中国、アメリカのレーザー兵器を評する

 将来アメリカが中国に対し優位に立てる可能性のある兵器の1つですが‥‥。

http://www.hinews.cn/news/system/2014/03/15/016528933.shtml


アメリカの艦載レーザー砲は「最速の刀」 あるいは戦場に出現するかもしれないが御し難い

(頑住吉注:原ページのここにある1枚目の画像のキャプションです。「アメリカ海軍の『ポンセ』号上陸ドック輸送艦」 続いて2枚目。「米軍のレーザー兵器発展構想」 続いて3枚目。「アメリカ海軍がかつて試験したレーザー兵器」)

解放軍報は3月15日、最近ある報道はアメリカ海軍がこの夏「ポンセ」号上陸ドック輸送艦上に試験レーザー兵器の原型を配備するとした、と報道した。かつて無数の回数SF映画に出現した冷酷な「死の光」が現代の戦場に現れるかもしれないのである。

現在新概念軍事装備の中で理論が最も成熟し、発展が最も迅速で、最も実戦価値を持つ武器の1つである艦載レーザー兵器は一体どのような程度まで発展し、威力はどうで、将来どんな応用の見通しがあるのか? 本文の解読を見ていただきたい。

最速の刀は最も御し難い

1916年、アインシュタインがレーザーの原理を発見した。この光度が太陽の100億倍に達し得るビームには、人々によって「最も明るい光」、「最も正確なものさし」、「最速の刀」などの美名が賦与された。

「最速の刀」を御することを意図するそれぞれの軍事強国は、1960年代における初のレーザー装置登場から始まり、不断に戦場に応用可能なレーザー兵器を開発した。冷戦の時期、ソ連海軍はかつてレーザー装置を用いてNATOの飛行機クルーやヘリ飛行員を失明させた(頑住吉注:まじですか)。イギリスもかつてマルビナス島海戦(頑住吉注:フォークランド紛争)の中で初めてレーザー目くらましシステムを応用した。

だが、こうしたレーザー兵器はいずれも「ソフト殺傷」だけに限られた。低エネルギー固体レーザー装置には機能と威力の上での限界が存在したのである。ずっと後になって高エネルギーレーザー装置が出現し、レーザーによる「ハード殺傷」がやっと表舞台に登場した。

この方面において先頭を走る者は米軍である。1978年、アメリカ海軍が研究開発した先進化学レーザー装置が弾道の垂直方向において低空、高速飛行中の「TOW」式ミサイルを撃ち落とした。続いて、アメリカ海軍はまた兆ワット級の中波赤外線化学レーザー装置を研究開発し、かつ高エネルギーレーザーシステム試験場を成立させた。1989年、この試験場のプロジェクトは成功裏に垂直弾道方向において1機のマッハ2.2で飛行するターゲット機を撃墜した。

しかし、その後行われた来襲する目標に対抗する試験は失敗をもって終わりを告げた。その後非常に長い一定の時間、レーザー兵器がもたらす「熱暈」効果は終始解決できなかった(頑住吉注:ずっと後でですが説明が出てきます)。

1990年代になって、固体レーザー技術が生じさせるエネルギーは徐々に「ハード殺傷」武器が要求する千ワット級に到達し、やっと改めてアメリカ海軍の興味を呼び起こした。固体レーザー装置は安定性が良く、体積が比較的小さく、良好な艦載化の前途の見通しを持つ。ただ、固体レーザー装置には依然大気中の伝達で減衰する問題が存在する。

そこで、自由電子レーザー技術が時運に乗って生まれた。これはレーザーの波長の、異なる空気環境の中での自由な調節を実現することができ、発生する出力は兆ワット級に到達可能で、アメリカ海軍から最も発展ポテンシャルを持つ艦載レーザー兵器技術と見なされている。だがそれは依然一連の問題に直面し、例えば体積が非常に大きい、セットされる設備が未成熟、防護の要求が高い、等々である。

