アメリカの沿海域戦闘艦に対する評価
先日シンガポールに到着したアメリカの沿海域戦闘艦は中国の056軽護衛艦のライバルと見る意見も多いですが、やや異なる見方です。
http://military.china.com/critical3/27/20130423/17796360.html
沿海域戦闘艦の中国遠洋戦略に対する影響
2013年4月18日、シンガポールのチャンギ海軍基地において、アメリカ海軍軍人の隊列がアメリカ海軍の「フリーダム」号沿海域戦闘艦の埠頭への到着を注視していた。当日、アメリカ海軍の「フリーダム」号沿海域戦闘艦はシンガポールのチャンギ海軍基地に到着し、東南アジア地域における配備計画の実行を開始した。アメリカ海軍はある公告の中で、これは「フリーダム」号の初めての海外への配備であるとしている。騒がれてすでに久しい沿海域戦闘艦がついに南海にやってきた。アジアの急所的な海域にやってきたのは何を欲してなのか、どんな特殊なところがあるのか、中国の南海権利維持と遠洋戦略に対しどのくらい大きな脅威を構成するのか、筆者は中国の一般庶民の角度から自分の見方を語ってみる。もし間違いがあれば指摘を歓迎する。
1.沿海域戦闘艦の特徴と武器装備
フリーダム号沿海域戦闘艦は全長377フィート、排水量3,000トン、最大航行速度は40ノットに達し得、メーカーはロッキード・マーティン社である。この艦は快速、機動、ネットワーク化された水上艦艇であり、機雷戦、対潜戦、水上戦、そして人道主義救援など多様化された任務を執行でき、海軍の、不断に増大する沿海域あるいは近海の脅威への対応の助けになり、近海水域の作戦空間にアクセスとコントロールを提供する
フリーダム号高速沿海域戦闘艦には異なる集成ボックス式モジュールが設置され、設備と武器の換装が非常に簡単に行える。異なる集成ボックス式モジュールを採用し、異なる軍事配備と作戦需要に用いることができる。1隻の沿海域戦闘艦は毎回1種類の非対称の沿海域の脅威にしか対抗できないが、沿海域戦闘艦上に配置できる使命モジュールは非常に容易に陸上あるいはその他の施設から新たに配置することができ、各種の異なる使命を担うことができる。この艦は対機雷システム装置を装備して機雷処理に用い、掃海艇の作用を発揮することができる。センサーと武器を装備して潜水艦を発見、攻撃し、対潜戦に用いることができる。艦砲とロケット弾を使用して上陸部隊に火力支援を提供することができる。さらには同様に「シールズ」特殊部隊の上陸あるいはその他の海陸装備突撃隊型部隊に適合する。沿海域戦闘艦は極めて強いステルス能力を持ち、先進的センサーシステムと電子設備を装備し、近海の浅い場所を航行でき、俊敏、敏捷な操縦性能を持ち、情報監視、偵察に用いることができる。この他通信装置が加えられ、このため指揮艦を担当することができる。沿海域戦闘艦はさらに非軍事領域に広範に応用し、密輸、麻薬取り締まりなどの任務に用いることができる。
強大な戦闘システム 沿海域戦闘艦の火力の必要性を満足させるため、アメリカ海軍は間もなく実用化されるレールガンを全体戦闘システム構築の核心とする。また、アメリカ海軍はさらにスペインのイーザル造船工場が生産する「ドナ」艦砲火力コントロールシステム、およびアメリカのユナイテッドディフェンス社が生産する正確スマート弾薬を発射できるMK110式57mmステルス艦砲システムを選択した。アメリカ海軍はさらに、「未来戦闘システム」の非直接照準発射システムの配備を計画している。この発射システムは15発の垂直発射正確攻撃ミサイルを搭載でき、40km以内の静止および移動目標が攻撃できる。アメリカ軍は現在一段と力を入れて「Kingfisher」II武装無人機を研究開発しており、この無人機は監視と偵察ができるセンサー、アクティブソナー、2発のMk54魚雷あるいは4発の「ヘルファイア」ミサイルを装備し、しかも7.62mm機銃1挺を装備し、沿海域戦闘艦が小型快速艇や潜水艦の攻撃に遭うのを免れさせる。
情報をまとめると、つまりフリーダム号沿海域戦闘艦はステルス、高速、モジュール化、高度情報化の性質を持ち多種の任務を執行する万能選手であり、アメリカ海軍の「海から陸へ」の戦略思想の産物であり、1隻多用、柔軟な配備、コストパフォーマンスが高いという特徴も達成している。
2.沿海域戦闘艦の配備は中国の海空の優勢に敵し難い
アメリカによる沿海域戦闘艦のシンガポール配備は大部分のネットユーザーや専門家に、マラッカ海峡の黄金水域を支配して中国の遠洋の喉笛に棘を刺すためであり、フィリピンという泥棒を中国南海の島嶼をめぐる争いでバックアップし勇気づけるためでもある、と考えられている。だが筆者は密かにこれは理由の小さな部分に過ぎないと考えている。理由は以下の通りである。
