中国警察、リボルバーに装備転換

 ロシアに続き、中国も警察用の銃をリボルバーに変える動きを見せています。これにはどういう理由があるんでしょうか。

http://www.zerose.com/www/20/2010-01/254.html

後に追加:ご指摘をいただきました。こちらも参照してください。


警察用リボルバーにはゴム弾が装填でき、威力が低下し銃使用に伴う圧迫感が減少する

このリボルバーは警察専用の銃であり、中国公安部が初めて自己の組織力量を投じて設計した初の警察用銃である。その最大の長所は故障率が低く、5mを越えれば人を殺す可能性のないゴム弾が使用でき、警察が容疑者を威嚇して逮捕するのに有利なことである。

今、2種類の拳銃がある。1つは軍用の54式であり、1つは「初の中国警察用銃」と呼ばれる9mmリボルバーである。

これらはすぐにPKを行わなければならない(頑住吉注:たぶんサッカーに例えてどちらが勝者か決める必要がある、ということでしょう)

新年早々、鄭州市特別警察支隊は距離100m、高さ10mの地下射撃場にいて、特別警察官たちは緊張した雰囲気の中で訓練に入った。

特別警察官たちが相対したのは各種のターゲットで、ターゲットは穴だらけになった。

射撃場の天井にも大小の弾痕が多数散在していた。特別警察によれば、これらは50mでの54式拳銃射撃訓練時に、反動が大きすぎるため天井に直接弾を撃ち込んでしまったものだという。

模範動作通りに距離25mに立ち、チャンバーに装填し、照準し、射撃する。銃声が鳴り、耳はただちに麻痺して聞こえなくなる。反動のため両手は大きく弾かれたように動き、銃口は上を向き、体はのけぞる。2発目を撃つ時、耳には1発目の銃声による耳鳴りがまだ残っている。54式拳銃を使用する際にもし重心が後ろ寄りだと、発射後後ろによろめき歩くことさえあるし、ひどい場合は銃が手からすっぽ抜けることすらある。

9mmリボルバーに換えて射撃を行う。

外観からすると、このリボルバーは54式拳銃より軽便で、グリップも人間工学に適合した設計になっている。曲線のグリップは非常に手になじみ、右手で銃を構えた時、手が自然で落ち着いた状態になるよう設計されている。一方54式拳銃を握って照準するときは腕をあげてまっすぐ伸ばす必要があり、これは初心者にはマスターするのが非常に難しいことであるといえる。

まだ試用段階の9mmリボルバーは「初の中国警察用銃」と呼ばれ、2種類の弾薬がある。1つはフラットノーズの普通弾薬で、もう1つはラウンドノーズのゴム弾である。普通弾は発射時の音が非常に大きいが、ゴム弾の発射音は非常に小さい。「シュ」といった音がしたらすでにターゲット内に入っている。54式の銃声と比べるとウグイスの小さな鳴き声のようなものである。

セーフティを解除し、照準し、発射する。反動は小さく、発射後に手が大きく弾かれるようなことはない。手が小さく振動するだけである。

撃ち終わるとシリンダーストップを押し、右手の人差し指をシリンダーにあてるとシリンダーはフレームから出る。拳銃を上に傾けると、「コツンコツン」と6つの空薬莢がシリンダー内から地上に滑り落ち、その後特別警察隊員は再び迅速にスピードローダーを使って弾薬をフル装填する。この一幕はアメリカのハリウッド映画の中の情景にきわめて似ている。

その後、弾薬をゴム弾に換える。今回の銃声はさらに小さく、反動はほとんど感じられない。

新年早々、鄭州特別警察はずっと繁忙状態にあった。去年12月20日から今までの半月の間、毎日鄭州の街頭には30人余の巡査が見かけられ、しかも完全武装していた。人目を引いたのは腰に付けた新式9mmリボルバーだった。すなわち初の中国警察用銃である。

全国で数か所の9mmリボルバーを試用した警察隊の1つ、鄭州特別警察はすでに1ヶ月半この銃を試用している。今年の2月に彼らは公安部に試用報告を提出する。そうすれば「初の警察用拳銃」が54式等の軍用拳銃に取って代わることができるか否かの問題は解決できる。

試験から試用まで

2005年9月、鄭州市特別警察支隊は10挺の新式リボルバーを受領し、公安部から全国初の試験を委託された。

このため鄭州市特別警察支隊の試験に参与する特別警察官は非常に光栄に感じた。支隊長李幼夫は言った。「これは公安部が河南を認めたということであり、鄭州特別警察を認めたということでもある。」

