PSMタイトル

PSMは旧ソ連が開発したコンシールドキャリー用の特殊なピストルだ。開発はすでにスポーツ、ハンティングに豊富な経験を持っていたTikhon Lashnev (1919-1988)、Anatoly Samarin (1936-1991) 、 Lev Kulikov (1931〜)らによって行われ、1973年に完成したとされている。第一には軍隊最高司令部スタッフのために意図されていたが、その薄さ、携帯しやすさからすぐセキュリティ、エンフォースメント要員の間でポピュラーになった。また、外国に潜入するスパイなどが携帯するために開発されたとする説もある。PSMとは「Pisztolyet Szamozaryadnij Malogabaritnyj」の略で、小型セミオートマチックピストルを意味する。

基本的な構造はワルサーPPシリーズに準じているが、軽量化のため各部を徹底的に肉抜きしてある、ファイアリングピンスプリングを省略するなど簡略化が進められている、マガジンを抜かないと分解できず、不用意にトリガーガードが下がってしまうことがない、マガジン側面が大きく開口されてフォーロワが手動で下げられ、カートリッジがロードしやすい、セーフティをかけた銃のセーフティとハンマーを親指で同時に動かして1挙動でシングルアクションによる射撃ができるなど、かなりのオリジナリティも盛り込まれている。中でも最大の特徴は厚さわずか16mm(17mm、17.5mmなど諸説あり)ときわめて薄いことと、小口径でしかもスチールコアを内蔵して変形しにくい弾丸のためボディーアーマーに対する強力な貫通力を持つ点だ。冷戦時代は謎に包まれた存在だったが、現在では輸出もされている。

資料としてはGUN誌1987年1月号および1993年8月号における床井雅美氏によるレポート、アメリカの書籍「THE NEW WORLD OF RUSSIAN SMALL ARMS&AMMO」、ネット上の情報などを使用した。

 製品はスプリングの力で1発のみブローバックのような動きをする変則的なモデルガン形式。ホールドオープンした状態からエジェクションポートに薬莢を1つ入れ、スライドを押し込む。ここからトリガーを引くとバレル内の強いスプリングの力でスライドが後退して排莢し、弱いリコイルスプリングの力でスライドが復帰する。ハンマーにはスプリングのテンションはかかっておらず、トリガーとも連動しないが可動で、任意の位置で停止できる。セーフティにも機能はないが可動。コンチネンタルタイプのマガジンキャッチの操作によってマガジンが抜け、マガジン自体に機能はないもののマガジンを抜かないとフィールドストリップできないという実銃の特徴も再現してある。この点以外はワルサーPPシリーズに準ずるフィールドストリップ方法も実銃通り。
 ボトルネック風のプラキャスト製オリジナル薬莢が3個付属するが、基本的な寸法が同じにしてあるのでマルシン製.25オート用プラグファイアーカートリッジが流用できる。もちろん発火はできないしそれに耐える強度もない。


当時の価格 完成品21,000円 キット11,000円



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