「自由変線射撃システム」公式サイトによる説明

 前回に続き、コーナーショットに独自の改良を加えた新システムを取り上げます。今回は公式サイトの説明ページの紹介です。ページは4つあり、順に紹介していきます。


http://www.mydyhs.com/shooting-system/profile.html

自由変線射撃戦術システム プロジェクトの簡単な紹介

1.変線射撃戦術システムプロジェクトの簡単な紹介

変線射撃戦術システムは拳銃や小型サブマシンガンで変線照準射撃を実現するために用いられる一種の戦術プラットフォームである。軍隊、武装警察、公安等に新しい進攻および防衛手段を提供した。このシステムは全く新しい設計理念と構造形式を採用しており、同類製品の戦術技術方面に存在する設計の欠点を克服した。射手が自己を完全に隠蔽した情況下で武器を自由に回転運動させ、照準、射撃するという目的を実現したものである。使用者自身の安全を保証し得ると同時に監視、コントロール、打撃あるいは威嚇が実施でき、システムの信頼性と柔軟性を高め、国内の同類製品中トップの地位を占めている。

このプロジェクトは中国兵器装備集団第238工場と天津沐盈光機電科技有限会社が合同で研究開発を行い、生産したものである。

2.プロジェクトが生まれた背景と用途

(A)、背景

第一次大戦の時期には早くも小銃を湾曲させる設計があった。例えば小銃に反射鏡あるいは潜望鏡を装備して照準を行うものである(頑住吉注:「スナイパーの特殊装備」)。過去20年以上の間にイギリス、アメリカ、フランス、ロシア等の国家が揃って湾曲照準射撃技術に改良を進め、それぞれビデオ技術や光ファイバーを用いた画像転送技術による照準を採用してきた。ただし実戦において兵士の体の一部は依然として敵の射撃範囲内に暴露しており、このため普及することはなかった。2003年、イスラエルの将校Amos Golanによって発明されたコーナー銃が登場し、これもビデオ技術方案を採用して照準を行うものだった。その他の方案と異なるのは、銃器とビデオカメラが湾曲可能な1つの機械上に装備され、銃架に固定された液晶モニターを通じて照準を行い、兵士が射撃時に身体のいかなる部分も暴露しないことを保証できる点だった。メディアによって世界で最も進んだ湾曲射撃武器であり、驚異の対テロ装備であると称賛された。この技術は全世界でパテント申請され、ISO9001-2000によって品質認証された。製品はすでに15の国家に販売された(売価は約0.8〜1.2万ドル)が、中国を含む多数の国と地域には販売が禁止された。中国警察はコーナー銃システムに非常に興味を持ち、中国京安貿易会社が再輸入方式を使って12万人民元の単価で10挺のサンプル品を購入した(頑住吉注:H&Kが輸出禁止の相手に半完成品の銃を輸出しているのと同じ裏道で、この場合輸出可能な国に輸出させた上でさらに中国の会社が買い取ったということでしょう)。公安部はその後中国の兵器工業第208研究所に委託してコピーを行った(ただしこのやり方はすでに権利侵害を構成し、イスラエル国防部の非難を受けた)。この他、中国武装警察部隊は「ビデオ照準転角射撃武器システム」(79式小型サブマシンガンをキャリアとし、77式拳銃を吊り下げた)を開発した(頑住吉注: http://mil.news.sina.com.cn/p/2006-09-21/0839399809.html これのことでしょうかね)。沈陽潤徳セキュリティ技術会社は「銃器用ビデオ照準システム」を開発した。兵装集団338工場は「光ファイバースコープ」を開発した。これらの製品は外国製品と明確な差異はなく、技術的ルート、手段は基本的に同じである。

(B)製品の用途

軍隊、警察、特殊部隊(突撃隊)、辺境防衛、税関等の法執行、規律に関する部隊が執行する対テロ作戦、突発事件処理、暴動鎮圧、人質解放、麻薬取り締まり、密輸犯逮捕に使用される。使用者は身体の各部位を暴露しないという前提下で、建築物、車両、船舶、航空機内の見えない区域の偵察を行い、また曲がり角の向こうに隠れたターゲットに対し制圧と掃討を行う。

