通常装甲以外の戦車の防御システム

 

 先日「付加装甲の発展史」というページを紹介し、その中に「能動防御システム」という語が登場しましたがはっきり意味が分かりませんでした。それを含むいろいろな戦車の防御システムに関するページがあったので内容を紹介します。

http://sxbzjhsq.blog.163.com/blog/static/7761474920086255520220/


戦車、装甲車両総合防御システム

(頑住吉注:)原ページの最初の画像のキャプションです。「全身に反応装甲ブロックを吊り下げられたロシア軍のT-72戦車部隊」

未来の情報化戦争において、戦車、装甲車両は依然ネットワークの中心、戦いの核心である。同時に、それらは戦場においてやはり陸、海、空など多方位から来る立体攻撃に直面する。それには運動エネルギー弾、徹甲弾、成型炸薬弾、対戦車親子弾、対戦車ロケット、対戦車地雷やソフト殺傷武器(電、光、波、場、核、生、化等の武器)が含まれる(頑住吉注:略しすぎで分かりません。電磁波、レーザー光、音波、磁場、核、生物、化学、でしょうか)。性能が不断に向上し、種類形式が多様化する脅威に直面し、戦車、装甲車両は単純に装甲の厚さの増加などの伝統的防御手段に頼っていたのではすでに防御が難しくなっている。総合防御概念の出現は、今後の戦車、装甲車両の防御技術の発展方向を確定し、戦場生存力向上のために発展の余地を提供した。

総合防御システムは既存の基礎の上に発展した全体的防御手段であり、戦車、装甲車両の全体設計、装甲防御、能動防御、ステルス、煙幕、三防など多種の技術的手段を有機的に一体に結合し、敵を先に発見し、敵より先に射撃し、先に敵を制圧し、先に敵を破壊し、外から中まで有効な立体防御システムを形成するものである(頑住吉注:後で出てきますが、「三防」とはABC防御のことです)。

目下、戦車、装甲車両が総合防御概念の下に採用している防御技術は主に全体設計の向上を基礎にして採用した、能動防御技術、隠身技術、装甲防御技術などである。能動防御は主にハード殺傷、ソフト殺傷、両者を一緒に結合した総合能動防御システムの3種に分かれる。ステルス技術の中で目下比較的注目されているのは、新世代ステルス技術とステルス戦車技術である。装甲防御技術は伝統的均質装甲と各種の非通常装甲などを含んでいる。その中で、非通常装甲技術は戦車、装甲車両の全体重量を軽減できるだけでなく、さらにその防御力を向上させることができ、一定の発展の前途がある。この他、目下戦車、装甲車両が採用している防御措置にはさらに煙幕遮蔽技術、二次効果防御技術およびABC防御技術等々がある。

全体設計

戦車、装甲車両の全体設計、つまり形態防御である。車両の外形は車体の長さ、幅、高さ、キャタピラの接地長、車体底部の地面よりの高さ、そして車体と砲塔の形状などによって決定される。相対的に言うと、車両の高さが低くなるほど、正面面積が小さくなるほど、命中弾を受ける可能性も小さくなる。車体の命中弾を受けやすい部位の装甲をできるだけ傾斜させれば、「跳弾」の可能性を高められるだけでなく、疑似的な厚さ、すなわち弾丸が装甲内部に貫通するまでの距離を増やすこともできる。一般に前面の装甲は比較的厚く、傾斜が比較的大きく、防弾能力、衝撃受け入れ能力がいずれも比較的良好である。イスラエルの「メルカバ」メインバトルタンクの動力装置は前に置かれ、しかも前面装甲にも比較的大きな傾斜角度があり、このため乗員の正面防御は強化されている。

(頑住吉注:原ページのここにある1枚目の画像のキャプションです。「「メルカバ」戦車は全体設計の上で比較的出色であり、Mk4の砲塔はより設計が独特になっている」 日本語にすると「比較的」と「出色」が形容矛盾ぽくなりますが、正確なニュアンスはよく分かりません。続いて2枚目。「「レオパルド」2A5式戦車の砲塔設計は「跳弾」の可能性を増加させた」)

