「84式拳銃」って?

 知りませんでしたこの銃。

http://military.china.com/news/568/20180416/32313270_all.html#page_2


ハイジャッカーの天敵 高空の衛士 84式7.62mm対ハイジャック拳銃研究開発の実録

楊金燿、1945年生まれ、1968年に華北工程学院(現在の南京理工大学)外部弾道学科を卒業、研究員級高級工程師。20項目あまりの科研プロジェクトに参加し、全部で各種奨励賞10項目あまりを獲得、その中国国家パテントは3項目、国家発明賞1項目、省級奨励賞2項目、所級奨励賞7項目である。84式ミニ拳銃プロジェクトの中で第1責任者を担当した。

1984年式7.62mm対ハイジャッカー拳銃システムには1984年式7.62mm拳銃と1984年式7.62mm拳銃弾薬(以下84式拳銃および84式拳銃弾薬と略称)が含まれ、1984年10月に鑑定を通過し、同年12月に定型が批准され、主に民間航空機安全防衛人員がハイジャックする暴徒に対応する使用に供する。この拳銃システムは我が国の科学技術人員が2年に満たない時間内に研究開発に成功した自主知的財産権を持つパテント製品である。

問題の提出

1970年代末、1980年代初め、ハイジャックの「邪」風が全世界をあまねく吹き、この種の環境の影響を受けたため、当時ハイジャック事件は我が国でもしばしば発生した。一部の人は犯罪ゆえ、愚かにも懲罰から逃れることを企図し、一部の人は社会への報復、影響を作り出し、国家の名誉を損なうため、大陸の民間旅客機を乗っ取って台湾、韓国などの地に飛んだ。こうしたハイジャック事件は人民の生命財産に重大な損失をもたらすだけでなく、さらに同時に劣悪な社会、政治的影響を作り出し、人々の心理に非常に大きな暗い影を投げかけ、社会の安定、国家の名誉と民間航空事業の発展に深刻に影響した。当時我が国の民間旅客機上には相応の安全防衛措置がなく、1つ目には安全防衛人員がおらず、2つ目には対ハイジャッカー武器装備がなく、このため機クルー人員と乗客の愛国心、責任感および聡明さと知恵に頼り、ハイジャック分子と知恵と勇気の戦いをするしかなかった。

任務の下達

頻繁に出現するハイジャック事件は、我が国の関連部門と上層の指導者の高度の重視を引き起こした。ハイジャック犯罪活動を有効に制止し、ハイジャック犯罪分子を打撃するため、中国民間航空総局は、民間航空機上に安全防衛人員を配置する必要があると提示し、我が国の関連部門ができる限り早く対ハイジャック武器を研究開発するよう希望した。兵器部は民間航空の急務を国家の急務とし、1981年7月、中国兵器工業第208研究所に、できる限り早く中国民間航空総局のために機上の対ハイジャック武器を研究開発し、ハイジャック暴徒に対応するのに用いることを要求した。研究所は任務に接した後、直ちに対ハイジャック拳銃・拳銃弾薬研究開発チームを成立させ、調査研究、資料収集、方案探索などの業務に着手し、かつ1981年末に設計方案、サンプル品の弾薬と初歩的試験結果を携えて民間航空総局に行って報告した。同時に、このプロジェクトを研究所の1982年科研計画に入れた。科研部門と民間航空総局、武装警察部隊は密接にコンビネーションし、指標の協議・決定を繰り返し、技術方案を不断に改良および完備させた。同時に、中国民間航空総局は上に向け「機上の防衛武器の配備と研究開発に関する報告」を提出し、当時国務院副総理の任にあった万里、ゲンビャオ同志はいずれも重要な書面での指示を行い、国防科学工業委員会の鄒家華、聶力などの指導者に具体的指示をした。その後、国防科学工業委員会は「機上防衛武器の研究開発実行問題に関する会議紀要」を下に向け発し、このプロジェクトを正式に国家科研計画に入れた。

