ジェットファイア製作日記


これはジェットファイア製作中、リアルタイムで進行の様子を公開した製作日記です。なお、ジェットファイアと直接関係ない内容、他ページと重複する写真は削除しました。

10月7日 
 各種資料は集め終わり、側面写真を実物大に拡大し、25ACPのダミーカートも用意しました。明日から本格的作業に入ります。「マルシンの25オートのマガジンを流用するのですか」という質問がありましたが、あれとはマガジンの長さも角度も違い、また安定して多数を入手できる保証もないので使えないでしょう。コクサイも同様です。たぶんマガジンはプラキャスト製のダミーとなり、ギミックはスライドが引ける、レバー操作でバレルがはねあがり、ここに実物ダミーカートが装填できる、スライドが実物通りの方法で外せる、マガジンが着脱できるというものになるでしょう。トリガーとハンマーの連動はやってみないと可能かどうかわかりませんが努力します。ちなみにジェットファイアにはエキストラクターがないので、もしマガジンをライブにしても通常のオートのような装弾、排莢の連続アクションはどっちみちできません。
 B社の名称は使わず、社名の刻印、トレードマークもなしにしますが、問題ないかちょっと心配です。その上「タウルス モデルPT-51」という製品名にするという裏技もあるんですが、そこまでしなくていいかな。


10月8日 
 フレーム、バレルの大体の形を作りました。いつも悩むのは側面写真からはわからない各部の厚みです。たとえばこの場合口径は分かっているわけで、写真その他から銃身の肉厚を推定してバレルの外径を推定します。ジェットファイアの場合マズルは露出していますから、実物大に拡大した側面写真を計測して両者に食い違いがなければGOです。一方フレームはバレルとの厚みの差をいろいろな角度からの写真から推定します。薬莢の外径にマガジンの肉厚、常識的に考えられるフレームの肉厚を足して出たもうひとつの推測値と大きく食い違うことがないか確認し、GOとなります。でもけっこう後でつじつまが合わなくなることもあります。今回のモデルアップで問題になりそうなのはトリガーバーとリコイルスプリングです。トリガーバーは歯科用レジンで作りたいところですが、あの素材は複雑な3次元形状には向きません。どうしたものか。リコイルスプリングはキックバネで、両端がスライドを前方に押し、中央がバレルラッチをリターンさせるのですが、手で1個1個曲げてそれを作るのはちょっと無理がありそうです。たぶん別のスプリングにせざるを得ないでしょう。
 
10月9日 
 スライド、トリガー、ハンマーを作っています。やはりキックバネを1本1本複雑に曲げて2つの役目を果たさせるのは無理があるみたいです。ジェットファイアの場合スライドのリターンはキックバネが直接行いますが、ダブルアクションモデルではコイルスプリングで動かすレバーが行います。キットではキックバネで動かすレバーで行うことになりそうです。その分構造的なリアルさは損なわれますが組み立てやすいものになると思います。トリガーとハンマーの連動は1点ものなら何の問題もなくできましたが、薄くて複雑な形状のトリガーバーをどう量産するかはまだ考慮中です。とにかく金属で薄く作られているパーツをプラキャスト主体でどう最低限の強度を確保しつつ外観を損ねずに表現するかが難題になります。いろいろ考え、工夫するのが楽しかったりもするんですが。

10月10日 
 今日は1日別のことをしていたので進展なしです。ごめんなさい。

10月11日
 マガジン、マガジンキャッチ、その他の作業をしました。それと、今日はネジの製造業者に特注のネジの注文をしてきました。現在、マイナスドライバーで回すネジはネジの専門店に行ってもほとんどありません。そこで、タウンページで調べた業者に作ってもらっています。真鍮削り出しのネジを200〜 300作って2万円くらいします。ごく少数生産の頑住吉製キットとすると痛い出費ではありますが、プラスネジでは雰囲気がぶちこわしですからね。毎回特注するのはさすがに無理なので、4種類くらいに絞っていちばん似ているものを使うようにしています。今回はそのうちの1種類がちょうどなくなったところだったので、ジェットファイアのグリップネジに合うようにやや形状をアレンジして注文しました。
 帰りに東急ハンズに寄って素材をいろいろ買いました。トリガーバーに使えないかと思って最近見かけるようになったエポキシ樹脂を買ってみました。透明で低粘度のエポキシで、携帯電話のスケルトンボディーを自作することもできるというものです。それができるくらいならトリガーバーくらいは充分できるはずなんですが。ただ硬化に時間がかかるので型を数個作って1度に複数できるようにしないといけないですね。それに結構これも高価な素材です。こうして利益がなくなっていくわけです(笑)。

