1.12.4.2 オートマチックリボルバー

 19世紀の最後の10年における、機能的なセルフローディングピストルの出現は、リボルバーとピストルの長所および短所に関する議論を活気づけた。多銃身ピストルの時代においては、リボルバーのより低い弾道学的成績が批判された。そして今度はリボルバーのセルフローディングピストルと比べてより小さい発射速度が充分でないと非難されたのである。イギリス軍大佐G.Fosberyはこの問題の解決のための1つのエネルギッシュな試みを企てた。彼はあるリボルバーを開発したが、この銃は後にウェブリー&スコットで製造された。この社は1900年頃、イギリスにおける断然大きなハンドガン製造メーカーだった。この銃は公式にウェブリー・フォスベリー オートマチックリボルバーと呼ばれた。すでにフォスベリーより先に自動回転および自動コッキングリボルバーを作るための試みはあった。ガス圧を使用するリボルバーのためのパテントは1886年にPaulsenによって、そして1899年にLandstandによって申請されていた。だが、これらの銃はマーケットに現われなかった。

 1896年、フォスベリーは「シリンダーマガジンを持つ自動ハンドガン」に関するドイツ帝国パテント、ナンバー90204を得た。だがこのリボルバーはまだ後の型とは大きく異なっていた。ウェブリーとフォスベリーは彼らの共同の努力の産物を、1900年7月のBisleyにおける選手権試合でシューター界に示した。最初の購入可能なモデルは1年後に、改良型は1902年に出現した(図1-52を見よ 頑住吉注:まあ形は皆さんご存知でしょうが、こんなのです http://www.thegunzone.com/webley-fosbery.html ちなみに実際の生産型とは大きく異なる初期パテント図面はここにあります http://www.littlegun.be/arme%20britannique/webley/aa%20images%20webley%20gb.htm )。このモデル1902は公用弾薬.455ウェブリー用の6連発、そして.38コルトオートマチック用の8連発が作られた(頑住吉注:これはコルトM1900にも使われた、現在の.38スーパーACPと薬莢が同寸で弱装の弾薬です。ただ、私はこの銃の.38口径バージョンの写真を全く見たことがありません)。

この銃の機能を図1-53および1-54に基づいて解説する(頑住吉注:生産型の内部構造イラストはここにありました http://www.cruffler.com/historic-january01.html ただし肝心なところが描かれていなかったりするので、補足的に核心部分のイラストのみ後に示します)。バレル、シリンダー、薬莢エキストラクターはウェブリーガバメント諸モデルのように普通に配置されている。だが、バレル部品(6)はフレームにではなく、スライド(2)に関節結合されている。このスライドはハンマースプリングおよび下方に突き出たスプリング支えを伴うハンマーも搭載している。このスライドはグリップフレーム(1)上に、バレル方向と平行にノッチ内を移動可能に配置されている。1発発射されると、リコイルショックがバレル、シリンダー、ハンマーごとグリップフレーム上でスライドを後方に駆動する。その際次のような過程が起きる。

1.ハンマーは下方に突き出たコッキングノーズが左のサイドプレート内に設置されたコッキングネジにぶつかって走ることによってコックされる(このコッキングネジは図示されていない)。次いでコックパーツ(4 頑住吉注:シア)はハンマーをコックされた位置に保持する。

2.リコイルショックレバー(5)(この上端はスライドの切り欠き内にグリップされている)は後方に押され、下に位置するリコイルショックレバースプリングを圧縮する。

3.シリンダーは6連発リボルバーの場合360度の1/6の1/2回転する(頑住吉注:後退時に1発分の半分回転し、前進時にもう半分回転するということです)。このシリンダー回転はグリップフレーム上のトリガー上部に削られたノーズによって結果として引き起こされる。これがシリンダー外周上の、適切な傾斜を持つ斜め方向および縦方向のスリット内にグリップされているのである。図1-56d)は、ウェブリー・フォスベリー.455モデル1902のスリット誘導を示している(頑住吉注:これについては次回紹介します)。

 後退運動の終了後、スライドはシリンダーおよびハンマーごとリコイルショックレバーによって前方に向け発射位置まで押し戻される。その際、リコイルショックレバースプリングは再び緊張を解かれ、シリンダーの回転が終了する。銃はこれで発射準備状態である。トリガー上に関節結合されたトリガーレバー(3)は前進するコックパーツ(4)によってその道から方向転換させられ、この結果トリガーはトリガーの引きによって次の発射が行える前に、まず前方に放さなければならない(頑住吉注:セミオートメカニズムのことです)。シリンダーを手で回転させたいときは、使用者はハンマーを持ってスライドを後方に引く。ハンマーの側面にはチェッカリングが備えられ、この際手が滑ることを防いでいる。