3.変線射撃戦術システムの研究開発過程

変線射撃戦術システムは2004年初めから初歩的な研究が開始され、実現可能性の論証、技術、ユーザーおよび市場の調査、初歩的設計、サンプル銃試作、機能試験、権限を持つ機関の検証、最初の製品の設計、製品本設計という過程を経た。相前後して設計方案に対し3回の重大な変更が行われ、とりあえず3種類の方案の性能検証サンプルが試作されて公安部の特殊警察用装備品質監督試験センターの試験を経た(これには実弾射撃のうちの11項目の内容全部が要求に適合するかも含まれた)。研究結果は、システム設計方案、技術的ルートは正確、技術の運用は巧妙、生産性に関する設計は合理的、構造は独特、製品の形態は斬新、機能は完備、信頼性は高く、実用性が高く、対費用効果が高いことがはっきり示された。

本システムの研究と製品設計は学際領域の実用技術工程であり、工業工程、工業設計、小火器設計、人間工学、ヒューマンファクター学、認知心理学、社会学等の学科の方法と技術運用の中のヒューマンファクターを参考にし、また総合したものである。製品の工程設計と工業設計(外観、形態)にはコンピュータのアシストによる設計手段が採用され、ユーザビリティ成熟度モデル(UMM)も製作された(頑住吉注:「Usability Maturity Model」の略で、ヨーロッパで提唱された概念だそうです http://www.tohoku.meti.go.jp/koho/kohoshi/mokuji/17fy/0508/ud.htm )。

プロジェクト研究および製品設計の過程で、関係する基準、法規が真剣に適用され、設計方案の実現性に対しくり返しの論証と修正が進められ、国内外の同類製品の技術と設計に対し客観的、理性的な研究、分析が進められた。正確な思想的指導下で独自の知識財産権を持つ、通常とは異なるシステム設計理念と製品の風格が形成された。国内外の同類製品の設計概念や技術的手段の束縛から脱却し、国内外の製品に普遍的に存在した実用性上の問題や、システムの信頼性、実用性に影響する技術的な細かい問題が克服された。

4.システムの組成と技術的パラメータ

(A)システムの組成

主に技術的プラットフォームコントロールシステムと光電周視照準システムから構成される。

プラットフォームコントロールシステム:武器固定挟具、回転機構、トリガー撃発連動機構、セーフティ機構、スコープ支持架ガイドレール、戦術器材ガイドレール、タクティカルライト、着脱式ストック、構造本体等、機能ユニットで構成されている。

光電周視照準システム:CCDビデオシステム、修正機構、電気回路コントロールシステム、充電池、液晶ディスプレイ、可変視角スコープ、支持架等の部分から構成されている。

(B)技術的パラメータ

銃器回転範囲:180度、プラスマイナス90度

回転速度:180度の範囲内2秒以内

連動撃発トリガープル:3.8kg以下

スコープ周視転角範囲:180度、プラスマイナス90度

視野:23度

対物レンズの焦点距離:12mm

カメラ:CCD、カラー、白黒(低照度)切り替え

分割形式:電子分割

液晶モニターユニット:カラー液晶ディスプレイ

電源:7.2V 3.5Ah 充電池(持続作業時間4時間以上)

作業温度:摂氏50度〜マイナス40度


http://www.mydyhs.com/shooting-system/help.html

自由変線射撃戦術システム 使用説明

1.概要

自由変線射撃戦術システムは、拳銃で変線照準射撃を実現するのに用いられる一種の戦術プラットフォームであり、軍隊、武装警察、公安等に新しい進攻および防衛の手段を提供した。このシステムは全く新しい設計理念と構造形式を採用し、同類製品の持つ戦術技術方面の設計上の不足を克服し、射手が完全に自己を隠蔽した状況下で武器を自由に転動させ、照準、射撃するという目的を実現した。使用者自身の安全を保証できると同時に監視、コントロール、打撃あるいは威嚇が実施でき、システムの信頼性と柔軟性が高められ、国内の同類製品領域においてトップの地位を占める。製品はすでに公安部特殊警察用装備製品品質監督試験センターの試験、国防科技成果鑑定、公安部製品使用普及専門家の論証を通過している。(中国発明パテント申請ナンバー 200710046537.1)

