九四式拳銃(擬似ブローバックバージョン)製作記

これは九四式拳銃の製作情況をリアルタイムでお知らせしたものです。なお、他のページと重複する画像は削除しました。


 次期新製品は九四式拳銃に決定しました。ご存知のように九四式はすでに一回モデルアップしています。前回は実銃の構造や機能を最大限にリアルに再現することを目指し、プラキャスト製ガレージキットとしてはこれ以上は難しいだろうという線で製品化できたと思っています。今回の製品は前回の改良型ではありません。PSSと基本的に同じシステムの、スプリングの力のみで1発だけブローバックのような動きをするものです。他の部分のリアリティーの追求は前回行いましたし、オートによる排莢アクションはそれだけで非常に難しいものなので、今回はギミックはこれ1点に絞ります。構造的なリアリティーは一切無視しますし、ショートリコイルもせず、セーフティもマガジンも固定です。独立した製品というより、前回の製品と合わせて1セットといったものになるでしょう。

九四式製作途中1

 今は基本メカができたところです。全体にスリムな銃なので肉厚が確保しにくい、PSSよりカートリッジがはるかに短いためスライドを後退させるスプリングの有効ストロークも短くなる、排莢方向が真上なので重力に逆らって排出されることになる、PSSはマズル部分がフレームと一体でスライド後退のための強いスプリングが強固に保持しやすかったが九四式ではフローティング状態のバレル前部で保持しなくてはならないなど、難易度でははるかに上になります。また、メカ自体はずっと単純になりますが、フレームのアーチ部分、その真下のフレーム内部を型で抜く困難さは前作と同じです。前作のものは使い切ったので、グリップ固定ネジとリコイルスプリングも新たに注文しました。価格は前作より安くなるはずですが、大きな差はないと思ってください。
 現在、作動には写真のマルシン製カートリッジ式ブローバックガスハンドガン用金属カートを使っています。メーカー純正の金属カートもあったはずですが、これは確かどこかのショップ製だったと記憶しています。大リーグボール養成ギブスじゃないですが、これは真鍮製でけっこう重いので、これが充分な信頼性を持って排出されれば、プラキャスト製のカートはそれ以上に勢いよく飛んでくれると思います。製品にはプラキャスト製のオリジナルカートを付属しますが、持っている人は金色の金属カートも使用できるということです。新たに入手するのは困難かもしれませんが、こういうものを欲しがる方は持っている可能性が比較的高いだろうと思います。ちなみに弾頭部分がゴム製のマルシン純正ノーマルカートはシステム上使えないです。また、実物ダミーも後部が太すぎますし、リムの段差が小さいので使えません。
 一緒に写っているのは中田商店のホルスターです。私は軍装品に全く興味がないので知らなかったんですが、いつのまにやら九四式の後期というか末期というかの布製ホルスターが出ていたんですね。1944年末製という設定の製品を入れるなら革製よりこちらの方が合っています。布製なのに革製と値段が変わらないのに「?」と思いましたが、まあ元々革製がちょっと考えられないくらい安いですし、これ自体内容に比して高いという気は全然しません。製品は実銃や前作よりやや幅が広くなりますが、ホルスターには問題なく入ります。
 発売は新年1月上旬を目指しています。

11月29日

 細部の造形を行っていますが、やはり作りにくい形の銃です。作動は非常に好調でまったく排莢不良はありません。ただ、PSSに比べるとやや弱いスプリングしか使えない、有効ストロークが短い、排莢方向が上ということもあって勢いはどうしても弱めになります。そして、真上に排出されず、かなり後ろ寄りに排出されて手首とひじの中間あたりに落ちてきたカートが当たるのがどうにかならんかなと思っています。九四式の場合、デザイン上エジェクションポートにカートを放り込み、ボルトを押し込むだけでスムーズにチャンバーに入ってくれないと都合が悪い(エジェクションポートが小さいのでカートのお尻の位置などを指を突っ込んで調整しにくいですから)んですが、まあ問題なさそうです。写真は説明のためスプリングを抜いているわけではなく、一応ホールドオープンし、この状態でカートを入れやすいようにしています。前作同様ストロークはやや短いですが。
 全体に幅が広くなると思ったんですが、よく見て比べないとわからない程度になりそうですし、一部今回の方が正確という部分もあります。

