中国はX-47Bをどう見ているか

 「アメリカの無人機が太平洋地区の戦力バランスを変える‥‥?」の項目でも触れましたが、中国はアメリカの、中国のそれよりはるかに進んでいると見られる無人機を気にしています。あのページは「アメリカのX-47B無人機が太平洋地区の戦力バランスを変える」というタイトルでありながら、X-47B自体にはあまり触れられていませんでしたが、より詳しく評価したページが出てきました。

http://military.china.com/news2/569/20120818/17381051.html


中国海軍の専門家:X-47Bは未来の海空作戦モデルを根底から覆す可能性がある 

最近、アメリカの「週刊航空、空間技術」ウェブサイトは、第2機目のX-47B検証機が先月すでに初飛行を終えた、と報道した。一方第1機目のX-47Bは去年2月にアメリカのカリフォルニア州エドワーズ空軍基地で初飛行に成功している。

この、ノースロップ・グラマン社がアメリカ海軍のために研究開発した、外形がB-2戦略爆撃機に極めて似た無人機は、世界初の完全コンピュータ制御の「無尾翼ジェット無人操縦機」で、空母から発進して敵サイドに対し遠距離爆撃を実施し、打撃後再び自ら降着できる。

計画によれば、X-47Bは2013年に実際に空母上で降着試験を行うことになる。この機の将来の海空作戦モデルに対する影響を見くびることはできない。

設計構想はユニーク

実は、2005年にはすでに早くもX-47B型無人機はアメリカのノースロップ・グラマン社の研究開発序列に入っていた。だがこの機がアメリカ国防省の6.36億アメリカドルの契約を獲得したのは2007年になってのことだった。この機の研究開発過程には終始アメリカ国防省国防高級研究計画局、アメリカ空軍および海軍の共同参与の影があった。このことで、アメリカ海、空軍がいずれも敵軍の防空火力制圧に使え、電子戦攻撃実施、偵察および捜索任務が執行でき、それらが一体化した無人機を早急に必要としていたこともよく分かる。

軍、民間双方の共同の努力により、2008年3月、X-47Bの構造製造作業はすでに完了し、同年12月にサンプル機が正式にデビューした。X-47Bは人類史上初の完全にコンピュータ制御の無人操縦機であり、あらかじめプログラムするだけでこの機は自ら発進、目標の打撃、帰投、降着などの一連の動作を完成させることができる。

X-47Bは無尾翼レイアウトを採用し、全幅18.92m(折りたたみ後は9.41m)、全長11.63m、全高3.10m、空虚重量6,350kg、最大離陸重量20,215kgで、プラット&ホイットニーF100-220Uターボファンエンジンの単発を採用し、最大飛行速度は800〜1,000km/hである。

超強力な性能を持つ

X-47Bは多くの超強力な性能を持つ。第1に、この機は抜群のステルス性能を持つ。X-47Bの外形はB-2型ステルス爆撃機を相当程度踏襲した類似の設計である。B-2爆撃機はブレンデッドウィングボディ、無尾翼・全翼構造形式を採用し、主翼の前縁が機首部分につながり、主翼後縁は鋸刃型を呈している。機体、主翼にはグラファイト/カーボンファイバー複合材料が大量に採用され、表面にはレーダー波吸収塗装層があり、エンジンの噴射口は主翼上方に置かれている。この種の独特の外形設計と材料は、有効にレーダーの探知計測を避け、良好なステルス効果を達成することができる。

X-47Bも出色のブレンデッドウィングボディ、コウモリ型主翼、無尾翼設計を採用している。この機の上部表面はワンピース式の複合材料構造で、あらゆる設備が上部カバーの下に装備され、構造は非常に簡単である。機体には全部で6つの操縦面があり、これには4つの「はめ込み面」と2つの昇降補助翼が含まれる。「はめ込み面」は一種の小型収納可能式コントロール表面であり、分段方向舵に代わって方向安定性を提供するのに用いる。2つは主翼上部に位置し、残りの2つは主翼下部の対応する位置にある。主翼後縁が採用する分段方向舵に比べ、「はめ込み面」はより小さいレーダー反射断面積を持つ。加えてX-47Bの全幅、全長、最大離陸重量はいずれもB-2戦略爆撃機よりずっと小さいため、そのステルス性能はある意味から言ってB-2戦略爆撃機に比べさらに出色である。