2.用途

軍隊、警察、特殊部隊(突撃隊)、辺境防衛、税関等の法執行、規律に関する部隊が執行する対テロ作戦、突発事件処理、暴動鎮圧、人質解放、麻薬取り締まり、密輸犯逮捕に使用される。使用者は身体の各部位を暴露しないという前提下で、建築物、車両、船舶、航空機内の見えない区域の偵察を行い、また曲がり角の向こうに隠れたターゲットに対し制圧と掃討を行う。

3.主要指標

システムの指標

武器回転範囲 180度、プラスマイナス90度
回転速度 毎秒90度
連動撃発トリガープル 3.8kg以下
スコープ周視転角範囲 180度、プラスマイナス90度
システム重量 3.85kg

周視スコープ

倍率 1〜4倍
視野 4〜16度
出瞳直径 5〜9mm
出瞳距離 70〜76mm

レーザー照準器

出力 5ミリワット以下
波長 635
作業電圧 3ボルト
電池 リチウム電池1個

タクティカルライト

照度 200ルーメン
作業電圧 6ボルト
電池 リチウム電池2個

レーザー照準調整器

出力 3ミリワット
波長 635
作業電圧 4.5ボルト
電池 ボタン電池3個

(頑住吉注:このレーザー照準調整器、原文で「激光校槍器」というのは、昔アームズマガジンで紹介したことのある製品と同じものです。エアソフトガンの口径6mmのバレル内部にレーザー照射器の尾部をさし込んで点灯すると、バレルの延長線上の点にレーザーが照射されるのでそこに照準合わせをする、というものです。今は亡き問屋のオリジナル製品(アローイントというブランドだったかな?)だったと記憶していますが、エアソフトガンの場合近距離でもバレルの延長線上にはなかなか着弾しないのであまり有用ではなかったようです。実銃で、着弾点の沈下があまり問題にならない近距離用としては役立つと思われます)

4.セット内容

自由変線射撃戦術システム:1つ

レーザー照準調整器:1個

ガンケース:1個

六角レンチ:1セット

マイナスドライバー:1本

フランネル:1枚

使用維持説明書:1冊

合格証:1枚

補修カード:1枚

5.システムの組成

主に技術的プラットフォームコントロールシステムと周視照準光学システムから構成される。

プラットフォームコントロールシステム:武器固定挟具、回転機構、トリガー撃発連動機構、セーフティ機構、スコープ先端部回転支持架、スコープ支持架ガイドレール、戦術器材ガイドレール3つ、タクティカルライト、着脱式ストック、構造本体等、機能ユニットで構成されている。

周視照準光学システム:周視光学システム、修正機構、光学成像システム、照準レティクル、光学倍率調整機構、スコープ筒、支持架等の部分から構成されている。

6.主要な機能および特徴

●国産92式9mm、5.8mm、06式5.8mm等の制式拳銃を搭載可能

●自由変線、追跡照準機能を備え、各種の戦術動作要求に適応する

●湾曲射撃安定コントロール機能および光学無段階倍率変換機能を備え、照準射撃精度が高い

●タクティカルライト、赤色レーザー照準器、夜視スコープ、ビデオ/画像転送一体化機材を装備可能

●多角度の水平、垂直ターゲット偵察およびビデオ画像無線転送を実現可能

●システムの性能は安定し、信頼性が高く、使用は安全で、環境適応性が高い

●左右からの操作機能を備え、異なる使用者の操作習慣を満足させる

7.使用方法(頑住吉注:原ページの画像を参照してください)

ストック装着:銃本体後端の穴にストックを挿入し、時計回りにナットを回して締める。

拳銃の装着:(頑住吉注:画像はステップ1からステップ6までになっています。なお何故か文による説明の2と3が重複しているので3を飛ばして4を3とします)

1.まずM5の六角レンチを使い、銃を挟む右側の板にあるネジを抜く(頑住吉注:画像のステップ1)。銃を挟む板を取り外し(頑住吉注:同じくステップ2)、その後M4の六角レンチでマウントベースの右側の支持架にあるネジを抜き(頑住吉注:ステップ3)、右側の支持架を取り外す(頑住吉注:ステップ4)。

2.拳銃を左側の銃を挟む板の中にセットする(トリガーを圧するホイールは拳銃のトリガー前方に位置させること)(頑住吉注:画像のステップ5)

