中国、初の国産軍用ショットガンを装備
中国朋友からいただいた中国初の軍用散弾銃に関する記事、2つのうちまず1つめの内容を紹介します。いただいた時はまだ検索にかかりませんでしたが、そこは中国のこと、現在ではもうスキャンしてアップされてます。
http://tuku.military.china.com/military/html/2011-04-20/171818_1741735.htm
中国「第一号」軍用散弾銃
系統総設計師、買瑞敏インタビュー
我が国の第一号軍用散弾銃は2009年5月に設計定型を通過し、現在すでに大量生産され部隊装備されている。散弾銃はその特有の火力優勢、多種の用途に供する弾薬の使用可能性により各国の軍、警察によって広汎に使用されている。だが我が国は散弾銃の創始国でありながら軍用散弾銃に関して長期間の空白が続いていた。この一点に関して言えば、この軍用散弾銃の誕生は確かに喜ばしく、祝うべきことである。それだけでなく、この散弾銃の有効射程は同類武器中最長となり、さらに多くの技術的新機軸も備えている‥‥
記者:買副所長、こんにちは! まずあなたが総設計師を担当された我が国の第一号軍用散弾銃が定型を通過し、部隊装備されたことをお祝いします!
私たちは、散弾銃が近距離面殺傷武器であり、殺傷面積が大である、火力が猛烈である、命中率が高いなどの特長を備えていることを知っています。散弾銃は古い武器であり、現代の武器は不断の発展を遂げていますが、多くの国の軍隊、特にアメリカ軍はそれでもずっと散弾銃の装備としての地位を保ち続けています。ここで、まず私たちに各国が装備する軍用散弾銃の歴史および現状に関し簡単に紹介してください。
買瑞敏(以下「買」と略称):散弾銃発展の歴史は非常に古く、我が国の南宋の開慶元年(1259年)に発明された「竹管突火槍」は世界で最も早い散弾銃の原型と言えます。これ以後19世紀になってライフリングのある銃が出現するまで、数百年間に研究開発、生産、使用された銃器は基本的に全て散弾銃でした。
各種の新型武器が絶えず出現してはいたものの、2回の世界大戦中、散弾銃は依然として重大な作用を発揮しました。第二次大戦後、戦争の形勢の変化ゆえに各国の軍隊はもはや散弾銃を少数しか使用せず、散弾銃は主に治安維持や対暴動用に使用されました(頑住吉注:当時想定された戦争は旧東側、西側が激突する第三次世界大戦であり、散弾銃に大きな出番はないと考えられていたわけでしょう)。
しかしベトナム戦争勃発後、この状況は再び変わりました。ジャングル戦は効果の高い近代戦武器の切迫した需要をもたらし、このため散弾銃は改めてアメリカ軍の手中に戻ってきたのです。統計によれば、当時アメリカ軍と南ベトナム部隊の使用した散弾銃はすでに10万余挺に達しており、しかも散弾銃は戦闘中、人々にきわめて深い印象を残したのです。
1970年代以後、各国の国内外防衛戦略および任務に変化が起きました。中、低強度の衝突が現代の戦争の主要形式となり(頑住吉注:私の認識ではこれは冷戦終結以後のことですが)、対暴動および対テロ作戦も軍隊の任務の範囲に組み込まれ、このため軍用散弾銃は特殊武器となって多くの国の特殊部隊、辺境防衛軍の装備となったのです。
散弾銃の開発方面に関してもアメリカ軍は非常に重視し、新型散弾銃の発展計画を次々に提出しました。1979年、アメリカ三軍の小火器企画委員会は「アドバンスドスムースボア(頑住吉注:ノンライフルド?)ハンドリピーティングアームス」計画を提出しました。戦闘散弾銃開発プロジェクトは小火器に関する十大研究課題に組み入れられ、殺傷散弾、集束フレシット弾、徹甲弾および爆破弾がメインの弾薬グループとして開発が要求されました。しかし弾薬がアメリカ軍の要求を達成することが困難だったため、この計画は停止されました。
