最良の小銃/機関銃共用弾薬は存在し得るか

 「中国の新小銃弾薬 DBP10」の中に、こんな記述がありました。「最良の口径の小銃弾薬は存在するのか否かという問題に関しては、以前の別の文章〜(ブログ内にある。自分で探されよ)の中ですでに比較的詳細な分析を行った。真正の最良口径は確定することが難しい。何故なら銃器の種類ごとに用途、性能とも異なり、1種類の「最良」を強硬に指定すれば、その最終的な結果は、何らかの種類の特性を比較的良好に発揮させることもできず、同時に新たな弊害ももたらされる、ということに他ならない。つまり通常言うところの「あぶはちとらず」である。」 この人の評価は、軍当局と関係が深くメリットしか書かない中国の専門誌とは違い、多くの面で共感できるものだったこともあり、そちらも読んでみました。なお、この文章には後記がありますが、むしろ初めに読んでもらった方がいいと思います。「注:この文章はかつて「乱花漸欲迷人眼・アメリカの新型小口径弾薬と「最良口径」の選択」の題名で「軽兵器」2006年第4期で発表した。5年の時間が過ぎ、実践は当時の文章中の判断に間違いがなかったことを証明した。」 ちなみにこの文章中でも重要な論点となっている6.8mm SPCに関するドイツの銃器雑誌「Visier」の記事を私が紹介したのは2004年4月のことでした。

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アメリカの6.8mm小口径弾薬と「最良の口径」の確定について語る

(頑住吉注:原ページの最初の画像のキャプションです。「数種の6mm口径前後の実験的小銃弾薬。左から右に、アメリカの6mm XM732普通弾薬、アメリカの6mm SAWアルミ薬莢小銃弾薬、イギリスの6.25mm小銃弾薬、スイスの6.45mmx48 XPL小銃弾薬、ドイツの6.5mmx43小銃弾薬、アメリカの6.8mm SPC小銃弾薬、6.5mmグレンダル小銃弾薬および比較用の5.56mm M855小銃弾薬」)

1960年代からアメリカ軍は正式に5.56mmのM16小銃を装備し始め、この影響力の非常に強い小口径化の風潮は現在まですでに半世紀近く持続している。この間に相前後して数多くの優秀な小口径軍用小銃弾薬および関連する銃器が誕生した。だが、小口径小銃の発展にはずっと持続的な論争がつきまとっている。その論争は終始軍用小銃の最良の口径の確定というポイントに集中していた。アフガニスタン、イラク戦争の中で、アメリカのM4A1カービン銃とM855小銃弾薬のターミナルエフェクト上のパフォーマンスは満足しきれるものではなかったので、その後6.8mm SPC小銃弾薬および対応する口径の小銃が出現し、しばらく前には6.5mmグレンダル(Grendel)弾薬もデビューした。2種の新弾薬がひとたび出現するや、すぐに大きな話題になり、すぐにでも5.56mm口径に取って代わることが大いにありそうな勢いで、NATO軍全体の口径に即革命が起きるまでに波及するかのようだった。では実際の状況は本当にこうなっただろうか?

