稲垣式拳銃 より詳しい説明



 左右側面。急速にすぼまったようなスライド前部などそこはかとなく変な雰囲気だが、側面から見る限りユニークな構造の割には普通っぽい外観だ。


マズルには稲垣式の大きな特徴のひとつである12条という珍しいマイクロライフリングを表現してある。


エジェクションポートは前方がややすぼまった独特の形状。フロントサイトはごく小さい。全長に比してバレルが短くなる構造のためかバレルが少しスライドの前に突き出ている。




 セーフティは90度回転するレバータイプ。発射位置ではレバーの先端がフレームの段差から下にやや突き出す少し気持ち悪いデザイン。表示は当時としては珍しく「火」、「安」ではなく「F」、「S」。




 マガジンキャッチはグリップ後下部にあるいわゆるコンチネンタルタイプ。マガジンは制約上実物より上下が短い。残弾確認穴はリアルな印象にするため浅い穴でなく左右に貫通させている。




 マガジン上部には.32ACP実物ダミーがセットできる。ない場合はマルシン製、マルベリーフィールド製プラグファイアーカートも使える。




 分解するにはトリガーガードをこのように回して後部をフレームから外す。実銃でもトリガーガードの保持にはロック機構がなくテンションによっており、意図せず回転、脱落するおそれがあったらしい。




 トリガーガードを下に抜くとバレルとスライドが前方に抜ける。トリガーガードの保持が不安な点を除けば分解方法としても、また銃の製造も簡単な比較的優れたシステムで、当時パテントが取得されている(誰も真似しようとはしなかったが)。実銃ではリコイルスプリングが左右並列でスライド後部に収められていたが、製品ではストライカースプリングのように中央に配置した1本にアレンジしている。




 シアはスライドの後退をブロックする単純なもの。セーフティも軸の回転によりシアの下降をブロックするだけ。シア上端後部の段差はホールドオープン用で、後方の穴は固定ネジを締めるドライバーを挿入するため。シアの前にあるのはエジェクターで、実銃もブローニングM1910のようなファイアリングピンがエジェクターを兼用するシステムではなくフレームにエジェクターがあった。




 実銃にはホールドオープン機能はないと思われるが(どの資料にも明記はしていない)、製品はエジェクションポートにカートを入れやすくするためホールドオープンできるようにしている。シアによりスライドが後方で保持されるだけで、トリガーを引くとスライドは前進する。その後スライドをいっぱいに手で押し込み、トリガーを引くとスライドが勢いよく後退して排莢した後前進して停止する。




 排莢にはマルシン製プラグファイアーカートを使用する。











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