中国、海監と漁政を統合?

 以前「中国の専門家、2013年に有り得る海上の争いを語る」という記事を紹介しました。その中に、「法執行の存在方面では、私はずっとできるだけ早く自分たちの沿岸警備隊を建設し、我が国の海上法執行力量を整合し1つの統一された戦力を形成すべきだと主張しています。」という記述があり、私は「(他の記事に)『中国では、5つの異なる部門が同時に海上法執行任務を履行しており、中国海監はまさにその1つである。その他の4つはそれぞれ、中国公安国境防衛海上警察、海事局、漁政局、税関密輸対策局である。〜』という記述があり、こうした縦割り状態は不合理なので沿岸警備隊に統一すべきであると提案されています」と解釈しコメントしましたが、これに関連する動きがあるようです。

http://military.china.com/important/11132797/20130227/17701781.html


中国海監と漁政の職能あるいは整合か 法執行の分散問題を解決

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「中国海監総隊の主要な職能は関連の法律と規定に照らして我が国管轄海域(海岸帯を含む)に対し巡航と監視を行い、海洋権益の侵犯、海域の違法使用、海洋環境と資源に損害を与える行為、海上施設の破壊、海上秩序攪乱などの違法、規則違反の行為を調査、処分し、かつ委託あるいは授権を根拠にその他の海上の法執行業務を行うことである。」)

最近、本報記者は、2月26日〜28日に行われた中国共産党第18回第2全体会議で討論された国務院機構改革と職能発展変化方案(草案)を独占的に知り得、これは海洋局の権力拡大問題に関わることになる。

その中ではこの前アピールされた海洋部は成立せず(頑住吉注:海洋局の海洋省への昇格のことを言っているようです。ちなみに深い意味はありませんが私は中国の外交部、国防部などはそのままにし、台湾も含む他国のそれは「外務省」。「国防省」と訳しています)、先に中央によって海洋権利事務所が成立し20余りの部、委員会の協調が図られる可能性がある。海洋局の今回の機構的変動はあまり大きくなく、単に農業部の漁政部門と国家海洋局の海監部門が整合されるだけで、その他の3つの海に関わる部、委員会の行政部門、例えば海事、国境警備、税関法執行部門にはしばらくのところ関わらないかもしれない。

ある分析家は本報記者に対し、今回の海洋局に対する改革は依然秩序立てられて行われ、一気に完成されるものではないが、より長いスパンで見れば、海洋局がさらに一歩権力を拡大する趨勢は改変し難い、と指摘した。

現在中国海洋法執行部門には5つの隊伍があり、すなわち海監、漁政、海事、国境警備、税関であり、これらは「五竜治海」(頑住吉注:5匹の竜が海を治める)と称され、それぞれ国家海洋局、農業部、交通部、公安部、税関総署に属する。

このうち国家海洋局には中国海監総隊があり、農業部には多くの海洋の漁政局があり、交通部には海事局があり、公安部には国境警備局があり、税関総署には密輸取締局があって、それぞれ海洋の環境保護、海洋の科研と権益、漁業、海上交通、国境の安全、対密輸などの業務に対し管理を行っている。

(頑住吉注:これより2ページ目。画像のキャプションは「2006年7月、国務院の指示した精神に基づき、中国海監総隊は我が国の東海の管轄海域に対し定期的な権利維持巡航法執行を開始した。各レベルの海洋行政主管部門およびそれに所属する中国海監機構は、関連の法律、法規に依拠し、我が国の管轄海域に対する行政法執行への力の入れ方を強め、各種の海洋の違法、規則違反行為を厳しく打撃し、特別な法執行行動をもって日常の海洋行政法執行業務を強化している。」です。)

本報の獲得した情報によれば、国家海洋局はしばらくはより多くのその他の部、委員会の海に関わる部門と整合されることはなく、海洋部が成立することもなく、もし海洋部が成立した後も依然海洋の関連の業務に関する協調が行われることは難しいかもしれない。

南開大学政府管理学院の賈義猛は次のように指摘する。海洋局の職権の拡充と海監など海洋管理職能の強化は、国際問題を戦略的に考慮すべきことが原因だった可能性も排除されず、例えば中国の海洋業務管理と海洋権益の維持保護にも海監の力量強化が必要で、これも海洋局職権拡充の重要な内容である。

だが海洋部が成立しなかったことにも理由がある。何故なら多国が中央政府に専門に海洋省を設立していることは原則的に決して多くない、ということもあるからだ。「あらゆる業務を全て海洋部に整合するというのも現実的ではない。例えば海洋管理業務の中には海水の状態や気候問題に関わるものもある。もし海洋部が成立したら、気候部門とも合併することになるのか否か?」 賈義猛は言う。