アメリカは非常に強大であるが、マラッカの遠洋の喉笛の所で中国を抑止、封鎖するというのは万止むを得ない時のことであって、しかも中国も利害をよく知っていて、中国の海軍艦艇、潜水艦、戦闘機、爆撃機、第二砲兵隊はすぐに残らず出動することになり、中国のこのような武力に直面してはアメリカの空母艦隊も良く考えてから行動する必要があり、増してや何隻かのちっぽけな沿海域戦闘艦ならばどうか? (何故なら未来の海戦は体系作戦であり、空中の優勢が主導する海戦であって、空中の優勢が失われ尽くした状況下ではどんな沿海域戦闘艦も、どんなイージス艦も、どんな原潜も全て無駄飯食いである。何十ノットの速度も戦闘機から見れば亀が這っているようなもので、相手の軍艦を見ないうちにもう相手方の戦闘機の搭載するミサイルによって海底に撃沈されるのである。)
この艦が来たのは我が056軽護衛艦に対処するためだというネット仲間がいるだろうが、上述のパラメータと武器装備が見えただろうか。沿海域戦闘艦は決して対艦に長じているわけではなく、一方056が搭載するのはYJ-83ミサイルであり、射程は120km以上である。しかも056軽護衛艦がもし出航する時は決して1隻や2隻ではない。056軽護衛艦は1隻2億、一方沿海域戦闘艦は数億アメリカドルはかかるようだ。中国の3、4隻がその1隻に対処し袋叩きにすればやはり勝算は比較的大きい。このためもし沿海域戦闘艦が南海の権利維持中に中国と遭遇したら、中国は数と対艦ミサイルの射程で優勢を占める。しかもさらにアメリカ政府に南海の島嶼をめぐる争いに参加する決心と胆力があるか否かも見る必要がある。
3.沿海域戦闘艦がシンガポールに来たのは何のためか?
沿海域戦闘艦の、「沿海」という2字がもうその作用を説明している。すなわち陸地に接近しての偵察、制圧、打撃である。これはアメリカの「海から陸へ」の思想の変化に反応したものである。アメリカは現在どんどん空母戦闘群の費用が高いことを感じるようになり、また中国のDF-21、飛豹、戦神(頑住吉注:轟-6K)、潜水艦などの飽和攻撃に直面してすでに作用を発揮し難くなっている。また空母戦闘群が対処する主要な国は中、上等の国であって、小国に対処する、あるいは大国に対しても小規模に襲撃しいやがらせをするにはやはり小さな艦に頼るのが費用が安く、敏捷で、リスクが小さい。一方中国は現在「陸から海へ」の戦略であり、このため遠洋海軍を発展させる必要があり、3胴船の放棄はまさにこの思想の体現である。
上述のように沿海域戦闘艦は接近しての偵察、支配、打撃が行える。あるネット仲間はこの艦が我が大陸の沿海都市と海南軍港、および我が国の南海の軍を駐留させている島嶼を脅威にさらそうとしているというが、この説には一部分だけ道理がある。まず沿海域戦闘艦は全速40ノットでシンガポールから海南に到達するのに数日かかるが、その時はとっくに中国の衛星、飛行機、潜水艦、レーダーの監視下にあり、さらに中国の最も繁栄した地方で、中国は兵を前進配置して守っており、このためそこを奇襲する能力はやはりないのである(将来脅威が最大なのはやはりアメリカの原潜と言うべきで、我々の対潜戦力はさらに強化する必要がある)。この艦は確かに中国南海の島に駐留する軍隊に対し一定の脅威があることになるが、これはさらにアメリカ政府の南海の紛争への干渉と、中国を葬り去る決心によって決まる。このため沿海域戦闘艦がやって来たことは決して大きな波風を引き起こすことはできず、中国に対する影響は限られている。
そこであるネット仲間は問う。作用が大きくないのなら何故千里の道のりを越えてはるばるシンガポールにやって来たのか、と。
筆者は沿海域戦闘艦がやって来たのは主に政治的理由だと考える。まず沿海域戦闘艦の中国に対し発生させる脅威は大きくないが、フィリピン、ベトナムなどの国はアメリカが南海の争いに参与するのを見る。理論上および表面上は彼らのためにバックアップし勇気付け、その次に中国の黄金水道に限られた脅威を与えることもでき、さらにその兵器輸出のために公告することもできる。最も深層の理由は沿海域戦闘艦は中国を脅すことはできないが、シンガポール、フィリピン、マレーシア、インドネシア、ブルネイなどの国は脅すことができることで、脅す目的はアセアンの一体化の阻止と破壊である。アメリカも損をしない。お前が頼むから来たのだ、美味い食べ物、美味い飲み物、旅費は全部持て、簡単に出て行かせようとしてもそんなに簡単じゃない、ということである。俗に「神に来てもらうのは容易だが出て行ってもらうのは難しい」と言う。遠くない将来、シンガポール、フィリピンなどの国は狼を引き入れた苦い結果を味わうことになる。
この艦が大きな作用を発揮できるか否かはこの艦自体と総合的バックアップ体制の持つ情報化レベルと中国のそれにどの程度の差があるかによって決まると思われます。この筆者はその差は大きくなく、物量で大きく勝る以上中国が有利だと考えていますが、果たしてどうでしょうか。