1990年代末、アメリカの国防部は新たな戦術環境と戦闘任務に基づいて、再びアメリカ三軍に沿岸警備隊および特殊作戦部隊を含めた各部隊の戦闘散弾銃の革新推進に着手することを決定し、これによりM1014戦術散弾銃(すなわちベネリスーパー90散弾銃)が誕生したのです。
これと同時にアメリカ陸軍はM16/M4武器系統に吊り下げて使用できる散弾銃の要求を提出しました。2005年、全面的なテスト結果に基づき、C-MORE社がアフガニスタンの戦場からのフィードバックに基づいて改良した新型散弾銃(XM26)がアメリカ軍の認可を得て改良が続けられました。2008年、この散弾銃は正式にM26散弾銃と命名され、装備されて部隊で使用されています。
アメリカと比べ、西欧諸国は警察用散弾銃の発展をより重視しています。しかし軍用散弾銃の発展領域でも西欧の各兵器会社は多くの貢献をなしており、特にイタリアのフランキ、ベレッタ、ベネリ等の会社の軍用散弾銃製品は次々現れ続け、その中には優れた製品も少なくありません。
中国は散弾銃の創始国と言うことができるにもかかわらず、長期間にわたる封建統治、鎖国ゆえに小火器領域において先進国にはるかに遅れをとりました。特に軍用散弾銃方面においてはほとんど空白の状態だったのです。新中国成立以後、多くの機種の民間用散弾銃が研究開発、生産されました。改革開放および銃器の対外貿易業の発展につれて、我が国はあいついで多機種のポンプ式散弾銃や半自動散弾銃のコピー、研究開発を行ってきました。しかし軍用散弾銃の方面では「八五」、「九五」時期になってやっと基礎研究が開始されたのです。
記者:散弾銃は軍隊の火力体系の中でどのような戦術的地位を持ち、通常どのような弾薬が配備されるのでしょうか?
買:装備される対象から見れば、散弾銃の多くは特殊部隊、例えば山地部隊、海軍陸戦隊、降下兵部隊等に装備されます。(頑住吉注:次の一文意味不明。本題とあまり関係ないので飛ばします)アメリカは散弾銃の運用を重視しており、例えばM26モジュール化吊り下げ式散弾銃は駐アフガニスタン第10山地師団に配備され、歩兵分隊ごとに各2挺が配備されています。
軍用散弾銃の戦術作用は主に3種類あります。すなわち進攻型武器、低殺傷性武器、ドア破壊武器としての使用です。これに応じて配備される弾薬の種類には主に殺傷性弾薬、低殺傷性弾薬、ドア破壊弾薬があります。さらにこの他、目下アメリカ軍は軍用散弾銃に多用される新型弾薬の研究開発を行っており、例えば連合非致命警告弾薬(JNLWM)、高爆発性弾薬等です。
言っておく価値があるのは、散弾銃に使用される低殺傷性弾薬には非常に多くの種類があるということであり、それは催涙弾薬、染色弾薬、致痛弾薬、閃光爆震弾薬、発煙弾薬、照明弾薬、捕縛弾薬(ロープでつながれた数個のゴム球が装填されており、発射後ロープとゴム球は人間などの生動目標にぶつかってたちまちその足に巻きつき、目標が走って逃走することを阻止するのに用いられます)等々です。
多くの種類の非致命弾薬を使用できることは軍用散弾銃をして殺傷性武器の局限性から脱却させ、これにより現代の戦争における作戦任務の多様な要求を満足させたのです。
記者:それでは、我が国が研究開発した軍用散弾銃は主にどういった方面の考慮から出たものなのでしょうか?
