21世紀は「中国の世紀」か

 あと〜年で〜分野でアメリカを抜く、なんてことがよく言われてますが。

http://military.china.com/news/568/20150320/19403512.html


専門家:中国の世紀を語るには早すぎる 中国の軍事力がアメリカに追いつき追い越すのは余りにも困難

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「今後10年、中国を除くいかなる大国にもアメリカとの実力の隔たりを縮小する望みはない」)

現在「中国の世紀」を語るのは早すぎる

閻学通

19世紀と20世紀の某一時期、イギリスとアメリカは相次いで一極構造の中で絶対の主導的地位を持ち、このため「イギリスの世紀」および「アメリカの世紀」と呼ばれた。これにならい、「21世紀は中国の世紀になる」との判断をするには2つの必要条件を満足させる必要がある。すなわち世界に一極構造を形成することと、我が国が絶対の主導的地位を持つことである。現在中国が今世紀の残る85年内にこの2つの条件を同時に満足させるとは見られず、このため「中国の世紀」も語ることもできない。

我が国の総合国力はグローバルなものではない

我が国が2049年(頑住吉注:中華人民共和国建国から100年)に第2の100年の任務である「富強、民主、文明、協調の社会主義近代国家を完成させる」を実現しても、アメリカは必ずしもこのためにすぐスーパー大国の地位を失わない。国際構造は、大国の実力の対比と大国の戦略関係という2つの要素によって決定される。総合国力という角度から言うと、我が国の国力を構成する要素は不均衡である。我が国の経済はすでにグローバルな影響力を持ち、政治と文化は主に西太平洋地域に影響し、軍事的実力は最弱で、周辺防御性のものでしかない。例えば、今年ミャンマー軍機が何度も我が国国境内の国境地域住民の生命と財産に深刻な傷害をもたらしている。我が国の総合国力がアメリカに追いつこうとする困難は、経済的実力がアメリカを超えることよりはるかに大きく、軍事的実力が追いつき追い越すのは特に困難である。アメリカは戦争の実践を通じてその軍事能力を増強しており、我が国は訓練に頼って軍事能力を向上させている。両者の差は、「企業管理に従事する」のと「企業管理を研究する」のに似ている。

「ハード実力」と「ソフト実力」の角度から言うと、我が国の世界に対する影響力は主にハード実力の中の経済力量に頼っている。我が国のソフト実力はアメリカとで比較的大きな隔たりがあるだけでなく、甚だしきに至ってはドイツより弱いかもしれない。ドイツはヨーロッパの事務の上での主導的地位が明確であるだけでなく、しかも域外の非経済事務の上での影響力も非常に顕著である。例えば、訪日の期間、メルケルは新聞記者会見で面と向かって日本の首相安倍に歴史を正視すべしと警告し、ドイツの日本に対するソフト実力的地位が優位に立っていることをはっきり示した。我が国の指導者はまだ訪欧時に公然と訪問国の指導者を批判することはできない。

大国の戦略関係という角度から言うと、我が国はロシア、日本より良いだけで、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツには及ばない。ロシアとアメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、日本という5カ国はことごとく戦略的に対立する。日本と中国、ロシア両国は戦略的に対立する。我が国は日本、アメリカ両国と戦略的衝突はあるが、我が国とドイツ、フランスとの関係は日本とこの両国との関係より良い。例えば、ドイツの首相メルケルはこれまでの7年内に7回訪中し、訪日は1回だけである。

アメリカにも2つの大国(中国、ロシア)と戦略的衝突があるが、その戦略関係の質は我が国より良い。アメリカは同盟結成の原則を採用し、イギリス、フランス、ドイツ、日本とは盟友関係である。我が国は非同盟の原則を堅持し、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、ロシアとは協力パートナー関係である。アメリカには60の盟友があり、その中に我が国は含まれない。一方我が国の58の協力パートナー関係の中にはアメリカが含まれる。

政治的実力は総合国力の基礎

中国の経済発展の速度はスローダウンし、ある人はこれにより我が国の総合国力の増加速度は低下すると考えている。事実としては、中国共産党第十八次全国代表大会(頑住吉注:2012年)以来我が国の総合国力の増加速度は加速している。2010〜2014年に我が国のGDP増加速度は下降の趨勢を呈したが、2012年から我が国の総合国力の上昇はそれにもかかわらず前の何年かより早かった。2014年の東アジアサミットとG20サミットの正式集合写真の中で、我が国の指導者は初めてホスト国によってアメリカ大統領に比べてさらに主要な位置を割り振られた。2014年に出現した「中国の国防建設がアメリカに脅威を与える」および「2015年は中国の世紀元年」との言い方は、外部世界が我が国の国力の上昇加速を感じていることを説明している。

(頑住吉注:これより2ページ目)

総合国力=政治的実力×(軍事的実力+経済的実力+文化的実力) この方程式は、何故経済成長がスローダウンする条件下で総合国力がまだ急速に増長し得るのかを説明できる。反腐敗政策と奮発有為(頑住吉注:奮発して何事かをなさんとする)の外交政策は、内外両方向から政治的実力を向上させた。政治は操作性の実力であり、半分の労力で倍の成果を得る機能がある。ここ3年の国防建設の加速も原因の1つである。

