THAAD擁護論に反駁

 長いので2回に分けます。

http://military.china.com/jszmt/02/11173748/20160718/23086801.html


米韓メディアがTHAAD配備のために偽造した種々の怪論に反駁する

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「THAADシステムの陣地」)

去年年末以来アメリカは韓国でのTHAADシステム配備をめぐって事を起こし、関係各方は何度ものゲームや闘争を行っている。7月8日になって、韓国は中ロ両国政府や指導者の強烈な反対をかえりみず、ついに自らの手の内を晒した。すなわち、正式に駐韓米軍により韓国にTHAADミサイル防衛システムを配備すると宣言し、かつここ何週間か以内にTHAADを配備する具体的な地点を決定し、2017年の年末までに完成させる、とした。中国外交部は当日迅速に米韓のTHAAD配備に断固反対するとし、韓米両国が地域情勢を複雑化させる行動をとらず、中国の戦略の安全の利益に損害を及ぼすことをしないよう要求した。かつ緊急に韓国の駐中国大使を呼んで厳重な抗議を提出した。いくつかのメディアは、米韓のTHAAD配備は必ずや長期的で重大な戦略的影響を生じさせ、半島や東北アジア情勢をより複雑で動揺して定まらないものに変えると予測する。

実は少なからぬ専門家や学者はとっくに、THAAD配備はアメリカの「アジア太平洋回帰」、中国抑止の戦略に必要であり、目的が達成されるまであきらめることはないだろう、と予言していた。韓国に関しては、「アメリカと連携し中国と仲良くする」政策を採りたがり、経済上は我々に求めるものがあり、一方安全上はまたアメリカに依存する必要がある。両方は得られないという状況下で、韓国はアメリカの意志に背くことはできず、アメリカに傾倒した。最近の一定の段階、韓国は「低調、徐々に進む」策を採り、かつアメリカ海軍が情勢を撹乱するチャンスを利用し、THAAD配備の目的を達成した。一方少し前の6月28日に韓国はさらに米日韓合同海上演習に参加し、これは明らかにTHAAD配備前のウォーミングアップ戦で、THAAD配備のために深く探りを入れ、それにもかかわらず情報共有だけだと宣言した。ある時期以来、韓国メディアはさらに非常に多くの奇談怪論を散布している。例えばTHAAD配備は北朝鮮から防御し、韓国を防衛するだけで、隣国に対しては無害だという。さらに「THAADの監視範囲を低く調節することができる」などである。軍はさらにソウル街頭にビルボードを配置し、専門家に市民が提出したTHAADに関する問題に回答してもらい、同時に「北京がTHAAD配備の深刻性を誇大化している」と非難している。韓国がTHAAD配備決定を宣言しようとする時になって、さらに忘れずいくつかの安っぽい承諾をした。すなわち、「決していかなる第三国にも照準を定めない」などで、周到で巧妙な計画というべきである。非常に多くの奇談怪論が科学技術の隠れ蓑をまとい、科学的根拠を偽造しているため、最も良く群衆を惑わしそして誤導している。本文は軍事技術的観点という角度から、こうした奇談怪論に対し解読と反駁を行おうとするものでもある。