買:現代の戦争の中では、大威力、高精度、長射程の高度技術兵器が戦場で広汎に使用されるため、作戦空間は日増しに両極化し続けています。一方では可視距離を超える、非接触作戦がどんどん多くなり、他方では接触作戦の距離が圧縮されてどんどん近くなり、作戦空間はどんどん狭小になっています。このため、人員が直接顔と顔を突き合わせる接触作戦の重要性と過酷性が大幅に上昇しています。こうした状況下では、特殊部隊の使用がどんどん頻繁になっています。
我が国が研究開発した軍用散弾銃はまさに、主に特殊部隊の作戦上の必要から出発したものなのです。我が軍の編成序列の中では各軍区と海、空軍がいずれも特殊作戦大隊を持ち、各集団軍はいずれも偵察分隊を持ち、さらに海軍陸戦隊、降下兵部隊、山地作戦部隊等も存在します。現代の戦争では、こうした部隊が遂行する戦闘行動の確率は、常規部隊よりもはるかに高いのです。
未来作戦の方向から見ると、我が国の海岸線は非常に長く、山地、ジャングル地帯がきわめて多く、ひとたび上陸あるいは反上陸作戦が進行すれば、我が国の特殊部隊は都市の民間人が居住する地区、山地、ジャングル地帯、また敵陣地内、車内、船内等狭小な空間で近距離作戦を行わざるをえなくなることが多くなります。交戦距離が近いので、瞬間的に密集した火力をもって敵より先んじて火ぶたを切り、敵の人的戦力を制圧また殺傷することが非常に重要となることが明らかです。他の方面では、戦闘自体が終了した後に混乱した社会局面をコントロールするため、軍隊は戦後の社会治安維持、対テロ、暴動を防止し混乱を平定する任務を引き受ける必要があり、非致命弾薬を発射できる多用途武器も必要になります。
散弾銃は即応性が高い、火力密度が高い、命中率が高い、跳弾により自分が負傷する確率を下げることができる、多種類の弾薬を発射できる等の多種の特長を一身に集めた、一種の有効な近距離多用途特殊作戦武器なのです。散弾銃の装備は我が軍の分隊(班)の火力の有効な補充となり、分隊火力の全体的な最適化および総合作戦能力の向上の助けとなるでしょう。特殊部隊の分隊(班)の火力体系において軍用散弾銃は切に必要なものなのです。
記者:我が国において定型に至った初めての軍用散弾銃系統に話を戻します。散弾銃系統全体はどんな分系統を包括しており、正式プロジェクトとしての立ち上げはいつで、いつ設計定型を通過したのでしょうか?
買:軍用散弾銃系列全体は散弾銃、殺傷散弾、背装具を包括し、2005年2月に研究プロジェクトが立ち上げられ、2009年5月に設計定型が認可されました。定型後軍用散弾銃は「QBS09式18.4mm散弾銃」と命名され、殺傷散弾は「DBD09式18.4mm殺傷散弾」と命名されました。背装具は95式銃ファミリーと同じもので、散弾収納袋が追加されただけです。
この他、散弾銃に使用される弾薬の種類を増やすため、さらにDBF10式18.4mmゴム散弾、DBA10式18.4mm染色弾が研究開発され、定型に至りました。
記者:この散弾銃はどのような研究開発過程を経てきて、どのような技術的難関を克服し、どんなエピソードがあったのでしょうか?
買:軍用散弾銃系統の研究開発作業には4年かかりました。方案論証段階、工程研究段階(初期サンプル銃段階と正規サンプル銃段階を含みます)、設計定型段階(国家射撃場設計定型試験および部隊試験を含みます)を経て順調に研究開発作業は完了し、設計定型試験の全面審査を通過しました。研究開発期間において試作されたサンプル銃は数十余挺、試験で消費した各種弾薬は十数万発でした。
方案論証段階
2005年の初めに軍用散弾銃系統プロジェクトが始動した後、部隊の軍用散弾銃系統に対する戦術上の要求を深く理解するため、軍の組織下で設計者の一行が相前後して三軍の特殊部隊および某陸軍指揮学院等の部門を訪れ、散弾銃の発射方式、給弾方式、ストックの形式、弾種の装備、照準具の装備等に関し部隊での調査研究を進行させました。当時我々は相前後して多くの開発方案を提示しました。例えばボックスマガジン式散弾銃、吊り下げ式散弾銃(95式小銃に吊り下げる)、ブルパップ散弾銃、そして伸縮ストック散弾銃等です。最終的に伸縮ストック散弾銃方案とこれに使用される殺傷散弾の方案が確定しました。