この問題に答える前にまず5.56mm口径の歴史を回顧してみよう。40年余り前、アメリカの図体の大きい兵隊が、長く重いM14自動小銃を持ってベトナムのジャングルの中でAK47を使用する敵と撃ち合った時、自動小銃の時代において7.62mmx51NATO(T65)のような大威力小銃弾薬は間違いなくすでにいささか時代遅れであることがやっと理解された。だがアメリカ人はドイツ、ロシアがかつてそうしたようなやり方はせず、独自の中間威力小銃弾薬を発展させる道を行き、軽く小さく高速の弾丸を持つ5.56mmM193小口径小銃弾薬を採用した。したがってアメリカは全世界で小口径軍用小銃を装備するさきがけとなった。これ以前にはこのような小口径はスポーツ競技やハンティングにしか使われていなかった。今に至るも、当時のアメリカの小口径小銃弾薬選択過程に疑問を持つ人がいる。何故ならM193弾薬とM16小銃が頭角を表した大きな原因の1つは戦争の差し迫った需要を解決するためだったからだ。しかも当時のアメリカ人はこのようなAK47に対抗し得る別の小銃を登場させることが難しかった(頑住吉注:戦争によりこの種のものを早期に投入することが急務だったが、他になかったからこれが選ばれた、すなわち長時間のテストやトライアルで最善のものとして詰め切ったものではない、ということですね)。だが新しい5.56mm武器システムの実戦使用中、いくつかの伝統的な大威力および中間威力小銃弾薬とは比較にならない長所が間違いなく現れた。特に弾薬の重量が軽く、殺傷効果が強く、これはこの口径とM16系列が今に至るも使用され得ている主要な原因でもある。だが、M193弾薬には遠距離での貫通力が低すぎ、弾丸の安定性が悪く、特殊弾薬が比較的少なく、しかも加工工程性が劣るというはっきりした欠点が存在した。このためアメリカはこれを基礎に弾丸の重量を大きくし、貫通能力を向上させるスチールコアを加え、相次いでXM193およびXM777等の弾薬種類を改良し登場させた。だが、発射時に必要とされるライフリングピッチが異なるため、今度は共用性の問題が生じた。最終的な結果は、1980年10月28日、NATOがベルギーのFN社が研究開発したSS109弾薬を標準的NATO共用小口径小銃弾薬(アメリカはM855弾薬と称する)として採用するとの発表だった。この弾薬は弾丸の構造がM193とは異なるが、実際上は共用でき、これもこの弾薬が最終的に選ばれ得た重要な原因の1つだった。5.56mm弾薬の最新型はMK 262で、この弾薬は5gの重弾頭を採用しており、有効射程がさらにいくらか伸びた。この新弾薬はすでにイラクの戦場でテストが行われているとされる。だがSS109もMK 262も、M193のポテンシャルを充分に引き出し、もって比較的良好な威力および性能と同時に最大限の共用性を保持することを求めたものである(頑住吉注:共用性を無視してまで最善の弾薬を求めたものではない、したがって理想の弾薬は別にある可能性がある、ということでしょう)。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「世界で初めて正式に装備された小口径弾薬であるアメリカの5.56mm M193軍用普通弾薬の異なる速度での変形と破壊の状況。700m/s以下の速度ではこの弾には基本的に変形と破壊が発生しないことが見て取れる。」 初めて破片が分離しているのは652m/s、初めて弾丸が前後に大きく分離しているのは769m/sです。808m/sから947m/sまで大きく間が空いているのが残念で、850m/s前後、900m/s前後でどうなるのかが知りたかったところです)

イラクの前線からの公的な報告は5.56mm口径に対しまあ満足していると言えるものだったが、1989年からのパナマ戦争(頑住吉注:ノリエガ独裁体制に対する軍事侵攻)時にはアメリカ軍の中にすでにこの口径に対する遠回しな批判が多くあった。最も普遍的な意見はまさにこの弾頭は小さすぎ、やや遠距離での殺傷力は相手方が普遍的に使用している7.62mmx39弾薬に対抗できず、「5.56mm弾頭は連続して多数発が敵の体に命中した時になってやっと作用を起こし得る」というものだった。5.56mm弾頭の「炸裂」性殺傷能力は主に目標命中後の転倒と破砕から来るが、このような効果が起きる前提は高速での命中である。M16小銃の銃身長は508mmであり、「炸裂」効果が起きる有効距離は150〜200mである。だがアメリカ軍歩兵が現在主に使用するのはM4系列のカービン銃で、車両に出入りしやすくするため、また市街戦での携帯しやすさを保持するため、その銃身長は368mmしかなく、このためそうした効果が起きる距離もたった50〜100mにまで短縮している。これも何故アフガニスタンの山地作戦においてアメリカ特殊部隊のこの銃に対する反響がより過酷になっているかの原因である。こうした環境下では小銃の交戦距離は市街戦に比べずっと遠いからである。一方最新のXM8モジュール化武器システムの中のカービン銃の銃身長は318mmにまで短縮しており、この状況下では5.56mm弾頭の有効殺傷距離はやはりさらに一歩短縮されるだろう。同時に5.56mm口径は、例えば高速で疾走中の車両を停止させるといった任務を執行する時にも明らかに力不足である。だが、アメリカおよび多くの西側諸国が歩兵分隊の中に大量装備しているM249「ミニミ」のようにベルト給弾を採用した小口径機関銃はアサルトライフルやカービン銃と共に銃器ファミリーを形成し、弾薬は共用である。このため歩兵分隊の600m以内における小口径火力は相当に強く、しかもアメリカ軍はまだ7.62mmクラスの小銃弾薬を放棄しておらず、分隊、班には全てこれに対応する中口径汎用機関銃やスナイパーライフルが装備されている。遠距離目標や軽装甲目標に対処する時は、12.7mmクラスの大口径機関銃、アンチマテリアルライフルおよびグレネードランチャーがメインとなる。この他さらに迫撃砲や航空支援火力が補完のため加わる。このため5.56mm口径弾薬の欠点は大きく突出せず、逆にその重量、コスト上のメリットは実際のところアメリカにとって捨てがたいものにさせている。このため21世紀の新世代小口径武器改良計画の中で、いまだいかなるNATO現用小銃/機関銃用弾薬切り替えの提案も出てきてはいないのである。

