CS/LS06サブマシンガン

 中国製の、アメリカのキャリコやロシアのバイソンのようならせん形マガジンを持つサブマシンガン、CS/LS06に関するページの内容の紹介です。

http://www.gun-world.net/china/smg/cf05/lwsmg.htm

後に追加:ご指摘をいただきました。こちらも参照してください。


 このサブマシンガンは2002年の「兵器知識」(頑住吉注:中国の軍事雑誌で、表紙の雰囲気は日本の「軍事研究」誌に似た感じです)第8期で初めて公表された。当時発表されたのは初期型のみで、その後2005年5月10日に北京で開催された中国国際警察用装備および対テロ技術装備展において後期型が発表された。この銃の研究開発は2001年の05式5.8mm消音サブマシンガン(頑住吉注: http://world.guns.ru/smg/smg75-e.htm この銃はスペクターのような複々列50連マガジンを持っており、多弾数が要求されたらしいことが分かります)選定トライアルによって始まり、中国兵器工業総合会社の子会社である重慶長風機器有限会社によって研究開発と生産が行われ、(頑住吉注:次の節、ちょっと意味が分かりませんが、たぶん上の05式がトライアルに勝利したことを述べていると思われます)、トライアル後長風社軍品研究所がこれを原型として9mmサブマシンガンの設計を開始、92式拳銃の主任設計者である卿上升高級技術師が主任設計者を務めた。口径を変更したことにより、各部品の寸法、ボルトの重量、スプリングのテンション、後座エネルギー等の仕様を全て改めて設計しなければならず、さらに元々あったサイレンサーと給弾機構にも比較的大きな変更が加えられた。2005年後半には国営射撃場で輸出型のテストが行われた。

初期の報道では正式名称がずっと未公表だったので、報道された文章の中でこの銃は「長風9mm軽量サブマシンガン」とだけ書かれていた。実際にはこの銃は9mm口径に改められ、輸出用に研究開発する方向性となった時の最初の名称はQC-9だった。方案の基本の確定後にはさらにCF05と改名され、輸出型として正式に形が定まった時には正式名称CS/LS06式9mm軽量サブマシンガンと改められた。

CS/LS06サブマシンガンはストレートブローバック、オープンボルトファイアを採用し、ボルトの設計はボルトがバレルのジャケットとなる方式となっている。これはテレスコピックボルトと似ているが、ボルトがバレルを包む範囲がさらに広い。このため構造図に見られる閉鎖後のバレル露出(頑住吉注:外部に露出しているのではなくボルトに包まれていない)部分は短く、大部分バレルに包まれている。バレルがガイドとなってボルトが動き、このような設計によって銃の全長が短縮されている。この銃は56式サブマシンガン(頑住吉注:中国製AKコピーのことで、以前はサブマシンガンにあたる名称で呼ばれていたようです)に似た発射機構を採用している。セレクターが単射、連射、セーフティ、分解と4状態をコントロールする。フロントサイトとガードは1つの軸を通って左右調整ができ、フロントサイトは上下調整ができる。リアサイトはピープであり、高低の調整のみでき、射撃距離は50m、100m、150mとなっている。マズル部にはサイレンサーを装着でき、その長さは250mmである。銃全体は8つのユニットに分かれ、部品総数は62点である。

(頑住吉注:原ページにはここに構造図があります。部分名称は一番後ろのバットプレートから時計回りに、ハンマー、リアサイト、到位機、ファイアリングピン、マガジン、チャンバー、ボルトハンドル、抜弾歯、棘輪、らせんスプリング、フロントサイトベース、フロントサイト、銃口装置、バレル、手輪、ボルト、フォアグリップ、リコイルスプリングガイド、グリップ、セレクターです。「抜弾歯」はマガジン内の弾薬を動かす機能を持った部分、「棘輪」はギヤのようなもの、「手輪」はゼンマイを巻く際に手で回す部分ではないかと思いますが、正体不明の部品もあります。 さらにその下には92式拳銃も手掛けたという設計者卿上升の画像があります)

このサブマシンガンの最大の特徴は、変更可能な2ウェイ給弾機構である。マガジンには55連らせんマガジンと15連ダブルカアラムダブルフィードマガジンの2種があり、これらは別のルートで給弾を行う。最初の原理サンプルのらせんマガジンはバレル上方にはなく、銃の後部でストックを成していた。これはストックでもありマガジンでもある、1つで多用途のもので、取り去ることもできた。いくつかの平行したサンプルの試作、試験、改良を経て、この9mmサブマシンガン案は制式プロジェクトとしての立ち上げが許可され、主要目的を輸出用とし、この際の名称はQC-9軽量サブマシンガンとされた。(頑住吉注:ちょっと先になりますが、原ページのスペック表の下の画像を見てください。これがマガジンがストックを兼ねていたこの当時の試作品です。これだけでもユニークですが、それだけではありません。その下の2つの小さな画像をクリックすると拡大表示されます。この2つの画像では、グリップ内に92式拳銃のマガジンが入っているのが分かります。この銃は多弾数のらせんマガジンをメインとしながら緊急時にはピストルのマガジンでも射撃ができる、ミニミのような2ウェイの給弾機構を備えていたわけです。ついでなのでスペック表を先に示しておきます)