方案論証段階において、多くの核心的技術問題がが解決されました。弾薬方面の問題は例えば次のようなものでした。
殺傷散弾は当初、分離式のワッズを採用しており、射撃密集度が非常に不安定でした。この技術的重要問題に対して我々は取り組みました。ワッズとしては一体式かつはめ込み式の構造を採用し、同時に異なるワッズの材料を採用するとともにカップを増設した構造を採用し、各種の設計に対し多種の組み合わせの試験を進め、最終的にワッズをアルミ製のカップと低圧ポリエチレンを注型により一体構造にしたものにすれば、射撃密集度が系統指標要求を満足させられることを証明したのです。
この他、試験中にはさらに散弾のうちタングステン製球状弾がアルミ製のカップから分離して出てこず、「独頭弾」を形成し、また着弾点の散布が不規則となる現象が起きました。分析を経て、この問題が起きる原因は弾薬前部の封口片(頑住吉注:樹脂製の薬莢先端の、内側にたたみ込まれた部分のことでしょう)が発射時バレルに入る際にワッズの口部にはさまっており、ワッズと弾丸が分離できず、あるいは分離時期が不規則となることだと判明しました。その後我々は封口片の材料を砕けやすい材料に変更し、発射時バレルに入る際にすぐ砕けてタングステン製球状弾のワッズとのスムーズな分離を保証し、同時に封口片の分離過程での干渉を減らし、上述の問題を一応解決したのです。
銃に関する問題は主に給弾信頼性の低さでした。この原因は2つありました。1つは銃が弾薬をコントロールして出すための段階が多く、給弾信頼性に影響していたことです。分析を経て我々は介在するコントロールプレートを廃止し、ボルトを直接弾薬を定位置に置く定位プレートのコントロールに利用する方策を取りました。排莢後、ボルト連結バーにあるミゾが定位プレートの突起を動かし、これにより定位板が解除されて弾薬をコントロールして出す目的が達成されました。2つ目はボルトの後座速度が大きく、載弾プレートが跳ねて給弾信頼性に影響していました。強制機構の採用によって載弾プレートは弾倉から1発の弾薬を出す前は定位プレートによって確実に下の位置に固定されて持ちあがることはできなくなり、これによりこの問題は解決されました。こうした有効な措置を採用し、散弾銃の給弾信頼性の問題は解決されたのです。
一連の核心的技術問題が解決された後、2005年11月に軍用散弾銃系統は方案審議を通過し、工程研究段階へと移りました。
工程研究段階
この段階は2年余りの研究開発を要し、相前後して最初のサンプル銃、正規銃の設計、試作、試験、評定作業が完了しました。
工程研究段階では主に薬莢のチャンバーへの貼りつき、殺傷散弾のワッズが高温で気化する、特殊環境下での散弾銃の信頼性、散弾銃の閉鎖機構の強度等の技術問題が解決されました。
薬莢のチャンバーへの貼りつき問題
試験中、この散弾銃は数十発の連続発射後、チャンバー内に大量の残余物が付着し、残余物の不断の増加につれチャンバー内壁と薬莢との間のクリアランスがふさがれて薬莢がチャンバー内壁にひっかかって薬莢がスムーズに引き出せなくなりました。
分析を経て、主な原因はチャンバー内圧力が過大であるために薬莢が受ける圧力であることが確認されました。内部弾道学の理論によれば、起動時のチャンバー内圧力を下げることで最高時のチャンバー内圧力を下げることができます。具体的な措置は薬莢内の火薬スペースの容積を増加させることで、これにより発射薬の装填密度を下げ、同時に発射薬の燃焼速度も低下させたのです。
ワッズの高温による気化
高温試験時、殺傷散弾のワッズの材料が高温高圧の環境下で気化を起こし、ガス導入室進入後に再び凝固してガス室内、ピストンとチューブラーマガジン外壁に粘りつき、摩擦阻力を増大させ、ボルトが定位置まで復帰しない現象をもたらすことが分かりました。この問題に対しては、ワッズ底部に気化しにくい高密度ポリエチレン材料の底敷きを加え、ワッズの高温による気化を防止しました。
特殊環境での散弾銃の信頼性