理解されているところによれば、国がもし海洋部を成立させ、部クラスの部門となっても、依然その他の、例えば外交部などの部門と整合することは難しい。だが中央は海洋権利事務所を成立させ、より高い議事強調機構の性質を持たせた。賈義猛は考える。中国共産党中央と国務院に直結する中央海洋委員会あるいは海洋権利事務所などのより高いレベルの議事協調機構を設立し、国家海洋業務全体を統括させるその効果は海洋部成立に比べいくらかより良い可能性がある。

(頑住吉注:これより3ページ目。画像のキャプションは「国務院の批准を経て、中国海監は我が国の黄海、南海の管轄区域において定期的な権利維持法執行巡航を開始し、正式に我が国の管轄海域の定期的権利維持巡航法執行の制度を確立した。」です。)

かつての国家海洋局党組織メンバー、規律検査委員会書記の呂○(頑住吉注:日本語にない漢字)はかつて提案した。海上法執行隊伍が「五竜治海」に分散している問題を解決するには、中央海洋業務指導小グループを成立させてもよい、と。中央の指導者が指導小グループの長を担当し、メンバーは中央、軍、国務院の関連部門の主要な指導者から組成される。指導小グループは主に中央に提出する国家海洋事業発展に関わる大きな政治方針と政策提案を担当し、海上の突発事件を処置する。管理レベルでは、国務院直属の海洋主管部門を成立させ、海に関する職能をこの部門によって総合管理させる。法執行レベルでは中国海洋法執行監察総隊を組織し、我が国の海洋法執行力量を整合し、統一された海上法執行隊伍を建立する。

中国社会科学院法学所の張文広が最近完成させたある報告は次のように考えている。中国は国に専門の海洋行政管理機構を設立し、海洋に関する職能を統一して行使させることを考慮べきである。統一された海洋法執行部門設立の条件が成熟する前には、まず海に関わる部門の協調機構を成立させることができる。この他さらに海洋資源と海洋環境の行政管理職能を整合する必要がある。

本報記者の理解によれば、現在海に関する業務は異なる部、委員会に確かに深刻にクロスしている。例えば環境監察を例にすると、環境保護部は「環境保護部は海に入らない」、国家海洋局は「海洋局は陸に上がらない」で、すなわち海洋環境は主に海洋局の管理に帰せられ、見たところ職能の区分ははっきりしている。だがある専門家は指摘する。非常に多くの海洋環境汚染は実は陸地の汚染がもたらしたものであり、こうした環境の職能が複雑に錯綜している問題はまだ解決するには時間がかかる。

(頑住吉注:以後のページは画像とキャプションだけです。4ページ目は「現在中国海監隊伍は全部でヘリ、固定翼機を含めて10機の航空機、400隻を超える船舶を持っている。計画によれば、現在中国海監はさらに多くの船舶を建造中で、非常に大きく海上の実力を強化することになる。」、5ページ目は「改革開放以後に中国漁政はやっと真に全国において比較的完備された体系を形成し、漁政の業務に実質的な進展があったのではあるが、全国の漁政管理はすでに1958年から正しいレールに乗って動き始めていた。」、6ページ目は「2000年5月17日、中央機構編成委員会事務室の批准を経て、中国漁政指揮センターが正式に成立し、農業部漁政局が中国漁政指揮センターの主任を兼任し、新たな国際的海洋制度の建立と国内漁業統一法執行業務の需要に順応して、専門に国家レベルの漁業法執行指揮協調機構が設立された。指揮センターの成立は次のことを示している。中国漁政指揮センターによって統一的に指導され、3つの海区(頑住吉注:北海、東海、南海と思われます)の漁政局と3つの流域(頑住吉注:検索しましたが無数の用例があり特定できません)委員会の組織が協調し、県クラス以上の地方漁政管理機構が実施する漁政法執行体系にさらに一歩の健全化と完備が得られた。」、7ページ目は「中国漁政は国家の漁政、漁港、漁船検査監督管理権を代表し、漁船、船員、漁業許可、漁業電信の管理業務を担当し、重大な外交に関わる漁業事件を協調して処理する。」、8ページ目は「中国海監と漁政部門は中国と他国との領土をめぐる争いの中で権利維持の先鋒の役割に充当され、南海でも東海でも彼らの姿が見られる。」です。)


 私は冒頭の沿岸警備隊設立の提案に関し、「まあ『私はずっと〜主張しています』ということは昔から主張しているのに実現していないということであり、権力機構間の勢力争いやら利権やらがからんで今後も簡単には実現しないかもしれませんが」と書きましたが、やはり一筋縄ではいかず、海監と漁政だけが統合し、その他に関しては統一的協調機構が設立される、という形に落ち着きそうだ、ということのようです。別に海洋環境部門まで統合する必要はなく、海に関する法的な実力行使を伴う海監、漁政に加え海上国境警備、麻薬取り締まり部門を統合して沿岸警備隊を創設する、というのは合理的で、日本にとってはより脅威になりそうな提案だったと思うのですが、当面は実現しそうにないということでしょう。ただ海監と漁政の統合だけでも確かに前進ではあり、具体的にどういう影響が生じてくるのかが注目されます。










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