モーゼルM1914製作記

これはモーゼルM1914の製作情況をリアルタイムでお知らせしたものです。なお、他のページと重複する画像は削除しました。


 実銃のモーゼルM1914はブローニングM1910と同時期に登場したモーゼルM1910(.25ACP)の発展型で、.32ACP仕様になって当時の中型オート標準のパワーを得ましたが、外観、構造ともさほど差はありません。歴史的大ヒット作であるブローニング製品ほどではないものの、ヨーロッパだけでなくアメリカでも高い人気を得てロングセラーとなり、ドイツはもちろん日本の将校の自衛用にも使われました。ブローニング製品に比べるとスマートさを欠く外観ですが、当時のポケットピストルとしては珍しくスライドストップがあり、新たなマガジンを挿入すると自動的にスライドが前進するなどのメリットもありました。

 私が初めて作ったプラキャスト製のガレージキットは発展型、と言ってもグリップ形状が異なるくらいでやはりさほどの差はないM1934でした。いわば頑住吉製ガレージキットの原点とも言えるこの機種に今回再び挑戦することにしました。M1934の発売は1996年春ですからもう11年以上経っているんですね。あの製品はマルシンのブローニングM1910のメカを内蔵するガスガンでしたが、今回のM1914は擬似ブローバックとなります。



 現在大筋のメカが固まったところです。擬似ブローバックアクションの他、フルサイズマガジンの着脱、きわめてユニークな方式のフィールドストリップなどを再現する予定です。現在まだ固まりきっていないのがセーフティです。実銃ではレバーを押し下げるとトリガーをブロックするとともにスライド後退もブロックし、そばのボタンを押すとレバーが自動復帰するという非常に珍しい形式でした。この通り作ろうと思ったんですが、問題があります。この銃にはオートには珍しくサイドプレートがあります。このプレートは上下にスライドして着脱するものなので、トリガー軸を保持することはできず、軸は片持ち式になります。オールスチールの実銃なら問題ないですが、ガレージキットでこれではトリガーの保持が甘くなり、セーフティをかけた状態でトリガーを引いてもパーツのしなりによって簡単にレットオフしてしまいます。トリガーのブロックはあきらめ、スライドを固定するだけにしようかとも思ったんですが、これも精度の低いキットには過大な負担がかかり、また精度の低さによってセーフティをかけた状態でトリガーを引いても一応作動しないがセーフティを戻すとトリガーを引いていないのに作動するという問題が非常に起きやすくなります。残念ですが実銃とは異なる、スライドを後退させてレバーを下げるとスライドが固定されるといったものにアレンジすることになりそうです。トリガープルも軽くする必要があり、苦労して非常に軽くスムーズに作動する方式にしました。カートはM1900ピストル(F)と共通にする予定です。進行状況はここで随時お伝えしていきます。

8月23日



 かなり微妙な曲線の多い銃で、手間取っておりますが、まあ7割方できたかなというところです。残念ですがいろいろ問題があってセーフティに機能を持たせるのは断念しました。ただ、押し下げると固定され、そばのプッシュボタンを押すと自動復帰するという独特の動きは再現します。

8月29日



 仕上げ作業中です。ギミックがもう一つ追加できました。M1900ピストル(F)と同様、チャンバー内に存在するカートによって、コックされないファイアリングピンが押し下げられることによるローディングインジケーターです。実銃ではコッキングインジケーターですから必ずしもリアルとは言えませんが。

 あと数日で型取りに入れると思います。試作第一号完成は9月中旬、発売は9月末頃になるでしょうか。

9月9日

 昨日試作第一号が完成しました。

 と、いうことで、

 やたら型で抜きにくい形状の部品が多くて苦労しました。作動は絶好調で、すでに数十回作動させていますが何の調整もせず1回のジャムもありません。擬似ブローバックの製品にはこれまでトリガープルがスムーズさを欠いたり重過ぎたりするものがありましたが、今回は非常に軽く、スムーズです。多くの資料にはM1934の後部がふくらんだグリップは握りやすくするための改良だと書かれていますが、私にはストレートに近い旧型の方が握りやすく感じられ、非常に手に馴染む感じです。

 予定通り今月下旬には発売できると思います。価格は未定ですが、M1900ピストル(F)と同程度になるでしょう。








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