北朝鮮の大口径ロケット砲は対韓国の「切り札」となるか

 先日同じテーマの記事を紹介しましたが、一部重複した部分もあり、また矛盾した情報も含まれている感じです。

http://military.china.com/news2/569/20160413/22422585.html


金正恩、新たな切り札武器を手に握る 廉価で物が良いことは北朝鮮軍が値段的に使えるようにさせる

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「資料画像:北朝鮮の遠距離ロケット砲が発砲を準備する」)

原題:遠距離ロケット砲、北朝鮮の新たな「切り札」となる

北朝鮮メディアは最近集中的に報道し、北朝鮮指導者金正恩が再度軍隊の大口径多砲身ロケット砲の試射を指導したとし、この前後に北朝鮮は続々とその東部海域に向け飛行物体を発射し、毎回いずれも数発を連続発射している。飛行物体の弾道と発射数から分析して、これはロケット砲から発射された遠距離ロケット弾である。人を驚きいぶかしがらせるのは、このロケット弾の射程がすでに200kmに到達し、伝統的なロケット砲の数十kmの射程をはるかに超えていることである。

長期にわたり、弾道ミサイルと火砲はずっと北朝鮮が韓国を威嚇する重要な手段で、前者は韓国の縦深目標を攻撃でき、かつ迎撃が難しい。後者は射程がより短いが、それにもかかわらず北方の前線陣地からソウル市街区を攻撃できる。最近頻繁に明るみに出ている遠距離ロケット砲は、この2種の武器の特徴を集めたものである。それは短距離弾道ミサイルに近い射程があり、韓国の縦深目標をカバーすることもできれば、また相対的に廉価な製造コストを持ち、大量に生産、使用することもできる。ロケット砲は戦術武器でしかないが、朝鮮半島の特殊な地縁環境下では、遠距離ロケット砲はそれにもかかわらず戦略的威嚇作用を生じさせる可能性があり、北朝鮮の手中の新たな「切り札」となる。

遠距離ロケット砲、北朝鮮の歓迎を獲得

現代のロケット砲の大規模使用は第二次世界大戦の時期に始まった。戦後の非常に長い一定の時間で、ロケット砲の射程は徐々に数十kmにまで向上し、精度も徐々に改良された。だが全体的に言って、同時代の火砲に比べ、ロケット砲は依然主に野戦用途の「面殺傷」武器に属した。だが、特定の状況下では、ロケット砲の作用も戦略レベルまで高めることができる。

例えば、国際社会は厳格に弾道ミサイル技術の拡散を制御し、300km以上の射程の弾道ミサイルおよびロケット技術はいずれも制御を受けるグループにある。このため、一部の国は射程が100kmを超える遠距離ロケット砲を開発し始めた。この種のロケット砲の威力は短距離弾道ミサイルの戦闘部よりやや小さいが、射程はすでに中小国の相互の対抗の需要を満足させるのに充分である。さらに重要なのは、ミサイルの製造技術は相対的に複雑で、価格が高く、かつ数が限られ、主に高精度、大威力の戦闘部に頼って高価値目標に対し正確打撃を実施する。一方ロケット砲の開発はずっと簡単で、ロケット砲の研究開発時は通常コストが非常に高い制御誘導部分を考慮する必要がない。もし新型の遠距離ロケット弾でも、簡易な制御誘導装置を追加装備するだけである。このことは遠距離ロケット砲を大量装備および使用できるようにさせる。

北朝鮮にとって、遠距離ロケット砲の上述の特徴はまさにその需要に符合する。北朝鮮は弾道ミサイル技術を掌握済みだが、弾道ミサイルの製造コストは相対的に高い。もし伝えられているように、北朝鮮に数百発の短距離弾道ミサイルがあっても、韓国全域のあらゆる重要目標をカバーするには不足である。増してやアメリカの東アジアの基地を考慮すれば言うまでもない。また、もし米韓がミサイル防衛システム建設を強化したら、北朝鮮の弾道ミサイルは一定の被迎撃確率に直面する可能性がある。もし元々あった破壊効果を達成しようとすれば、北朝鮮は投資して現有の数量に比べずっと多い弾道ミサイルを製造せざるを得ないだろう。これは北朝鮮経済が受け入れ難い可能性がある。

一方遠距離ロケット砲の開発は、一定程度上この問題を解決できる。すなわち、経済の上では、同様の破壊効果を達成しようとするのにより低廉である。軍事の上では、ソウルなどの大都市に対し致命的脅威を形成する。技術の上では、もし米韓がミサイル防衛システムを用いて北朝鮮の遠距離ロケット砲を迎撃できたとしても、全く割に合わない売買である。1発のロケット弾は1発の「パトリオット」あるいはTHAADに比べずっと安いのである。しかも、何百何千と密集して襲来するロケット弾に直面しては、ミサイル防衛システムも充分に作用を発揮し難い。

(頑住吉注:これより2ページ目)

