コラムより転載:中国の航空機、空母関連小ネタその3 (まあちょっとテーマから外れるのもありますが)

6月10日

 「ワリヤーグ」関連です。

http://mil.eastday.com/m/20120609/u1a6613248.html


ワリヤーグ集中的に海洋試験 第8回は13日の見通しで就役のためのラストスパート

ワリヤーグが頻繁に出港し海洋試験を行っていることは、多くの科研プロジェクトを進めていることを示しており、あるいはすでに就役の日まで遠くないかもしれない。

今回の海洋試験の期間は13日の見通しで、分析によれば集中した海洋試験は就役の日が日増しに近づいていることを証明するものだという。

6月7日9時50分、遼寧省大連市造船新工場の埠頭で爆竹が一斉に鳴り、埠頭内に停泊していた中国空母は6日の休養と整備を経て、再度準備を整えて出港し、第8回航海試験を開始した。

今回の海洋試験の期間は比較的長く、約13日の見通しである。6月1日に第7回海洋試験が完了してから、休息時間はまだ1週間にもならない。

あるメディアの分析は、このように集中的な海洋試験は中国が初の空母に対し就役前の最後の準備を行っていること、また中国空母の出港航行試験がすでに常態に属することも証明するに足りる、としている。ここ何回かの海洋試験の間隔は比較的短く、これは科研、訓練が比較的順調であることも暗示している。

また以前の報道を根拠に、ある軍事マニアは何度ものテストを経て中国初の空母は今年の八一建軍節に正式に海軍に引き渡されて就役し、国慶節前後に正式に進水式典が挙行されると分析している。(頑住吉注:「八一建軍節」は1927年8月1日、周恩来指揮下の共産党軍が南昌で蜂起して勝利を収めたことを記念する、いわば人民解放軍建軍記念日です。「国慶節」はいわば建国記念日で10月1日です。どうでもいいですが中国語で進水のことを「下水」というのは日本人にとってはちょっと嫌です)

これに対し国防部スポークスマン楊宇は5月31日に記者会見の席で、去年8月以来我が空母はすでに何回も出港して試験を行っており、この後まだ計画に従って一連の科研試験を展開する必要があり、これは正常なことであり、必要なことでもある、と回答した。

これまでの7回の海洋試験の期間

第1回:2011年8月10日から14日まで。5日のみ。

第2回:2011年11月29日から12月11日まで。13日の長きにわたる。

第3回:2011年12月21日から29日まで。全部で9日。

第4回:2012年1月8日から15日まで。全部で8日。

第5回:2012年4月20日から30日まで。全部で11日。

第6回:2012年5月6日から15日まで。全部で10日。

第7回:2012年5月23日から6月1日まで。全部で10日。


 確かに4月下旬からはっきりペースアップしていますが、私も就役はそこまで早くあるまいと思います。

 私が見ようとすると何故か文字化けしてしまうんですが、「中国の第5世代戦闘機である殲-20の初試験飛行成功につれ、西側メディアは中国の軍事力に関して報道し、新たな高みに到達したとも推測、評価している。中国の先端武器は頻繁にデビューしているが、あなたが最も期待するのはどれ?」というアンケートの結果です。この結果は時とともに変化するでしょうが、順位や傾向に大きな変動はないと思われます。

http://search.eastday.com/scripts/vote.dll?ShowResult?id=4747


投票総数99591票

殲-20:26612票(26.72%)


武直-10:1766票(1.77%)(頑住吉注:対戦車攻撃ヘリ)

初の空母:27734票(27.84%)

095/096原子力潜水艦:29565票(29.68%)

056型護衛艦:1150票(1.15%)

DF-21D対艦ミサイル:12764票(12.81%)


 これまで私が触れなかった原潜が1位です。対艦ミサイルの票数も意外な多さですね。ただ、「初の空母」に関しては後続の国産空母の方に期待するという人も多いはずで、空母に対する期待度はこれよりは高いでしょう。

6月11日

 無人機関連です。

http://mil.eastday.com/m/20120607/u1a6608505.html


垂直離着陸、中国無人機展のハイライトとなる 専門家、盗作説に反駁

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「中国航空工業慶安集団社のYY-1短距離/垂直離着陸無人機。全幅2.4m、全長1.25m、全高0.385m、重量6s。」)

原題:「中国無人機は盗作」専門家の反駁に遭う

現場は中国の「尖兵の翼」の垂直離着陸が技術的ハイライトになったと感じる


「尖兵の翼」‥‥第4回中国無人機展示会が5日に北京で開幕した。近年西側メディアは不断に中国産無人機の「外国の血統」をほじくり返している。だが「グローバル時報」記者は6日、展示会の現場で、展示会には多くの中国独自の特色を持つ新型無人機があることに気付いた。関係する作業人員は記者に、一部の中国無人機は外国製品と外形が似ているが、これは皆に類似した任務の必要性とエンジン配置があった結果であって、外国メディアが大げさに言う「中国の盗作」ではない、と告げた。

今回の無人機展示会では60機余りの無人機本体と関係する技術製品が展示され、以前と比べると今回展示された無人機はディテール上自身のメリットをを強化することにより重点を置いている。「グローバル時報」記者は現場で、今回展示された無人機の多くが垂直離着陸機能を具備しており、任務が異なることによりそれらそれぞれに特色があるのを見た。中国航空成都飛行機設計研究所のVMA無人機の特色はスピードが速いことで、この機は垂直離陸後220km/hの最大水平飛行速度で急速に目標に接近し、その後折りたたみの翼を展開して低速状態で巡航し航続時間を延長する。広州金海航空技術社の多機種の「4ローター無人機」は小型敏捷が売りで、それらが採用する4つのローターは十字に交差して固定され、離陸時はヘリコプターと同じだが、ローターの回転速度を変えれば方向が調整でき、空中においてヘリコプターに比べより敏捷で、しかも自重が軽く、数sしかない。全ての設備はリュック内に収納して兵個人によって携帯できる。中国航空工業慶安集団有限会社の「海燕」無人機はアメリカの「オスプレイ」傾斜回転翼機と幾分似ており、外翼のメインローターが水平および垂直の角度に切り替えられ、離着陸時は2つのメインローターと独特の尾部補助ローターによって上昇する力が提供され、飛行時はそれぞれのローターの位置調節のみに頼って旋回、上昇、下降などの飛行姿勢のコントロールを実現する。

垂直離着陸無人機以外に、展示会には生物工学技術を採用した無人機も出現した(頑住吉注:直訳すれば「生物模倣学技術」といったところです)。天津全華時代航空宇宙科学技術発展社の「獅鷲」(頑住吉注:グリフィン)無人機の翼は鷹の翼のようであり、また別の「蝠○」(頑住吉注:○は日本語にない漢字で意味はコウモリエイ、マンタのことです)無人機はその名のごとくで、それらは流線型の設計を採用し、良好なステルス性能を具備する。紹介によれば「獅鷲」の流線型の設計はステルスのためだけではなく、飛行の抵抗を小さくすると同時に無人機の低速飛行時の安定性をも保証し、撮影する画像をよりクリアにしている。このタイプの機はさらに大きな改造ポテンシャルを持ち、機体にはあらかじめ空気取り入れ口が留保され、動力がより強いジェットエンジンに換装できる。同時に武器の吊り下げポイントもあり、武装バージョンに改装できる。

