2.9.2 傾斜バレルを持つセルフローディングピストル

 セルフローディングピストルうち一連のものではバレル前部がフレームに関節結合され、上にスイングできる。この構造は簡単な方法での閉鎖機構の取り出しを可能にする。ステアーモデルベビーおよび1909、OWAピストル(頑住吉注:「O」はウムラウト)、Le-Francaisピストル、ベレッタモデル950および20はこうした方式のピストルである。OWAピストルを除けばこれらはエキストラクターを持たない。バレルがアンロードのために跳ね上げることができるからである。これにより銃は効果的に、そして明白に安全状態ともなる。こうした設備を持つものがもはやベレッタの銃しか製造されていないのは残念である。

 図2.9.6はこうした構造の本質部分を示している。バレル(2)前部はヒンジ(3)と結合されており、このヒンジは1本の軸でフレーム(1)に取り付けられている。閉鎖機構(4)はスプリングによってチャンバー端部に押し付けられている。このスプリングはバレルの下に位置している(頑住吉注:これは誤りで、ご存知のようにこの銃のリコイルスプリングはフレーム両サイド、グリップ内にあります)。閉鎖機構の誘導は2本のノッチ(頑住吉注:7)によって行われ、フレーム両サイドでは誘導用突起(8)がこの内部をグリップしている。バレルは遮断軸(5)によって閉じられた位置に保持される。遮断軸はバレルのフック部の領域が平らにされているので、その回転がバレルをフリーにする(b)。1本の板バネ(頑住吉注:6)がトリガーガードを形成し、ヒンジの回転ポイントより上に負荷をかけている。これによりバレルは遮断軸の回転によってフリーにされるとすぐに上に向けて傾斜する。バレルがオープンされている際、閉鎖機構はいくらか前に押し動かし、そしてフレームから前上方に取り出すことができる。





図2.9.6 傾斜バレルセルフローディングピストルの原理 a)閉鎖状態 b)開放状態(ベレッタ モデル950)


 このシステムに関しては以前この銃をモデルアップした際ほとんど実銃通りに再現しましたし、単純なシステムなので補足説明は不要と思います。なお、こうした銃を生産しているのはベレッタだけとされていますが、少なくとも現在ではタウルスも生産しています。タウルスの製品は.22LRと.25ACP仕様で、ベレッタの銃よりややグリップが長く、装弾数が多くなっています。ベレッタではこの他に.32ACP仕様のトムキャットも生産しています。以前は.380仕様の中型オートにもこのシステムを持つもの(M86)がありましたが、現在公式サイトにないので絶版になったようです。ちなみに私は以前からこの銃のリコイルスプリングがどういう仕組みになっているのか疑問に思っているんですがいまだに分かりません。ご存知の方はお知らせください。

 なお、ステアーM1909というのはこんな銃です。

http://www.littlegun.be/ma_collection/a%20be%20steyr%20pieper%206.35%20fr.htm

 以前も出てきましたが、Le-Francaisというのはこんな銃です。

http://www.securityarms.com/20010315/galleryfiles/1300/1374.htm








戻るボタン