目下しきりに騒がれている2種類の弾薬のうち、6.8mmx43 SPC特殊小銃弾薬はアメリカのレミントン社が研究開発したもので、SPCとは特殊用途弾薬(Special Purpose Cartridge)の略で、名称からこの弾薬研究開発の初志がすぐ見て取れる。この弾薬の弾頭の重量は7.45gに達し、M855の重量4g弾頭のほとんど2倍である。すなわちカービン銃を使用して発射しても遠距離の殺傷効果が保持できる。その特殊な設計はこの弾薬に、小銃の通常の交戦距離である射程300m以内での殺傷効果の最大化を達成させている。6.8mmx43 SPCの薬莢の長さは基本的に5.56mm弾薬と同じであり、600mにおける残余エネルギー量は最新のMK 262と比べて40%高く、後座力は7.62mmx39弾薬に近い。一方最近登場した「挑戦者」である6.5mmx39グレンダル弾薬はアメリカのアレキサンダー弾薬社が研究開発したものである。この弾薬の弾頭は9.3gまで重くなっており、1000mでの残余エネルギー量は7.62mmx51 M80弾薬に近く、後座力はSPC相当で、そのリムの直径はSPCと比べやや大きい。このため標準的な30連5.56mmマガジンに25発の6.5mmグレンダル弾薬しか装填できない。これにひきかえ6.8mm SPCなら28発装填できる。ただしSPC弾薬に少なくともまだ少し軍用弾薬の味があるとすれば、6.5mmグレンダル弾薬は正真正銘の民間用弾薬である。他のことを放棄しているとは言わないが、これに使用される例えばホーナディ、ラプア、NOSLERなどの種々雑多なマッチブレットだけから見ると、その設計の初志は精度を第一目標にしたマッチ専用弾薬であり、しかもこれらの弾頭の大部分は前収口技術で製造され(頑住吉注:画像とも合わせ、たぶんコアを前から入れて先端を絞る製造技術でしょう)、その非常に高い価格は金持ちである分鼻息荒いアメリカ軍でも受け入れ難いし、同時にジャケッテドホローポイント弾頭は実際に使用すれば国際条約違反の疑いもある。このため、6.5mmグレンダル弾薬も実用化された軍用でないことは明らかである。別の点を指摘すれば、上述の2種の弾薬の共通点は、いずれも民間用弾薬工場によって生産されていることである。普通弾の内部にはいずれもスチールコアはなく、トレーサーなどの特殊弾薬もない。少数の高精度小銃にだけ使用され、こうした小銃も全て民間用武器メーカーが生産しており、これらは全て制式軍用弾薬の特徴とは差異が大きい。

(頑住吉注:原ページのここにある1枚目の画像のキャプションです。「6.5mmグレンダルフルメタルジャケット弾薬、カッタウェイおよび使用される各種マッチグレード弾頭」 薬莢にセットされている弾頭はコアを後ろから入れるタイプですが、他は全て前から入れているようです。続いて2枚目。「5.56mmx45小銃弾薬(左)と6.8mm SPC小銃弾薬(右)の外観比較。標準的30連M16マガジン内に28発の6.8mm SPC小銃弾薬が装填できる。」 もともと30連のマガジンに形の違う弾薬を28発とか25発とか入れると、マガジンアウターとの間の摩擦も大きくなり、特に砂や泥が侵入した場合などにジャム率が上がるのではないかと思いますが)