ああした外国メディアが騒ぐ中国無人機が西側の同類製品の「盗作」であるとの説に焦点を合わせ、「グローバル時報」は現場で多くの中国サイドの技術専門家にインタビューした。彼らは、中国と外国の無人機の外形的類似はその任務上の要求が同じであるためにもたらされたという面がより多い、と語った。例えば偵察をメインとする大、中型無人機は視野が広く撮影する画像がクリアであることを保証するため、往々にして双胴構造が選択される。これには今回展示された中国のASN209F無人機、イスラエルの「スカウト」、「Heron TP」無人機、アメリカのロッキード・マーティン社が2010年に発表した新型無人偵察機などが含まれる。実際のところ航空の領域には似た状況がまだたくさんあり、例えばアメリカとヨーロッパの新世代ステルス無人攻撃機はレーダー反射面積を減少し、有効搭載重量を増やすため、多くがB-2に類似した無尾翼(頑住吉注:全翼)設計を採用しているが、それらを「盗作」という人は少ない。また単に外形の類似だけで「盗作」であると説明することもできない。ソ連のミグ-25戦闘機と後に出現したアメリカのF-15戦闘機はいずれも垂直尾翼が2枚で空気取り入れ口が両側にある設計で外形が非常に似ているが、F-15がミグ-25を盗作したと言おうものなら疑いなく笑い話にならざるを得ない。当然、いくつかの中国無人機が設計思想上国外の先進的無人機を参考にした可能性は排除されないが、「参考にする」と「盗作する」の違いは細部にある。このため、業界内専門家の見方では2種の無人機は全く異なり、一方素人が見れば盗作品なのである。


 最後のは要するに「裸の王様」みたいなもので、「違うという人は専門家並みの立派な目を持っている。盗作という奴は素人。さてあなたはどっち?」と言っているわけですが、中国が盗作の疑いをかけられやすいのが日ごろの行いのせいであるのは言うまでもありません。まあそれはさておき、6月7日分のニュースに見られるように中国の無人機のレベルがまだ遅れているのは間違いないと思われるものの、ユニークな新機種が多数登場しているのも事実のようです。

http://news.ifeng.com/mil/bigpicture/detail_2012_06/05/15066151_0.shtml

 成都飛行機のVMA無人機です。画像の右でクリックすると次の画像が見られます。最大搭載荷重15s、巡航速度時速150km、最大航続時間2時間以上とされてます。折りたたみと表現されてますが画像を見たところ伸縮ではないですかね。伸縮なら大きな問題はないでしょうが、たたんだ翼を飛行中に展開するのは素人考えでも無理っぽい気がします。ナチ・ドイツの「トリプフリューゲル」やコンベア XFY-1「ポゴ」戦闘機のようないわゆるテイルシッターですが、このスタイルは離陸は比較的簡単でも着陸が困難です。まあ外部から客観的に見ながら操縦する無人機なら大きな問題にならないかもしれませんが。

http://slide.mil.news.sina.com.cn/slide_8_31814_15585.html

 広州金海航空技術社の「4ローター無人機」です。最高時速28.8km、最大搭載荷重500g、航続時間約30分とされてます。似たものはおもちゃにもあり、まあおもちゃに毛が生えたようなものですね。

http://news.ifeng.com/mil/bigpicture/detail_2012_06/05/15064347_0.shtml

 慶安集団有限会社の「海燕」無人機です。この種のプロペラの角度を変えて垂直上昇の後に水平飛行できる飛行機のアイデアはナチ・ドイツの時代からありますが、垂直上昇から水平飛行に移る過程、つまりまだ低速な時、翼に充分な揚力が働かず、バランスを崩して墜落しやすいという問題の解決が困難でなかなか実用化されませんでした。やっと最近「オスプレイ」が実用化されましたが、やはり事故は起こっており、配備予定の沖縄の人たちも不安を持っています。この種の無人機の前例があるかどうか私は知らないですが、無人機でも困難な技術であることは間違いないはずです。

http://www.cnsphoto.com/NewsPhoto/ShowNewsDetail.asp?Id=812065&Flag=WN

 天津〜航空〜社の「獅鷲」無人機です。宮崎駿っぽいデザインと思うのは私だけでしょうか。

http://www.chinanews.com/tp/hd2011/2012/06-05/U225P4T426D106413F16470DT20120605115143.jpg

 同じく「マンタ」です。マンタにはあんまり似てませんね。デルタ翼の、どう見ても高速飛行向きのデザインで、ジェット化すればいいかもしれませんがプロペラによる低速飛行には向かないのでは。

http://www.chinanews.com/2012/0605/201265143850.jpg

 文章には登場しませんでしたが、南航というメーカーの「天鷹」羽ばたき式無人機です。なめてませんか。

6月12日


 殲-20と日本の新しい防空体制の関係に関する中国の分析です。

http://mil.eastday.com/m/20120608/u1a6611336.html


日本、新世代対ステルスレーダーを研究開発し、中国の殲-20を監視することを欲する

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「資料画像:ネット仲間が撮影した2002号殲-20第4世代機のコックピット」)

日本の「産経新聞」、「軍事研究」などのメディアの報道を総合すると、日本は中国の殲-20ステルス戦闘機が作戦能力を形成したら、東海が主要な任務の方向になると考えている。このため、日本は新世代対ステルスレーダーの研究開発を開始し、これを西南地区に配備し、中国の殲-20戦闘機を監視することを計画している(頑住吉注:前にもお断りしたように、中国の言う東海は中国の東の広い海域のことで、ロシアや北朝鮮より中国に対抗することがメインになる、ということでしょう)。

日本の自衛隊はNECを新世代FPS-7型防空レーダーの研究開発企業に選定した。できる限り早く西南方面の防御力を増強するため、自衛隊はNECに、今年の年末前に最初のFPS-7レーダーを引き渡すことが必須であるとの要求を提出した。自衛隊はこのレーダーを沖縄に配備する。事実として日本の航空自衛隊は今年2月に新型のFPS-7レーダーの配備(頑住吉注:準備)作業を終え、その配備地点は新潟、青森、沖縄に位置するいくつかの基地を含む。沖縄地区は今年年内にはもうより先進的なFPS-7レーダーの配備を開始し、疑いなく明らかに事を急ぎ過ぎている。だが日本の防衛省は、完全に必要があってこうするのである、と考えている。何故なら周辺国はステルス戦闘機の開発に向け努力しているところであり、これにはロシアのT-50と中国の殲-20が含まれ、その開発およびテスト作業は不断に進展しているからである。特に殲-20戦闘機が戦闘力を形成すれば、前述の東海の制空権を奪取し、これにより中国艦隊を援護して争いのある島々をコントロール下に置く公算が高いというのである。