ソ連系装備体系の影響を受けて、北朝鮮陸軍はずっと大量のロケット砲を装備している。延坪島の砲撃事件の中で、北朝鮮軍はまさに一個122mmロケット砲中隊に頼って、簡易な陣地上で速射を完成させ、延坪島に対する火力カバーを実現した。韓国軍がレーダーの測量を根拠とした位置に反撃を行った時、北朝鮮のロケット砲発射車はとっくに撤収していた。もしソウルや韓国の縦深の都市を目標としたら、北朝鮮の遠距離ロケット砲部隊は同様の効果を発揮できる。

技術の進歩の結果として、2015年10月、北朝鮮はその閲兵式で新型ロケット砲を公開した。当時、米韓の人物はロケット砲の外形を根拠に、その口径は300mmに達する可能性があり、その射程は約170kmだと推断した。彼らを思いがけなくさせたのは、今年以来の試射のデータを根拠にすると、このロケット砲の射程が200kmに到達することである。‥‥韓国の絶対的大部分の国土をカバーできる。

北朝鮮の新型ロケット砲の脅威はその射程からだけ来るのではない。朝鮮中央通信社が発表する試射の画像を根拠にすると、この300mmロケット弾の先端部には舵面が装備され、尾部にも尾翼が装備され、このロケット弾が一定の末端制御誘導能力を持つことをはっきり示している。簡易な制御誘導装置を追加装備するだけで、その制御誘導の精度は明らかに普通のロケット弾より非常に大きく高まる。また、閲兵式から見て、新たなロケット砲のシャーシにはさらに新型トラックシャーシが採用され、エンジン出力がより大きく、このロケット砲に当然相当に強い機動能力を持たせているはずである。こうした改良は、その韓国に対する破壊能力が伝統的ロケット砲よりはるかに高く、かつ反応速度と生存性もより良いことを意味している。

各種の改良で多様化された任務に適用

北朝鮮の遠距離ロケット砲に対する改良は、決して単に精度、射程だけに限られず、さらにそれが多様化された任務を執行する可能性を考慮している。少し前、北朝鮮メディアは新型ロケット砲の試射に関するニュースを発表する時、北朝鮮の砲兵が「破片地雷弾、地面貫通弾、散布弾」を発射し、試射の結果が「高エネルギー源物質を混合し威力を高めたロケット弾の戦闘部の破壊殺傷力が非常に驚異的である」ことを証明したことに言及した。

もしこのニュース報道が真実なら、それは北朝鮮がすでに遠距離ロケット砲弾薬のために多種の異なる用途の戦闘部を研究開発済みであることをはっきり示している。

北朝鮮の報道の中で言及された「高エネルギー源物質を混合した」戦闘部は、このロケット砲の装薬に新型炸薬と金属粉混合の類型が使用されていることを示すのかもしれない。この種の混合装薬の威力は非常に大きく、航空爆弾への装填に常用される。金属粉の燃焼によって、それはより高い超高圧と温度を生じさせることができる。

報道の中の「破片地雷弾」に関しては、人員や車両に対する地雷散布器を指す可能性があり、主に歩兵や装甲集群の進攻に対応するのに用いるものである。一般的に言って、1発の大口径ロケット弾内には、数発あるいは数十発の地雷が装填できる。ロケット弾発射後、目標区域上空に到達した後で戦闘部が開き、対人あるいは対装甲地雷をまき散らし、このことは短時間内に比較的大きな地雷原を敷設し、もって敵サイドの進攻を遅延させることができる。

報道の中のいわゆる「散布弾」とは対人員および車両用の集束弾薬を指すに違いない。通俗的言い方を用いれば、「親子弾」と呼ぶことができる。また報道の中で言う「地面貫通弾」は比較的斬新で、もし北朝鮮サイドのロケット弾の戦闘部が構築物の「点目標」の正確打撃に用いることができるならば、間違いなく想像し難い精度である。北朝鮮サイドはいかにして制御誘導を実現したのか? ある説は、北朝鮮サイドはロシアの「グロナス」衛星ナビゲーションシステムを使用し、ロケット弾の戦闘部に衛星制御誘導ユニットを追加装備した可能性がある、と考える。当然北朝鮮サイドが複合制御誘導模式を使用している可能性もあり、例えばロケット発射後は慣性誘導を採用し、末端で衛星制御誘導を採用し修正しているというものである。

全体的に見て、情報技術、自動化水準、工業能力、財政的実力など各方面いずれも優勢を占めない状況下で、北朝鮮は選択的に機動性、射程、精度、戦闘部の類型を平行的に重んじた新型大口径ロケット砲を開発したのであり、これは「田忌賽馬」(頑住吉注:文脈と字面を見て、田は競走馬を嫌う→無駄なところに高価なものを使うな、かと思いましたが全然違い、「田忌」は人名で、いかにして自分の長所を使って相手の短所を突くか、みたいな意味らしいです)式の発展の策略であると評価できる。外界はしばしば北朝鮮の宣伝にはいくつかの理解し難い情緒化の傾向があると考えているが、遠距離ロケット砲の発展から見て、少なくとも装備発展の具体的問題の上で、北朝鮮は念入りに計算しているだけでなく、しかもいかにして自らの条件を結合し装備を発展させるかを理解している。