怪論その一:韓国はTHAADに頼ってのみやっと北朝鮮のミサイルの脅威に対応できる

国外の一部専門家やメディアは揃ってすでに事実に基づき真実を求めるという態度で韓国が北朝鮮の脅威に対応しようとする実際の需要を分析済みである。皆は、韓国と北朝鮮はごく近く(人口が全国の1/4を占めるソウルは、その市中心から38度線までの距離が60kmに満たない)、韓国に対し最大の脅威を構成するのはまず北朝鮮の無数のロケット砲である、と考える。メディアは、2014年には早くも、北朝鮮はもう38度線一帯に300門の122mmロケット砲を配備していた、と明らかにした。それには30連と40連の2種がある。射程はいずれも50kmを超えている。それぞれの砲は3〜4人しか必要とせず操作される。2015年北朝鮮はまた前線に330門の170mmおよび240mmの遠距離ロケット砲を増加配備した。このうち240mmのロケット砲には12連と24連の2種があり、射程は120kmに達し得、韓国のソウルおよびその付近の核心的都市圏を完全にカバーできる。この砲は主体100砲と呼ばれ、金日成誕生100周年を記念するのに用いられた。この600門あまりの砲が前線にあるため、北朝鮮サイドの指導者は、もしこの何百門が同時に発射されたら、瞬く間に1万発あまりの砲弾がソウルの市街区に落ちる! と揚言する。「火の海戦術を用いて敵の陰謀を粉砕するのに、砲兵は主役を演じる必要がある」。

これだけではなく、今年前半になって、北朝鮮はまた最新式300mm遠距離ロケット砲の試射に成功したと宣言した。信じられているところによれば、この新式ロケット砲は1990年代、北朝鮮が旧ソ連解体時の混乱を利用して導入したものである。射程は200kmに達し、飛行の中途でそれはロシアのグロナス衛星ナビゲーションを利用し、飛行の誤差を修正することができる。この200kmの射程は鶏竜台の韓国三軍指揮センター、平澤の米軍第8集団軍司令部、ないし青瓦台大統領府などの地を内部にカバーすることができる。

韓国に対し第2の脅威を構成するのは無数の短距離弾道ミサイルである。「スカッド」、「フロッグ」、「ノドン」などがある。北朝鮮はこうした射程が500km未満の短距離ミサイルに対し、すでに豊富な経験を累積している。大量生産でき、かつ輸出できる。操作も非常に複雑ではない。「ムスダン」中距離ミサイルのように、まだ標的場で標的射撃する初期段階にある可能性が高いわけではないのである。このため半島でひとたび有事になれば、北朝鮮は中・遠距離弾道ミサイルを動員する必要はない。無数のロケット砲と近距離弾道ミサイルを用いるだけで、もう韓国の半分以上を「火の海の中に埋葬」できる。こうした武器は、威力が大きく、射程が長く(150km)、精度が高く、費用が低く、数が多く、時間が短く、しかも機動性が良く、1発撃って別の場所に移ることができる。

北朝鮮の近距離低空ミサイルの脅威を防ぐには、韓国軍自らの話を用いて言えば、韓国自ら研究開発を行った鉄鷹-2およびL-SAM地対空ミサイルシステムでもう充分である。韓国軍はそれらを、「空中のダム」と称する。皆も韓国にこの実力があると信じている。だが無数のロケット砲に対応するのに、現在まだ非常に良い対策があるとは聞かれない。「末端段階高層防御システム」と呼ばれるTHAADに関しては、それはもっぱら40km以上から180km以下の高度で、射程3,500km以上の遠距離および大陸間ミサイル、および射程が3,500km以内の中、近距離ミサイルを迎撃するのに長じている。このためTHAADを持ち出して北朝鮮のこの2種の武器を防御しようというのは、ちょうど何人かのアメリカやカナダの軍事専門家が単刀直入に言うように、「ほとんど役に立たない、あるいは全く役に立たない」。一方ある韓国人も、THAADは韓国を保護するというよりも、日本やアメリカを保護すると言った方がいい、と自嘲する。

怪論その二:THAADのレーダーの探知計測距離は500kmしかなく、1,500〜2,000km探知計測できるとの説はどこから来たのか? さらに地球は丸く、この距離はとっくにマイクロ波レーダーの視距離外である!