アメリカの雑誌「WIRED」は、最も最近出現した殲-20のサンプル機から見て、この戦闘機は比較的大きな改良が達成されており、これには短く、太く、頑丈な降着装置への換装、近代化されたアクティブフェイズドアレイレーダーの配備が含まれる、とした。アメリカの軍事分析家は、殲-20はすぐにも初期的作戦能力を具備し、その時殲-20は東海方向において日本に圧力を感じさせるかもしれない、と考えている。解放軍の装備する巡航ミサイルは比較的強い防御突破能力を具備しており、もしさらにステルス戦闘機が加われば、「日本の既存の防空網に穴を開けられることはほとんど確実」である。日本の「産経新聞」は次のように考えている。中国海軍艦隊はすでに容易に沖縄付近の海域に到達して巡航を行うことができ、その中の一部の戦闘艦はミサイルおよび偵察が実施できる無人機を搭載している。これは解放軍がこの海域に戦力を投入せんとする第一歩である。次には中国空軍の先進的戦闘機も艦隊の行動に随伴できるようになり、もって空中援護が実施できる。このため、日本は大きな力を入れて西南地区の防空戦力を降下する必要がある。

明らかにされているところによると、以前はレーダーの空中目標に対する探知計測能力を増強するため、日本の軍事工業企業はアンテナの寸法とパワーを上げることしか知らなかった。これは防空レーダーの生産コストをどんどん高くするだけでなく、防空システムの規模もどんどん厖大にし、したがって敵の火力攻撃目標になりやすかった。この問題を解決するため、日本の防衛省技術本部とNECが協力し、「未来警戒管制レーダー」プロジェクトを設立した。このプロジェクトの趣旨はアンテナが分散して設置された新型レーダーを開発し、もって単一のハイパワーレーダーに比べてより良好な機動性と探知計測効果を実現することにあった。FPS-7は初めてこの技術を採用したレーダーシステムとなる。

FPS-5型レーダーは厖大な設備であり、3つの直径12mから18mの大型アンテナ、および厖大な信号発射機を持っている。一方FPS-7レーダーは多くの小型アンテナと信号発射機からなり、それらは分散して異なる位置に配備することができ、もってステルス機がそれぞれの方向に向け反射する微弱なレーダー波を補足するのに有利とする。日本の自衛隊は、FPS-7レーダーはステルス戦闘機と高速巡航ミサイル専門に焦点を合わせて研究開発されたものであり、より強い捜索、追跡能力を持つ、としている。

FPS-7レーダーの具体的性能に関し、外界の知ることは甚だ少ない。だが1世代前の製品であるFPS-5型レーダーの部分的性能はすでに公開されている。日本の自衛隊はその他の陸上基地用防空レーダーと比べ、FPS-5の探知計測範囲はより広いと言いふらしている。このレーダーは日本の防空システムの中で「目」の作用を発揮しており、敵の弾道ミサイル、巡航ミサイル、戦闘機を発見し、かつ追跡することができる。FPS-7レーダーの探知計測能力はFPS-5レーダーよりはるかに上であり、このためFPS-7レーダーはステルス戦闘機に対し防備する能力を持つとされている。

小型化設計を採用したため、FPS-7レーダーの建造と配備のコストはFPS-5より低い。見積もりによれば、防御面積が同じ空域の場合、FPS-7レーダーが必要とする費用はFPS-5レーダーに比べ25%少ない。

以上の要素に基づき、日本の自衛隊は西南地区にFPS-7レーダーを分散して配備し、これにより東海の最前線に新型防空陣地を建立し、もって殲-20のこの空域への出現を阻止することを計画している。

分析によれば、アメリカは日本が東海により強い対空、対海防御戦力を配備することを支持している。日本の「未来警戒管制レーダー」プロジェクトは技術上アメリカの何らかの支持を得たのかもしれない。アメリカのシンクタンクである「新アメリカ安全センター」は、外界は現在南海の地政学的形勢に多くの関心を注いでいるが、東海も同様に軽視されるべきではなく、何故なら東海は「アジア全体で最も戦略的意義を持つ海域」だからである、とする。南海に似て、東海にも領土をめぐる争いがあふれている。その主要なゲームプレーヤーである中国と日本はいずれも相当規模の軍備建設を実施しているところで、しかも釣魚島の主権および天然資源コントロールなどの問題上、中国は明らかにより強硬になっているようである。

報道はさらに、中国の軍用機はどんどん頻繁に東海空域に出現してきており、日本の海上保安庁と航空自衛隊の航空機は頻繁に緊張しつつ随伴しての飛行と監視を実施している、とする。将来中国の新世代戦闘機は日本により大きな圧力を加えることになる。報道は、日米安全保障協力の角度から考慮して、アメリカは日本を援助し、その西南海域の防空配備を強化するに違いない、とする。


 アメリカのシンクタンクが尖閣諸島を併記ですらなく釣魚島と呼ぶことも、中国と日本を同列に挙げて「いずれも相当規模の軍備建設を実施している」と評価することもなさそうに思いますが、されはさておき日本の新型レーダーに関しては全然知りませんでした。そもそも殲-20のステルス性能がどの程度なのか現時点で全く不明であり、言うほどではないという可能性も大いにあるので、このレーダーでどの程度捕捉できるかは警戒範囲に出現するまで分からないでしょう。

6月13日

「殲-18」の話題です

http://blog.eastday.com/military/art/1593272.html


シンガポール情報:中国が世界を振り回した。殲-18は殲-20よりずっと強い

殲-20は私個人的にはF-22よりやや劣ると考える。だが私は我々軍事マニアには間もなくより大きな喜びが待っていると信じる。成都飛行機の殲-20が彼らを驚きのあまり死にそうにさせているが、真の主役が登場すれば世界は蠢動するのではないか。はっきり書く。殲-20の研究開発には10年しか使われなかったが、現在の殲-10、梟竜などは全て成都飛行機が設計、研究開発したもので、沈陽飛行機は何をしているのか? との問いを発するのを禁じ得ない。まさか本当に殲-7、殲-8を伝来の家宝にしているのか。答えはノーだ。現在沈飛が研究開発している殲-18こそ真にF-22に対抗できる、いやF-22を越えさえするものだ。私は間もなく沈飛の殲-18が真の第4世代の「中国の心」を与えられ、その時には必ずや世界に大パニックを引き起こすと信じる。

シンガポールの有名な某ウェブサイトが先日発表した文章は、中国最新の殲-20ステルス戦闘機が2010年12月22日に高らかにデビューすると、世界の広範な関心を引き起こした、とした。アメリカの一部の軍事専門家は、中国の一貫したやり方から言って、これは極めて新鮮な状況である、と考える。日本の軍サイドの一部の専門家は、中国がこのように高らかに「宣伝」することは、アメリカ軍と日本に対し「剣をひらめかせる」意味がある、と考える。

ロシアが2010年に初飛行させたT-50は一度、第3++世代戦闘機としかみなせない、と考えられ、後には否定された。だがその性能はF-22やF-35に及ばないと考えられている。一方今回中国が試験飛行させた殲-20は国外一部メディアから、T-50にさえ及ばず、より先進的なF-22は言うまでもない、と考えられている。事実は本当にこうなのか?