我が国の経済規模はすでにアメリカの60%余りに達し、継続して高度成長できるか否かは、主に開放された政治路線を堅持できるか否かによって決まる。インドの開放実行は我が国に比べ10年余り遅く、その経済発展の加速も我が国に比べ10年余り遅かった。インドの開放の程度は我が国に比べて低く、その経済成長速度も我が国に比べ低い。経済成長速度が低下する時、政府は国家に壟断される部分の経済領域を外国企業や民間企業に開放し、即時に経済成長速度を高めることができる。1978年以来、我が国が開放した経済領域は不断に開拓展開され、国有企業、民間企業ともどんどん大きくなる。世界500強の中に中国企業がなかった状態から、2014年になると100以上があり、しかも80%以上は国有企業である。

長期にわたり開放されている国は長期にわたり開放されていない国に比べ国力が健全である。これはあたかも、気候が突然に変化した状況下で、常に屋外で鍛錬していた人は病気にかかりにくく、一方長期にわたり屋内で生活していた人はすぐ耐えられなくなり、甚だしきに至っては病気により死亡する危険があるようなものである。1978年以来、開放の政治路線は多方面から我が国の総合実力を向上させ、例えば人民の識別能力、企業の競争能力、政府の創新能力、党の偏向を正す能力を向上させ、3つの自信(頑住吉注:路線の自信、理論の自信、制度の自信。胡錦濤による)のために社会的基礎を固めた。開放は我が国の民族復興実現を保証しないが、開放せずは我が国が民族復興を実現できないことを決定づける。1949年以来の経験は、極左路線と極右路線はいずれも発展に不利だが、前者は後者に比べ破壊力がより大きい、というものである。

中米は同時にその他の大国との隔たりを引き離しつつある

今後10年、中国を除くいかなる大国にもアメリカとの実力の隔たりを縮小する望みはない。アメリカの総合国力はロシア、フランス、ドイツ、日本、ブラジルより大きく、しかも成長速度がそれらより大きくなることが有望であり、これにより実力の隔たりは拡大する趨勢である。インドの総合国力はアメリカの1/8に満たず、双方の絶対的な実力の隔たりも拡大する趨勢である。同じ理屈で、我が国の総合国力は世界第2位に位置し、成長速度がこれらの国と同じならもう継続して実力の隔たりを引き離すことを確保できる。しかも我が国の成長速度はそれらの国より速い可能性が高い。中米両国が同時にその他の大国との実力の隔たりを拡大し、このことは二極化の実力構造が形成される可能性を意味している。

大国の戦略関係の変化の趨勢は実力の対比の発展の趨勢に比べて複雑である。2011年に中ロ両国と西側の大国がシリア危機の上で対立を形成して以後、大国の戦略関係に「二極化」の兆しが出現している。2012年の中日釣魚島の争いは中ロの米日に対する東アジア戦略の衝突を形成した。2013年のウクライナ危機は中ロの戦略協力を強化し、同時にアメリカとEUの戦略協力をも強化した。現在東アジアの二極化はすでにはっきり現れている。安全保障の上では中ロVS米日の態勢である。貿易の上では米日はTPP方案を提唱し、中国はRECP方案を支持している。金融の上では、中ロが建設するBRICs諸国(頑住吉注:ブラジル、ロシア、インド、中国)銀行は米日を含まず、一方米日とも中国が提唱するアジア投資銀行には不参加である。アメリカはさらに韓国、オーストラリアなどの国に参加するなと説得している。

このような態勢の下で、東アジアの中小の国の安全戦略にはすでにどちらの側を選択するかの趨勢がある。モンゴルは中ロに頼るしかなく、カンボジア、ラオス、マレーシア、タイは中国に接近する。ミャンマーと北朝鮮は我が国と距離を離しているが、まだアメリカに頼ることはできず、フィリピン、シンガポール、韓国、ベトナムはアメリカに頼っている。インドネシアとブルネイは趨勢を見ており、大きな流れに従う政策を採る準備をしている。東アジアの二極構造にはアジア太平洋地域全地域に拡散する勢いがある。オーストラリアは戦略上米日両国との協力を選択し、ブラジルは中国と戦略協力を行うことを選択している。

だがこのことは改めて冷戦に向かうことを意味しない。前世紀の冷戦は3つの必要条件の上に建立された。相互の核による威嚇、イデオロギーの衝突をメインとする矛盾、代理戦争をメインとする競争手段である。核による威嚇が継続している条件下で、中米の現在の核心的矛盾はイデオロギーの食い違いではなく国際的ルールの争いであり、競争の手段は代理戦争ではなく科学技術発明と友好関係の競争である。国際的力量構造の変化と共に、世界の中心はヨーロッパから東アジアに向かって移行し、世界の主導権はアメリカによる主導から単一の国による主導なしに向かって変わり、国際規範はヨーロッパ基準から多元化された基準に向け発展変化している。世界的組織の作用が低下する際、地域組織の作用は高まっている。いかにして新たな国際力量構造の下に国際新秩序を建立するかは、日増しに現実的な国際政治問題になる。(作者は清華大学現代国際関係研究院の院長)


 尖閣問題でロシアがはっきり中国側に立っているような記述などが気になりますが、何が何でも中国万歳という立場の筆者ではないので比較的説得力を感じます。これは3月20日付の記事ですがアジア投資銀行に関しては数日でもう中国圧倒的有利の流れがほぼ決定づけられており、日本の舵取りは今後さらに困難になっていくんでしょうね。


















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