砲塔は戦車の比較的着弾しやすい位置であり、車両全体で最強の防御性能を必要とする。このため比較的厚い装甲、比較的良好な傾斜角、矮小な流線形の外形を持つべきである。イスラエルの「メルカバ」系列戦車とドイツの「レオパルド」2A5/A6戦車の砲塔は、防盾から砲塔前部までが1つの楔形体を構成しており、「跳弾」の可能性を増加させ、比較的良好な形態防御を構成している。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「「トロフィー」能動防御システムを装備したイスラエルの「メルカバ」4メインバトルタンク」)

現在、世界の発達した国家の戦車、装甲車両は基本的に第3世代改良型の研究開発を完了しており、未来の第4世代の研究に入っている。どんどん多くの高度な新技術が戦車、装甲車両に応用されるにつれ、未来の戦車、装甲車両の発展では全体設計に対し新たな課題が提出され、全体設計は古い理念の改変が必須となり、新しい視点が探し求められ、新しい視点が提出され、新しい方法が作り出され、もって不断の向上と発展が達成されている。部品の先進性能を充分発揮させ得て初めて、各システムの間がより協調し、マッチするのである。

能動防御システム

能動防御システムは戦車、装甲車両が来襲する敵の弾を阻止し、破壊し、幻惑するのに用いる、一種の近距離防御技術である。このシステムの研究開発は1960年代に始まり、1980年代から徐々に部隊に装備され、ここ何年かはより各軍事強国に好意的に受け止められるようになってきている。2005年1月、新世代の「コンパクト型運動エネルギー誘導弾」の試験が成功し、能動防御システムの発展に対しより高い要求が提出されることになった。世界の各軍事強国も同時に続々と自分たちの新型能動防御システムを研究開発、発展させている。比較的典型的な製品にはロシアの第5世代能動防御システム製品、「Arena-E」能動防御システム、アメリカの、「未来戦闘システム」に焦点を合わせ、さらに一歩研究開発、完璧化した「総合陸軍能動防御システム」(IAAPS)、イスラエルの性能が卓越した「TROPHY」能動防御システム、ヨーロッパ航空安全保障業務およびナビゲーション社連合が研究開発した先進的なMUSS能動防御システムがある。

ロシアの「Arena-E」能動防御システム

このシステムはミリ波レーダーで来襲する脅威を探測する方法を採用し、ひとたび脅威に気付けばすぐに砲塔周囲に装備した破片ボックスを起爆させる。ボックス内には防御弾薬が装備され、防御弾薬は目標からの距離数mで爆発を起こし、定向的破片ゾーンを形成する。「Arena-E」能動防御システムは全天候、24時間使用でき、戦車がいかなる戦闘条件下でも目標を捜索、破壊することを保証でき、これには移動目標も含まれる。新型の捜索、コントロールシステムと武器システムは戦車の超高速運行を保証でき、目標発見から破壊までの反応時間は0.07秒を超えることはない。この他、システムの目標計算法はおとりの目標あるいは自分から遠く離れた目標の妨害を排除できる(頑住吉注:うーん、いまいち分からん説明です。飛んでくる弾に反応する以上「移動目標も含まれる」も何も目標は超高速で移動しているものに限られるでしょうし、このシステムと車両の運行は関係がないのでは。まあ通常の反応装甲のように命中弾を感じて爆発するんではなく、数mに近づいた時点で爆発して破片を飛ばし、弾を迎撃する、ということですね)。

アメリカの「IAAPS」

IAAPSの研究開発目的は、アメリカ陸軍の「未来戦闘システム」の中の有人運転車両が各種の対戦車兵器の脅威を受けるのを免れるために用いることである。このシステムの中の受動式センサーシステムが来襲する目標を発見すると、コンピュータに提示を行い、コンピュータによって目標に対し分類を行い、その後目標を打撃する多種の方法を選択する。小型で低速の弾丸を急遽発射することで来襲する爆発力の高い弾を破壊する。同時にこの防御システムは付近にいいる味方の部隊に傷害を与えることはなく、各種の類型の地上戦闘車両の上に装備できる(頑住吉注:これも分からん説明ですね。「多種の方法」ってそこを説明してくれなきゃダメでしょう)。

