができず、トレーラーで離艦ポイントに引かれていくことが必須となる。これでは離艦過程が長くなり、空中で編隊を組むのに不利である。このため一般的な状況下ではクズネツォフ級の艦は艦橋前の機を第2波攻撃隊に編入しているようだ。関係する資料によれば、クズネツォフ級の艦の飛行甲板に最大限離艦前の機を駐機させている状況下で14機のスホーイ‐33を置くことができる。艦橋前に置かれた6機を除くと、クズネツォフ級の艦が第1波攻撃隊として発進させる航空機は8機に違いない。これでは満載排水量6万トンを超える空母として明らかに少ない。実はこれはスキージャンプ型の空母共通の問題である。このため通常スキージャンプ甲板の空母は防空用とされ、対地攻撃への使用時は能力不足であるとされる。甲板は有効に区分しにくく、各攻撃波の調整を行わなければならないことが重要な原因である。このため殲-15に関して言えば、比較的良好な搭載、航続能力を持ち、しかも航空電子および搭載兵器もこの機の多用途能力を支持するが、ワリヤーグ号上ではこれの発揮は難しい。



ワリヤーグの3つの離艦ポイント説明図。第3離艦ポイントがすでに着艦区に深く入り込んでいることが分かる。

実際のところ現代の一部のスキージャンプ型の空母、例えばイギリスのクィーンエリザベス級はレイアウトに対しいくつかの改良を行っている。1つの主要な変化は艦首の2つの離艦ポイントを廃止し、1本の滑走ルートのみ残したことである。艦載機の離艦速度と効率は低下するが、6機前後の航空機を駐機できる整備区が得られ、しかも航空機の着艦後、直接この区域に入って整備が行える。同時に航空機が甲板の端に位置するため、エンジン試運転等の維持作業が行える。そのメリットはやはりデメリットより大きいと言わねばならない。ワリヤーグ号の甲板の駐機数が少ない1つの重要な理由は、艦首に2つの離艦ポイントがあることに他ならない。傾斜が急なスキージャンプルート上には明らかに航空機を駐機できず、甲板に駐機する航空機の減少、航空機の素早い離艦能力の低下を意味する。このため全体的に言えば、このレイアウトはやや割に合わない感がある。だが最初の設計に制限され、我が国でもこれに対し改良を行うことはできない。このようにワリヤーグ号の制約が打ち消される可能性はほとんどないのである。

(頑住吉注:原ページのここにある1枚目の画像のキャプションです。「クイーンエリザベス級はスキージャンプ甲板に対し最適化を行い、航空機搭載数が少し増加した」 続いて2枚目。「クズネツォフ級の艦とその他の空母を比較した図」 左からアメリカのニミッツ(102,000トン)、ロシアのクズネツォフ(67,500トン)、イギリスのクイーンエリザベス(65,000トン)、フランスのドゴール(40,600)、イギリスのインビンシブル(23,000トン)です)

まだ1つ比較的大きな制約がある。同様の原因により、ワリヤーグ号は固定翼の艦載事前警告機も使用できない。海外からの報道から見て、我が国の海軍がワリヤーグ号のために配備するのは輸入されたKa-31事前警告ヘリコプター(頑住吉注:早期警戒機 http://en.wikipedia.org/wiki/Kamov_Ka-31 インドも使用しています)に違いない。その性能はE-2Cのような早期警戒機と比べると、やはり比較的大きな隔たりがある。現代の作戦航空機に関して言うと、それ自体の性能比較の他に、完全な指揮誘導システムを持つことも非常に重要である。ならばワリヤーグ号がE-2Cのような警戒機を使用できないことは、殲-15にとって影響はやはり大きい。これに比べカタパルトを採用した空母はこの方面においてずっと素早い。例えばアメリカの空母に関して言えば、艦載機は制空であろうと対地攻撃任務であろうと、使用するのは常に艦首の発艦ポイントである。さらに着艦区にも発艦ポイントを追加することさえできる。発艦距離が比較的短いため、その甲板の管理調整はずっと素早くできる。同時にE-2Cのような警戒機も使用でき、したがって艦載機や編隊のためにより完全な指揮誘導システムが提供される。これは何故旧ソ連もクズネツォフ級の艦の後継艦であるウリヤノフスク号ではカタパルトを採用したかの原因でもある。すなわちYAK-44警戒機と重装備の作戦航空機をカタパルト発進させるためである。

(頑住吉注:原ページのここにある1枚目の画像のキャプションです。「E-2Cは空母編隊に対する作戦機能促進が比較的大きい」 続いて2枚目。「カタパルトの最大のメリットは戦闘機に重積載させ、短距離離艦させられることに他ならない」)

全体的に見て、空母ワリヤーグ号は一般に防空を主用途とする航空母艦に違いなく、多用途能力は弱い。アメリカ人の評価によれば、もしサイズが同じならスキージャンプ型の空母の作戦能力は通常発艦着艦の空母より20%小さくならざるを得ない。警戒機等の特徴が航空機にもたらす影響を考慮すれば、この隔たりはさらに一歩拡大する。このため我が国の海軍に関して言えば、空母ワリヤーグ号の保有は万里の長征の第一歩かもしれず、将来はやはりカタパルトを採用し、通常発艦着艦を行う航空母艦を建造する必要がある。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「カタパルトは王道である」)


 中国人自身がこの空母の能力に限界があり、他国の一流艦に匹敵する能力を持たせることはできないと認めているわけです。ただしおそらく中国は比較的近い将来完全新規の空母を建造するでしょう。初めて作った空母がどの程度のグレードのものになるかは予測がつきませんが、どうであろうと空母を持たない周辺国(ってロシア以外全てですが)にとっては極めて有難くない存在になるはずです。














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