3.銃を挟む右側の板および右側のマウントベース支持架を順に装着し、その後全てのネジを回して締めればOK(頑住吉注:画像のステップ6)

スコープの取り外し

スコープは一般的な状況下では取り外しを行わないことを勧める。もし必要があれば、スコープ支持架右側のナットをねじって緩めれば即ガイドレールから取り外せる

レーザーサイトの電池交換

レーザーサイトのヘッド部分を手で反時計方向に回し、レーザーサイトを穴から取り出せば即電池が交換できる。

タクティカルライトの装着

まずタクティカルライトのコードをそれぞれタクティカルライトと銃を挟む板のソケットに挿入し、その後タクティカルライト支持架をレーザーサイト下方のガイドレールにセットすればOK

照準システムの調整

1.レーザー照準調整器の後端部の、プラスチック製プラグヘッドの大きさを回して調整し、拳銃の銃口に一致させる。その後レーザー照準調整器をバレル内に挿入し、調整器のヘッド部をごく軽くフィットさせる(レーザー照準調整器にガタがあってはならない)(頑住吉注:レーザー照準調整器後方の銃身内部に挿入する部分にはリング状に太くなっている部分があって、これはリングを回すことで太さが調節できるので9mmあるいは5.8mmに調整するわけでしょう。前部はテーパーになっている部分をマズルにぴったりフィットさせればセンターが出ます。この時命中精度に大きく影響するクラウンを傷つけてはいけないのでフィットは軽く、ただしガタがあってはダメ、ということです。画像のステップ1および2に対応しています)

2.レーザー照準調整器の電源スイッチをオンにする

3.スコープでレーザー照準調整器の光点の位置を視察する。もし光点が視野の中心になければ、対物レンズ両側のネジをねじって緩め、対物レンズを左右に回して(頑住吉注:画像ステップ3および4)レーザー光点を視野の水平方向の中心位置に出現させる。対物レンズ両側のネジを締め、その後M4の六角レンチを使って拳銃後部の偏心輪を調整し、レーザー光点を視野の垂直方向の中心に位置させる(頑住吉注:画像ステップ5)。

4.トリガーセーフティ(頑住吉注:マニュアルセーフティ)をオフにし(上がセーフティオン、下がセーフティオフ)、トリガーを軽く引き、レーザー照準器をオンにする(頑住吉注:トリガーを軽く引くとレーザーが照射されるようになっているようです)。その後マイナスドライバーを使ってレーザー照準器にある2つのネジを調節し、レーザー照準調整器とレーザー照準器の光点が重なるようにする(照準調整距離は一般に25m前後)(頑住吉注:画像参照。どうでもいいですけどこのドライバー、曲がってないですか)。最後にレーザー照準調整器を取り外す。

システムの操作方法

1.スリングベルトを首、肩に斜めに渡し、スリングベルトを最も適した長さに調節する

2.回転グリップを60〜90度に回し、マガジンを装入、チャンバーに送弾する(頑住吉注:上の画像を見ると分かりますが、マズルがまっすぐ前を向いた状態では下の構造が邪魔でマガジン交換はできません)

3.スコープでターゲットを探し、軽くトリガーを引くとレーザーサイトがオンになり、レーザーの光点を使ってターゲットに照準し、トリガーを引き続けて拳銃を撃発させる。

8.戦術操作の注意事項

1.拳銃に装填する前に必ずレーザー照準調整器を取り出さなければならない。もって事故発生を防止する。

2.チャンバーに装填した後は気ままに体の向きを変えない。もって後方の人員を誤って傷つけることを防止する。

3.スコープ調整ネジの手で回すフタは不必要に開けない。

4.本製品に強い衝撃を与えない。

9.製品の保管と維持

スコープ、レーザー照射器など戦術器材は精密な電気機器であり、平時においては保管と維持に注意し、良好な技術的状態に置くべきである。

1.装備されている電気機器は使用時、あるいは倉庫に保管する時、いずれも清潔な状態に保つ。もしガラス表面にほこりがついていたら清潔なフランネルでごく軽く拭いてきれいにする。手や不潔な布、紙でこすってはならない。金属製の部品の表面は頻繁に清潔な布で拭いてきれいにする。もし表面の燐化被膜が落ちていたら防錆油を塗って被膜とする。油をガラス表面に塗ることは厳禁。