基本的要求

我が国は初めて対ハイジャック武器の研究開発作業に関わるので、開始時には武器に対する要求が比較的模糊としており、中国民間用航空総局は対ハイジャック拳銃の戦術技術要求を大まかに提出しただけだった。すなわち次のようなものである。隠蔽した携帯の便のため、銃の体積は小さい必要があり、重量は軽い必要がある。何故なら飛行機が高空を飛行する時、機のキャビン内外の圧力差が大きく、飛行機が高空を飛行する安全を保証するため、銃弾は人体に命中しようとしまいと、いずれも現有の大型旅客機の機キャビンを貫通してはならなかった。ハイジャック犯を有効に制圧するため、銃弾がハイジャック暴徒の致命的部位に命中した時、有効な殺傷を達成できることが必須である。旅客機の客室内の人員は密集し、路線は密に分布しており、乗客を誤って傷つけることおよび設備を損壊することを避けるため、銃弾には良好な命中精度があり、犯罪者に命中した後、さらにその他の人員や設備を傷つけてはならない。

量化された指標

使用、研究開発および管理を行う部門は調査分析しながら研究開発試験し、それをしながら総括帰納し、徐々に大まかな戦術技術要求を具体化、数量化した。繰り返される協議を経て、対ハイジャック拳銃の戦術技術指標が形成された。

拳銃の外形:国外にはペン型拳銃、ポケット拳銃など小型軽便、隠蔽しての携帯がしやすい拳銃が出現したことがあるが、我が国の具体的な使用に関する要求を考慮し、また武器・弾薬の系列化、汎用性、生産、供給、使用の便利などの要素も考慮し、協議を経て、任務が急がれ、時間的に厳しい状況下では、拳銃は我が国がすでに広範に装備する64式、77式拳銃、あるいはそれに比べより軽くより小さい拳銃を用いてもよいとされた(結果的に84式対ハイジャック拳銃は64式、77式拳銃に比べ外形寸法は小さい)。

貫通に関する要求:我が国の大型旅客機はすべて国外製品で、生産国が異なり、機種が異なり、構造の際が非常に大きい。研究開発チームは当時の我が国の民間航空機だったボーイング707、ボーイング747、イリューシン18、イリューシン62、バイカウント(頑住吉注:イギリスのビッカース製ターボプロップ機)、トライデントなど大型旅客機の関連の構造資料と実物の構造データを広範に調査研究、収集した。そして機キャビンの最も薄弱な部位は主にキャビン頂部と窓であることを理解し、かつその構造の特徴を掌握した。そして機キャビン内空間の大小、そして武器使用時に機キャビンを撃ち抜くことが危険をもたらす可能性がある比較的合理的な下限距離を了解した。最終的に次のように確定した。「2m以遠の距離で、機キャビンの最も薄弱な部位と機の窓ガラスの外層構造を撃っても撃ち抜かない、撃っても裂けない」 「銃弾は現有の大型旅客機の機キャビンを撃ち抜いてはいけない具体的指標要求」 「試験距離は2m」 (頑住吉注:これらの関係がいくら読んでも理解できません。)

殺傷力に関する要求:飛行場の安全検査条件と機キャビン内の気象条件を根拠にすると、ハイジャック分子が重装備の防護服や器材を配備していることはあまりありそうにない。このため次のように確定した。銃弾は15mの距離内で、暴露した、あるいは一般の服装の人員の致命的部分に命中したら、それを死に至らしめることができること。銃弾の現有大型旅客機機キャビン内で有効に人体を殺傷できる具体的指標要求のため、試験距離は15m。

犯罪者に命中しても乗客を傷つけず、設備を損壊させない:最終的に次のように協議し決定した。弾丸が人体の主要な武器、すなわち人体の頭部、胸部腹部あるいは肢体などの部位に命中した後、銃弾は人体を貫通しさらにその他の人員や設備に傷を及ぼしてはならずこのため指標の具体的量化要求(頑住吉注:ちゃんとした文章になってない気がするんですが)。

検証の基準

周知のように、対ハイジャック弾薬の貫通力や殺傷射撃効果で、飛行機、人体の実物を用いて射撃試験を行うことはあり得ない。このため、各方の協議を経て、旅客機のキャビンの壁および機の窓を模した標準ターゲットおよび木の板そして生物を射撃する試験方法が採用された。これは対ハイジャック銃弾の貫通および殺傷射撃効果を検証するための検証基準である。

旅客機キャビン壁と機の窓を模した標準ターゲット:旅客機のキャビン壁を模した標準ターゲットには既定の寸法と保持方法があり、3種の材料によって組成され、内側には一層の0.6mm厚の人造皮革、中間は二層の5mm厚防音綿、外側は一層の1mm厚アルミ合金板である。