イスラエルの「TROPHY」能動防御システム

「TROPHY」能動防御システムは多種の対戦車誘導弾の脅威に焦点を合わせた先進システムであり、いかなる戦車に対する脅威に対しても素早く探知計測と追尾が行え、それに対し分類を行い、かつ空中における最良の阻止ポイントを計算する。全体システム重量は545kgを超えず、2つの主要ユニットがある。1つ目のユニットは4台の平板レーダーで、車両の前後左右に各1台あり、各種の脅威の探知計測と追尾に用いる。もし脅威となる物が即時にプラットフォームに命中したら、ハード殺傷装置が活性化させられ、車両の任意の片側の1つあるいは2つの発射装置の中から阻止装置が発射される(頑住吉注:また分かりません。命中してから起動するならレーダーいらんじゃないですか)。

(頑住吉注:原ページのここに画像がありますが、本文と連動してないんで、本文で出てきた時に取り上げます)

ヨーロッパ航空ナビゲーション社(EADS)のMUSS能動防御システム(頑住吉注:検索したところ社名は「European Aeronautic Defence and Space Company 」、英語のシステム名は「Multifunction Self Protection System」です)

MUSS能動防御システムの核心は1台のコンピュータであり、システムのコントロール機能および目標の情報は車内のモニターに表示することができる。戦場においてMUSSシステムの警報センサーが誘導弾や戦車に照射されるレーザー光束を発見すると、直ちに中央のコンピュータに報告する。その後、対応する対抗システムが活性化し、こちらの戦車が敵の誘導弾の命中を受けることを防止する(頑住吉注:だからどうやって。検索したところではジャマーを発射するということのようですが詳細は不明です)。

ステルス技術

車両のステルス技術は航空機のステルス技術から発展したもので、その信号特性を切り下げることによって敵から発見されにくくする目的を達成する。ここ何年か、高い技術条件下での作戦により、この技術の発展は非常に急速になっている。新世代ステルス技術が出現し、特にステルス戦車が登場し、車両の発見されることの回避、探知計測の技術発展に対しさらに深遠な影響が引き起こされた。目下ロシア、フランス、アメリカのこの方面における発展が比較的成熟している。

非通常装甲

非通常装甲技術は未来車両の補助防御の重要な手段であり、ここ何年かでその発展も比較的急速になってきている。

爆発反応装甲

現在新たに研究開発されている爆発反応装甲は伝統的爆発反応装甲の性能に相当するが、車両構造に対する影響が減少している。ロシアは多数の相互に連結されたボックス単位から構成される爆発反応装甲を発明し、これは有効に成型炸薬弾や徹甲弾の攻撃に対抗できる。このボックス単位の特徴は次の通りである。4つの側壁に音響インピーダンス(すなわち媒体のアコースティックに対する阻害能力)が変化する3層あるいは4層の複合材料を採用し、炸薬と接触している側壁層から始まって、隣り合う2層の材料の音響インピーダンスの比が2より小さくならないようにし、爆発の衝撃波を減衰、消耗させ、隣り合うボックス単位に誘爆による無力化が発生しないようにしてある。

イスラエルのラファエル社は最近、新型の付加爆発反応装甲を研究開発した。この種の爆発反応装甲ブロックの中には斬新な鈍感な低速炸薬が使われており、弾丸や弾片が命中した時には爆発や燃焼は起こらない。報道によれば、これは360度の範囲内で先進的成型炸薬弾頭、14.5mm徹甲弾、155mm榴弾の破片、RPG-7対戦車ロケット弾の攻撃を防御できるという。同社のリークするところによれば、この付加反応装甲システムはすでにM2「ブラッドレー」歩兵戦闘車、M113装甲人員輸送車、LAV III軽装甲車、「ストライカー」装甲車上で運用されている。

