2.9.1.1 閉鎖機構内に位置する横かんぬきによる結合

 閉鎖機構内前部に組み込まれた横かんぬきも同様にストッパーとして、そして閉鎖機構ルートの簡単な制限に役立つ。図2.9.2はそのような構造を示している(Margolinによるロシア製M.C.1ピストル)。

 a)はフレーム(1)と閉鎖機構(3)の一部断面図を、b)は閉鎖機構を下から、かんぬき(6)の高さで切った断面図で、c)は閉鎖機構をサイドから見たところをそれぞれ示している。閉鎖スプリング(5)はバレル(2)の下側でスプリングガイドにかぶせられている。スプリングガイドは回転ノブ(7)で終わっている。閉鎖機構スプリングはスライド体(4)を圧している。スプリングガイドはスライド体を貫いており、スライド体は閉鎖機構を横かんぬきを介して前方に圧している。横かんぬきは閉鎖機構側面をつかむ2本のノッチによって横方向の動きが防がれている(b)。スプリングガイドはスライド体に逆らって引き戻すことができ、この位置でノブの90度の回転によって固定される。これにより横かんぬきは負担を解除され、閉鎖機構から取り出すことができる。両サイドでバレル方向のノッチと突起によってスライド可能にフレームと結合されているスライドは、この後グリップフレームから引き抜くことができる。



図2.9.2 スライド上の横かんぬきによる閉鎖機構ルートの制限
a)閉鎖機構の一部断面図 b)下から c)横から見た図 d)組み立て状態 e)分解のためボタンを持ち上げ90度ひねったところ(M.C.1)


 オートピストルにおいて「横かんぬき」による閉鎖機構ルートの制限、およびこれを抜くことによる分解を初めて採用したのは先日モデルアップしたブローニング設計によるコルトM1900だと思われます。この銃のシステムもおそらくその亜流でしょう。コルトM1900ではリコイルスプリング前端に押されるプランジャー状の部品が「横かんぬき」後部の凹部にはまって横へのスライドが防止され、このプランジャーをやや後退させると「横かんぬき」とのかみ合いが解除されて横に抜き出せるようになっていました。これは非常にシンプルで分かりやすいシステムです。

 しかしいくらこの図を見ても、説明を読んでもこの銃のシステムは私には全く理解できません。リコイルスプリングは4の「スライド体」を前に押しています。スライドを後方からフレームのレールにかぶせて「横かんぬき」をセットするとa)の状態になり、スライドを引くとc)の横長い穴にセットされている「横かんぬき」も当然後退し、するとa)で分かるようにスプリングで前に押されている「スライド体」が「横かんぬき」に押されて後退し、リコイルスプリングは圧縮されます。「横かんぬき」を抜けばスライドは後方に抜き取れます。ここまではいいんですが、どうやって「横かんぬき」を抜くのかが不明です。「横かんぬき」の後ろに凹部があり、「スライド体」の前面の凸とかみ合っていて、「スライド体」をリコイルスプリングに逆らってやや後退させるとかみ合いが外れて「横かんぬき」が抜けるというのならコルトM1900と同じですが、この図では「横かんぬき」はスライドとかみ合っています。b)の状態から「横かんぬき」を抜くには「横かんぬき」を後退させる必要があると思われます。文中ではスプリングガイド先端の回転ノブを引き出して固定すると抜けるとされていますが、図からはそんなことをしても「スライド体」および「横かんぬき」にかかるテンションが逆にやや強まるだけとしか思えません。この銃のシステムを知っているという方、またはこの図と説明から理解できたという方はお知らせください。なおいつもは図をトレースして着色していますが、今回は図自体理解不能ということでそのままお見せしています。










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