10月12日
 今日も別のことをして進展なしです。でもこういう時間にいいアイデアがひらめいたりもするんです。

10月13日
 全体の機能がほぼできました。というと完成間近のようですが、ガンスミスちゅうのは「あ、大体できたな」というところからが長いんです。特に私の場合は機能を先に完成させてこれでいける、と確認してから細部の造形をしていきますんで。
 以前アームズマガジン誌上でトムキャットを作ったのを覚えている方もいらっしゃるでしょう。。あのときは誤解していた部分があります。まず、バレルラッチを回すと、バレルがいっぱいまでオープンするのかと思っていましたが、実は後端で数ミリ起きるだけです。で、ジェットファイアの場合、トリガーガードが板バネになっていてバレルを起こします。(トムキャットの場合はトリガーガードはフレームと一体ですからたぶん内部に独立した板バネかコイルスプリングが入っているんでしょう。)キットでは薄いトリガーガードもどう表現するか問題です。やや厚くするのはやむを得ないとして、それでもトリガーガード自体にバネ性を持たせるのはちょっと難しいかもしれません。
 それから、内部にはやはりウェイトを入れる必要が生じると思います。これくらい小さい機種をウェイトなしにするとほとんど紙細工みたいに軽くなりますんで。でもウェイトを入れるスペースはあまりない。悩みは多いです。

10月14日
 今日も別のことをして進展なしです。

10月15日
 グリップの基本形その他の作業を行いました。現在こんな感じです。

ジェットファイア製作過程1ジェットファイア製作過程2

 トリガーとハンマーの関係、マガジン着脱、ラッチを操作してバレルがはねあがる、バレルをいっぱいに起こしてスライド前部を持ち上げ、外す、と、基本的な機能はすでにできました。あとは材質(特にトリガーバーとトリガーガード)の決定と細部の造形、型の分割などが課題として残りますが、まあ経験的にそう深刻な問題は生じないでしょう。 

10月16日
 今日も別のことをしていて進展なしです。

10月17日
 フレームとグリップの丸みの表現、およびディスコネクト機能の表現などの作業をしました。ディスコネクト機能は省略しようかとも思ったんですが、トリガーバーに突起をつけ、スライドに対応するくぼみをつけるだけなのでライブにしました。ただしトリガーバーの成形方法によってはなしになる可能性も残っています。
 完成は今月末くらいかな。

10月18日
 今日も別のことをしていて進展なしです。

10月19日
 リアサイト、フロントサイト、スライド・バレルラッチ・ハンマーのセレーションなどの作業をしました。細部の造形がいちばんたいへんなんです。でもまあ完全に峠は越しました。
 今日東急ハンズでシリコンゴム2kgを買ってきました。今回のは小さい銃なのでこれで足りると思います。PDWなんかフレームだけで5kgも使ったんですが。

10月20日
 今日も別のことをしていて進展なしです。

10月21日 
 ライフリングの表現など細部の造形を行い、サーフェイサーを吹いてパテを盛りました。小さい銃ほど仕上げをていねいにしないとアラが目立つので大変です。決して小さい銃だから楽ということはないんです。

10月22日
 表面仕上げ、再びサーフェイサー、パテ盛り、今日もこれのくりかえしでした。それと、今日は釣具店で「板鉛」を買ってきました。子供の頃工作に使いましたが最近は全然使っていませんでした。こいつを折りたたんでマガジンの中に入れ、ウェイトにするつもりです。