国際的に公認の見方では、中国の殲-20の総合能力はF-35を超え、アメリカのF-22およびロシアのT-50と同一ランクである。より重要なのは、中国の殲-20はF-22に次いで、ロシア製T-50の前に量産される世界第2のステルス重戦闘機だということだ。

中国空軍は飛ぶような速さで近代化の発展を遂げているところであり、殲-20の出現は東南アジア地区全体の軍事バランスに影響することになる。アメリカ空軍の太平洋地域での優勢は時間の問題に過ぎない。殲-20デビューの最大の意義は、アメリカのステルス技術の優勢による中国に対する「技術圧迫」を弱め、アメリカの西太平洋における絶対の制空権を消し尽くすことにある。中央テレビ局張教授の談話に注意すべし(頑住吉注:検索しましたけどそんな名前の教授いっぱいいてよく分かりません)。

同時に、解放軍のロシア情勢研究者である陳振峰少将は指摘する。世界のいくつかの国は中国が殲-20ステルス戦闘機を高らかにデビューさせたことを軍事的ひけらかし行為と見ているが、この件にはまだいくつか注意しなければならない事項がある。

彼は言う。中国の民族性からして、彼らの一般的習慣は実力を隠すことであり(頑住吉注:「眠れる虎」って奴ですか? それは‥‥)、一方ひけらかし、脅かして阻む行為を行うことは比較的少ない。中国はかつて新兵器の写真公開という方面において極めて保守的で、リークされた写真は大部分が外部のために撮影されたものだった。現在中国は新兵器に対し専門に撮影を行い、かつ能動的にこれらの写真を公表し始めている。彼は、これは中国軍が対外的に透明化しつつあることをはっきり示しており、またこれを外界に向けて発せられた善意と見ることもできる、と考える。

しかも彼は、殲-20は確実に先進的で、間違いなく外部に対し示威の作用があり、対内的にも愛国意識を強化できる、と考える。だが彼は、最先進的な殲-20の高らかな公開は、研究開発中のより先進的な戦闘機に対する大衆の目を他に転じることもできるのではないか、と考える。

殲-20は私個人的にはF-22よりやや劣ると考える。だが私は我々軍事マニアには間もなくより大きな喜びが待っていると信じる。成都飛行機の殲-20が彼らを驚きのあまり死にそうにさせているが、真の主役が登場すれば世界は蠢動するのではないか。はっきり書く。殲-20の研究開発には10年しか使われなかったが、現在の殲-10、梟竜などは全て成都飛行機が設計、研究開発したもので、沈陽飛行機は何をしているのか? との問いを発するのを禁じ得ない。まさか本当に殲-7、殲-8を伝来の家宝にしているのか。答えはノーだ。現在沈飛が研究開発している殲-18こそ真にF-22に対抗できる、いやF-22を越えさえするものだ。私は間もなく沈飛の殲-18が真の第4世代「中国の心」を与えられ、その時には必ずや世界に大パニックを引き起こすと信じる。ならば我々皆で期待しよう!! どう言おうと、現在まで我々には殲-20戦闘機が世界で比較的リードした戦闘機であると信じる理由がある。これは中国航空工業の実力と自信をはっきり示しているのである!


 タイトルにぎょっとして読んでみたら何の根拠もない願望ばっかりで中身からっぽですねー。ちなみに殲-18というのはネット上で噂になっている新世代垂直離着陸戦闘機で、はっきり言ってトンデモ度ではSR-91オーロラと大差ありません。タイトルからシンガポールの誰かが「我々は騙された。中国は殲-20をダミーにして本命の殲-18を隠していたのだ。」と言ったように読めますが、本文の内容は全く違っており、殲-18がどんなものだとか進行状況がどうであるとかの根拠になる情報は皆無です。「中国の殲-20の総合能力はF-35を超え、アメリカのF-22およびロシアのT-50と同一ランクである」というのが「国際的に公認の見方」であるというのも考えられません。何しろF-35はテスト中で最悪ボツになる可能性もゼロではないし、逆に大幅に改良されて想像以上の高性能機になる可能性もないとは言えません。一方殲-20は試作機たった4機しかなく、性能は全く不明な上にロシアがエンジンを売るのをやめたら頓挫するしかない状況です。こんな時点でこんな実力判定ができるはずがありません。

 しかしこういう関係の中国人の文章をたくさん読んできて感じるのは、中国人はこれまで、世界の絶対の中心であるべきだというプライドと、科学技術、軍事面で明らかに遅れているという現実のギャップに苦しみ続け、最近やっと遅れを取り戻しつつあることでひどく高揚しているんだなあ、ということです。ともすればもう世界最先端に立った、もう何も怖くないといった有頂天の言論が目立ちますが、その実まともなエンジンも作れず、無人機のミサイルは標的にあたらず、比較的簡単な技術であるスナイパーライフルの命中精度も世界のトップ水準とは隔たりがあるのが現実です。中国人のこの高揚が政府を突き上げて、コントロール不能な事態に陥らないことを祈るばかりです。

6月14日

 数日前、北朝鮮のスパイがウクライナからミサイル関係の秘密技術を持ち出そうとして捕まった、とのニュースがありましたが、これに関してはあまり大きく報じられなかったので知らない人も多いと思います。そして昨日から、中国が北朝鮮にミサイル搭載用の車両を輸出していたことが分かった、とのニュースが非常に大きく報じられています。実は、中国はこの2つのニュースを思いがけない方法で結びつけています。

http://mil.eastday.com/m/20120611/u1a6617503.html


韓国メディアの、中国の助けが関係して北朝鮮がミサイルを研究開発した、との説は自己矛盾である

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「北朝鮮の閲兵式で公開された新型長距離弾道ミサイル」)

原題:北朝鮮長距離ミサイル、技術的難題にぶつかっていると推測される

韓国のCBSニュースウェブサイト10日の報道は、去年北朝鮮スパイがウクライナのミサイルのエンジン技術を「購入」しようと試み、逮捕されたとした。アメリカの一部の専門家はこのことから、北朝鮮はその長距離ミサイル研究開発過程で技術的難題に遭遇したからこそ切羽詰まって無謀な行動に出たのだ、と考えている。だが、別の角度から見ると、北朝鮮がウクライナの技術を獲得する必要があると考えたということは、目下北朝鮮がミサイル技術研究開発方面でその他の大国の技術援助を得ていないことも説明している。