アメリカの公式データによれば(我が国の航空宇宙二院208所編「世界防空対ミサイルミサイルハンドブック」、航空宇宙出版社出版を見よ)、THAADシステムの中のX周波数帯のフェイズドアレイレーダーAN/TPY-2の探知計測距離は確かに500kmである。作戦(すなわち迎撃)距離はさらに短く、200kmだけである。だがちょっとレーダー基礎知識がある人なら皆知っているが、レーダーが探知計測する実際の距離に関してはさらに探知計測する目標のレーダー反射断面積(RCS)がどれだけ大きいかを見る必要がある。対ミサイルレーダーの目標は弾道ミサイルの弾頭(ミサイル本体からはとっくに離脱)である。こうした弾頭にはステルス措置があるので、レーダーから見たそのRCSは0.01平方mあるいはさらに低い。THAADレーダーの目標は0.01平方mの弾頭を迎撃しようというものである。だが発射場上の中・遠距離および大陸間ミサイルに関して言えば、離陸ブースト段階では、弾頭と本体がまだ分離していないため、RCSは10平方mを超え、甚だしきに至っては100平方mに達し得る。レーダーの原理と公式は我々に、もし目標のRCSが10倍に増加したら、レーダーの探知計測距離は1.8倍に増加し得ることを教えている。もしRCSが100倍に増加したら、距離は(1.8x1.8)=3.24倍に増加する‥‥これをもって類推すれば、読者は難なくこのレーダーのブースト離陸段階のミサイルに対する探知計測距離が2,000kmを超えることがはっきり分かる。もし保守的に見積もっても1,500km以上である。

地球が丸いことに関して言えば、マイクロ波レーダーの探知計測距離は確かに視距離を超えられない(電波の回折に頼ったのでは、やや超えることができるだけである)。1,500〜2,000kmというのは地上レーダーの視距離範囲をとっくに超えているのか否か? 皆は「地球の曲面率半径とレーダー探知計測距離の関係」の簡単な古典的公式を根拠に見積もることができる。レーダーの探知計測が到達できる視距離はd=4.12()で(頑住吉注:明らかに何か抜けてます。検索したところ2.2(√H1 + √H2)というのが出てきましたが、これは単位がマイルです)、式の中のh1とh2はそれぞれ目標(ミサイル)とレーダーの地面から離れての高度である。計算により我々はすぐ見いだすことができる。ミサイルが離陸後地面から離れるh1の距離が充分に高く、かつさらにミサイル本体分離ポイントの前だったら、THAADのレーダーは完全に目標が発見できる、と。当然ミサイル本体からの分離後、レーダーは体積が小さくかつステルス機能を有する弾頭を発見するのは難しくなる。実際の状況も確かにこのようである。何故なら中・遠距離ミサイルの離陸後のミサイル本体分離ポイントの高さはおよそ100〜200kmで、大陸間弾道ミサイルは200km近い。もし最低の高度h1=100kmをもって見積もっても(レーダーの地面を離れての高度h2は0と見る)、探知計測距離dは依然1,500kmに近く、一方距離が近い時、見える目標の高度は迅速に下がる。

ある人は、「地球には曲面率半径があるため、THAADのレーダーは結局遠いところのミサイル発射現場、および発射されたばかりのミサイルを見ることはできない。その探知計測できるブースト段階後半の非常に短い時間内の限られたデータだけに頼り、どのくらいの価値ある情報が得られるだろうか?」と言う。ここでX周波数帯THAADレーダーの特徴を提示しなければならない。このレーダーは特別に幅広い周波数帯を持つ(米軍の言によれば帯域幅はパトリオットのレーダーの167倍で、少なくとも1GHz以上である)。帯域幅が広くなれば、非常に良く物体のディテールを識別できる。その道理は我々が平時熟知するビデオ画像と同じである。このためそれは非常に強い目標識別能力を持つ。測量時間は非常に短いものの、さらに目標の真偽を識別し、およびミサイルの非常に多くの重要なデータが獲得できる。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「」)THAADレーダーの2種の作動模式。ソフトウェアによりすぐ作動模式を改変できる。


 北朝鮮にロケット砲などその他の脅威があるからといって核ミサイルを防御する必要がなくなるわけではありませんよね。
















戻るボタン