10月23日
 単純な形状のパーツから型取りを始めました。スライド、フレーム、バレルなど複雑な形状のパーツはまだちょっとかかります。問題のトリガーバーはエポキシ樹脂で成形できるでしょうか。不安でもあり、新しい素材を試すのは楽しみでもあります。

10月24日
 今日も別のことをしていて進展なしです。

10月25日
 すべてのパーツの造形が一応完了し、型取りを続けています。複雑な型はいったん流し込んで硬化するまで数時間待ち、それを数回繰り返して完成となるので数日かかったりもします。また、できてから型直しの必要が生じる場合もあり、まだ気が抜けません。
 今日ウェイト用の鉛玉を買いに御徒町のマルゴーに行きました。よく使っているあれは実はスリングショットの弾です。東急ハンズで素材として鉛玉を買うよりずっと安いので使っています。たぶんあれはスリングショット用に生産されたものではなく本来は散弾なんじゃないかと思っていますが。

10月26日
 今日も別のことをしていて進展なしです。


10月27日
 一応型取りが終わり、注入、空気抜きの経路などを作りました。いよいよ注型に入ります。ただ、感じとしてスライドの型はやや無理があったようで、作り直す必要が生じるかもしれません。レールまで複雑な型で成形しようとしているのですが、ひょっとしたらプレッシンのときのように後で2mmスチロール角棒を接着する形になるかも。それよりトリガーバーの問題です。これだけひと足先に注型してみましたが、あのエポキシ樹脂は蜂蜜に近いくらいの粘度があり、スムーズに流れ込んでくれませんでした。もう2時間くらい経っていますが、まだ水あめくらいの硬さです。開けて見ないとわからないですがちょっと不安です。結果は明日お知らせします。

10月28日
 今日も別のことをしていました。昨日流し込んだエポキシ樹脂ですが、12時間くらい経過した段階でまだプラキャストよりやややわらかいくらいだったのですが、24時間経過してみると、ABSよりやや硬いくらいになっていました。硬化に時間かかりすぎですね。説明書によればこんなことはないはずなので混合比率が不正確で硬化不良気味だったのかも。でも計量はきちんとしたわけだし、少量の場合誤差が大きめになるのはしかたないことです。硬化剤を気持ち多めにしてもう一回流し込んでみましたが、あまり不良率が高いようならこの素材はこの場合には使えないことになり、別の方法(ホワイトメタルとか後加工の大きな特殊な型に歯科用レジンを入れるなど)を考えないとダメかも。さて、よほど大きなトラブルがない限り明日試作第一号ができる予定です。大丈夫かな。

10月29日
 東京地方はかなり肌寒くなってきましたが、みなさんのお住まいのところはどうでしょうか。製作日記と関係ない? いや、そうでもないんです。問題のエポキシ樹脂は常温での硬化も可能ですが、本来は50度くらいの過熱をするものらしいです。2度目の注型でも硬化が遅かったんです。もうかなり気温が低くなっていることも原因のひとつのようです。そこでオーブンレンジのイースト菌発酵などに使う37度という設定で加熱しつづけたところ、比較的早く硬化しました。それでもプラキャストや歯科用レジンよりはるかに遅いことに変わりはありませんけど。そんなわけで非常に面倒な素材ながら、充分な強度を持ってトリガーバーを成形する見込みがつきました。プラキャスト型の方も大きな問題はありませんでした。そこで…


 おかげさまでなんとか無事完成にこぎつけました。発射機能はなく、マガジンはダミーですが、それ以外はほぼ実銃と同じ操作ができ、スライドの取り外しも実銃通り行えます。正確にはまだ小部品の型直し、細部修正などがありますし、説明書作りなどもまだですが、これで一応ジェットファイアの製作日記を完結させていただきます。作業開始から約3週間、本格的に作業した日数では13日かかりました。細部の詰めなどの作業の後、マキシンのとりあえずの最終生産を行ってからジェットファイアの生産に入りますので、発売は11月中旬を予定しています。毎日の更新は非常にしんどいので次回作で製作日記を公開するかは未定ですが、応援どうもありがとうございました。

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