中国の大型ヘリ関連2題

 天津のヘリ博覧会関連の記事です。

http://military.china.com/important/11132797/20150908/20352712.html


中国の大型ヘリの模型がヘリ博覧会にお目見え 最大離陸重量38.2トン

今日天津で始まった中国ヘリ博覧会に、中航工業は国産大型ヘリの模型を持参した。現場の展示パネルが明らかにするところによれば、このヘリの最大離陸重量は38.2トンで、アメリカが研究開発中のCH-53K「キング スタリオン」大型ヘリに似ている。しかしこのヘリがどんな機種のエンジンを採用するのか、具体的性能などの問題をめぐってはまだいくつかの謎があって解決し難い。

今日ネット上に出現した2枚の画像。天津ヘリ博現場でのネット仲間による撮影である。

ネット仲間、天津ヘリ博現場に展示される我が国の先進大型ヘリの模型を撮影 (頑住吉注:これは元々キャプションでしょう)

画像の中からもたらされるデータから見て、この新型ヘリの離陸重量は38.2トンで、アメリカが研究開発中のCH-53K「キングスタリオン」と同等(38.4トン)である。最大飛行速度は300km/h、航続距離630km、実用上昇限度5,700mである。比較するとアメリカのCH-53Kの最大飛行速度は315km/h、航続距離852km、実用上昇限度は4,380mである。

こうしたデータの対比から見て、中国の先進大型ヘリは一定の高い海抜の地域での使用能力を持つ(上昇限度は当時中国が購入したアメリカのS-70C「ブラックホーク」高原型に相当する)が、航続性能は相応にやや低下し、その他の性能は基本的に似ている。

中国の先進大型ヘリの重量搭載能力のデータに関しては現在しばらくのところ関連のデータがないが、性能が似たアメリカのCH-53Kを参考にするならば、15トン前後のはずである(CH-53Kの搭載重量は15.9トン)。

しかし、このデータを根拠にすると、この前国内で報道されたすでに研究開発が成功している5,000キロワット級のターボシャフトエンジンは新たな大型ヘリにとってやや小さいことが目立つといえる。何故なら模型から見て、この先進大型ヘリが採用するのは2台のエンジンだからである。

今年1月、「銭江夕刊」の文章は、中国のヘリ設計研究所機種副総設計師で、AC311ヘリの総設計師である李家雲はインタビューを受けた時、5,000キロワットのターボシャフトエンジンはすでに研究開発に成功し、2台の動力はCH-53Eの3台の動力に相当する、と明らかにしていた。

2011年の展示会に出現した国産大型ヘリの模型。この機も双発設計を採用し、エンジンは駆動軸後方に位置することに注意。採用するのが国産5,000キロワット級エンジンで、性能はCH-53Eに似ていることを示しているのかもしれない。

国産5,000キロワット級大出力ターボシャフトエンジンの模型。その軸がエンジンの前方にあることに注意 (頑住吉注:これも元々キャプションですね)

(頑住吉注:これより2ページ目)

CH-53E「スーパースタリオン」ヘリはアメリカの現在主力の大型汎用ヘリで、この機は3台の3,270キロワットの汎用動力T-64-GE-416/416Aターボシャフトエンジンを有し、総出力は9,810キロワット、最大離陸重量は33トン、上昇限度5,640mである。これは顕著に「先進大型ヘリ」より小さいだろう。一方何年か前にヘリ博覧会で展示された先進大型ヘリの模型もこの特徴を体現し、見たところ現在のヘリよりやや小さかったに違いない。

この前の中ロによる大型ヘリ合同研究開発、中国が5,000キロワットのターボシャフトエンジンを研究開発、などのニュースを結合すると、ロシアが今年から積極的に我が国に向けミルー26が採用するD-136型エンジンを推薦し、このエンジンを使用してこそ中国の大型ヘリに対する過酷な要求を満足させることができるのだ、としていることに注意を向けることができる。

ロシアのD-136エンジンの出力は8,500キロワットにも達し、2台のエンジンの総出力は17,000キロワットで、その最大離陸重量は56トン、実用上昇限度4,600m、航続距離852kmである。

