インドの対中国国境戦争への備えは

 先日までの緊張した事態は一応一段落したようですが、国境が確定していない以上いつ問題が再燃してもおかしくありません。

http://military.china.com/important/11132797/20130510/17825701.html


アメリカメディア、中国は中印国境に30個師団を投入できインド軍の3倍を超える、とする

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「中国、インド両国の軍隊が、インドの支配するカシミール・ラダックのプーサン谷で対峙を継続して20日後、日曜(5月5日)に一段落を告げた。インドメディアの報道によれば、中国軍はインド軍との国境における対峙で『気迫に満ちて人に迫る』姿勢を取り、かつインド『国境』から19km深く入った。画像は中国軍がラダック地域で横幅を出してインド軍と対峙する場面。」 「横幅」は日本語で何と言うのか分かりませんが画像で見れば分かるはずです。横断幕に近いですかね。)

アメリカの「ストラテジー ページ」ウェブサイトが5月7日に発表した評論の文章は、中印の国境をめぐる争いの処理問題方面で、インドは1962年の失敗の教訓を吸収し得ておらず、しかも同じ轍を踏む可能性があり、原因はインドが1962年の中印両国軍事衝突当時の重大な弱点を埋め合わせておらず、今に至るもインド国内から中印国境に通じる道路が依然乏しいことだ、とする。インドはすでに中印国境付近に飛行場を建設し、しかも軍の配備を増やしているが、中国と比べればインドは道路整備で負けている。

過去5年余りの時間内に、インドは中印国境に通じる道路を建設し、もって必要な時インドが充分な軍隊を国境に派遣できることを確保するよう命令を下した。だが、今に至るも大部分の道路は依然未着工である。文章は、インドの官僚主義と官僚体系の低効率がこの問題をもたらしている主要な原因であると考えている。この最も顕著な例は、インドの軍事調達部門であり、例えばこの部門は国産装備の研究開発と生産に数十年の時間を費やす必要があり、しかもしばしば引き渡しが延期される(頑住吉注:まあ確かにこれまで小火器から空母まで、いろんな兵器の開発に時間がかかりすぎという例が出てきましたね)。同時に、腐敗および躊躇して決められないことによってもたらされる調達延期、甚だしきに至っては選択、購入に必要なプロジェクトの暫時停止があるなどの原因に伴い、この部門の外国装備購入時のパフォーマンスも必ずしも思い通りではない。

官僚政治方面にこうした問題が存在するとはいえ、インドはそれでもいくつかの進展に成功している。3年前、インドは密かにその北部のウッタラーカンド州に飛行場を建設し、かつ使用に投入した。この飛行場はインドと中国の国境付近に位置し、主に軍事目的に使用される。同時に、何本かと少ない道路が大雪により麻痺している時期、この飛行場はさらに被災民に緊急に欠乏した物資を輸送する飛行機を受け入れるのにも使われる。

文章は、インドはまさに中国から防備するために、やっと飛行場建設を含むいくつかのこうしたプロジェクトを展開したのだとする。だが、インドはすでにこうした地域において建設活動を行うのは、決して言うほど簡単ではないことを意識するに至っている。新しい道路の建設がなければ、その他の一切の建設は全く無意味なのである。

(頑住吉注:これより2ページ目。画像のキャプションは「インドメディアは、約50名の中国兵士が4月15日に『実効支配ライン』付近にテントを張って駐屯し、インド国境警察は情報を得た後直ちに中国兵士の野営地から距離300mの場所に急行して駐屯した、と報道した。」です。)

「ストラテジー ページ」は、こうした辺鄙で遠い飛行場は他の飛行場に比べ、より多くの燃料や物資を必要とする、と考える。同時に、インドは自らがすでに中国からはるか彼方に置き去りにされていることに気付いている。3年前にもうインドの当局者は、延々4,000kmの中印国境付近に、中国がすでに道路システムを完備したことに気付いていた。インドの軍事計画人員は次のように計算した。すでに建立されている道路網を運用すれば、中国軍は舗装された道路上を1日400km行軍でき、一方インドの最も早い行軍速度はその半分でしかなく、同時により多くの車両が道路条件が劣ることによって損傷を受ける。

