中国、垂直離着陸戦闘機を開発中?

 同じテーマの記事を先日すでに紹介しましたが、冒頭少し重複部分があるだけで内容は全く異なります。

http://military.china.com/important/11132797/20150330/19442190.html


垂直離着陸戦闘機に空戦の優勢なし 中国はあるいは他の用途に?

(頑住吉注:この記事の画像のキャプションは本文の一部を切り取ったものなので省略します。)

中国の「ハリアー」はどこに

今週の中航工業公式ウェブサイトの報道にによれば(頑住吉注:記事は3月30日付)、3月20日、中航工業成都エンジンと中航宇宙エンジン研究院は短垂項目加工協力につき契約締結式を行い、ファン部品の協力協定を締結した。短距離離着陸/垂直着陸飛行機推進システムプロジェクト(略称「短垂項目」)は海軍の水陸両用作戦能力を向上させ、この種の作戦武器装備の空白を埋めることに照準を合わせて行われる探索プロジェクトである。

中国が垂直離着陸戦闘機を研究開発しようとしている、この情報はあらゆる軍事マニアを非常に感動させる。結局のところ全世界で垂直離着陸戦闘機を研究する国は非常に多いが、真に研究開発に成功しかつ部隊装備した国は、今に至るもアメリカ・イギリス・ソ連の三者だけなのである(ソ連解体後、ロシアは実際にはすでに垂直離着陸実戦機を研究開発する能力を失っており、イギリス航空業もとっくに土崩瓦解し、独力で実戦機を開発できなくなっている)。エンジンの性能、実戦機のレベルに関しては、プロジェクトがなお初期にあるので、我々は推測しようがない。だが垂直離着陸実戦機が一体どんな任務を執行できるのか、一体どんな場所に用いるべきなのかに対しては、それでも我々が細かく語るに値する。

現在の垂直離着陸実戦機は基本的に全て空母艦載機として存在するが、各国がこの種の実戦機を研究開発し始めたばかりの時、彼らの考え方は今日とは大違いだった。第二次世界大戦末期、ドイツは全国各地の飛行場が連合軍によってあまねく爆撃されていたため、飛行場の滑走路に依存しない垂直離着陸実戦機を製造することを考慮し始めた(頑住吉注:「ナッター」などのことですね)。第二次世界大戦終結後、第1世代ジェット戦闘機の発進距離がいずれも非常に長かったため、大型で基準の高い滑走路への依存も急速に深まり、各国はこぞって飛行場が襲撃を受けた後、実戦機がいかにして発着するかの問題を研究し始めた。

ソ連が採用した措置は大量に飛行場を修築し、実戦機を分散配備することだったが、土地は広く人がまばらなソ連に比べ、NATO諸国の高度に密集した環境は、彼らがこの方法にならう可能性を制限した。そこで、いかにして滑走路に依存しない実戦機を製造するかが新たな課題となった。

人々がまず考えついたのは当時のロケット技術の成果を参考にすることだった。戦闘機にロケットブースターをくくりつけ、滑走路の助けを借りずに「発射」して飛ばす、これが1950年代に流行した「ゼロ距離発射」システムである。当時米ソの非常に多くの実戦機が「人が操作する対空ミサイル」の様子に改造され、滑走路ではなく巨大な固体燃料ロケットブースターの助けを借りて発進した。だが「ゼロ距離発射」は依然滑走路に降着する必要があり、問題を根本的に解決していなかった。このため後には単に一種の応急的手段として、防空迎撃機が素早く高度を取る需要を満足するために用いられた。

現有の実戦機を改造することが通用しない以上、専門の垂直離着陸実戦機を製造することが通らねばならぬ道となった。1950年代末期から60、70年代を通じて、アメリカ、ソ連、イギリス、フランス、ドイツ、中国といったまともな航空工業を有する国はいずれも各種各様の垂直離着陸実戦機の試みを開始した。「百花斉放」を経て、イギリスの「ハリアー」式戦闘機の構造が古典的なものと見なされて西側諸国によって受け入れられ、初の実用型の垂直離着陸実戦機となった。

(頑住吉注:これより2ページ目)

