「中国国産空母建造」関連2題

 軍事的意味や国際的な影響といったことではなく建造技術に焦点を合わせた記事を2つ紹介します。

http://military.china.com/important/11132797/20140121/18303686.html


中国には自力で空母を建造する能力があるのか否か? 国産空母、ベールを脱ぐ

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「ネット仲間が作図した中国初の国産空母の想像図」 なおこの記事のキャプションは全てこれと同じなので以下省略します。)

【グローバル時報特約記者 章節 本報記者 劉揚】 最近ある報道が、中国の第1隻目の国産空母が大連で建造中で、6年で完成すると見られる、とした。このことは、中国が国産空母建造の幕を開いたことを意味している。ならば、空母建造はどういった条件を必要とするのか、中国はすでに完全にこういった条件を具備しているのか否か? 6年の時間は長いのか、それとも短いのか? 中国国産空母はどんな様子のものになるのか?

空母自力建造はどんな条件の具備を必要とするか

空母はこれまでで最も複雑な海上戦闘システムであり、その建造は多くの領域に関わり、必要とされる重要技術は非常に多い。例えば艦体の設計技術、艦・機のマッチング技術、艦載機技術、カタパルト技術、制動技術、武器技術、動力技術、鋼板の製造と溶接技術、およびその他セットされる各種施設の保障技術などである。中国の軍事専門家劉江平は20日、「グローバル時報」のインタビューを受けた時、中国はすでに完全に6万トン級空母建造の各種の条件を具備している、と語った。中国には巨大タンカー設計建造および遼寧艦改造の経験があり、このため空母建造においてセットになる施設、例えば大型ドック、200トン以上のガントリークレーンなどの方面の条件は完全に具備されている。艦体の設計の上では、成熟した流体動力学的設計があり、さらに既存の遼寧艦があって参考を提供できる。これまでの遼寧艦の訓練から見て、艦載機技術、艦・機マッチング技術、制動技術、武器技術なども解決済みである。一方艦載機発進方式方面では、遼寧艦の改造は中国にスキージャンプ甲板の建造技術を具備させた。劉江平は、蒸気カタパルトおよび電磁カタパルト技術のコストは非常に高く、技術的にも一定の難度があるが、もし投資を強化すれば解決できるものだ、と考える。

空母甲板は鋼材に対する要求が非常に高く、高い強度があり、大型艦載機着艦時の衝撃を経ても持ちこたえる必要もあれば、さらに非常に高い靱性もある必要がある。一般的に考えて、現代の通常潜水艦の耐圧外殻用の鋼の技術レベルは中型空母甲板用の鋼と近く、一方普通の原潜用の鋼の技術水準は大型空母甲板用の鋼に近い。このことから見て、中国の空母建造方面において、鋼は問題とはならない。中国はすでに多くのクラスの原潜を建造済みである。しかもある資料は、国内ではすでに各項目のパラメータがHY-80およびHY-100に達する鋼材を製造できることをはっきり示している。これはまさにアメリカの「ニミッツ」級原子力空母甲板に主要に用いられている鋼である。

劉江平は、空母が使用する核心動力方面では、現在中国には成熟した蒸気タービンが使用に供することができるものとしてあり、さらに国産原潜の動力システムを基礎に空母専用の原子力動力設備を研究開発し、あるいは友好国(頑住吉注:この場合は明らかにウクライナ)と協力して大型ガスタービンを研究開発することもでき、こうした方案は全て実行可能であり、重要なカギは中国自身の需要によって決まる、とする。

(頑住吉注:これより2ページ目)

6年の時間は長くも短くもない

報道によれば、中国の第2隻目の空母の建造期間には6年を必要とする。ある分析は、中国にとってもし建造するのが1隻の通常動力の6万トン級前後の空母だったら、この時間は長くも短くもないと言える、と考える。一般的に言って、空母建造はおよそ3つの段階に分かれる。第1段階は着工から進水までで、主に艦体の建造、溶接、動力装置の取り付けに用いられる。第2段階は空母進水後に艤装を行う。これには艦載武器、電子システム等々が含まれる。第3段階は艤装完成後に航海試験を行う。この期間には航海試験中に暴露された問題を根拠に、空母に対する改良が行われる。

現在、大、中型空母の建造期間はおよそ4から8年で、アメリカの「ニミッツ」級原子力空母を例にすると、第1隻目の「ニミッツ」号は建造から進水まで4年を用い、進水後の艤装、航海試験から最終的な引き渡しまでにまた3年を用い、全部で7年を用いた。最初の3隻のこのクラスの空母の建造期間は平均7年だったが、後続の空母は航海試験の期間が短縮され、技術が成熟し、建造効率が向上したため、建造期間は徐々に短縮され、「ステニス」号空母の建造には4年半の時間しか用いられなかった。当然、これは空母建造経験豊富なアメリカのことである。フランス初の原子力空母「ドゴール」号は、1989年4月に建造が開始されてから2001年5月の引き渡しまで12年も用いた。中国が初めて空母を建造することを考慮すると、6年との予期は長いとは評価されない。

初の国産空母はあるいは穏当な路線を行くか

報道は、中国初の国産空母は大連造船で建造される、とする。この工場は遼寧艦改造の過程でカギとなる重要な役割を演じ、かつ多くの経験を獲得した。このことは新たな艦の建造の助けになる。劉江平は、もしカタパルト技術を使用しなければ、遼寧艦改造のあらゆる建造経験は全て新たな艦の建造に用いることができる、と考える。