このアメリカメディアの見たところでは、インドの問題は終わったというにはほど遠い。「ストラテジー ページ」は、インドの官僚主義の問題の解決は「通常」10年の長い時間を費やすことを必要とするが、もし問題が解決され得たとしても、インドが国境地域において道路を増設するにはさらに数年の時間を必要とする、と考える。道路はインドが国境での飛行場建設を支えたり、近代化された軍隊を駐屯させるのに必要な条件である。地形の調査測量を行った後、インド軍事計画人員は、この国はより多くの時間を必要とするかもしれないことに気付く。何故ならインドには維持メンテナンス施設、燃料輸送や物資補給に用いる道路および軍人の家族の住処を建設する必要があるからである。

だが事実として数十年来中印国境地域に居住しているインドの現地住民はずっとインド政府に、現地に道路を増設して現地の経済を発展させるよう呼びかけていた。文章は、インドがこうした地域に道路を増設することは、必ずや現地経済の発展を推進することになるが、現地住民のアピールの声は拒絶に遭った、何故ならインド政府が実行する策に「信望が欠けている」からだと考える。インドはすでに中国サイドの道路建設という挙動の重要性、そして今自身もできる限り早く反応するのが必須で、さもなくば1962年の戦敗の轍を再び踏むことになる、ということを認識するに至っている。

(頑住吉注:これより3ページ目。画像のキャプションは本文の一部を切り取ったものなので省略します。)

だが文章は同時に、道路が欠乏しているという状況下で、インドは現在の限られた道路資源を運用し、道路を両国国境に最も接近する地域まで延長して軍事力を配備している、と指摘する。これには、数個歩兵師団、スホーイー30戦闘機編隊、「天空」対空ミサイル6個中隊が含まれる。ひとまずこうした軍事力はインド東北部のアッサム州にだけ配備されているが、道路網が建設されるとこうした軍事力の配備地はより国境に近づく。だが10年あるいはさらに長い時間を費やしてやっと可能となるかもしれない。

上述の種々の問題を考慮し、インド陸軍はすでに35億アメリカドルを支出して3個旅団(2個歩兵旅団と1個装甲旅団を含む)を編成し、国境防衛に用いることを要求している。だが事実上この3個旅団は編成の批准が近い新たな山地軍団に対する補充である。この山地作戦部隊の将兵の人数は約8万人で、4年以内に編成が完成し、費やされる支出は115億アメリカドルに達する。新たに増設される3個旅団も4〜5年以内に用意が整うよう準備されている。今後10年、インドは50億アメリカドル近くを拠出し、4,000km余りの両国国境付近地域に道路、鉄道、飛行場を建設する。このような支出は実際に道路や鉄道を建設する費用より高くなる。

「ストラテジー ページ」の文章は最後に、中印双方の策はある古い言葉が実現したものである、と指摘する。すなわち、「兵馬が動かないうちに、糧食とまぐさが先に動く」である。中国は真っ先にこの点を意識し、かつすでに中印国境に通じる道路と鉄道を建設している。こうなってしまえば、中国には中印国境地域に向け30個師団を派遣する能力があることになり、これはインドがこの地域に輸送できる兵力に比べ3倍多い。(楊紅成 仲偉東)

(頑住吉注:4〜6ページ目のキャプションは本文の一部を切り取ったものなので省略します。7ページ目)インドのZeeニュースネットは7日、インド政府は中国軍がデプサン峡谷から撤退した背後にいかなる協定が存在することも否認したが、多くの報道はインドサイドがその前に、インド軍が実効支配ラインのチューマ付近に構築した掩体建築の撤去に同意した、としている。

(頑住吉注:8ページ目)歴史が残した複雑でデリケートな問題ゆえに、中印国境は現在全く正式に画定されていない。資料は、中印国境全体の全長は1,700km余りで、西、中、東の3つの部分に分かれる、とはっきり示している。この国境それぞれ全てにおいて争いのある地域がある。


 2つの巨大な新興国の間に確定していない国境がある状態をいつまでも継続していくわけにはいかず、かと言って他の問題同様どちらも譲歩する気はないでしょうからいずれは実際の衝突になってしまうんでしょうか。それまでにインドの準備は整うでしょうか。この文章で触れられていないポイントとして、衝突が起きた状況にもよりますが基本的に中国に積極的に味方しそうな国はパキスタンしかなく、一方インドを支援する国は非常に多いだろうことがあります。














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