電磁能動装甲

この装甲はエネルギー貯蔵機のエネルギーを利用し、防御部品の発射によって能動的に来襲する弾の打撃を実現するものだ。その基本構造には探知計測機、処理機、エネルギー貯蔵機、転換機、防御部品という5つの部分が含まれる。このうち、探知計測機が電磁能動装甲の「目」であり、現代の複数モジュール探知計測機技術を採用して距離100mの運動エネルギー徹甲弾に対する探知計測を実現する。処理機は電磁能動装甲の「大脳」であり、距離100m、速度1600〜2000m/sの範囲内の徹甲弾目標の後期の飛行軌跡を正確に予測し、その後適した防御部品を選択、発射して阻止を行うことができる。エネルギー貯蔵機は当然電磁能動装甲の「心臓」で、通常は高エネルギー密度電気容器グループで、その中の蓄電量は防御部品の電磁加速実現に対し極めて重要である。実験データによれば、もし防御部品の全体重量が10〜20kg、電気エネルギー変換率が20%、防御部品の被投射速度が100〜300m/sだとすると、必要な電気エネルギーは4.5兆ジュールであり、目下その電磁発射エネルギー貯蔵装置敏捷装甲の容量はすでに400千ジュールに達している。変換機は電磁能動装甲の「反応機」であり、貯蔵された電気エネルギーを防御部品の運動エネルギーに変換する。防御部品は電磁能動装甲の「盾」であり、平板構造と複合構造に分かれる。複合構造の中、上部は均質装甲板で中部は反作用挟層、下部は金属板の中間にガラス繊維強化プラスチックを加えた「挟層」構造である(頑住吉注:要するにこれも飛んでくる弾を感知して迎撃用の部品を発射するものですが、火薬の力でなくレールガンの原理で発射するということですね)。

(頑住吉注:原ページにはここに画像がありますがキャプションにロゴがかぶっていて全部読めません。ただ、「M113にイスラエルのラファエル社の反応装甲が取り付けられている」ということのようです)

自動活性化電気装甲

自動活性化電気装甲は主装甲外側に位置する2枚の一定間隔が空いた薄い鋼板と高圧電容器からなる。このうち1枚の薄い鋼板は接地し、他の1枚は高圧電容器と連結されている。射流あるいは弾芯が2枚の薄板を貫通すると、2枚の薄板がつながり、電容器グループの放電が引き起こされ、射流や弾芯の電流が射流の発散や弾芯の振動、膨張や断裂を引き起こし、したがって主装甲が撃ち抜かれることが避けられる(頑住吉注:通常絶縁されている構造が電気を通す金属ジェットや金属の弾芯によって貫通されると通電して高圧電流が流れる、ということのようですが、高圧電流自体によって攻撃するのか、高圧電流で何らかの構造を駆動して攻撃するのかわ分かりません)。

電熱装甲

電熱装甲の組成は自動活性化電気装甲と似ている。差異は主装甲の前に位置する2枚の薄い金属板の間隔がより小さく、しかもその中間に1層の絶縁材料があることだ。射流あるいは運動エネルギー弾芯が2枚の薄板を貫通すると、電容器が放電し、絶縁材料が熱を受けて急速に膨張して両側に向け薄い金属板を押し、もって射流や弾芯の進行方向を妨害する。電気装甲は高エネルギー密度の高圧電容器グループを必要とする。ひとたび電容器グループのエネルギー密度が20兆ジュール/立方mに達すれば、未来の全電動戦車はすぐにこの種の電気装甲を採用することになろう。その時になれば戦車の運動エネルギー弾や成型炸薬弾に対抗する能力は非常に大きく増強される(頑住吉注:将来は純電気駆動の戦車が登場、あるいは主流になり、戦車を駆動するのと共通のバッテリーで反応装甲も駆動させるようになる、ということですね)。

非運動エネルギー装甲

非運動エネルギー装甲は受動式反応装甲に属し、簡単に車両上に集積できる。これは例えば成型炸薬弾等のたぐいの化学エネルギー弾薬の攻撃を有効に防御できるが、運動エネルギー弾の攻撃は有効に防御できない。アメリカ陸軍研究実験室は、未来の新型非運動エネルギー反応装甲は中口径運動エネルギー弾の破壊に有望と考えている。

敏捷装甲

これは斬新な反応装甲技術に属し、センサー、小型処理機、反応装甲からなる。センサーは弾丸あるいは射流の位置と速度を確定し、小型処理機が反応装甲の最良の始動時期を確定する。安全性向上のため、反応装甲には鈍感高性能炸薬が使用される。



(頑住吉注:徹甲弾が貫通してきたら装甲板を跳ね上げて逸らしてしまおうということでしょう)