種々の現象から分析すると、アメリカ軍は特殊部隊においてこの2種の弾薬を発射する小銃を少数試験的に装備し、もって5.56mmMK 262弾薬とさらに一歩の対比を行う、あるいは過渡的応急手段としてしばらく採用するかもしれないが、アメリカ特殊行動司令部が開発した特殊部隊戦闘アサルトライフル(SCAR)こそが1つの可能な選択肢である。しかしNATO制式弾薬として全面的に5.56mm口径から切り替えるというのは、あまりありそうにないことである。改良計画の中に言及がいまだないことの他に、目下アメリカ陸軍はちょうど4つの供給ソースから5.56mm弾薬を購入し、もってイラク戦争ゆえに急速に減少した在庫を補充しているところである。道理から言って、新しい弾薬のトライアルが決定すれば、現在の5.56mm弾薬の在庫減少はまさに1つの絶好のチャンスである。目下国外におけるこの2種の弾薬に関する宣伝は極めて盛んであるが、大部分は単にメーカーが自分たちの新製品の影響力拡大のためにとったビジネス上のテクニックに過ぎないのである。特に6.5mmグレンダル弾薬に関しては、その全面的な試験はなお未完であり、増してや正式装備までの距離ははなはだ遠い。

角度を変えて分析すれば、いかなる国も制式口径選択に対しては常に非常に慎重である。何故ならこれはただ単に弾薬と武器システム全体の性能に関係するだけではなく、その国の軍事工業システムの生産とも密接な関係があるからである。いかなる武器システムの口径変更というやり方も決して一朝一夕に完成し得るものではない。これには大量の資源と財力の消耗、および後方勤務、供給に対する圧力が関係する。NATO体制の中で武器標準化に関し決定的な発言権を持つアメリカに関して言えば、さらに慎重の中でも慎重になるだろう。しかも新口径選択の成否は、これに先立つ戦術指標確定の合理性と、口径選定の事前研究が非常に重要であり、その前にアメリカは少なくとも5.56mm MK 262、6.8mmx43 SPC、6.5mmx39グレンダル等の有り得る候補者に対し徹底的な対比試験を行い、もって将来の選択の便のための基礎を固めるだろう。同時に、これからの何年かは5.56mm口径の命運を決めるだろうが、この口径には依然改良の余地がある。アメリカは1950、60年代に大きな代価を費やして新型歩兵武器および弾薬の研究を行った。典型的なものには例えば斉射弾薬、フレシット弾薬、ロケット弾薬、分隊用自動火器システム(6mmSAW)、ケースレス弾薬等があった。この中のいくつかの技術は今日見てもやはり相当に先進的である。これらは種々の制約ゆえに、最終的にはいずれも単なる技術上の蓄えとなったが、現在の製品に対し行われる改良によって、新たな生命を獲得する可能性は排除されない。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「アメリカのアレキサンダー弾薬社が生産する6.5mmグレンダル小銃弾薬。スピアー社が生産する90グレイン「TNT」弾頭を使用する。」)