第2に、この機は無人操縦の多くのメリットを持つ。X-47Bは主に既定のプログラムに従って自主的に飛行し、人員の遠距離操作コントロールに頼る度合がより少ない。大規模な研究とテストは、この機のナビゲーションソフトは相当に有効で、その性能はアフガニスタンの戦場で大活躍の「プレデター」無人機をはるかに超えることがすでに証明されている。

アメリカ軍の各種有人実戦機と比べ、X-47Bは必ずしも飛行員の体の受け入れ能力を考慮しなくてよく、このためその作戦半径はより大きく、滞空時間はより長い。アメリカ軍の規則によれば、アメリカ海軍航空隊の飛行員1名につき、毎回の空中作戦は最大10時間持続する。一方X-47Bは毎回30時間以上の空中作業が可能である。

無人操縦スタイルを採用したので、X-47Bはコックピットのスペースを省略し、有効積載荷重を最大限機載兵器に振り向けることができ、加えてアメリカ軍はすでに無人機空中給油技術を掌握しており、このことはアメリカ軍空母の遠距離打撃範囲を非常に大きく拡張することになる(頑住吉注:無人機の空中給油については「アメリカの無人機が太平洋地区の戦力バランスを変える‥‥?」で比較的詳しく触れられていました)。

さらに重要なのは、X-47Bがもし攻撃によって破壊されても人員の死傷がもたらされず、したがってアメリカの「武力を動かすコスト」が下がることだ。この機は無人操縦を採用し、夜間飛行、夜間着艦などの方面でアメリカ軍はX-47Bの夜間飛行プログラムを改良完備する必要があるだけであり、飛行員の訓練養成は必要とせず、アメリカ軍の夜間飛行、夜襲の危険係数が非常に大きく低下する。

第3に、相当に見る価値のある戦術技術性能である。X-47B実戦機は性能がずば抜けた空戦システムを装備し、アメリカ軍のために全天候の作戦任務を執行し有効な支持が提供できる。この機は良好なステルス性能と戦場での生存能力を備えているだけでなく、さらに各種センサー設備と内部兵器搭載スペースを装備し、連合作戦の要求を満足させられる。

(頑住吉注:これより2ページ目)

弾薬搭載量から見ると、X-47Bの2つの内部弾薬コンパートメントはそれぞれ1発の2,000ポンド級JDAM(頑住吉注:精密誘導爆弾)が収容でき、その弾薬搭載量は現在の無人機をはるかに超える。X-47Bの飛行性能は比較的高く、作戦半径が大きく、加えて卓越したステルス性能がある。同じアメリカ軍の各種現役実戦機と比べ、X-47Bの滞空時間はより長く、その1,500kmの作戦半径は空母戦闘群をより安全な位置に置くこともできるし、より深く内陸に入って打撃任務を執行することもできる。

さらにこの他に、X-47B最大のメリットはステルス防空突破にある。この機は非常に突出したレーダーおよび赤外線探知計測困難性を持ち、敵サイドの防空圏を突破し、航続の有人操縦作戦機のためにルートを切り開くことができることを保証する。

第4に、空母への搭載に非常に有利である。全翼レイアウトを採用したX-47Bの甲板を占める面積は比較的小さく、加えてアメリカのいくつかの大型艦載実戦機がすでに続々と退役しており、無人操縦艦載実戦機に多くの空間を残してくれている。

X-47Bの外形は精巧で、全長はF/A-18E/Fの67%しかなく、主翼折りたたみ後も69%しかない。アメリカ空母はX-47Bを搭載すれば、機の搭載総数は150機前後に達し得、加えてその長い航続距離、長い滞空時間、ステルス性、無人操縦などの特徴があり、この機はアメリカ軍空母艦隊の作戦能力を大幅に向上させることになる。

作戦スタイルを根底から覆す

「フォード」級空母の竜骨据え付けの初め、アメリカ海軍は2015年に初の制式艦「フォード」号と共に無人機を海軍に就役させるべきことを大胆に提示した。だがX-47Bは研究開発および試験過程で少なからぬ困難に遭遇し、後にアメリカ海軍はノースロップ・グラマン社との協力により力を入れ、この機のテストの進行度をはっきりと加速させた。計画によれば、この機は2013年に空母艦載試験を完了することが有望である。