運動エネルギー転換装甲

運動エネルギー転換装甲は先進的な反応装甲技術で、運動エネルギー弾の攻撃を防御できる。作動原理は次の通りである。来襲する弾の貫通軌道に対し垂直方向に小さなスチールワイヤーを発射し、誘導弾を破壊し、飛行ルートからそらし、あるいは回転を発生させる。運動エネルギー転換装甲技術は戦闘中のプルーフがまだなされておらず、実際には多くの課題、例えばいかにして炸薬の重量を軽減するか、また多種の脅威に対抗するにあたりいかにして信頼性、耐久性を保持するか、にも直面する。

煙霧遮蔽技術

煙幕弾は依然として最もよく見られる対抗措置である。最初の煙幕弾は可視光の遮蔽を提供できるだけだったが、現在のマルチスペクトル煙幕弾は赤外線の遮蔽も可視光の遮蔽も提供できる。例えばGalix 13煙幕弾の有効波長は0.3〜14ミクロンである。赤外線の遮蔽は2種の異なる類型の煙幕剤によって実現できる。1つはそれ自体が赤外線を発し、熱粒子幕を形成するもの。もう1つは煙雲の形成、吸収、乱反射、反射の総合作用をなすものである。赤外線の波長とマッチするため、微粒子は可視光を遮蔽する煙幕剤が形成する粒子より大きいことが必須である。だが、現在使用されている一部の煙幕剤は有毒あるいは環境に対し有害である。このため国外では生物分解繊維や炭素粒子を採用して金属粉末の代用とする研究もなされている。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「MASKEマルチスペクトル煙幕弾(左下)が煙幕を発しているところ」)

最新型のマルチスペクトル煙幕弾の1つの実例は、スイスのルアガ弾薬社(旧スイス弾薬社)とドイツのラインメタル社が共同開発したMASKE煙幕弾である。この煙幕弾には2つの有効部分がある。1つは急速反応ユニットで、1秒以内に燃焼する赤燐と濃密な白煙で構成される熱輻射煙幕カーテンが形成できる。もう1つは遮蔽スクリーンユニットで、炭素粒子を含む赤外線と可視光線を遮蔽する煙幕を形成する。急速反応ユニットの閃光が形成する強烈な輻射は、サーモグラフィー照準器や自動誘導弾頭を飽和させることができ、しかも誘導弾の制御誘導システムの閃光追跡器も妨害できる。同時に、遮蔽煙幕はレーザー照準器のレーザー光束を吸収することができる。この他、MASKE煙幕弾には有毒成分が使用されていない。

煙幕弾は通常、車両から距離25〜45mの距離、地上4.9〜10mの高さで空中爆発し、もって迅速に空中に浮遊して拡散し、照準器の視線と脅威となる武器の飛行ルートを遮蔽しやすくする。もし煙幕弾がフラットな弾道で発射され、およそ45度の仰角で固定された煙幕弾発射器によって曲射弾道で発射されるのでなければ、より素早くこの点を実現できる。

煙幕弾発射器は通常車両の砲塔両側に装備され、左右方向、仰角はいずれも固定されている。このため、砲塔全体を旋回させることでのみ脅威の方向に向けることができる。このような速度では素早いとはいかず、戦術的にも受け入れ不能である。脅威の来襲方向に迅速かつ正確に煙幕弾を発射するため、素早く旋回できる発射器を採用する必要がある。イスラエルのIMI社はすでに率先して回転塔操縦多弾薬発射システム(POMAIS)を登場させている。

二次効果防御技術

戦車、装甲車両の装甲が撃ち抜かれた後、破片が機械部品を破壊し、また乗員を傷つけ、そして車内で火災を起こし、また弾薬を爆発させることを二次効果と総称する。二次効果が戦車、装甲車両にもたらす損失は非常に大きく、軽ければ乗員の負傷、機械部品の損傷をもたらし、重ければ車両が破壊され乗員は死亡する。第4次中東戦争においてイスラエルの戦闘に参加した戦車の中には、相前後して3、4回命中弾を受けても火災や爆発を起こさず、修復後継続して戦闘に投入されたものがあった。イスラエルの統計によれば、二次効果防御を未採用の戦車は命中弾を受けた後、約31%が引火燃焼し、引火後85〜90%の戦車が全焼した。一方二次効果防御を採用している戦車は命中弾を受けた後、15%のみが引火燃焼し、ただし全焼することはなかった。このため、二次効果防御は戦車、装甲車両の生存力向上に対し、重要な意義を持っている。