レーザーの艦への搭載、着実に推進される

当然、レーザー兵器に対し熱心なのは決して海軍だけではない。アメリカ空軍と陸軍いずれにもレーザー兵器の計画があった。だが、レーザー兵器の寸法と重量は比較的大きく、空中基地レーザー兵器の発展は制限を受ける。水蒸気、煙霧、砂塵などの影響を受け、陸上基地レーザー兵器も視距離外の目標を打撃することはできない。このため、艦への搭載がレーザー兵器の戦場へと通じる有効なルートとなったのである。

できる限り早く艦艇上に配備し使用するレーザー兵器を開発するため、アメリカ海軍は一方において継続的に自由電子レーザー技術の開発と応用研究を推進し、一方において固体レーザー技術に投資する力の入れ方を強化し、かつ固体レーザー兵器システムの研究開発を始動した。

現在、アメリカ海軍が研究開発中の固体レーザー兵器は、ラス固体レーザー兵器と光ファイバー固体レーザー兵器の2種に分かれる。ラス固体レーザー兵器の作動媒質は合成結晶材料から構成される片状ラスで、一方光ファイバー固体レーザー兵器は柔軟で強度のある光ファイバー材料を媒質に使用する。

2010年、アメリカ海軍は相次いでラス固体レーザー兵器の追跡システムに対し、海上テストおよび固定目標を攻撃する海上試験を行った。しかも次の年には成功裏に小型艇目標との交戦試験を完成させた。その後、このシステムは4年にわたる全出力工程および製造開発段階に入った。

「ポンセ」号が間もなく装備するのは光ファイバー固体レーザー兵器であり、これを水上艦艇の近距離防御システムとして使用し、主に光電子センサー、無人機、光電子制御誘導ミサイルなどの目標への対抗に用いられる。このシステムの設計上のビームの出力は33キロワット、波長は1.064マイクロメートルで、大気波の妨害を避ける1.045マイクロメートルに近い。

このシステムの初のサンプル機はかつて一連の試験に参加したことがある。海上における環境模擬試験の中で、かつて0.5海里離れた剛性充気艇に対する攻撃の効果をデモンストレーションし、かつ成功裏に5機の無人標的機を撃墜した。これは世界で初めて艦船に搭載した固体レーザー装置から強いレーザービームを発射したものであり、長期にわたりレーザー兵器を困らせてきた伝達による減衰の問題がすでに比較的良好に解決されたことを示している。

アメリカ海軍が「ポンセ」号の上に「レーザー兵器システム」を装備する計画は、このシステムの出力を100キロワットまで増加し、システムの技術的成熟度を目下の6級から7級まで引き上げる、すなわち実験室環境から戦場環境のテストに向かわせるというものである。

優勢は顕著で前途の見通しは魅力的

アメリカ海軍の「艦載レーザー兵器システム」は2017年前後にひとまずの作戦能力を形成し、かつ現有の武器と組み合わせて使用し、多層、多機能、多位一体の高い効果の防御兵器システムを形成し、したがって非常に魅力的なレーザー兵器の応用の前途の見通しを描き出す見込みである。

確かに、通常の武器に比べてレーザー兵器には多くの性能の優勢がある。

発射のコストが安い。艦載レーザー兵器発射、使用のコストは1発あたり約1アメリカドルとされ、一方アメリカ海軍の近距離防空迎撃ミサイルの発射コストは大多数100万アメリカドルを超え、中、遠距離対空および対ミサイルミサイルの発射コストはさらに高い。

弾薬が無限である。通常の艦載武器システムは数量が限られた迎撃ミサイルしか装備できず、ひとたび使い尽くしたら改めての装填の必要があり、必然的に作戦反応時間に影響する。電力によって駆動されるレーザー兵器は連続して電力を供給し、かつ持続的な冷却能力を持ちさえすれば即絶え間ない目標迎撃が実現できる。

攻撃速度が速い。レーザービームは高速をもって直線的に伝達され、瞬間的に目標に命中でき、かつ1つの目標に命中した後、数秒以内に改めて次の目標が照準できる。末端段階の飛行の軌跡が複雑な対艦ミサイルなど高機動空中目標に対し、レーザー兵器は伝統的な艦載対空ミサイルシステムに比べより優勢を持つ。