韓国メディア、北朝鮮が国外のミサイル技術を盗む、とする

CBSはウクライナの現地メディアの報道を引用して、ベラルーシ常駐の北朝鮮貿易代表部職員の柳成哲(音訳)と李太吉(音訳)が去年7月に逮捕され、スパイ罪で8年の有期懲役刑を言い渡された、とした。報道は次のように言っている。柳某と李某は去年、ウクライナ中部の都市Dnipropetrovskのあるロケット発射装置専門企業の職員を買収し、この会社のロケットの射程を延長できる液体燃料動力システムの関係資料を購入しようと試みた。ウクライナの安全保障部門は発覚後わざと泳がせた。去年7月、彼らが現地のある倉庫内でまさに買収された研究員が持ってきた秘密資料を撮影していたその時、ウクライナ安全保障部門がその場で彼らを逮捕した。

韓国MBCテレビ局は、もし北朝鮮がその時これらの技術を獲得していたら、直ちに射程万里を超える大陸間弾道弾の基礎を固めることができた、とした。アメリカの軍縮協会のある研究員は9日、北朝鮮がウクライナからミサイル関係の絶対的秘密技術を獲得しようと企図したことは、北朝鮮がまだロケットの分離等の関係技術を掌握していない可能性があることを説明している、とした。一方ワシントンに所在する戦略および国際問題研究センターのラリー ニックシーズは、今回の事件は北朝鮮が一切の方法を尽くしてアメリカ本土に到達できる大陸間ミサイルの研究開発を望んでいることを証明している、と考える。

今年4月に北朝鮮が「光明星三号」衛星を発射した後、韓国メディアはずっと北朝鮮が核実験を実施するかもしれないと心配している。北朝鮮外務省が9日に発表した声明は、現在第三回核実験の計画はない、とした。韓国の朝鮮中央通信社は9日、北朝鮮外務省のスポークスマンが、韓国政府は北朝鮮に向け不断に挑発をしかけ続けており、北朝鮮を刺激して現在全く計画されていない核実験あるいは延坪島砲撃戦などのような強硬な対応措置を行わせ、北朝鮮の「好戦的性質」を突出させ、これにより北朝鮮に対する制裁、攻撃し抑圧するムードを計画的に作り出していると表明した、と報道した。

北朝鮮ミサイル系はコピー生産から始まった

北朝鮮の弾道ミサイルとロシア系ミサイルには複雑に絡み合った関係があるが、実際のところ冷戦の期間ソ連は外界が想像するように北朝鮮のミサイル研究開発計画に対し直接の援助はしなかった。アメリカの「グローバルセキュリティ」誌の報道によれば、1978年に北朝鮮はエジプトが「キャンプデービット合意」に署名した機に乗じ、親ソ路線を放棄し、アメリカに接近する機会をうかがい、こっそりと2発のエジプト軍の「スカッド」ミサイルを購入した。これは北朝鮮が弾道ミサイルの開発を独立して行う1つの契機となった。この2発のミサイルを基礎に、北朝鮮は分解とコピー生産を行った。1987年4月、北朝鮮は平壌に半導体工場を建設し「スカッド」Bの量産を開始した。この後、北朝鮮はさらに射程500kmの「スカッド」Cを研究開発した。実際ソ連の「スカッド」系列にはこの種のミサイルはない。「スカッド」ミサイルのコピーと改良により、北朝鮮は弾道ミサイルの研究開発技術を掌握し、この後さらに「労働」-1ミサイル(頑住吉注:ノドン)と「大浦洞」弾道ミサイル(頑住吉注:テポドン)を研究開発した(北朝鮮は運搬ロケットと称している)。

ある中国の軍事専門家は、目下北朝鮮は旧ソ連のSS-4ミサイルおよびSS-5ミサイルの実物に触れることができ、これらミサイルを参考にし、さらにこれまでの技術的蓄積をプラスして、理論上自ら中距離弾道ミサイルの研究開発ができる。

スパイ事件はあるいは北朝鮮のミサイル研究開発に大国の援助がないことの反証となるか

中国はまたしても北朝鮮のミサイル問題ゆえに意外な「命中弾」を浴びた。韓国の「世界日報」は10日、イギリスの「デイリー・テレグラフ」が東北アジア地区某国情報部門の報告を引用して、中国のいくつかの会社が国連の北朝鮮制裁1874号決議に違反して北朝鮮長距離ミサイル研究開発のために援助を提供したと報じた、とした。報道はさらに、中国政府の黙認の下、北朝鮮はミサイル発射車両、およびミサイル製造に必要な2トンのバナジウムなど核心的部材をその他の物品に偽装して大連港を経て北朝鮮に輸送した、とした。

だが、ある分析は、北朝鮮が急ぎ正常でない手段を通じてウクライナからミサイル技術を獲得しようとしたことは、まさに北朝鮮のミサイル研究開発が他国の技術援助を得ていないことを説明している、と考えている。さもなければ北朝鮮はウクライナから時代遅れの関係技術を獲得する必要はないのである。


 枝葉が多いですが、要するに北朝鮮が無理な手段でウクライナからミサイル技術を得ようとしたことは、中国が北朝鮮にミサイル関係で援助していない証拠だ、というわけです。

 この中国の言い分は一応合理的に見えます。ただし、それにはウクライナの技術が本当に時代遅れで、中国の技術がそれより優れている、という前提が必要です。さもないと、基本的には中国から技術を導入しているが、中国の技術では必要を満たせない部分に関してのみ無理をして他国の技術を求めたのではないか、という可能性が生じるからです。私はミサイル技術については全く知りませんが、「戦車の付加装甲」の項目には、ウクライナがソ連解体前に重要技術を持ち出すことに成功し、またその後ユニークなアイデアに基づく新しい技術も独自に開発している、との内容があり、また、「ロシア、中国戦車の自動消火装置は劣る?」の項目には、台湾のネットユーザーによる中国の99式戦車批判に反論する中国人の筆者の説明として、「99式戦車のシャーシはウクライナのT80から来ており〜、(頑住吉注:中国の輸出専用戦車)MBT2000は〜遊星歯車減速機とエンジンはウクライナ系である」と、中国の戦車技術の重要な一部はウクライナから導入したものだとの記述がありました。戦車関係ではウクライナの方が中国より技術的に進んでいるのは間違いないと思われます。言うまでもなく長距離ミサイルは戦車より優先度の高い技術であり、このウクライナがミサイル関係では遅れた技術に甘んじたままでいるというのは極めて不自然に思えます。

 私は今回の件に関しては、建前上民間用の作業車として輸出するのでぎりぎりセーフだと判断した、つまりそれ以上のミサイルの本質にかかわる技術を中国が北朝鮮に現在でも供与し続けているという可能性は低いのではないかと思っていますが、もし今後そうした事実が判明したら、逆に中国の長距離ミサイル技術に重大な欠陥があり、それを模倣したのではアメリカまで届くミサイルが作り難いのではないか、という疑いが生じざるを得ないでしょう。