5.8mmx21型 QC-9 CF05
全長 ストック短縮時 398mm 398mm 405mm
ストック伸長時 598mm 598mm 588mm
全幅 64mm
全高 195mm
銃身長 232mm
重量(空マガジン含む) 2.1kg(サイレンサー含む) 2.2kg 2.2kg未満
初速 サイレンサー用弾薬 286m/s
普通弾薬 527m/s 400m/s 400m/s
有効射程 150m 150m 150m
マガジン容量 らせんマガジン 50発 50発 50発
ボックスマガジン 20発 15発

(頑住吉注:QC-9のらせんマガジン容量は55発の誤りと思われます)

その名がついてすぐさまQC-9サブマシンガンの改良が始まった。原型方案のらせんマガジンを後部に置く方式は一部の専門家が使用上いちじるしく不便であると見た。またマガジン取り外し以後、この位置には1つの空穴が出現し、ひどく見苦しかった(頑住吉注:マガジンを取り外せば穴が見えるのは普通ですが、この銃の場合らせんマガジンの性質上この穴がぽっかり大きく開き、ピストル用マガジンのみで使用する際には常に射手の視界に入る部分になるので気になった、ということでしょうか)。同時並行的なサンプルの改良を経て、マガジンがストックを兼ねる形式は改められ、マガジンは銃身上方に置かれた。(頑住吉注:次の文はサイトに関することですが意味不明です。ただしそんなに重要な内容でないのは確かです)改良後のサンプルは依然として2ウェイ給弾機構を採用しており、55連らせんマガジンがメイン給弾具、ピストルグリップ内に入る15連ダブルカアラムダブルフィードマガジンは補助給弾具とされた。フォアグリップは前傾から後傾へと改められ(頑住吉注:上部より下部が前にある形から後ろにある形になったということです)、前後のグリップは平行となった。ストックには2つの方案があった。すなわち、1つは回転折りたたみストック、別の1つは折りたたみ固定ストック(頑住吉注:伸縮式のようです)だった。ストックは折りたたみ後フォアグリップと重なり(頑住吉注:それは http://www.gun-world.net/china/smg/cf05/tyjfa2.jpg このタイプだけだと思いますが)、同時に光学照準器のマウントが増設された。

QC-9のらせんマガジンはアメリカのキャリコの前端給弾口式マガジンとは異なり、ロシアのバイソンの後端給弾口式マガジンと似ている。ただしバイソンは下から上に給弾するが、この種の国産サブマシンガンは上から下へと給弾する。主要構造には8条のらせん形ガイドくぼみの弾薬運搬転輪が採用されている。このらせん形ガイドくぼみは弾薬運搬転輪くぼみ内の弾薬の、らせんガイド板前進運動時の内壁との抵抗を減少することができ、給弾信頼性を高めている。マガジン後方にはさらに特別に装弾口が追加されており、ここから楽に直接装弾できる(装弾方向は弾頭を前に向ける)。この方式では指がマガジンスプリングのテンションに抗する必要が比較的低く、装弾後巻きバネ器を反時計方向に8回回せば即給弾可能となる。

補助給弾具は実際にはQSZ92式拳銃のマガジンであり、グリップ内に挿入される。2ウェイ給弾の設計目的は、兵士がらせんマガジンを撃ち尽くした後でもボックスマガジンを使用して火力制圧継続が可能にして緊急事態に対処できるようにし、その後らせんマガジンを交換するためだったとされている。ただしこの両種の給弾方式は同時進行できない。らせんマガジンを使用しての給弾時、グリップ内のマガジンは必ず第1のマガジンキャッチボタン位置に停留させておかなければならない。らせんマガジンを撃ち尽くした後、グリップ内のマガジンを第2のマガジンキャッチボタンの位置まで押し動かして初めてグリップ内マガジンを使用しての継続射撃が可能となる。結果的にこの種の給弾方式は方案の詳しい批評の進行中に否定された。機構が複雑化し、信頼性が低下し、しかももし戦闘中に射手が不注意にグリップ内のマガジンを第2のマガジンキャッチボタン位置まで押し動かしてしまうと、すぐさま故障が発生するからである。