旅客機の窓を模した標準ターゲットには同様に規定された寸法と保持方法があった。二層の有機ガラスから組成され、内側の一層は厚さ3mm、外側の一層は厚さ10mmで、両者の間には一定の間隔があった。

人体を模したターゲットには以下のいくつかの方法があった。

伝統的な方法は、厚さ25.4mmの赤松板で1人の人体の厚さを模すというものである。もし弾頭がこの厚さの木の板を貫通できたら、人体が貫通できることを説明する。さもなければ人体は貫通できない。

防御あり、あるいは防御なしの豚、羊などの生物を射撃する試験方法を用い、その致傷効果を根拠に、人体に対する殺傷能力を分析する。

また、さらに現時点で比較的流行するゼラチンあるいは石鹸を用いて射撃を行い、弾頭の目標に対する破壊状況から人体に対する殺傷能力を分析することもできる。

技術の難関攻略

対ハイジャック弾薬に対する主要な性能要求は次の通りだった。比較的近距離で飛行機に対し比較的小さい貫通作用を有し、比較的遠距離では人体に対し比較的大きな殺傷効果を有するが、また人体を貫通してはならない。使用の需要から見て、この2つの方面はいずれも必要であるが、技術の角度から見ると、両者の間には非常に大きな矛盾が存在する。何故なら通常の運動エネルギー銃弾の一般的規律について言えば、もし近距離で貫通能力が小さければ、遠距離の殺傷能力は弱く、逆にもし遠距離の殺傷能力が大きければ、近距離の貫通能力は強くなるからである。このため技術難関攻略の主要な難点は、人体に対する殺傷威力は大きい必要があり、飛行機の機キャビンに対する貫通能力は小さい必要があるというこの矛盾を解決し、両者を協調させ統一させようというものだった。

拳銃のカギとなる重要問題は、体積の減少、重量の軽減、隠蔽された携帯に便利、使用が便利、射撃信頼性が高い、というものだった。

一般の拳銃弾薬の弾頭はエネルギー量が大きく、貫通能力が強く、人体を殺傷すると「団子状貫通」現象が出現する可能性があり、3mm厚の軟鋼板を打ち抜けると、飛行機上では使用できない。試験中、64式7.62mm拳銃弾薬を用いると、弾頭の運動エネルギーが36ジュールしかない(弾頭重量4.8g、初速121m/s)時でさえ、2つの標準ターゲットが貫通でき、しかも標準ターゲットを貫通した後まだ剰余のエネルギー量があった。また、銃口運動エネルギーが小さいため、64式7.62mm拳銃あるいは77式7.62mm拳銃を用いて射撃した時、スライドがいずれも定位置まで後座できず、射撃停止の故障が出現した(頑住吉注:36ジュールというとごく大雑把に狩猟用空気銃くらいと考えられ、装薬銃としては極端に低いです)。

通常構造の弾薬を用いたのでは上述の性能に関する要求が達成できないことが見て取れる。このため、通常を突破し、新原理、新材料を採用し、技術の難関攻略を行うことが必須だった。このため、研究開発チームは30種あまりの弾頭構造方案と10種あまりの装填条件の試験を経て、最終的に独特の弾頭構造方案を採用し、合理的弾道パラメータを配した後、軟組織に対し有効に殺傷でき、ハードな目標に対しては深刻な変形が生じて迅速にエネルギーを失い得る、比較的よく殺傷威力と貫通効果相互の矛盾という問題の解決を実現した。弾頭はゴムの先端部、鉛の詰め物、多くの縦溝をつけた弾頭ジャケットから組成され、かつ弾頭ジャケットの開口を前に向けて装填してあり、設計は独特で、構造は斬新で、思考は巧妙で、これは創新だった。

成功は顕著

84式拳銃は体積が小さく、重量が軽く、隠蔽しての携帯に便利だった。作用は特殊で、性能は安定し、操作は簡便で、使用は安全で信頼性が高かった。射撃時の後座は小さく、コントロールしやすく、射撃精度がよかった。材料のソースは広範で、生産技術が簡単で、生産への投入に便利だった。

84式拳銃は作用が特殊で、効果が理想的で、銃口運動エネルギーは61ジュールに達し、飛行機内での使用時、有効にハイジャック犯を殺傷することもできれば、また旅客機のキャビンの壁や窓ガラスを貫通もしなかった。