主に埃、雨を浴びる、川の水に浸かるなどの特殊環境条件下で、自動機構が定位置に復帰しない故障が起きました。我々は構造パラメーターの最適なマッチングのくり返しを経て最終的に散弾銃のガス導入調節装置の、本来大小2つのガス導入穴の位置があるという基礎をもとに、ガス室を密封する位置を追加しました。この位置ではガス導入穴は完全に閉じられます。武装し、泳いで渡河する前にガス室を密閉し、泥や砂がガス導入室に侵入しにくくし、ガス導入室内に泥や砂がたまることを避けるのです。射撃前は調節装置を適したガス導入穴の位置に調節します。
散弾銃の閉鎖機構の強度
散弾銃の総合寿命試験を進める中で、ボルトヘッドの閉鎖突起が断裂する問題が起きたことがあります。閉鎖機構の強度を高めるために採られた措置は、ボルトヘッドの閉鎖突起の厚さを適切に増大すること、加えて閉鎖支持面根部の円角の増大でした(頑住吉注:たぶんリセスの、閉鎖突起の根元に当たる部分のエッジを丸くした、ということではないかと思うのですが)。閉鎖機構の改良後、サンプル銃は順調に5,000発の実弾射撃を完了しました。
鍵となる重要な技術問題の解決後、2008年3月に軍用散弾銃はスムーズに正式サンプル審査を通過し、設計定型段階へと移りました。
設計定型段階
この段階では国家射撃場設計定型試験と部隊試験(高温、海、風砂、低温の各区域)が完了しました。各項目の試験、特に部隊試験中に生じた問題に対し、軍用散弾銃系統にはさらに一歩の改良が進められました。例えば主に下部フォアグリップの剛性不足、バットプレートが小さすぎる、ストックが容易に引き抜ける等の勤務使用問題です。
2009年、軍用散弾銃系統は設計定型を通過し、我が軍の制式装備に加えられたのです。
記者:部隊試験後、軍用散弾銃に対する反響はどうですか?
部隊の軍用散弾銃系統に対する反響は良好と聞いています。我が軍が立案し装備した初の軍用散弾銃系統として、その設計理念は現在の特殊作戦環境の要求に適応する上で大きな飛躍をするものであり、勤務使用操作は便利で、人間工学的に合理的で、威力が大きく、信頼性が高く、都市、砂漠、ジャングル等の環境における近距離捜索、突撃等の任務に適し、我が軍の特殊部隊の実戦使用に適しており、また公安、武装警察部隊の対テロ作戦使用にも適しているものと考えられます。
記者:この軍用散弾銃は国外の著名な軍・警察用散弾銃を比較して、性能上どんな飛躍があるのですか?
買:我が国の軍用散弾銃と国外で現在装備されている戦術散弾銃の主要性能の対比表をちょっと見てください。
QBS09式18.4mm散弾銃と国外同類武器との性能対比 | |||||
機種名 | 中国 QBS09式 | アメリカ M1014 | ロシア サイガ-12K | イタリア スパス15 | |
口径(mm) | 18.4mm | ||||
自動方式 | ガスオペレーション | ||||
発射方式 | セミオート | ||||
全体重量(kg) | 3.45 | 3.8 | 3.5 | 3.9 | |
全長(mm) | ストック短縮 | 709 | 889 | 670 | 750 |
ストック伸長 | 896 | 1010 | 910 | 1000 | |
銃身長(mm) | 400 | 470 | 430 | 450 | |
装弾数 | 5発(チューブ) | 6発(チューブ) | 5発(ボックス) | 5発(ボックス) | |
有効射程(m) | 100 | 50 | 50 | 50 |
(頑住吉注:M1014はアメリカで装備されていますが、本来はイタリアのベネリ製です。またご存じのようにスパス15はポンプアクションも可能です)
対比表からは、我が国のQBS09式散弾銃には以下の超越的性能があることが見て取れます。
●有効射程が100mに達します。一方国外の散弾銃の有効射程は一般に50mであり、有効射程という方面において大きな飛躍を実現しています。これは現在世界で最も有効射程が長い軍用散弾銃だということです。同時に、殺傷散弾の弾丸数は14粒で、目下世界で装備されている軍用散弾の弾丸数のうち最大であり、高い貫通威力を持っています。
●全体重量および全長が明らかに国外の数機種の戦術散弾銃より小さく、機動性能が良好です。