ある姓名を明らかにされたがらない中国軍事専門家は20日、これは中国初の国産空母なので、建造過程ではより穏当な方向に向かい、まず有無の問題を解決し、できる限り早く部隊に装備されるかもしれない、とした。このため成熟した設計と理念が使用されるかもしれない。ダブル艦橋設計、電磁カタパルト、完全電力推進など現在の空母設計の先進技術と理念は運用されないかもしれない。だが、空母の艦載武器と電子設備方面では、最も先進的なシステムが使用される可能性が高い、と。


 巨大タンカーは建造しているし遼寧艦改造の経験もあるし、とか、大型空母に使われる鋼は原潜と同等なので問題ない、とか、ちょっと楽観的すぎるのでは、と思われる部分も散見されます(そもそも中国の原潜には問題が多く残されているともされていますし)。それでもカタパルトの使用にはやや否定的な感じで、私も少なくとも1隻目は遼寧艦と同等のものになる可能性が高いと思います。ちなみにどうでもいいですけどこの記事は基本的に軍事専門家劉江平に取材して書いた記事であり、最後に唐突に登場する「ある姓名を明らかにされたがらない中国軍事専門家」つーのは劉江平が「この部分については自分が言ったとはっきり書かないでね」と言ったようにしか読めないんですが。

http://military.china.com/critical3/27/20140121/18302862.html


建造速度はアメリカと同等 「中国新空母6年で完成」には深遠な哲理がある

香港の大公ネットは、遼寧省委員会書記で省の人民代表大会常任委員会主任ワンミンは18日午前、大連代表団分組討論に参加した時、「遼寧号」引き渡しに続き、我が国第2隻目の国産空母が大連造船工場で建造開始され、期間は6年の見込みで、将来我が国は少なくとも4隻の空母を持つことになる、と明らかにした。また、大連造船工場はさらに2隻のニューバージョン「中華イージス」の呼び名のある052D型ミサイル駆逐艦の建造を担当することになる。

非常に多くのネット仲間は、今回建造される空母はあるいは水平甲板、カタパルト発進模式を採用するのではないかと考えている。だが筆者は、今回大船重工が建造するこの空母は遼寧号空母の完全複製品になると考える。原因は2つある。1つは国防戦略の必要で、技術が成熟した新空母を1隻早急に建造し、遼寧号とダブル空母体系を形成させることは、我が国が現在直面する海洋の争いと安全保障上の困った状況に対し極めて重要である。その2は、中国は現在必ずしも2タイプのカタパルトの設計製造問題を解決できず、あるいは必ずしも使いやすい直通甲板、カタパルト発進空母の製造を把握していないとも言える。決して中国軍事工業の造船技術を見くびっているわけではない。結局のところ、これまでにこの技術を把握しているのはアメリカ1国だけなのである。

遼寧号空母は、ソ連の半完成品空母から改造してできたもので、中国は2005年に改造計画を始動させてから2012年9月の正式引き渡し、使用まで、全部で7年余りの時間を用いた。この時間は中国というこの、このようなクラスの大型軍用艦艇の製造経験が全くない国にとっては、すでにたいしたものであると言える。新たな自主空母建造の全期間が6年と設定されたことは、中国が国際的に普遍的な建造期間と同等の基準に到達済みであり、新たな自主空母には建造過程に技術的ボトルネックや未知の障壁は存在しないということを説明し得る。

もし蒸気カタパルトあるいは電磁カタパルト模式に換装するなら、こうした新技術は実質的な検証を必要とするだけでなく、排水量も大幅に増加することになり、このことは艦体も設計し直す必要があることを意味している。この中の問題はかつて中国が遼寧艦を改造した時、全く直面したことがないものである可能性が高く、このため6年の全建造期間内の完成を保証しようというのは基本的にあまり現実的ではない。唯一の結論は、今回建造される新空母は遼寧艦と同型製品に属し、新たな艦の技術装備がさらに一歩グレードアップされている可能性があるだけで、艦体の設計建造が大船重工に対する唯一の試練だ、というものである。

あるネット仲間は私の分析は保守的すぎると考えるが、海軍の大型兵器なのであって、どんな国が無茶をしたがるだろうか。中国の模式は非常に穏健なものである。中国は2万トン級に近い大型補助艦艇を建造した経験があるが、空母の特殊な艦体および船室設計に対しては、溶接技術なども全て新たな課題であり、簡単に遼寧号の見よう見まねをすればすぐ解決できるわけではない。だが中国の事を行うスタイルをもってすれば、重要な基礎材料と技術上、いかなる隠れたリスクの存在もないはずであり、インドのように普段は努力を怠り、事に臨んであわてふためくことはあり得ない。

アメリカは全世界で数が最多の空母を持ち、彼らが1隻の空母を建造する期間は一般に5〜7年の時間である。このうち竜骨の据え付けから艦体の進水までに用いる時間はおよそ3〜4年前後で、後続の艤装と航海試験後就役するのには一般にさらに2〜3年前後の時間を必要とする。中国が遼寧艦を改造した経験から見て、今回艦体建造に用いる時間は相対的にやや長く、4年前後のはずであり、進水後の艤装は2年前後だろう。だが我々が見る必要があるのは艦体の建造速度で、もし進度が非常に速かったら(あえて同時に2隻の052D大型駆逐艦を引き受けており、大船重工には胸の内に成算があるのだ)筆者は、新空母の全建造期間は少なくとも1年前倒しになるはずで、絶対にインドの自主空母就役に先んじるだろうと考える。


 この人も遼寧艦とほぼ同じものになるという見方です。またこの人も「決して中国軍事工業の造船技術を見くびっているわけではない」といった弁解じみたことを言っており、「国産空母建造」の高揚の中で少しでも消極的なことを口にしようものなら強い反発を受けそうな空気の存在が感じられます。
















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