二次効果防御には主に次のものがある。装甲内張り層、動力室自動消火装置、戦闘室自動消火爆発抑制装置、車内の各室の隔絶など。装甲内張り層は戦闘室内に装備される一種の柔軟性を持つ粘合あるいは縫合された繊維織物(通常はナイロン、アラミドファイバー、ポリエチレン)で(頑住吉注:ケブラーというのはアラミドファイバーの商品名の1つだそうです)、装備される厚さは10〜30mmである。内張り層に対し要求されるのは、比較的高い引っ張り強度、良好な耐疲労能力を持ち、防火能力があり、溶けにくく、重量が軽く、加工成型が容易なことである。内張り層の主要な作用は破片の数量を減らし、破片の速度を低下させ、同時に熱の隔絶、騒音低下の作用もする。内張り層の中に防輻射材料を加えれば、中性子、γ線を防ぐ作用も果たすことができる。

エンジンが作動を開始した後、動力室内の温度は高くなる。燃料の油、潤滑油の漏洩により、動力室内は常に油霧が充満している。こうした状況下では、命中弾を受けなくても容易に火災が引き起こされる。動力室自動消火装置は通常火炎探知機、コントロールボックス、消火ボンベからなる。探知機が火炎信号を探知すると、即時に信号がコントロール機構に伝達され、コントロール機構が信号を発して消火ボンベを開いて消火を行う。戦闘室消火爆発抑制装置の構成は、動力室自動消火装置と基本的に同じである。

その他の二次効果防御措置には主に次のものがある。車内の各室の隔絶の実行は、動力室と戦闘室を隔て、戦闘室の予備弾薬を隔離室に隔離し、しかも隔壁にはあらかじめ裂けるポイントを設け、圧力が一定限度に達した時、ここから破裂して圧力を排出する。自封油タンクの採用は、油タンクが撃ち抜かれて小孔ができた時、自動的に閉鎖して燃料の漏洩等を防止できる(頑住吉注:第二次大戦時にすでに航空機の燃料タンク内にゴムの内貼りをし、弾丸が貫通すると熱でゴムが溶けて穴をふさぐシステムがありましたが、これに近いものでしょう)。

ABC防御技術

ABC防御技術とはすなわち核、生物、化学兵器を防ぐことで、通常三防と称される。戦車、装甲車両は特に優れた密封車体を持ち、核爆発時に生じる衝撃波、光の輻射、放射線の透射や放射性の塵および生物化学兵器に対し良好な防御作用があり、核、生物、化学兵器の乗員に対する傷害と機械部品に対する破壊を防止あるいは軽減できる。

構造形式に照らすと、三防装置は加圧式、個人式、混合式の3種に分けられる。加圧式三防装置は通常集体式三防装置とも呼ばれ、主に核輻射警告機、毒剤警告機、コントロール機構、遮断機構、毒濾過通風装置、密封部品からなる。戦車の殻体も密封部品の組成部分である。戦車が核、生物、化学兵器の攻撃に遭うと、警告機が警告を発し、コントロール機構が迅速に車両の出入り口や窓を閉じ、毒濾過通風装置を作動させる。車外の汚染された空気は浄化を経て車内に進入し、乗員の呼吸に供され、同時に車内に一定程度の大気圧を超える圧力を形成する。これを一般に加圧と呼び、もって車外の汚染された空気が車両の隙間から車内に進入するのを阻止する。加圧式三防装置を装備する車両の乗員は個人防護器具を装着する必要がなく、操作に影響がない。ただし車両の密封性に対する要求は比較的高い。

個人式三防装置は加圧式三防装置と比べると遮断機構がなく、ただしマスクや導気管等の設備が増えている。マスクは導気管を通じて全車乗員共用の毒濾過通風装置に連結されている。必要な時、乗員は防毒マスクを装着すれば即オーケーである。この種の三防装置は車両の密封性に対する特殊な要求はない。欠点は車内が汚染され、かつ乗員がマスクを装着するので操作に影響することである。

混合式三防装置は加圧式と個人式の結合体で、通常加圧式の作動状態で作動し、車両の密封性に破壊が起きた時に乗員がマスクを装着して個人防護状態に移行する。


 全体に説明が簡単すぎるのが残念ですが、非常にいろいろな新技術が登場しつつあることが分かります。日本はこうした技術進歩についていけているんでしょうか。












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