(頑住吉注:トリガーには上方に伸びたトリガーレバーが付属しており、トリガーはこのトリガーレバーを介してシアを動かし、ハンマーをレットオフさせます。スライドが後退してしまうとトリガーとシアの関係は否応なく断たれ、その後前進してきたシアがトリガーレバーを前方に押し倒し、いったんトリガーを緩めなければレットオフできないようになっています。この方式はブローニングハイパワーによく似ています。ただし、ウェブリー・フォスベリーのメカは変遷しているようで、このトリガーシステムは1995年4月号のGUN誌に掲載された銃のそれとは明らかに異なっています)

 ウェブリー-フォスベリーリボルバーは1914年まで製造された。販売を促進するため社は特に、有名なシューターであり、書籍「リボルバーシューティングの方法」(1901年ニューヨークのKnickerbocker Press社刊)の著者であるWinansにもパンフレットに言葉を寄せさせた。Winansの言葉を引用する。「筆者は競技におけるダブルアクション銃を是認しない。それを使って正確に射撃することはほとんど不可能だからである。オートマチックピストル(これはセルフローディングピストルのことを言っている)に関するコメントは、ひょっとすると有効かもしれない、である。ウェブリー社はオートマチックの「ウェブリー・フォスベリー」リボルバーを.455口径でも.38口径でも提供している。これは筆者が知っているすべてのオートマチックピストルより好み、ラピッドファイア射撃においては他の全てのリボルバー製品より好むとさえ言えるものである。これを使えば、任意のシングルアクションリボルバーを使って2秒ごとに1発の連射時に達成されるのとほぼ等しい正確さを以て毎秒1発の速さの射撃が可能になる。両方のケースにおいてよい射手はたいていの射撃を2インチ(約50mm)のターゲットに20ヤード(18.3m)の距離で命中させることができるはずである。」 Winansは.38口径のリボルバーを好み、この銃は彼にちなんで「Winansモデル」と呼ばれた。

 アメリカの国防省が1907年にいろいろなハンドガンをテストした時(陸軍制式銃の選択に役立てるため)、ウェブリー&スコットは.45コルト弾薬用に作られたウェブリー・フォスベリーリボルバーを同様にテストさせた。委員会はこのオートマチックリボルバーのサイズとダブルアクション設備の欠如に問題があると批判した。その上、この銃は不発が生じた時の操作が他より決定的に複雑であると言われた。ウェブリー・フォスベリーリボルバーのテストは終えられ、卓越したコルトピストルがアメリカ陸軍に採用されたことだけが知られている(頑住吉注:まあこの銃の落選は妥当でしょうが、ガバメントにだってダブルアクションはなく、不発が起きたらハンマーをコックしてもう一度トリガーを引くかスライドを手で引かねばならず、こうした点においてウェブリー フォスベリーが特に劣っているわけではないような気がしますが)。

 誤って重要と思われたディテールにおいてリボルバーを近代化するこの両方の試みは、結局失敗した。ガス気密のケースでは1つの見かけ上の問題が解決され、「オートマチック」リボルバーのケースでは設計者はたぶん1つの原理を保存しようとした。しかしモンスターが作り出されただけだった。‥‥それが技術的、銃器史的に興味深かったにせよ。(頑住吉注:いまいち分かりにくい表現ですが、「ガスシールリボルバーの場合シリンダーとバレルのギャップからのガス漏れは一見重大で機械的方策によって是正する価値があると思われたが、実際には発射薬を増やせば済むだけのことで努力に見合わなかったし、オートマチックリボルバーの場合信頼性の高いリボルバーの長所を維持したオートマチックのハンドガンを作ろうとしたが実用的なものにはならなかった」といったことでしょう)


 ウェブリー・フォースベリーリボルバーは製作構想中の機種にも入れていますし、過去にモデルアップしたこともある、好きな銃です。結果的に成功とは言えなかったにしろ、オートピストル並みの速射が可能で、装弾不良、排莢不良といった問題がなく、リコイルのみで動かすので比較的シンプルに出来るというこの銃の狙いは当時としてはなかなかいい線を行っていたのではないかと思います。ただ、実際には作動不良が多く、汚れにも弱かったとされています。デザインやサイズ的にも携帯しにくいですし、バレル軸線が高いためマズルジャンプも大きかったはずです。また、この銃にハンマーブロックやトランスファーバーを組み込むのは厄介でしょう。

 この銃が映画「未来惑星ザルドス」に登場したのは有名ですが、劇中でも単発で撃つシーンしかなく、作動はしていません。リコイルのみで動かす銃なので空砲で動かすのはまず不可能だからです。当然ながらリアルなモデルガンを連発で作動させることも不可能です。私はガスオペレーションの製品を検討しましたが、そもそも最近はガスタンクのみ流用してもかまわないくらい低価格で小型のガスガン自体流通しなくなりましたね。あるいは以前作ったのと同じ指アクションモデルで製品化するかも知れません。









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