2.全ての電気機器を倉庫に保管する時はガンケース内に入れる。倉庫内の温度は5度〜30度の間とする。相対湿度は70%を越えないようにする。倉庫は通気を良くし、腐食性の物品を置かない。電気機器は保管時、暖房設備から1.5m以上の距離を取ること。電気機器を暖房設備の上に置いて熱を加えることは厳禁。

3.電気機器は寒い室外から暖かい室内に持ち込む、あるいは暖かい室内から寒い室外に持ち出す時は一定の時間を置き(前者約1時間、後者約15分)、ガンケース内外の温度をほぼ一致させた後でガンケースを開ける。もって温度の激烈な変化、電気機器の損壊を避ける。

4.製品をガンケースに収納する時は電源スイッチがオフになっているかどうか点検する。長期の保存時は電池を取り出し、ガンケースに収納する。

5.スコープのガラスと金属の結合部分、ねじ込み結合部分、ネジの頭などには全て密封用ゴムが塗ってある。クリーニング、メンテナンス中これを破損させてはならない。もってスコープの密封性が損なわれるのを避ける。

6.例えば製品に故障が見つかり、すぐに点検、修理すべき時、あるいは工場に修理のため送る時、不必要にスコープを取り外すのは厳禁。もってスコープの破損を避ける。

10.よく見られる故障とその排除方法

よく見られる故障 原因 排除方法
レーザーサイト、タクティカルライトが点灯しない スイッチを入れていない スイッチを点検する
電池を入れていない 電池を入れる
電流の不足 電池交換
像がはっきり見えない 対物レンズあるいは接眼レンズの汚れ 対物レンズあるいは接眼レンズをクリーニングする
着弾点がそれすぎる 照準システムがよく調整されていない 調整し直す

http://www.mydyhs.com/index-5.html

(頑住吉注:資料画像のあるページです。前回のインタビュー記事ではロングアームを搭載したバージョンを考えているとありましたが、79式サブマシンガンを搭載したバージョンがすでに存在しているのが分かります。記事ではアサルトライフルが挙げられていましたが、アサルトライフルをこれに搭載するのにはちょっと無理があるでしょう。)


http://www.mydyhs.com/shooting-system/video.html

(頑住吉注:動画が見られるページです。上から使用説明、射撃場における試験、鑑定会です。使用説明では6分50秒くらいからの部分でピストルの方向転換が非常によく分かります。射撃場における試験に使われているのは79式サブマシンガンを搭載したバージョンで、短いバースト射撃も行っています。鑑定会はトップクラスの専門家が集まる場のはずですが、ここにも中年女性の姿が見られます。ペットボトルに隠れて名前が全部読めませんが、03式の設計者範方梅氏ではないことは確かです。中国には高位の女性銃器専門家が少なくとも2人以上いるということでしょう。これを見る限りでは反対意見も自由に出せる場ではなく、用意された資料を読み上げると皆が拍手するという儀式的な場に見えますが‥‥)



 細かい説明を読んで、非常によく考えられたシステムであると改めて感じました。プリズムでスコープの像を屈折させるシステムはごく単純ですから、ビデオカメラや液晶モニターを使うシステムよりはるかに安価になるはずで、本家「コーナーショット」を脅かす可能性も充分あるのではないでしょうか。

 昔実物のマズライトの外側を輸入してガスガンのユニットを内蔵した商品がありましたし、折りたたみ式のグロックカービン化キットの実物にガスガンを入れて販売しているメーカーもあります。これは輸入できないでしょうかね。すごく欲しいんですけど。

 さて、前回紹介した記事ではこのシステムは広州盛麒光電科技有限会社が開発したものとなっていましたが、今回の公式サイトの会社名は天津沐盈光机電科技有限会社となっており、疑問に感じて中国朋友に質問したところ、次のような回答をいただきました。