この他、我が国の軍用散弾銃は信頼性が高く、他の制式銃器と同様に埃、雨を浴びる、川の水に浸す等の劣悪な環境試験の審査を通過しています。
記者:有効射程においてこれほど大きな飛躍があるというのはどうやって実現したのですか? ここにはきっと多くの新機軸が含まれているのでしょうね。
買:有効射程の飛躍は主に、弾丸に高密度のタングステン合金を採用したことと、高速散弾発射技術により得られたものであり、弾丸の存速能力が高められ、したがって散弾の有効射程を伸ばすことができたのです。
普通の散弾、例えばアメリカの軍用殺傷性弾薬であるダブルオーバックの場合、その弾丸は通常スチール(密度7.8g/立方cm)あるいは鉛合金(密度11g/立方cm)で製造されています。銃口初速度は一般に335から370m/sの間で、このためその外部弾道特性は比較的悪く、有効射程を延ばすのは困難です。一方我が国の新型18.4mm殺傷散弾の弾丸には高密度タングステン合金が採用され、密度は19g/立方cmに達し、銃口初速度は420m/sとなり、外部弾道性能は非常に大きく向上し、したがって有効射程を大幅に伸ばすことができたというわけです。
記者:そのほかの新機軸としてはどんなものがありますか?
買:散弾銃系統の研究開発中、我々は多くの技術的刷新を行いました。高速散弾技術を除き、主要な新機軸は次のところに体現されています。
●新機軸として包容式ワッズを設計しました。カップ、底敷きを増設し、アルミ製カップと底敷きを低密度ポリエチレン製のワッズと注型により一体化し、タングステン合金製の球状弾丸が発射時にボア内を摩損する、またワッズが気化するという技術的難題を解決しました。
●銃本体とストックが弾性をもって連結される緩衝構造を新機軸として設計しました。肩当てによる射撃時、銃本体はストックに対し一定距離後座でき、反動の体感を緩和でき、高速散弾発射の反動が強いという技術的難題を解決しました。
●チューブラーマガジンにリング状のピストンをかぶせるという構造を新機軸として設計しました。これにより散弾銃の構造はさらに隙のないきちんとしたものとなり、動力の協調性が高まり、自動機構の運動の安定性が保証されました。
●表面処理技術の方面で、バレル内ボアにニッケル燐合金メッキ処理技術を採用しました。さらに環境保護性に優れ、かつてあったバレル内ボアのメッキによる環境汚染が避けられています(頑住吉注:クロムメッキは環境汚染の原因になるらしいです)。
記者:定型に至った散弾銃系統にはさらに背装具が含まれています。軍は武器系統の付属品、装具をどんどん重視するようになっていますが、我々にこの背装具の特徴を紹介してください。
買:軍用散弾銃系統の論証時には早くも背装具はその中の一部分でした。兵士に有効に使用できる1つの完全な体系を提供するためです。散弾銃の背装具は三点式銃背帯、戦術背心、散弾携行袋等からなっています。背装具の中の三点式銃背帯、戦術背心は我が軍の95式銃ファミリーに使用されているものと同じで、装備の通用性が高められています。ただ散弾を携行する必要があるため、散弾携行袋が増設されただけです。
散弾銃背装具はモジュール化設計を採用しており、ユニット携行方式で使用に弾力性があります。銃背帯は三点式構造を採用しており、適切に、信頼性をもって銃に装着でき、素早く銃を使用状態に持っていけます。戦術背心は前胸部、背中、腰部に多くの固定帯が設計され、相互に連結するのに便利です。戦術背心はさらに漂浮機能(頑住吉注:ライフジャケットのような機能でしょう)や防弾機能を増設することができ、機能性が高くなっています。散弾携行袋はボックス式翻蓋構造(頑住吉注:蓋がパカッと開く形でしょう)を採用し、内部には相互に独立した10個の弾薬箱が置かれ、出し入れが素早くできます。蓋はダブルセーフティの閉鎖構造を採用し、散弾が脱落しにくくなっています。携行袋ユニット背面の挿入部に戦術背心表面の固定ベルトを入れた後、携行袋ユニット背面の固定ベルトを入れれば、ただちに携行袋と戦術背心の連結が完了し、とても便利です。
記者:散弾銃の特性は使用弾薬の多様性にあります。我々はさらなる多用途の弾薬を開発する可能性もあるのでしょうか?