ロシアのミルー26ヘリ。エンジンの装備位置に注意。国産先進大型ヘリに似ている。

ロシアのD-136エンジンの説明図。軸が後方にあることに注意。(頑住吉注:これもですね)

比較すると、アメリカのCH-53KのGE38-1B型エンジンの出力は5,600キロワットで、3台の総出力は16,800キロワットである。総出力は2台のロシアのD-136と同等である。

上述のデータにより、中国の先進大型ヘリの最新の方案は2台のロシア製D-136エンジンの採用であり、搭載重量と航続距離の低下という代価をもって、優良な余剰出力を引き替えに手に入れ、もって中国の高原地域でのこの大型ヘリ操作の要求に適応するのに便とする、という可能性が高い。

展示会に出現したヘリの模型のディテールから見て、そのエンジンの装備位置、吸排気付属部品などの特徴も全てミルー26ヘリに似ており、一方何年か前の国産5,000キロワットエンジンの採用を計画した模型とではやや異なる。

また模型からは、先進大型ヘリがヨーロッパスタイルを帯びた特殊な空力外形設計の複合材料ローターを採用し、ロシアあるいはアメリカの類似の機種いずれにに比べても先進的だろうということが見て取れる。

現在のこの模型から見て、中国はすでに中ロ協力による先進大型ヘリの基本方案を確定している可能性があり、次にはサンプル機の研究開発段階に入ることになるのかもしれない。


 大型飛行艇の時にも同じことを書きましたけど、この計画上の性能というのはこの方面の経験が不足している中国の専門家が計算上この程度になる、と考えているだけで、実際にそうなるかどうかは怪しいはずです。また中国製大出力ターボシャフトエンジンはこの書き方からするとまだ実用にはならないのでは。

http://military.china.com/important/11132797/20150909/20355946.html


中国の先進大型ヘリの高原性能はミルー26をはるかに引き離すものになる

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「中国の先進大型ヘリと国外の大型ヘリとの性能比較」)

中ロ戦略協力のシンボリックなプロジェクトの1つである、両国が合同研究開発する大型ヘリはずっと外界が関心を注ぐホットなポイントであるが、最近ロシアメディアはこのプロジェクトの進展がスムーズでないとの情報を伝えた。9日に開幕する第3回天津ヘリ博覧会で、中ロ合同研究開発の大型ヘリは初めて真の姿を露出させ、噂の中の暗い霧を払拭した。中航工業ヘリ副総工程師の黄伝躍は8日「グローバル時報」のインタビューを受け、多くのネット仲間が興味を感じる問題につき回答を行った。

「グローバル時報」記者は8日博覧会現場で、中航工業の展示台上に置かれているこの大縮尺の模型に「先進大型ヘリ」の表示がされているのを見た。展示台上に列挙される詳細なデータは次の通りである。最大離陸重量38.2トン、最大巡航速度300km/h、使用上昇限度5,700m、航続距離630km。説明によれば、これはこの大型ヘリの関連のデータの初めての公式な披露である。模型から見て、この機は7枚のローターを持ち、ミルー26の8枚よりも少ない。周囲の模型から見て、この大型ヘリは掘削機などの工程機械、コンテナあるいは小型戦術車両を積み込みあるいは吊り下げて搭載することができる。

黄伝躍は説明し次のように語った。中国の大型ヘリに対する関心の起源は四川大地震で、当時ロシアが提供したミルー26は災害救援の中で非常に大きな作用を発揮し、全国上下を挙げて注目させた。大型ヘリは国家の特殊な利益を体現するに足りる飛行機で、各種の困難で危険な任務に堪える。まさにこのような認識の下、中国の大型ヘリプロジェクトは2009年から方案論証が開始された。しかし中国がこれまでに研究開発した最大のヘリの機種の離陸重量がやっと13トンであることを考慮すると、直接20トン以上の機種に着手しようというのは飛躍が大きすぎ、技術的難度が高すぎる。一方ロシアはこの方面に豊富な経験を持ち、ミルー26の他、さらにミルー6、ミルー10、甚だしきに至っては100トン級超大型ヘリを研究開発したことがある。このため中ロは大型ヘリで戦略協力を達成した。長年の談判を経て、今年5月8日に中ロは協力枠組み協定を締結し、大型ヘリ合同研究開発の原則的問題を確定し、これが中国の特殊な要求を満足させることが必須な大型ヘリであることを特別に明確にし、未来のこの機種の総組立、生産も完全に中国に置かれることになる。