6月15日

 中国によるインド空母に対する評価です。

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-06-12/201597_2156713.htm

 まず画像を確認してください。「ワリヤーグ」同様艦首部分が上向きに傾斜し、いわゆるスキージャンプ発艦を行うタイプの空母であることが分かります。なお、画像の右でクリックすると次の画像が見られ、左でクリックすると戻ります。


飛行機の離着艦は命を的のゲーム! インドの中古空母、鶏肋となる(頑住吉注:「鶏肋」とは「たいして役には立たないが捨てるのには惜しいもの」という比喩だそうです)

ロシアがインドのために改造した中古空母「ゴルシコフ号」は近日海洋試験を行う。

公表された写真および既存の資料から見て、実はこのいわゆる「空母」はただの鶏肋に過ぎない。インドが大金を費やして「ゴルシコフ号」大型航空機搭載巡洋艦を改装したのは決策上のミスである。オリジナル艦の寸法が先天的に不足であることの影響を受けて、飛行甲板が混み合い過ぎている。最も主要なのは全幅が比較的小さく、改装を経て傾斜角のついた甲板の幅を広げた後、着艦用滑走路の縁のラインが島式上層建築(頑住吉注:艦橋でしょ)に距離的に近すぎ、艦載機がターンしたり艦載機を素早く送り届けたりが全くできない。これは飛行機の出動率に直接影響することになる。次に傾斜した甲板の長さが短すぎる(艦の全長はクズネツォフ艦に比べ31m短い)(頑住吉注:要するに中国の「ワリヤーグ」に比べて、ということです)。一般的に言って艦載機の着艦時、1本目の制動ケーブルの距離が艦尾から遠ければ遠いほど安全であり(艦尾への衝突が避けられる)、また同様に4本目の制動ケーブルの傾斜角のついた甲板の先端からの距離も遠ければ遠いほど安全である(遠くなるほど飛行機が着艦を中止して空中に逃げられる可能性が大きくなる。かつてあるスホーイ-33が制動ケーブルを引きちぎって海に落ちたのはまさにこの距離が短すぎたからである)。

ゴルシコフの本来の設計はYak-141垂直離着陸機の搭載に用いるためのもので、傾斜角のついた甲板の長さに対する要求は高くなかった。だがミグ-29Kの離着艦用に改めると傾斜角のついた甲板の長さは直ちに明らかに不充分となった。インドが制動ケーブルを3本に減じることはやむを得ない措置であるかもしれない。何故なら1本目の制動ケーブルが艦尾から遠いことにも配慮し、さらに最後の1本の制動ケーブルが傾斜角のついた甲板の先端から遠いことにも合わせ配慮しなければならないからである。加えて何本かの制動ケーブル間の距離は通常12mで、このため制動ケーブルの数を減らすことしかできないのである。だがこうすればミグ-29Kの着艦の安全性は非常に大きく低下し、着艦の難易度が非常に大きく上がり、着艦を中止して再び飛び立つ可能性が非常に大きく上がり、これは必然的に飛行員の着艦時の高度の緊張をもたらし、特に夜間作業では命を的のゲームに等しい。

ゴルシコフを固定翼艦載機の離着艦のための空母に改装することがまず間違いであると言ってよい。次にミグ-29Kの選択も無理がありすぎる。その時になって使っても既存の艦、すなわちもうすぐ退役する「ヴィーラント」号空母に及ばない。何故なら少なくともその艦載機はシーハリアーであり、垂直離着艦であり、着艦の安全性はミグ-29に比べずっと高いからである。このためこの空母は現在まさしく無謀な挙そのものであり、戦闘力や威嚇力を形成することは難しい。夜間、あるいは海の状況が悪い時にこの空母を攻めるだけで、半分以上の飛行機は自ら着艦時に海に落ちて消えていくと思われる。インド海軍の飛行員の素質と訓練の強度がアメリカ海軍の飛行員に比べずっと上ならばやっとOKであるが、あなたはそんなことが信じられるか?

このため結論は、この空母がひとたび就役すればインドのミグ-29Kの飛行員は一躍世界で着艦技術が最もすごい艦載機飛行員となる、である。「〜の1つ」ではない!


 「1本目の制動ケーブルの距離が艦尾から遠ければ遠いほど安全」というのは、



 左の方が余裕をもって着艦でき、右では例えば海が荒れて艦尾が上下に動揺している時などに衝突の危険がある、ということでしょう。最後のケーブルから甲板先端までも余裕があった方が着艦のやり直しや停止がやりやすいのは当然のことです。

 先日日本の海上自衛隊がインド海軍と共同訓練を行い、海自の司令が「インド海軍は信頼のできる、能力の高い海軍だ。」と語ったと報道されましたが、中国は地理的に近い巨大な新興国であるインドを非常に意識し、ロシアの中古空母を改装して戦力化しようとしているという点も共通しているだけあって、この文章もインドの失敗(本当に失敗だとしてですが)を実に嬉しそうに書いていますね。私は知識不足で批判がどの程度あたっているのか判断がつきませんが(実は制動ケーブルが複数あるというのもこれ読むまで知りませんでした)、インドがそこまで無茶な判断をすることも、ロシアが「売れりゃいい」とばかり使い物にならない改装を施すこともなさそうに思うんですが。仮にインドの空母が大失敗したら今後のロシアの兵器販売にも悪影響が出るでしょうし。

6月17日

 中国が新型爆撃機の配備を計画している、という情報です。

http://military.china.com/important/64/20120614/17257235.html


日本メディア情報:中国の轟-10爆撃機は西太平洋のアメリカ軍を直接脅かし得る

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「資料画像:外界は中国がTu-22M3を導入してそれを轟-10と称しているとしている」)

長期間の談判を経て、ロシアは15億アメリカドルという価格をもってTu-22M3遠距離爆撃機の生産ラインを中国に中国に売却すると決定した。中国は轟-10と称している。2年前の5月、アメリカの政策諮問機構である米中経済・安全評価委員会が開いた公聴会がこの情報が事実であると確認した。

日本の「産経新聞」は次のように報道している。中国軍の主力爆撃機は長期にわたりソ連時代に導入したTu-16(頑住吉注:バジャー。1954年運用開始)双発高亜音速中距離機だった。冷戦の時期、この機は何度も日本海の上空に飛来して偵察を行った。この爆撃機はアメリカの「トマホーク」と性能が同等の巡航ミサイルなどの武器を装備しているが、時代遅れの一面は否めない。ロシアでは、この機はすでに1990年代に退役している。中国でも更新、世代交代が必然の趨勢となっている。中国とロシアの関係は急速に対立から接近に転じ、中国は1998年にTu-22M3購入の意向を明らかにした。だがロシアは東アジアの軍事力のバランスが崩壊するとしてこの機の輸出を拒絶した。