人体などソフトターゲットを射撃した時、弾頭は変形しにくく、容易に人体に進入し、比較的よい停止作用があり、有効に生体目標が殺傷でき、かつ盲貫銃創をもたらし、人体を貫通した後さらにそばにいる人あるいは設備に傷を及ぼしにくかった。特に筋肉や腱、骨や異なる器官にぶつかった時、受ける抵抗に突然の変化が発生し、弾頭に転倒、膨張など深刻な変形あるいは部品の分離が生じ、体内で迅速にエネルギーを放出し、肉体に対する破壊作用を増大させる。生物による試験は、防御なしあるいは厚手のシャツの防御がある山羊に対し射撃し、致命的部分に命中すれば有効に殺傷できることを示した。頭部や心臓の部位に命中すれば、1発で致命傷が与えられた。弾頭は肋骨を断って胸、腹腔に進入したが、盲貫銃創のみ形成し、貫通銃創は形成しなかった。弾頭は生物の体内で、ゴムの先端部と鉛の詰め物をした弾頭ジャケットという2つの部分に分かれた。

ハードターゲットを射撃した時は、弾頭は瞬間的に比較的大きな変形を生じさせることができ、ハードターゲットを容易に貫通しなかった。この時、一方においては弾頭のゴムの先端部に弾性があり、圧縮変形する時エネルギーを吸収し、目標に対する緩衝作用があり、目標に対する衝撃を減少させた。もう一方ではゴムの先端部は圧縮により径方向に向け太く変化し、縦溝をつけた弾頭ジャケットを迅速に開かせ、花弁型になった。鉛の詰め物も扁平な薄片に変わり、弾頭と目標の接触面積は約4倍に増大し、弾頭が目標に衝突する単位面積あたりの圧力を極めて大きく減少させた。同時に弾頭は抵抗面の増大によって速度を急減させ迅速にエネルギーを失い、目標に対する衝撃を非常に大きく減少させた。標準ターゲットに対する試験結果は、飛行機の外皮を模したアルミ合金の裏板には突起が形成されるだけで、破れも裂けもせず、飛行機の窓ガラスを模した外層ガラスは完全な状態で損傷はないことを示した。イリューシン18、ダッソー「ファルコン」機のキャビンに対する射撃では、いずれも機キャビン頂部の外皮や窓の外層のガラスを撃ち抜くことはできなかった。

84式拳銃はストレートブローバック自動方式を採用し、体積と重量がいずれも国内外の同類拳銃より小さかった。この拳銃は地上で使用する時、いかなる部品の交換も必要としない状況下で、64式7.62mm減装薬拳銃弾薬とチャンバープレッシャーが倍高い64式7.62mm拳銃弾薬が発射でき、使用は安全で信頼性が高かった。この拳銃は車、船など交通ツール内あるいはその他の隠蔽された携帯が必要で、犯罪者を制圧でき、かつその他の人員や設備などに傷を及ぼさない場合に使用する理想の武器で、偵察人員、特殊工作人員や高級指導者の自衛武器とすることもできる。

この拳銃および拳銃弾薬システムを鑑定する時に専門家は、弾薬の構造が非常に独創性を有し、拳銃も創造性を有し、その特殊性能と拳銃の体積の小ささ、重量の軽さなどはいずれも世界先進水準に達していると考え、弾薬の構造は国家パテントを獲得した。システムの定型後、使用部門は発注して使用し、省級の科学技術進歩賞を獲得し、この拳銃はさらに実用新型パテントを獲得した。この拳銃はさらに表面をメッキし、かつ高級焼き物、宝石、ミニ彫刻をはめ込んだ精密で美しい工芸品とされ、美しくもありまた貴重なプレゼント品やコレクション品となった。人民日報、中国日報海外版、解放軍報、光明日報および北京日報、天津日報、文匯報など全国および地方の新聞がこぞってニュース報道を行い、それを我が国自ら研究開発を行った制式拳銃の中で最小のもので、手のひら大しかなく、重量は一般の制式拳銃の半分に満たず、ハイジャックテロ分子の新たな「天敵」だと称した。


 拳銃自体には特別に特殊なところはなく、問題は弾薬ですが、本当にこの通りならなかなか面白いですね。ただこの種の文章をいろいろ読んできて、実際にハイジャッカーを制圧した実績があれば書くはずだと思うんですよね。それがないということは‥‥

 「EMB−A」との手法の差も興味深いかもしれません。















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