イーサン・アレンのペッパーボックス より詳しい説明

 左右側面。ネジとキャップ交換のためのシールドの切り欠きを除き、ほぼ左右対称形だ。


 マズル。バレルグループは実銃通りフレームから前方に長く伸びた軸に通し、先端でネジ止めしている。バレルグループは「フラットバレルリブ」と呼ばれる最もポピュラーなタイプ。このほかゆるやかな凹凸の「フルーテッドバレルリブ」、円柱状、正六角柱状のタイプもある。実銃にもライフリングはないので表現はない。


 パーカッションキャップを装着するニップルはすっぽりとシールドでおおわれ、外部からはほとんど見えない。これは主に同時発射(正確には連鎖反応的発射。キャップからのスパークが隣のキャップを誘爆させる。)現象を防止するためらしい。シールドには最小限の切り欠きがあり、ここからキャップ交換する。


 グリップはバッグシェイプと呼ばれるクラシカルな形。前面にはトリガープル(ハンマーテンション)調節のためのネジがある。


 アレンのペッパーボックスには原則としてサイトはない。上面のバーハンマーがダブルアクションで動くので事実上サイトを設置するのは不可能だ。


 トリガーを引くとバーハンマーはこのように起き上がる。同時にバレルグループが回転し、トリガーを引ききるとハンマーはパーカッションキャップを打つ。


 実銃のバレルグループ基部には、シリンダーハンド、シリンダーストップに相当するパーツ、逆転防止ラッチにそれぞれ対応するラチェットが同心円状、3重に並んでいる。製品ではシリンダーハンドに相当するパーツ用、逆転防止ラッチ用を共用とし、2重にした。


 バレルグループ軸の真上にあるのが逆転防止ラッチ。この写真で左側に見えるのがシリンダーハンドに相当するパーツ。通常は左のように下降していて、トリガーを引くと右のように上昇する。右側に見える穴のうち上はサイドプレートを固定するためのもの(実銃にはない)で内部メカとは無関係。下はシリンダーストップに相当するパーツ。トリガーを引くと前方に突き出してバレルグループを止める。


 シリンダーハンドに相当するパーツは後方でネジ止めされており、ブランコ運動をする。トリガーを引くと、ほぼ中央がトリガーによって押し上げられ、先端が上昇する。シリンダーハンドに相当するパーツを前方に押すスプリングは実銃では板バネだが、コイルに変更している。トリガーに付属したシリンダーストップに相当するパーツは単に前進する。バレルグループが固定されるのはトリガーを引ききったときだけで、それ以外のときは射手から見て反時計方向に自由に回転する。ただし、実銃の場合は強いハンマースプリングでニップルが押さえられているので、キャップ交換時にバレルグループを回す際はわずかにトリガーを引いて行う必要があった。


 板バネのハンマースプリングのテンションは、直接ハンマーではなくダブルアクションシアにかかっている。トリガーを引くとトリガー上部のツメがダブルアクションシアを引っかけて前進させ、ハンマーを起こしていく。ひききるとかみ合いは外れ、ハンマーは倒れる。ハンマースプリングがダブルアクションシアのリターンスプリングを兼ねることで単純化に成功している。ちなみにドイツの資料はこのトリガーメカがベストポケットオート「リトルトム」に影響を与えた可能性を指摘していた。
 かなりの空撃ちをくりかえした結果、問題ないようなので今回は型で作るパーツ全てプラキャストとした。必要に応じグラスファイバーを鋳込んで強化している。トリガー、ダブルアクションシアの接触部にはプラ板をを貼って強化することにした。フレームも、グラスファイバーを軸の先端からフレームの上を通り、グリップ内を一周してフレームの下を通り、再び軸の先端に戻る、という形で鋳込んでいる。ハンマースプリングはグラスファイバーを鋳込んだプラキャスト製だが、完成品には念のため補助のコイルスプリングを入れることにした。キットを購入した方は問題が生じるまで入れなくてもいいと思う。トリガースプリングは実銃では板バネだが、引きバネに変更している。


 

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