連帯損傷が小さい。レーザー兵器は正確に打撃できるだけでなく、発射される光の点の寸法、直径がたった数cmで、目標を攻撃後一般に周囲のその他の物体に傷害をもたらさない。しかも艦艇が港に近い海域で防御武器を使用した時、目標に命中しなかった砲弾の落下が港区域にもたらす可能性のある連帯損傷も避けられる。

打撃効果がコントロール可能である。レーザー兵器は直接目標を破壊できる他、さらにレーザービームの威力と照射時間を調節するなどの方式により、目標に対し非致命性の殺傷を実施し、相手への警告、妨害から、活動能力や脅威を喪失させるまでなど、異なる打撃効果を生じさせることができ、用途が伝統的艦載武器に比べより広い。

実戦へと向かう困難は非常に重大

現在見たところ、レーザー兵器は空中および海上の小型目標に対する防御に最も前途があり、最も天然の優勢も持つ。だが、艦載レーザー兵器の応用の前途の見通しには見るべきものがあるが、実戦に用いるには依然多くの技術的難題の早急な攻略を待つ必要がある。これらの問題は、非常に多くがまさにレーザー兵器固有の特徴が源である。

例えば、レーザーは比較的長時間内1つの方向に向けて連続射撃される。このことはレーザービーム周辺の空気の温度を上昇させ、したがってレーザービームの屈折およびビームの寸法の拡大、焦点の散大と拡張を発生させる。この種の「熱暈」と呼ばれる効果は、レーザー兵器が1つの方向に向け、真っ直ぐに来襲する目標に対抗できなくさせ、打撃効果を低下させる。現在、セルフ適応光学を採用して「熱暈」効果を打ち消すなどの措置を提案している人がいるが、いずれも研究中である。

レーザーは直線的にしか走れないので使用中例えば視線が遮られる、あるいは高速運動する目標に遭遇した時、追跡して照準する難度は非常に大きく増加することになる。例えば、艦載レーザー兵器は小型艇の攻撃に対応する時、もし小型艇が比較的高い波に遮られたら、迎撃の難度は非常に大きくアップすることになる。

レーザービームは1回で1つの目標しか攻撃できないので、一定の時間内にレーザーは比較的多くの目標を破壊できるが、単一のレーザー兵器がもし敵の多種の武器が同時に発起する飽和攻撃に対抗するとしたら、比較的大きな難度が存在する。

レーザービームの伝達距離が増加するにつれ、レーザーのパワーの密度は不断に低下し、殺傷力もこれにつれ衰弱する。もし千ワット級のレーザー兵器を用いて装甲防御、焼蝕材料(頑住吉注:セラミックみたいなもの?)、高反射性機能材料を採用した目標と対抗する時は、損傷効果はさらに一歩低下する。高速旋回やロール運動して来襲する目標に対しては、レーザービームがその目標の固定された位置に持続して光斑を形成できないため、同様に殺傷効果は低下する。

上述の難題の他、艦載レーザー兵器は持続射撃時非常に大きなエネルギーの消耗を必要とし、強大なエネルギー貯蔵システムの配備が必須であり、しかも艦艇の動力システムに対する要求が非常に高く、非常に大きな体積は「寸土寸金」の艦上のスペースに対しさらなる挑戦である。このことから見て、レーザー兵器が常備される兵器として現代の戦闘艦に搭載されるには、前途は依然非常に長い。

(原題:アメリカ海軍のレーザー兵器試験を透視する:最速の刀は最も御し難い)


 問題とされている高速運動する目標、多数の目標、波で遮られた目標への対応の困難さはミサイルよりは優れていると思われ、問題として挙げるのはどうかという気もします。例えば回転によって弾道を安定させるロケット弾に照射した場合効果が低下するというのは気づきませんでしたが、実際問題としてどの程度大きな問題かはよく分かりません。いずれにせよ従来の兵器もレーザー兵器も持っていれば、従来の兵器しか持っていない相手に対し有利になるのは間違いないはずです。












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