X-47B艦載無人機が正式に艦に搭載される意義は、アメリカ空母艦載機の機種の空白を埋めるというような簡単なものでは決してない。この機には未来の海空作戦スタイルを完全に変える可能性がある。それは主に次の所に現れる。第1に、通信技術、機載ソフト技術、無線ローカルエリアネット技術のさらに一歩の向上により、アメリカ軍には将来、無人機と有人操縦実戦機との連合編隊スタイルが出現する可能性がある。

その時海空の戦場では、無人機が先に出動し、相手方の防空陣地、レーダー、飛行場などの重要目標を打撃し、一方有人機編隊は戦場外にあって相手方の空中支援をする戦闘機の迎撃を担当する。ひとたび制空権の掌握を確認すれば、有人機は価値あるその他の目標の攻撃に投入できる。

X-47Bの就役後は、F/A-18あるいはF-35C戦闘/攻撃機と合理的、有効なマッチングを行い、2機種のメリットの相互補完、連合作戦を実施することもできるし、ステルス性が良好、航続距離が大きいという突出したメリットを利用し、現役の「ニミッツ」級(今後の「フォード」級)空母の1,000kmの作戦範囲に比べずっと大きい海空域まで前に出て、まず相手方に対する打撃実施あるいは順繰りでの交戦を行い、一定の作戦効果を取得するのを待った後、さらにF-35C戦闘/攻撃機により後続の作戦行動を完成させることもできる。

第2に、X-47B艦載無人機は頻繁に自分の機動性が強い、隠蔽性が良好というメリットを利用し、相手に不意討ちをかけることができる。この他、この無人機は高、低空の出撃にいずれも優勢を持つ特徴を利用し、適時に艦載無人機の出撃高度、方向を変え、また機数を調整し、相手が防御に成功しないようにさせることもできる。

必要な状況下では、X-47B艦載無人機は機上の武器弾薬を撤去し、各種の探知計測、捜索、発信設備を装備し、長航続時間、中低空の遠距離偵察プラットフォームに改装することもできる。必要な時は衛星、空中の早期警戒機、高空偵察機などと完備され、相互連絡ある探知計測、偵察システムを組成することもできる。

第3に、今後海上試験回数の増加と訓練レベルの不断の増加につれ、将来X-47B艦載無人機は空母上でどんどん重要な任務を担当していく。この機の航続時間は30時間以上であり、有人操縦機をはるかに超える。その飛行高度は1.2万m、最大飛行速度は1,000km/hで、この機の多くの作戦機能はすでに有人操縦機を大きく超えている。まず、この機は基本的に航続時間の制限を考慮しなくてよく、空母から遠く離れた海空域まで飛んで作戦が行え、空母艦隊の安全を最大限保護することもできるし、作戦範囲を大幅に拡大させることもできる。

次に、有人操縦戦闘機の飛行員が受け入れることのできる最大の過負担は一般に10Gを超えない。一方無人機は20Gを超えることができ、甚だしきに至ってはさらに高くなり得る。このため、無人機と有人操縦戦闘機が対抗を実施すれば、無人機は往々にして比較的大きな優勢を占め、勝利する確率はすこぶる高い。

最後に、有人操縦戦闘機は絶えず飛行員の安全に関心を払うことが必須であるが、無人機は人員の死傷に配慮する必要がなく、負担がより大きい苦しく危険な任務に用い、もってアメリカ軍に戦場での「死傷者ゼロ」の実現を確保させることができる。その上無人機の1機あたりの製造コストも有人機よりずっと低くなり、もし損壊事故が発生しても、代償はずっと小さいことになる。

これにより、第4世代戦闘機と第5世代戦闘機の間を橋渡しするX-47Bは、まさに人々に対し不断にそのどんどん明るくなる前途を見せる、ということが分かる。


 この機は対艦弾道ミサイルの射程外から発進して重要目標を破壊することができそうですし、「そのためにアメリカ人の血を流すのか」という批判も避けることができ、今後の抑止力として大いに期待されます。おそらく模型飛行機に毛が生えたような中国の無人機がこのレベルに近づくには相当な時間がかかるはずですし。














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