買:各国の軍、民間用散弾銃の口径は皆同じですから、我が国の軍用散弾銃には国内外の各種散弾が共用できます。当然我が国独自の各種用途散弾も大いに必要です。
記者:あなたが我々のインタビューを受けてくださったことに大いに感謝します!
散弾銃の起源主張に関してはノーコメントにしておきます(笑)。
個人的にはよりエキゾチックなボックスマガジン方案を採用してほしかったところです。ボックスマガジンには再装填時間が短い、使用弾薬の変換が素早くできる等の大きなメリットがありますが、例えばスパス15のマガジンは空の状態でも400gもあるそうで、サイズが大きいことも合わせどの道大量には持てず、総合的にチューブラーマガジンの方が有利と判断されたんでしょうか。
一見するとごく普通にしか見えない中国初の軍用ショットガンですが、いくつか注目すべき特徴を備えていることがお分かりいただけたと思います。最も注目に値するのはその突出した威力で、比重が鉛の1.7倍もあるタングステン合金製の散弾を、軍用ピストル弾としても高速に属するようなスピードで発射することでこれを実現しています。重い弾丸を高速で発射すればリコイルショックが大きくなってしまいますが、これはストック基部にスプリングを入れるという単純な方法で解決しています(解決し切れているのかどうかはちょっと分かりませんが)。タングステンといえば稀金属(レアメタル)であり、そんなに大量に使えないのではと思ったのですが、調べるとやはりタングステンは80%以上中国から産出しており、こんなぜいたくな使い方も可能なようです。逆に言えば他国は真似したくてもまずできないと思われます。アメリカなどは自分たちのショットガンの威力が中国の軍用ショットガンに明らかに劣るという情況を果たして放置できるでしょうか。ちなみに射程が長くなったのはいいとして、100m先でのパターンはどのくらいの広さなんでしょうか。一応充分な殺傷力を残してはいるが、実際上使えないほど広いパターンになるというのでは困りますが。
タングステンは対戦車砲弾にも使われるようにきわめて硬く、貫通力が高まる一方でバレル内を摩耗させてしまうのでアルミ製カップに入れて発射し、マズルを出た後で分離させるようになっています。文章の説明では薬莢先端の内側にたたみ込まれる部分を砕けやすい素材にしたように読めますが、通常この部分は薬莢のボディと一体ですから、これでは薬莢が壊れやすくなって軍用には向かないものになってしまうでしょう。画像を見ると、円筒形のボディ部と、先端をふさぐ透明な樹脂製円盤が別パーツになっているのが分かります。しかしタングステンは豊富に使えても、3ピースのワッズ、先端部が別パーツの薬莢など、弾薬のコストを上げる要素が盛りだくさんで心配になります。まあ通常は普通弾薬を使い、これを切り札的弾薬として使う、というのもありでしょう。
独立したガスピストン・シリンダーを廃止し、チューブラーマガジンにリング状のピストンをかぶせる、というのは非常に面白いデザインです。ただちょっと疑問もあります。M9ピストル選定に関する資料にあたったとき、ステアーGBはバレルとスライドをガスピストン、シリンダーに使用した結果通常より高い精度が要求されてコスト高になり、米軍制式化による大量生産によってそれをカバーしようとしたが不採用だったため失敗作に終わった、旨の記述を読みました。このショットガンの設計だと通常高い精度を要求されないチューブラーマガジンに非常に高い精度が要求されることになります。またわずかなへこみなども作動不良に直結するでしょう。さらに、多弾数発射後は当然チューブラーマガジンが過熱し、内部の弾薬が高温にさらされることになります。暑い地方での試験も通過しているので実際上問題ないのかもしれませんが、非常に気持ち悪いです。