轟-10の試作機は来年後半に完成の見通しである。エンジン以外の部品は全て中国で製造される。合計36機が実戦配備されるとされている。轟-10は目下世界最速の遠距離爆撃機であり、通常爆弾と核ミサイルが搭載できる。この機の作戦半径は約2880kmで(頑住吉注:例えばですが、上海・東京間は約1780kmです)、中国から飛び立って南海、東海、そして西太平洋海域でさえ行動でき、アメリカ空母戦闘群の行動に対し抑制作用を果たす。空中給油が行えるので、作戦半径はさらに一歩拡大することが有望である。中国軍はすでに「空母殺し」と呼ばれるDF-21D対艦弾道ミサイルを持っている(頑住吉注:6月10日に紹介した、「中国の先端武器は頻繁にデビューしているが、あなたが最も期待するのはどれ?」というアンケートで得票率12.81%と殲-20の半分弱を獲得していたミサイルです)。轟-10の加入は中国の「対介入および区域拒止」戦略により大きな力量を持たせることができる。

報道は中国の海洋戦略に言及し、日本では釣魚島をめぐる動向に圧倒的な関心が向けられており、南海の現状も時には関心を引き付けている、とする。最近の報道で比較的多い情報は、東京都が提出した釣魚島購入構想である。だが中国は釣魚島と、さらにはるかに遠い海域を視野に入れて行動を展開する。今世紀に入って以来、中国海軍艦隊は何度も東海中部の「春暁」油、ガス田付近を通過し、沖縄本島と宮古島の間の海域を経由し、西太平洋の沖ノ鳥礁(頑住吉注:何度か触れましたが中国と韓国は沖ノ鳥島は島ではなく、排他的経済水域も認められないと主張しています)の周辺海域に出現している。また南海の海南島から東進し、台湾とフィリピンの間のバシー海峡において第一島鎖を通り抜け、沖ノ鳥礁周辺に到達することができる。もし沖ノ鳥礁を経由して南下を継続すれば、西大西洋のアメリカ軍の重要基地グァム島に到達する。

中国軍はすでに「空母殺し」の庇護を得て、遠くない将来にはさらに遠距離爆撃機轟-10も配備できる。東海、南海から西太平洋海域まで、アメリカ軍の活動は著しい制約を受けることになるかもしれない。アメリカは中国の海洋進出と遠洋海軍建設の動向に対応するため、沖縄に駐留する海兵隊人員を半分に削減し、グァム島、インドネシア、オーストラリアに移転分散して配備する。アメリカ軍の防衛線はこれまでずっと沖縄、台湾からフィリピンまでの「第一島鎖」だったが、「第二島鎖」(頑住吉注:グァム島を中心とし、オーストラリア、ニュージーランドなどの基地群を含む)まで後退する。報道は、中国はまさに釣魚島周辺を通過し、勢力範囲を西太平洋海域まで拡大しようと試みているところだ、とする。


 まるでアメリカ軍が中国軍を恐れて後退、分散するような書き方ですな。ちなみに「Tu-22M」は旧ソ連/ロシアのツポレフによる爆撃機であり、M3型の初飛行は1976年だそうで、西側では中距離爆撃機とされることが多いようです。もちろんB-52よりは新しいですが、相当に古い機種であるのは間違いありません。

 いかにも危機感を煽るような記事ですが、私が注目するのは、

●中国には現時点で長距離大型爆撃機を研究開発する力はない。

●大枚はたいてロシアから買うということは近い将来にそれができる見込みもない。

●やっぱりエンジンを作る能力はない。

 ということです。また本筋と関係ありませんが、1998年というのはロシアが深刻な財政危機に陥った年であり、そんな時なのにロシアが中国に爆撃機を売ることを拒否していた、というのは意外です。もちろん平和と安定のためというだけでなく、自分たちが苦しい時に中国が力を伸ばすことを嫌ったとか、交換条件付きでアメリカがそうするよう迫った、とかもあるのかもしれません。

6月18日

 中国はDF-21D対艦ミサイルに「空母殺し」としての大きな期待をかけていますが、これは巨大な弾道ミサイルであり、核搭載もできるということで簡単に使えるものではありません。これはより小型の対艦ミサイルの話題です。

http://military.china.com/important/64/20120615/17260293.html


イギリスメディア:中国、C-805の研究開発に成功 速度マッハ3.5は全世界に比類なし

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「伝えられるところによるとこれがC-805ミサイルの画像である。画像の中のミサイルには一体のラムジェットエンジンが採用されておらず、性能がSS-N-22に及ばないようで、真実性に疑いがある」 「SS-N-22」はソ連/ロシアの「モスキート」ミサイルのことで、中国は艦艇用に購入したということです)

新型ミサイルの速度は珍しいほどに速い

イギリスメディアの報道によれば、中国はすでに新型の超音速対艦ミサイルC-805の研究開発に成功し、性能は現在持っている対艦ミサイルをはるかに超え、そのずば抜けた性能はアメリカをも驚嘆させて止まない。

このミサイルは航空機上から発射できるだけでなく、改良後は軍艦、潜水艦、陸上の発射車両からも発射できる。

その最大のハイライトは速度がマッハ3.5に到達可能なことで、これは目下世界のいかなる対艦ミサイルも到達できない速度で、このミサイルに強大な打撃能力をも持たせる。

正確度もこのミサイルの一大ハイライトであり、すでに行われた8回のテスト中、全て目標に命中した。

この他、このミサイルは強いステルス能力も持ち、現在の大多数の対艦ミサイル、巡航ミサイルに比べ1世代先進的となるだろう。

このミサイルは重量3トン、全長8m、固体燃料推進、弾頭重量400sで、途中で飛行ルートを変えることができる。

(頑住吉注:以下のページはキャプションのみです。

2ページ目。「海岸基地のプラットフォームから発射される中国の『鷹撃-62』対艦ミサイル。現在中国が公開している最も先進的な対艦ミサイルである」

3ページ目。「中国海軍の主力武器である『鷹撃-83』対艦ミサイル。」

4ページ目。「中国国産の『鷹撃-62』遠距離対艦ミサイル。」

5ページ目。「国慶節の閲兵式でデビューした『鷹撃-62』遠距離対艦ミサイル。」

6ページ目。「中国国産の『鷹撃-62』遠距離空対地ミサイル。」

7ページ目。「外界はかつて052C型駆逐艦がC-805ミサイルを搭載済みと推測したことがある。(厳密に言えば輸出されるミサイルだけがC-xxxというコードになり得るのであって、中国が自ら用いる機種にはこの習慣はない。)」)


 画像は真実性が疑わしいものと既存の別のミサイルだけで、要するにまだ正体不明だということです。スペック等も信用できるかどうか分かりませんが、ミサイルの速度が速くなれば迎撃が難しくなるだけでなく破壊力も増し、さらにステルス性があるとなると厄介な存在になるかも知れません。ただ、「中国から見た台湾のミサイル艦艇」の項目によれば、ミサイルが高速になれば命中させることが難しくなるとされ、本当にそこまで命中精度が高いのかはやや疑わしい気もします。