かつてある人が、アメリカは6.8mm、6.5mmという2種類の口径を基礎に、小銃/機関銃共用の弾薬を開発するのか否か、と問題提起したことがある。その答えは、難易度が高く、すでに行われた数種の試み同様何もなく終わる公算が高い、である。これは出発点としては良く、後方勤務、供給および軍事工業における生産が簡略化できるが、戦場における目標は千差万別であり、異なる目標および異なる射撃距離に対応するためには常に異なる要求があり、異なる銃器の弾薬に対する要求にも違いがある。だが目下歩兵が手にし、使用することが最も広く行われる4種類の銃器(すなわちアサルトライフル、分隊用軽機関銃、スナイパーライフル、汎用機関銃)のそれぞれの主要性能指標は相互に矛盾し、その1つを満足させれば直ちに他が満足させられなくなる。その中で最も典型的なのはやはり威力に関する矛盾である。もしアサルトライフルと分隊用機関銃の要求を満足させれば、スナイパーライフルと汎用機関銃の威力と殺傷効果は直ちに保証できなくなる。一方スナイパーライフルと汎用機関銃に合わせれば、やはりアサルトライフルと分隊用機関銃の重量と機動性が保証できなくなる。中国の5.8mmx42小銃弾薬の研究開発過程からは、このような理想的な弾薬を設計することがどんなに困難かがすぐに見て取れる。この弾薬の研究開発の出発点と要求は相当に高かった。特に威力に関する要求が主要な位置に置かれ、しかもアサルトライフル、分隊用軽機関銃、汎用機関銃およびスナイパーライフルに共用できることが要求された。だが試験は同時に多種の異なる銃器の戦術使用に合わせ配慮することはできないと証明した。後に完全共用の要求は放棄を迫られ、普通弾薬と重弾薬を同時に装備するという折衷的方法での解決が採用された。小銃と軽機関銃には普通弾薬を使用し、一方汎用機関銃とスナイパーライフルには専用に研究開発された重弾薬を採用するというものである。ロシアもかつて6mm弾薬をテストしたことがあり、しかも対応する口径の軽機関銃を開発した。だが後にはやはり同様に鳴りをひそめた。6.8mm、6.5mm新弾薬は威力の上で7.62mm大威力弾薬に及ばず、また重量、コスト、共用性の上で本来の5.56mmに及ばない。見たところほとんど上下通喫で(頑住吉注:非常に多用される慣用句らしいですが何故か意味を説明したページが見つかりません。文脈からして「欲張り(過ぎ)」でしょうか)、逆に帯に短し襷に長しになってしまう危険がある。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「M855小銃普通弾薬と弾頭(左)、および6.5mmグレンダルフルメタルジャケット弾薬と弾頭(右)の比較。後者の弾頭の外形と、はっきりした薬莢のボトルネックは明らかに民間用高精度マッチ弾薬の特徴を帯びている。」)

世界各国がいわゆる小口径弾薬の最良口径確定のために研究して数十年になるが、目下なお結果はいまだ遠く見えないままである。アメリカ、ロシア、中国という3大小口径流派の中で、資料からのみ対比して見れば、中国の5.8mmが優位をを占めているようで、この口径の汎用機関銃さえ出現しており、7.62mmクラスの武器に全面的に取って代わる趨勢さえある。だが5.8mmこそが最良の口径なのか否か? 答えは明らかにノーである。何故なら真の「最良」口径は存在しないのであって、現実に存在し得るのは「合理」的か、別の言い方をすれば「適合」するかに過ぎない。武器弾薬の性能に質的飛躍が起きないという前提の下では、いかなる国も気軽に現用の口径を改変することはない。このためいわゆる最良口径をめぐっての争いはある意味からすれば全く不必要である。口径の大小は実はどちらが上か下かの違いではなく、それぞれに利点があるのであって、重要なのはいかに比較判断して選択し、自分たちの戦術思想に符合するという条件下で大多数の状況下の使用需要を満足させられるようにするかであり、このように確定された口径こそが成功するのである。5.56mmの出現は偶然ではあるが、これがアメリカ軍歩兵の戦術思想と火力配置構造に「適合」したことの産物である。5.56mmは決して現代軍用自動小銃に最も適合しているわけではないが、数十年来アメリカと世界の多くの国がずっとこの口径を採用しているのであり、これでもうその実際の価値を証明するに足りる。6.8mmx43 SPC、6.5mmx39グレンダルがもし5.56mmの覇者たる地位に挑戦することを望むなら、前途には明らかにまだ長い通らねばならぬ道のりがある。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「数種の6mm以下の口径実験弾薬。左から右に、アメリカの5.56mmx45サボ付き徹甲弾、アメリカの3mmx47(.12US)小銃弾薬、ベルギーのFN社の3mmx50小銃弾薬、ドイツの4.3mmx45小銃弾薬、アメリカの4.3mmx46(.17US)小銃弾薬、ドイツの4.6mmx36小銃弾薬、イギリスの4.85mm小銃弾薬、アメリカの5.56mmx38FABRL小銃弾薬、スイスの5.6mm Eiger小銃弾薬。」)


 これがこの人の基本的な考え方であり、だからこそ小銃用普通弾薬と機関銃・スナイパーライフル用重弾薬を統一し得たとする新弾薬に対し、「そんな簡単なことがどこにあろうか!」と批判したわけです。新弾薬への評論文同様、非常に冷静で客観的な分析で好感が持てます。私は6.8mm SPCの記事を紹介した当時、これが主力弾薬になる可能性も相当あるように感じていたんですが。

 世界のどこの国も成し遂げていない歩兵弾薬の共通化を果たして中国は貫けるんでしょうか。











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