論証と試験の繰り返しを経て、研制人員は最終的に2ウェイの給弾機構を取り止めた。合わせてらせんマガジンの容量を55発から50発とし、同時に発射機座も取り止め、発射機構はバレル座内に収納した。さらにバレル座とバレルの結合をリベット止めに代えて一体とし、これによりバレル座とバレルが分離していることによる精度安定差等の問題を解決した。それまでの発射機構には3発、2発バースト機能が加えられていたが、この検討の際にこの機能は必要性が低いと考えられ、使用人員もあまり好まなかった。このためバースト機能は廃止され、セミ・フルオートのみ残った。この改良の際にはさらに各種の特殊マウントが追加された。これにより精密射撃、夜間射撃、照準射撃、戦術妨害、サイレンサー等の機能が実現した。この改良後、QC-9軽量サブマシンガンはCF05式9mm軽量サブマシンガンと改名された。2005年に警察用装備展に展示されたのがこのCF05式で、当時グリップ底部はすでにふさがれていたが、グリップ内は中空のままだった。当時発表されたものはすべてサンプルに過ぎず、このためプラスチックパーツは(頑住吉注:射出成型ではなく)機械加工で作られ、表面は荒かった。

CF05のサンプルはその後国立射撃場での詳細な試験の後、高温、低温、塵、雨にさらす、川の水に浸す等の特殊試験の要求に基づいて、サンプル銃およびマガジンの信頼性に関する改良が進んだ。例えばマガジンは本来スチール製で不透明な素材だったのが透明なプラスチックに改められ、残弾の状態が視察できるようになった。ただしプラスチックの透明度と強度を同時に保証するのは容易ではなく、このためマガジンアウターの透明度には反復的に変更が加えられ、異なる段階で発表されたサンプルの透明度は常に異なっていた。同時にいくつかの操作性に関する改良も行われた。例えば兵士たちからは、マガジンキャッチボタンを後ろに押すのは不便である、また右側にあるセレクターを回すのにグリップを握った親指で操作できないという2つの問題が提出された。このためサンプルのマガジンキャッチボタンの前後移動は左右移動に変更され、マガジンの離脱を素早く行えるようになった。またセレクターは左側から右側に改められ、右手でグリップを握っている際には親指で操作しやすくなり、素早くセミ、フルオート、セーフティ位置の転換ができるようになった。この種の変更はわが軍の操作習慣に合致し、操作速度をさらに高めた(頑住吉注:いくらAK系に慣れているといっても右にセレクターがある方が早いとは思えません。また位置をもっと下にずらした方が指が届きやすく、アンビにもしやすかったのではないかと思われます)。

国立射撃場での定型試験後、(頑住吉注:辞書にない単語があって次の節意味不明です)たくさんの好意的な意見が提出された。彼らの提案に基づき、研制人員は銃全体の外形的美観性、人機効果(頑住吉注:辞書に載っていませんが人間工学のことではないかと思われます)等の方面でさらにいくつかの改良を進めた。例えばフォアグリップとトリガーガードがそれぞれ独立した等々である。

2006年5月、9mm軽量サブマシンガンは設計定型の承認を得、正式名称CS/LS06式9mm軽量サブマシンガンと命名された。

目下CS/LS06式は大量生産され、すでに公安や武装警察部隊の一部に装備されている。


 非常に意外な内容が多々含まれていました。この銃はキャリコのようならせんマガジンを備えており、キャリコが信頼性の問題で全く普及しなかったことから当然のように信頼性に関する疑念が生じます。しかし当初輸出用を主目的としていたのに国内で装備されることが決定し、現に警察特殊部隊のように信頼性の劣る銃を装備することが許されない部署に配備されていることから、最低限の信頼性を備えていることは間違いないと思われます。

 この銃が当初2ウェイの給弾機構を採用していたというのも驚きです。説明を読めば廃止されたのが当然と思えますが、変な銃好きとしてはこれを押し通してほしかった気もします。一般にはらせんマガジンだけ使える銃とし、裏技としてこんなこともできなくはない、という位置づけなら許されなくも‥‥ないですか。

 かつて中国の銃はデッドコピーか原型をアレンジしたものばかりで、そのアレンジも改悪としか思えないものが多かったですが、最近ではオリジナルデザインで、まあまあカッコいいんじゃないの? というものが出現しています。しかしサブマシンガンに50〜150mの距離調節サイトを備えたり、注釈で示したセレクターの位置など、ちょっとずれているんじゃないのかというデザインもいくつか見られますね。













戻るボタン