 もう一つ小ネタを。F-22と中国戦闘機の話題です。

http://military.china.com/top01/11053250/20120615/17259826.html


アメリカのF-22、初めて紅旗演習に参加し中国の殲-10を模擬攻撃 (頑住吉注:「紅旗演習」って何だろうと思って調べたところ、ネバダ州のNellis Air Force Baseとアラスカ州のEielson Air Force Baseで行われる先進的空戦訓練演習項目、「レッドフラッグ演習」のことでした。)

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「アメリカの紅旗軍演習の仮想敵戦闘機は暗に中国の殲-10を指している。画像は紅旗軍演習でのアメリカ軍のF-16戦闘機」)

【グローバルネット総合報道】ロシアの軍事工業ニュースネット6月14日の報道によれば、アメリカのグローバルフライトウェブサイトは最近、アメリカ空軍第525戦闘機中隊のF-22「ラプター」戦闘機が初めて、アラスカで行われた「レッドフラッグ」国際対抗演習に参加し、いかにして空戦において中国とロシアの近代化戦闘機に対抗するか模擬演習したと明らかにした。

演習に参加した戦闘機にはアメリカ空軍のF-22以外にポーランド空軍のF-16C/D Block 52、日本の航空自衛隊のF-15J 「イーグル」、ドイツ空軍の「タイフーン」戦闘機もあったとされる。演習の設定により、演習に参加した戦闘機は赤組、青組双方に分かれて空中模擬対抗を行った。この中で赤組サイドは主にロシアのスホーイ-27とスホーイ-30戦闘機、そして中国の殲-10戦闘機を模擬的に演じ、アメリカ空軍第18「侵略者」(頑住吉注:「インベーダー」?)中隊のF-16C/D戦闘機をもって充当された。演習に参加したアメリカ空軍はジェームズ ミケルソン少佐が指揮し、演習の目的の1つはアメリカの第5世代戦闘機F-22と同盟国空軍の連合作戦行動を実践、訓練することだった。

アメリカの「レッドフラッグ」系列空中対抗演習は1975年以来、毎年数回行われ、平均およそ2週間続き、かつ外国空軍戦闘機の参加を招待する。主にアラスカ州Eielson基地とネバダ州Nellis基地で行われ、仮想敵の先進戦闘機にいかに対抗するかを模擬演習する。

(頑住吉注:2〜8ページは画像とキャプションだけです。

2ページ目。「資料画像:F-22戦闘機」

3ページ目。「資料画像:殲-10戦闘機」

4ページ目。「殲-10戦闘機はすでに中国空軍の中堅戦力となっている」

5ページ目。「弾薬搭載量と作戦航続距離を除き、殲-10の多くの方面の性能はすでにスホーイ-27/30戦闘機を超えている」

6ページ目。「殲-10の技術水準は高いが、それでもF-22には技術世代ギャップの圧倒的優勢がある」

7ページ目。「殲-10の三代水準(頑住吉注:いまいち意味不明です。アメリカで言うA3みたいな感じでしょうか)はすでに定型に至り、改良は作戦性能を向上させ得たが、F-22に対抗するレベルに到達するのは不可能である」

8ページ目。「中国の真にF-22に対抗する希望はやはり4新世代の殲-20に肩にかかっている」)

6月19日

 ロシアの新戦闘機T-50の話題です。

http://mil.eastday.com/m/20120618/u1a6634071.html


ロシアメディア、T-50には問題が多く最初の原型機の機体にクラックが発生、とする

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「資料画像:構造的欠陥が存在するとされるT-50初の原型機」)

東方ネット6月18日の情報:ロシアの軍事工業ニュースネット6月15日の報道によれば、ロシアのPAK FA「前線航空兵未来航空システム」すなわち第5世代戦闘機T-50の最新の状況が明らかにされ、この飛行機の研究開発とテストはすでに明確な成果を達成しているが、多くの問題も暴露された。

スホーイグループ総裁Pogosyanは今年2月に初めて、第5世代戦闘機T-50の原型機がすでに120回余りの試験飛行を終え、4機目の原型機も今年試験飛行する、と宣言した。3機目の原型機であるT-50-3は去年11月22日にアムール河畔のコムソモリスクで初飛行後試験飛行計画に加入、12月8日にZhukovski飛行場に移ってから改めてあらゆるシステムが装備され、N036アクティブフェイズドアレイレーダーを装備した初の原型機となった。これより前の2機のT-50-1およびT-50-2は機首に金属製カバーがあっただけだった。

T-50-3は3cmの波長を使用する前置きアンテナを装備し、この他に2基の101KS-U敵方レーダー輻射センサーを装備し、このうち1つは機首下面、1つは尾部ブーム下面にあるとされる。目下公開されているT-50-3の写真から見てだが、この機はいかなる側面の輻射センサーも装備していない可能性がある。これより前のT-50-2も101KS光学電子システムを装備しており、これは101KS-V光学レーダーシステムと101KS-O対抗システムの個別ユニットを含み、一方T-50-1はなにも装備していない。この他、T-50-3尾部ブーム上には3セットのUV-50デコイ発射装置が装備され、このうち1つは機体下面、2つが機体上面にある。この機がその他の内部システム、例えばパスワード通信システムあるいは電子ジャミング装置を装備しているか否かはわからない。だがT-50-3は前の2機と比べ明確な変化があり、これには改造を経た空気取り入れルートが含まれ、エンジンコンパートメントを冷却でき、空調システムの需要を満足させる。主翼のフラップも前の2機とは異なっている。

現在までに、何機かのT-50原型機はいくつかの問題を暴露している。2011年8月、最初の原型機の機体構造の負荷のかかる部品にクラックが生じた。機は当時まさに高仰角試験をしようとしていたところで、尾部ブーム上にアンチスパイラルベベルが装備されていた。ロシア当局はこの件を確認していないが、T-50-1はこれ以来姿を現していない。その試験計画中の飛行部分はすでに終わったとされている。T-50-2は現在試験飛行中だが、元々T-50-1のものだった垂直尾翼を使用し、その符号は501である。初期の試験段階においてまだ大きな過積載試験飛行を行っていない時、もうすでに機の構造に問題があることが分かり、その強度の増加が必須であると表明された。6月14日、Pogosyanは、4機目の原型機が年内に試験飛行すると再度言ったが、彼は依然比較的慎重で、初飛行の具体的時期を明確に示すことはなく、この機はT-50-1の暴露した問題を修正すると表明した。前の3機の原型機に全て各種の問題が出たことがあることは言っておくべきである。量産型のT-50のために研究開発される新型エンジン「30号製品」の作業はすでに去年展開されているが、最初のサンプルは2016年になってやっと登場する。目下AL-41Fエンジンの使用を継続するしかなく、このうち6台は地上テスト、10台がスホーイ-27MとT-50原型機に搭載され試験飛行を行っている。


 最高性能を追求する戦闘機は各所に無理が出て、試験中に多くの問題に遭遇することは珍しくありません。殲-20に関し問題点の指摘がないのは情報公開されないからなのか、分をわきまえて無理をしていないからなのか、本当に問題がないのか、これは想像するしかないでしょう。















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