「自由変線射撃戦術システム」の帰属に関し、私もあなたのメールを読んでからそこに問題があることに気付きました。ネット上で探し出せる広州盛麒光電科技有限会社の資料は少なく、私は長いこと検索を続け、この企業と関係のある情報を3つだけ見つけました。その中の1つはこの会社が営業許可証の副本を失ったためになされた破産を声明する広告、1つは貴州省のある入札募集代理機構が行った警察用装備を政府が購入するという落札広告の中に盛麒光電の製品が落札されているのが見られるもの、もう1つは中国の商業ビジネスディレクトリウェブサイトにあるもので、広州盛麒光電科技に関する情報が集められています( http://www.hotfrog.cn/%E5%85%AC%E5%8F%B8/%E5%B9%BF%E5%B7%9E%E7%9B%9B%E9%BA%9F%E5%85%89%E7%94%B5%E7%A7%91%E6%8A%80 )。企業紹介の中には次のような記述が見られます。「‥‥我が社のシニアエンジニアである白世が忠実に4年の研究開発を行い、協力組織である湖北省孝感238工場(中国兵器装備集団会社に属す)による加工、組み立てを経て‥‥」。一方天津沐盈光机電科技有限会社の紹介の中にも( http://www.mydyhs.com/about/company.html )「湖北華中光科技有限会社(旧軍工238工場)」が挙げられており、これはすなわち2つの企業の「自由変線システム」は実は同一のものであるということを示しています。その後私は再び天津沐盈のウェブサイトにある品質証明書のページ( http://www.mydyhs.com/about/certificate.html )に、白世忠の名が「主要完成人員名簿」の首位に列せられているのを見つけました。そこで私はさっそく中国国家知識財産権局のウェブサイト上で検索したところ、この設計は2004年7月29日には早くもパテント申請がなされ、申請人(パテント権者)は白世忠でした。そこで私の推測ですが、この設計のパテント権は白世忠に属しており、彼は以前には広州盛麒光電科技有限会社と協力し、彼のパテントによる製品を生産していました。後に彼は何らかの原因でその社と手を切り、天津沐盈光机電科技有限会社との協力関係に入り、このためこのパテントの設計も新しい会社に持ち込まれ、新しい会社で生産が継続されることになったのではないでしょうか。」

 さらに、中国朋友のこのシステムに対する評価です。

「文章中の「自由変線射撃戦術システム」の長所に対して、私は基本的には賛同します。ただし私はこれはまだいくつかの部分を改良する必要があるとも思っています。

まず、照準線が高すぎます。前端のパノラミックサイトのヘッドの存在により、照準具の垂直方向の高さが大きく、一方ストックには調整可能なチークピースが設置されていません。これでは照準時、射手の顔に支えがなく、使いにくく感じるでしょう。私は後部の銃型部分と前部の回転ユニットとの高さの差を大きくすることを希望します。こうすれば相対的に照準線の高さを低くすることができます。その他、ストックに調整可能なチークピースを設置する必要があります。

次に銃の着脱に関し、便利さ、素早さがまだ不十分です。前部にある銃を挟んで固定する板と回転ユニットの支持架が、それぞれ2種類の異なる寸法の六角レンチを使って固定されており、着脱時に専用工具を必要とします。私は規格を統一し、できれば工具を必要とせず、手で着脱できれば最善だと思います。

その他このシステムは、回転グリップを使い、この動きをベルトで伝動し、前部の回転ユニットを連動させる操作方式を採用しています。これは私にこのシステムの射撃安定性に対する疑いを抱かせます。発射後、前部の回転ユニットに後座力の作用下で偏向が発生するという状況は起こり得ないでしょうか? 起こるとすれば1発撃つたびに照準を調整し直さなければならないのでは? しかもこのような操作方式では手の動作幅が大きく、例えば右利き射手が操作する時、もし左に比較的大きな角度で調整する必要があると、左手を数回持ち替えて回してやっとできます。そこで私は回転ユニットの操作を電動式に改めることを希望します。電動の機械で回転ユニットの回転を行うわけで、ハンドル(デュアルショックにあるような)を使って回転方向をコントロールします。ただしこうすると重量とコストが上がると思われ、引き合わないかもしれません。」

 曲がり角の向こうで犯人がゆっくり移動しているような場合、手で回しながら銃を追随させる方がやりやすいような気もしますし、コストが安い、構造が単純であるというのがこのシステムの売りでもありますから、個人的にはギア比の調整程度で済ます方がいいのではないかと思います。











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