(頑住吉注:これより3ページ目)

韓国サイド、重大な脅威と見る

「天下無敵の北朝鮮砲兵部隊の大口径ロケット砲も発射を待つ状態にあり、もって青瓦台をたちまち焦土と化す」、「北朝鮮サイドが1つボタンを押せば、すぐに青瓦台は火の海に変じる。北朝鮮サイドがひとたび打撃すれば、青瓦台はすぐに焼かれて灰燼に帰す」、北朝鮮サイドの部隊はすでに「暴風作戦」と「閃電作戦」の万全の準備を整え、「もって随時南朝鮮の作戦区域に浸透し、一気に青瓦台など主要な目標を攻撃占領する」。

北朝鮮のこのような宣伝からは、大口径ロケット砲がすでに北朝鮮が韓国に対し威嚇を実施する重要な道具となっていることが見て取れる。韓国にとって、この問題も間違いなく対応し難い。

韓国当局は北朝鮮の300mmロケット砲の具体的データ、パラメータを決してまだ確認してはいないが、ある韓国の軍事専門家は、もし北朝鮮の新型ロケット砲の射程が200kmに達し、かつ簡易な制御誘導システムを搭載していたら、理論的に言って北朝鮮の砲兵は「軍事境界線」から直接駐韓米軍平澤基地および韓国三軍指揮センターの所在地である鳩竜台を打撃できる、と指摘する。しかも、ロケット砲の火力は密集しているので、米韓の軍隊はこの脅威を「徹底して防御することは不可能」である。

元駐韓米軍司令のベルはかつて、米軍駐韓本部をソウルから南に向け120km離れた平澤に移転する必要があったのは、北朝鮮の遠距離火力を避けるためだ、と語ったことがある。当時この「遠距離火力」とは主に砲身式の大口径遠距離火砲を指した。だが現在では、もし北朝鮮軍の300mmロケット砲が戦闘力を形成したら、駐韓米軍を「重陥険境」(頑住吉注:検索してもほとんどヒットしないんで四文字熟語ではないようです。ダブルの危険な状況に陥れる、でしょうか)にさせるに等しい。また、射程の延伸はさらにもう1つの優勢をもたらす。北朝鮮サイドは新型ロケット砲を自らの奥地の堅固な発射陣地に隠し、洞窟倉庫のトンネルやあらかじめ設けた陣地に頼って、すぐ韓国の仁川など貿易の「急所」を封鎖することができる。

また最も米韓を憂慮させる可能性があるのは、現在韓国軍にはまだ大口径ロケット弾を迎撃する技術能力がないことである。現在開発中の韓国型ミサイル防衛システムや米軍が配備を意図している「THAAD」システムでも、ロケット弾への対応には決して適用されない。しかも、韓国型ミサイル防衛システム、いわゆる「キルチェーンシステム」は最も早くて2025年前後になることを要してやっと研究開発が完成でき、その時北朝鮮のロケット砲はまたグレードアップして新たなバージョンを生じさせている可能性が高い。

韓国は迎撃を行うのが難しいので、韓国サイドは戦術上の「先んずれば人を制す」に頼るしかなく、それでやっとこの脅威を消し去る可能性がある。つまり、北朝鮮がこのロケット砲を使用するつもりの時、韓国軍はあらゆる方法を講じて前倒しで北朝鮮の発射陣地を発見かつ破壊することが必須である。通常ということで言えば、北朝鮮の砲兵部隊には発砲前に一定の準備時間と動作がある。衛星、無人機など先進的な偵察手段に頼り、米韓方面は理論上事前に関連の兆候を探知計測し、かつ「予防性打撃」を行うことができる。

だが、車載型ロケット砲最大の優勢はまさに機動に便利で、発射が迅速なことである。北朝鮮軍のロケット砲は単に発射前何分間かにやっと洞窟倉庫を出、しかる後に洞窟倉庫の出口付近の陣地で迅速に全部のロケット弾を一斉射撃し、再び最も速い速度をもって洞窟倉庫内に撤収する可能性が高い。「撃てばすぐ隠れる」である。この過程には合計で10分に満たない時間しかないかもしれない。このため、米韓の「予防性打撃」はおそらく理論上の選択にしか存在しない。

要するに、北朝鮮の遠距離ロケット砲の出現は、戦術レベルで韓国に対し極めて大きな挑戦を構成し、北朝鮮サイドの韓国に対する威嚇能力をも間違いなく増強した。未来の相当に長い時間、北朝鮮サイドはさらに継続してその遠距離ロケット砲をグレードアップおよびデモンストレーションし、もってその軍事的実力を強調し、その韓国に対する威嚇効果を強化すると予見できる。


 射程200kmではどうやっても日本には届かないんで船に載せるとか特殊なことでもない限り日本にとっては他人事ですけど、韓国にとっては非常に対応に困る武器のようですね。迎撃は可能でしょうがどんな手段であっても安価なロケット弾を迎撃するにはコスト的に見合わず、理論的に合理的な方法があるとすればレーザー兵器による迎撃でしょうが近い将来には難しいのでは。
















戻るボタン