2.9.3.3 かんぬき軸またはかんぬきによる結合
 
 閉鎖時のショックをフレームへに伝達する同様に単純な方法はかんぬき軸によって提供される。これはバレル方向に対し水平にフレームにセットされた軸であり、フレーム内で一部フラットにされており、外部には小さな回転レバーを持っている。

 図2.9.9は例としてベレッタピストル モデル70のかんぬき軸結合方式を示している。バレル(2)と閉鎖機構(3)は縦方向のレール内でスライド可能にフレーム(1)内に収納されている。かんぬき軸(5)はバレル下部の延長部の幅で円の1/4の形状の横断面を持ち、銃が組み立てられている際にはバレルの前方へのスライドを妨げる(図a)。分解のためにはかんぬき軸を時計方向に1/4回転する。その後バレルと閉鎖機構は銃から前方に抜くことができる。その後バレルは閉鎖機構から下に引き抜ける(図b)。閉鎖スプリングはスプリングガイド(4)上に配置されている。その後端はバレル体のレスト内に位置し、そして同時にかんぬき軸の平面を押している。これによりかんぬき軸は収納位置に保持される。





図2.9.9 回転かんぬき結合 a)組み立て状態の銃 b)分解途中(ベレッタ モデル70) 

(頑住吉注: http://www.mek-schuetzen.de/Blueprints/Beretta_70_Auto.png )

 我々はかんぬき軸ストッパーを他の構造にも見いだす。例えばパラベラムピストル、P38、そしてワルサーの新しいスポーツピストルにおいてである。

 モーゼルのモデルHSc、およびH&KのHK4、P9、P9Sは似た構造を使用している。だが(頑住吉注:ベレッタM70等の)かんぬき軸がバレルとフレームの結合を形状による結合によって達成している一方、これら(頑住吉注:Hsc、HK4等)に使われているかんぬきでは力をかけてロックされる結合がもたらされている。図2.9.10はこの原理を示している。バレル(2)はスライド(3)によってサイド方向の誘導がなされる。バレルはチャンバーの下に延長部を持ち、これが突起部を使ってフレームに加工されたノッチをグリップしている。かんぬき(4)は軸を使って回転可能にフレーム内に固定され、バレルの延長部に向けて押されている。接触面には傾斜がつけられているのでくさび効果が生じ、これがバレルをそのフレーム内の座の中に押している。閉鎖時のショックの力はかんぬきを介してフレームに伝達される。リコイルショックはダイレクトにスライドからかんぬきの前に位置するフレームのストッパー位置に伝達される。スライドは左右内側にそれぞれ2つの誘導突起(6)を持ち、これが適合するフレームのノッチ(5)内を走る。分解のためにはかんぬき(4)が下方に圧される。その後スライドとバレルは約1cm前方にスライドでき、そして一緒にフレームから上に向けて外すことができる。この後バレルは閉鎖スプリングごとスライドから取り出すことができるので、操作者は図2.9.11に示されたグループ群を得る(頑住吉注:スライド、リコイルスプリングの付属したバレル、フレーム、マガジンの4つです。なおHK4はパワーの異なる4種の弾薬を撃ち分けられる銃であり、例えば.25ACP用の弱いリコイルスプリングを使って比較的強力な.380ACPを発射すると大事故につながりかねないのでリコイルスプリングはバレルに結合され、簡単には分解できないようになっています。 http://www.mek-schuetzen.de/Blueprints/HK_P4_BJ73_EX.gif  http://www.mek-schuetzen.de/Blueprints/hk_4_pic.JPG )。



図2.9.10 かんぬき(バレルホルダー)結合


 ベレッタM70はM92シリーズに対するM84シリーズのように大型軍用拳銃M1951の中型の姉妹銃であり、ショートリコイルとストレートブローバックの差はありますが分解方法はほぼ同じです。M92、M84も原理的にはこれとほとんど同じで、ただM1951、M70がリコイルスプリングガイド後端がテイクダウンラッチの凹部に押し付けられることによって脱落および意図しない回転が防がれているのに対し、M92、M84では独立したロックが付属している点が異なります。両者ともスライドを全く引くことなく簡単に分解でき、ガバメントにおけるスライドストップのような紛失しやすい小部品が分離しないという長所があり、M1951、M70のデザインならば部品数も増えませんしコスト的にも大差ないものにできるはずです。

 HK4の方法も以前モデルアップした時にほぼ完全に再現しました。個人的にはPP系の「後部持ち上げ型」より好きな方法です。「接触面には傾斜がつけられているのでくさび効果が生じ、これがバレルをそのフレーム内の座の中に押している。」というのは私の下手なイラストではわけがわかりませんが、上に挙げた断面図イラストで分かるようにテイクダウンラッチ後部の上昇によってバレルが後方に押し付けられることを指しています。このデザインにおける分解はM92、M84系よりもさらに簡単で理想的に思えますが、実際には発射の衝撃や携帯時の外力で意図せず分解してしまうことを防ぐためテイクダウンラッチを動かすスプリングが非常に強いものにされ、実際にはあまり簡単ではないようです。






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