12月6日

 細部の造形がそろそろ最終段階に入り、あと少しでサーフェイサーをかけて仕上げに入ります。作動は絶好調で、試行錯誤もなく初めから1回も排莢不良はありません。ただやはりかなり後ろ向きにカートが飛ぶのが気になります。普通に肩の高さで腕を伸ばして水平に構えてトリガーを引くと、斜め後ろ上方に飛んだ金属のカートが顔の近くまで飛んでくることがあるので、軽いプラキャストのカートだと場合によっては顔に当たるかもしれません。エジェクターの高さや角度などを微調節してみますが、まあ排莢方向まで調節するのはちょっと難しいでしょう。場合によっては排出の勢いを弱めるしかこれを避ける方法がないことも考えられます。
 スライドの重さは軽い方がいいのか重い方がいいのかもよくわかりません。同じスプリングで後退させる場合、軽い方が有効ストロークの範囲までは高速で後退するはずですが、それ以後はリコイルスプリングの抵抗で減速しやすく、スライドが重い方が減速しにくいと考えられます。これは軽い弾は初速は速いが空気抵抗で減速しやすいというのと同じようなもんですね。原型とプラキャストの複製品ではスライドの重さがかなり違いますから原型のうちに調節してもあまり意味ないわけです。不要部分を空洞にしておき、複製品をそのままの状態とウェイトを入れた状態でテストし、最終決定するしかないでしょう。また、カートをエジェクターに当てるタイミングもできるだけ早い方がいいと思いきや必ずしもそうとも言いきれないようで難しいです。こちらも早めに設定しておき、必要なら後加工でエジェクターを削ることにします。
 スライドを後退させる強いスプリングを細長く肉が薄いパイプ状のプラキャスト製バレルで保持するのはとても無理なので、チャンバー部を「リードクッキングペーパー」で強化したプラキャスト製とし、ここに12mmアルミパイプを挿入、接着し、別パーツのプラキャスト製マズルで「栓」をするという方法を考えています。全体に強度が低いプラキャスト製ですし、今回の製品には撃発機構のようなものがまったくないのでこれで問題ないと思います。ちなみに前作のバレルは太さが10mm、今回は12mmとかなり違っていますが、実銃の太さはたぶん両者の中間くらいだと思います。
 今回排莢ギミックと無関係なギミックは極力排除し、シンプルで余裕のある製品にする方針ですが、セーフティはライブにすることにしました。セーフティをかけてホルスターに入れ、取り出し、セーフティを解除して1発発射する、という動きができるわけです。まあ九四式の場合実際にはこれでは危険なわけですが。ちなみに今回は「暴発機能」の再現はなしです。分解もホールドオープン状態でロックボルト(円筒駐栓または遊底止栓)を抜き、スライドは前へ、ボルトは後方へ抜くというある程度リアルなものになります。まあこれはこの銃のデザインではこれ以上簡単な方法がないというだけのことですが。

12月13日

 

 現在仕上げ作業中です。あと数日で型取りに入れるはずです。今回はメカをインナーフレームに収め、実銃にないピンなどを外部に露出させない形にしてみました。実銃より長いセーフティの軸もインナーフレーム内で保持されるので前作のように反対側の穴をふさいで表面処理する手間がありません。ランヤードリングは前作では太さ2mmのハンダを曲げて作りましたが、実銃より細く(ちょうどいい太さのがなかったんです)、強度も不足ぎみ(特にホルスター内で押されて曲がってしまうことが多い)なので今回は別の方法、グラスファイバーを鋳込んだプラキャスト製にする予定です。

12月25日
 今日試作第一号が完成しました。ということで

 まあ外観は当然旧作とさほど変わりませんが。型にはほとんど問題なさそうで、旧作より無理のないものになりました。構造的なリアリティは当然低いですが、外観上部分的に旧作よりリアルな部分もありますし、旧作にはなかったホールドオープン、そして何といっても排莢ギミックがあるのが楽しいです。
 マルシン用金属カートでの作動は絶好調ですが、プラキャスト製では排出方向や勢いが極端にバラバラで困っています。外観のリアリティなどのためやや形を変えたのがかえっていけなかったのかもしれず、全く同寸法のプラキャスト製カートの型を今作っているところです。
 発売はたぶん1月10日頃、キットの価格は旧作をやや下回る程度の予定です。完成品の価格は数挺組んでみて、必要な手間を見極めてから決めます。

12月28日
 マルシン用金属カートの内部の穴を埋め、複製したプラキャスト製カートを使用してみたところ、安定した排莢が得られるようになりました。最初に試したオリジナルのプラキャスト製カートは、当然この方がいいと思って寸法がタイトに詰めてありました。一方マルシン用はボルト前面にセットしてみると「これで大丈夫か?」と不安になるくらいルーズフィットです。理由はよく分かりませんが、自動で排出させる場合はこの方が調子がいいようです。ただ、手動で排莢させる方式に変える場合はこれではうまく排出されませんから、ボルト前面やエキストラクターを加工する必要が生じます。調子がいいのはいいんですが、軽いプラキャスト製カートは、散らかった部屋などで排出すると紛失の可能性が高そうです。今回は3個付属しようと思っています。
 ボルトはある程度重くした方が勢いよく排出されるようです。この方が手ごたえもあるのでボルトにはウェイトを鋳込むことにしました。ボルト、フレームへのウェイトの鋳込み方法は新しい方法で行ったので近いうちに紹介したいと思います。
 まだ決定ではありませんが、価格はキット9,000円、完成品19,000円を考えています。完成品では、手間がかかりすぎるのでバレルをシルバーに塗り分けることはしない予定です。



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