国際的な慣例に照らせば、最大離陸重量20トンを超えれば大型ヘリに属し、それ自身の内部搭載および外部搭載能力に関する要求も非常に高い。だが中国は一体どのような大型ヘリを必要とするのだろうか? ミルー26に比べさらに大きい空中のビッグマックを必要とするだろうか? 国内各地に対する仔細な調査研究を経、かつこれまでの歴史的経験を結合し(例えば四川での災害救援の時はオイルタンク1個でもう重量13トンに達し、吊り下げ輸送時の外部吊り下げ重量に明確な要求があった)、最終的に大型ヘリの基本指標は内部搭載10トン、外部搭載15トンと確認された。これは基本的に国内の重大事件処置、大型装備搭載任務を満足させることができる。

(頑住吉注:これより ページ目。画像のキャプションは「中航工業が展示した中国先進大型ヘリの模型」です。前の記事の「特殊な空力外形設計の複合材料ローター」というのはこのオールみたいな形を指しているわけでしょう。)

何故中国は直接国外の機種を購入するのではなく、必ず全く新しい機種を研究開発しようとするのだろうか? 黄伝躍は解説し次のように語った。中国は960万平方kmの陸地面積と300万の海洋面積を持ち、地理的環境はアメリカ、ロシアなどその他の国とでは大違いである。その中で高原の面積だけでもう国土面積の1/3を占め、また中原、西北の高原地形も非常に多く、ひとたび重大な災害が起きれば交通は遮断され、いち早く災害救援したければヘリに頼るしかない。だが中・小型ヘリは最も基本的な人員の輸送あるいは通信の提供しかできず、大型ヘリがないと機械を利用しての交通という生命線の素早い開通は難しい。また重大な工程建設領域、例えば山の区域の高圧送電線架設では、ケーブルの重量は往々にして10トンにも達し、大型ヘリはこの時重大な作用を発揮する。こうした全ては中国の大型ヘリが高原環境に適応することが必須であることを要求するのである。

一方海洋の上では、中国はさらに多くの島嶼を持ち、管理支配でも基礎施設建設でも大型ヘリの吊り下げ輸送を必要とし、これは船による輸送に比べより有用である。だが海の島の高温多湿の環境は同様にヘリの性能に対し非常に大きな挑戦を提出する。このため中国は大型ヘリに対し米ロをはるかに超える特殊な要求を持つのである。アメリカの大型ヘリに対する要求はより多く軍事用途から出ている。ロシアは主にシベリアの建設に用い、設計上平原地域の使用をより偏重する。中国は西部の開発、災害救援でも、海上権益の維持保護でも、切迫して大型ヘリを必要とし、これは中国の国情と地形による特殊な需要である。

単にカタログデータから見れば、新たに研究開発される大型ヘリはミルー26に比べ依然一定の隔たりがある。ミルー26の内部搭載および外部搭載は20トンにも達し、将来依然最大の現役大型ヘリである。黄伝躍は、単純なカタログデータの比較には決してあまり大きな意義はなく、新機種とミルー26との間には競争関係もない、と強調する。中国のために専門にオーダーメイドされる大型ヘリとして、この機は高原と高熱環境下での運用能力により重点を置く。「肯定できるのは、新たに研究開発される大型ヘリの高原でのパフォーマンスがミルー26に比べ少なからず良いことである。」


 まあアメリカも全世界でヘリを使える必要があるわけですし、中国の要求が特別に過酷というのはちょっと疑問ですが。














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