2.9.3 取り出し可能なバレルを持つピストル
 
 発射時に閉鎖機構からフレームへと伝達されるリコイルショック(頑住吉注:スライド等が後退しきった時にフレームに衝突するショック)は閉鎖時に伝えられるショック(頑住吉注:スライドが前進しきってバレルやフレームに衝突するショック)よりも大きい。だからセルフローディングピストルの大多数において閉鎖機構から(そしてロックされた閉鎖機構を持つ銃の場合バレルから)ダイレクトにフレームに伝達される。一方閉鎖時のショックは時としてバレルを介してフレームに伝達される。そのようなピストルではバレルは解除可能にフレームと結合されている。そしてこの解除可能な結合は同時に分解にも使われる。こうした構造群の共通の特徴は、スライドが分解時にその誘導部内でフレームから前方に向けて引き抜かれる点にある。

2.9.3.1 リングノッチ結合
 バレルとフレームの間のリングノッチ結合はJ.M.ブローニングによって小型ピストル群に使われた。この方式はしばしば他の設計者たちによって借用された。図2.9.7はこの結合の原理をFNモデル1910の例で示している。バレル(3)はその後端にリングノッチ節を備えている。これはフレーム(1)内の適合する切り欠き内でグリップされている。前部ではパイプ状部品(4)が着脱可能にスライド(2)にセットされている。この部品はバレルにかぶせられ、またここに閉鎖スプリングの圧力が伝達されている。閉鎖時のショックの力はKの方向に作用し、バレルから歯状部分を介してグリップフレームに伝えられる。閉鎖機構の後退時、面(s)がフレームの面(f)に当たり、その際にリコイルショックが伝達される。

 横断面図AAが示すように、バレルはノッチ結合のかみ合いを解く可能性のある回転を閉鎖機構によって妨げられている。分解のためにはまずパイプ状部品と閉鎖スプリングを銃から取り除く。その後閉鎖機構をいっぱいに後方に引く。バレルの回転を可能にする閉鎖機構内部の広くなっている部分が歯状部分の高さに位置するまでである。ここでバレルはb)および横断面図CCに示されるように回され、この結果歯状部分のかみ合いは解け、バレルと閉鎖機構を前方に抜くことができる。







図2.9.7 フレームとバレルのリングノッチ結合。 a)組み立て状態の銃 b)分解途中(ブローニングモデル1910)

2.9.3.2 横位置のピンによる結合
 バレルとフレームの結合の最も単純な方法は1本のピンによってなされる。これはフレームを横に貫通し、抜き取ることができるものである。この方式の結合は、バレルがロック、アンロックの際に垂直に動かされるロック機構のあるピストル(閉鎖突起閉鎖機構)に見られる。

 図2.9.8はブローニング設計のコルトガバメントピストルの例でこの原理を示している。バレルのリンク(2)はピン(5)によってフレーム(1)と結合されている。バレル下部の延長部分はこのピンにあてがわれており、このためバレルと閉鎖機構の前方への動きを制限している。発射時、短距離の後退の後でバレルの延長部はフレームに衝突する。ロック解除された閉鎖機構はさらに後方に走り、その運動量を(s)で示した閉鎖機構の位置を使って伝達する。分解の際はまず閉鎖スプリング(4)を銃から取り除く。これで圧力下になくなったピン(5)は簡単に引き抜け、閉鎖機構はバレルごとフレームから前方に抜き取られる。



 この手本にならって設計された銃の大多数は類似のバレル・フレーム結合方式を使っている。


 ここだけ飛ばすのもなんですから紹介しましたが、まあこれらはここを読むような皆さんには周知の方法ですね。






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