技術的条件の制限を受けて、1960年代の垂直離着陸実戦機の性能は相当にお寒いもので、絶対多数の方案の飛行速度が音速に達しなかっただけでなく、武器装備も非常に粗末なものだった。「ハリアー」式戦闘機の最初のバージョンにはレーダーも高級な火力コントロールシステムもなく、デラックスな制御誘導武器は増してや存在せず、その作戦方式は垂直離陸後ロケット弾と爆弾を用いて前線のソ連軍部隊を攻撃するというものだった。垂直離着陸は異常に燃料を消耗するので、「ハリアー」式戦闘機の作戦半径は当初100kmにさえ達しなかった。幸い当時のジェット戦闘機の低空低速性能は非常に劣り、ヘリの弾薬搭載量もまたごく小さく、「ハリアー」式の対地攻撃という飯の種を奪いに来る者はいなかった。日本人の書いた「第三次世界大戦」という小説の中では、中国軍がソ連軍の侵入に直面し、「太行山脈の中から飛び立つ『猟兎狗』攻撃機(「ハリアー」式の中国における初期の訳名)」(頑住吉注:ビーグル犬、直接的にはウサギを狩る犬)を大量使用してソ連軍戦車部隊を攻撃している。だが小説の中のこの低速な攻撃機は多くがソ連の防空部隊によって撃墜され、初期の垂直離着陸実戦機の性能に対する正確な描写とも評価される。

1970年代になると、専業武装ヘリの就役と共に、「ハリアー」式戦闘機の地位はまずいものに変わってきた。もし専業の対戦車を論ずるなら武装ヘリがより上手であり、またもし一般の対地攻撃を論ずるなら1970年代に就役を開始した第2世代攻撃機が全面的に勝り、加えて第2世代攻撃機は高速道路での発着が実施でき、元々重要なカギだった垂直離着陸性能もそんなに輝かしいものではなくなった(作戦半径が小さすぎるため、多数の「ハリアー」式戦闘機はまだ空軍の飛行場に配備されて使用され、このことはその特徴を発揮できなくさせた)。幸いこの時イギリスは本国の大型空母の全面放棄を開始し、それだけしかない艦載機部隊を保持するため、相対的に狭隘な甲板上で使用できる「ハリアー」は改良の後ロイヤルネービーの艦載機となった。これとほとんど同時に、アメリカ海兵隊も本国のヘリ空母上に「ハリアー」を配備し、一方ソ連も本国の唯一飛行甲板を持つ「キエフ」級空母のためにYak-38戦闘機を研究開発した。

このように、垂直離着陸実戦機は戦闘艦の甲板上に根を下ろした。何故ならそれは一気に空母の技術的要求を下げたからである(要求は全くなく、平らな甲板さえあればもうOKなのである)。その後の20年余りのうち、ハリアー/AV-8B系列の性能は通常の戦闘機に遠く及ばず、基本的に攻撃機としてしか使用できずなかったものの、この機はそれでも多くの国に拡散してゆき、こうした小国の核心たる艦載機となった。

1980年代以後、航空技術のさらに一歩の発展と共に、米ソ両国は垂直離着陸戦闘機の性能をさらに一歩向上させる努力を開始した。だが垂直離着陸戦闘機のある癒し難い傷は避けられなかった。すなわち、垂直離着陸の実現のため、機に不可避的にいくつかの特殊な設備と機構を追加装備する必要があり、こうした設備は発着段階では必要不可欠だが、正常な飛行中には全く必要なく、こうした「デッドウェイト」は垂直離着陸戦闘機が性能上必然的に普通の戦闘機に遜色があるだろうことを運命づけたのである。

ソ連は解体前にYak-141を作り出し、音速も超えたしレーダーやワンセットの空戦設備も具備したが、その空戦能力はそれにも関わらず第3世代戦闘機中最低だった。アメリカが10年の時を費やして研究開発したF-35Bは現在空戦性能上第3世代戦闘機の性能指標の全面的圧倒を実現しているが、この能力はアメリカが技術上全面的に先んじていることに頼って取得されたもので、3種のF-35の中でF-35Bの空戦能力は依然最弱であり、しかもその他の国の第4世代の技術を使用した戦闘機、例えば殲ー20あるいはT-50は、F-35Bに対し空戦上依然優勢がある。

情報は依然不明確だが、中国が製造する垂直離着陸戦闘機は全く疑いなく上述の規律に従うことになり、中国のエンジン領域でのアメリカとの非常に大きな隔たりを考慮すれば、もし中国が5〜10年内に国内の現有の技術に頼ってスムーズに垂直離着陸戦闘機用エンジンを研究開発して作り出したとしても、その性能がF-35Bが使用するF-135PW-600エンジンを超えることは非常に難しい。こうなれば、国産垂直離着陸戦闘機の性能は、「Yak-141より高く、F-35Bより低い」の基本レベルになることは不可避である。このような垂直離着陸戦闘機を空戦に用いたのでは必然的に優勢は占めず、真の用途はその他の領域に違いない。


 非常に客観的でさめた評論ですね。「真の用途」として考えられるのはフィリピンなどまともな戦闘機をそもそも持たない国相手に使用することなどでしょうか。前の記事では南シナ海の小さな島に配備する用途が挙げられていましたが、中国が領有権争いを抱えている国の中にはスホーイ-30などを持っている国もあり、空戦になればやはり不利でしょうからね。














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