鄭州特別警察支隊は実力に優れ、実戦経験が比較的多く、機械にも強いので、この新式武器の試験という任務を与えられたのは理にかなっている。

公安部装備財務局副局長陶軍生は、鄭州特別警察らに4文字で語った。「(頑住吉注:諸君に任せれば)絶対安心!」と。

全国初の試験を行う鄭州特別警察は任務が極めて困難であることをよく知っていた。李幼夫は15名の優秀なメンバーを選出し、「9mm警察用リボルバー武器系統試験グループ」を組織し、リーダーに機械専門家である李文政を、副リーダーに銃の名手である王璞生を、スナイパーである趙偉を安全保障グループのリーダーに任命した。

試験には全部で3日かかった。試験内容の1つは携行試験で、屋外に出て山々を越え、新式武器が携帯に便利であるか否かテストした。時間がないのでやむを得ず夜に地形の研究に出かけ、作業は夜中に及んで簡単な食事ばかりになった。

ごく短い3日の試験中、試験グループは銃にいくつかの問題点を発見し、これはちょうどよい時に関係方面に伝えられ、公安部はこの提案を取り入れた。現在9mmリボルバーはさらに何度もの改良を経ており、初期に現れた問題はすでに克服されている。

その後2006年11月には110挺の9mmリボルバーが鄭州特別警察支隊に再び送られたが、この時はすでに試験ではなく試用段階だった。

実際上公安部は9mmリボルバー武器系統の研究を2000年初頭から開始しており、現在までに6年の熟成を経た新銃器はついに全面投入されようとしている。

心理的圧力の減少

「銃があってもあえて携帯せず、銃を携帯していてもあえて使用しない」、この言葉は現場の人民警察官の間に広く伝播している。

目下、我が国の警察が最も多用している銃は54式拳銃であり、正にこれが原因で、多くの現場の警察官は任務執行時にかえって銃を携帯しないという選択をしている。

「54式拳銃の特徴は威力が大きく、弾丸の初速が速く(毎秒430mに達する)、貫通力が高い、というもので、1人を貫通して後方の罪のない人に傷を負わせやすい。」 王璞生は、銃を携帯する警官はすべて心理的圧力を受けていると考えている。別の言い方をすれば、銃を持つ者はすべて54式拳銃の巨大威力に恐れをなし、あえて随意に使用しないのである。

王璞生によれば、警察官が銃をあえて携帯しない原因は主に銃をなくすことを恐れるから、携帯する銃の圧力が非常に大きいから、任務のため出かけたとしても54式拳銃の威力が大きすぎ、警察といえども安易に使用できないからである。このためむしろ銃を携帯したくないと考え、「銃があってもあえて携帯せず、銃を携帯していてもあえて使用しない」という困った状況を生んでいる。

だが9mmリボルバーを使用すればこうした問題は考慮しなくて済む。この銃は初速が低く200m/s前後であり、これは54式の初速のたった半分でしかない。弾丸は人体に入っても貫通することはなく、肉体の内部で転倒して局部的傷を作る。

「54式拳銃は容易に貫通創を作り、この種の傷口は非常に治癒しにくい。しかし新式リボルバーは局部的傷を作り、容易に治癒する。」 王璞生は説明する。

その上9mmリボルバー用には2種類の弾薬が支給される。普通弾薬を使用する際、これは武器であり、「中国人民警察武器使用条例」を順守しなければならない。だがゴム弾を使用する際、これは警察用機械であり、「中国人民警察警察機械使用条例」を順守すればよい。後者は前者に比べずっとゆるい。すなわち、ゴム弾使用の頻度は非常に高くなると考えられ、警察があえて銃を携帯せず、あえて銃を使用しないという心解決しがたい理的問題が解決されるのである。

意図しない傷害の減少

2005年11月20日、河南省許昌市襄城県で、誘拐人質事件が発生した。1人の逃亡していた殺人容疑者が刑事警察の管理下で長距離列車に乗っていたが、とっさに乗車していた14歳の少女を捕まえて人質とし、4時間近くも刑事警察とにらみ合った。

午後5時20分、鄭州特別警察は命令を受けて大至急現場に向かった。長距離列車は市の中心の繁華街に停車しており、交通量の多い十字路からたった20mの距離で、野次馬は数千人にもなった。車上の状況は非常に危険で、犯人はドライバーを握り、少女の頸動脈にぴったりと突き付け、狂気じみたわめき声を立てていた。

王璞生と趙偉はいずれもこの任務に参加しており、彼らの当初の判断ではもしプロのネゴシエイターが役に立つなら犯人を説得するのが最もいい方法だったが、状況を見ると犯人はほとんどネゴシエイターの言葉を理解できないと思われた。趙偉は状況を判断した。車上には犯人と人質の2人しかおらず、特別警察の極めて正確な射撃技術をもってすれば、銃を使って犯人を制圧することは絶対にできる。だがいかんせん周囲の野次馬が多く、その上54式拳銃の威力は巨大で、繁華街での発砲は極めて容易に意図しない傷害を生む。銃を使う方法は取れなかった。

最終的にはやむを得ず危険を冒し、プロのネゴシエイターが注意を引き、その隙を利用して王璞生が飛びかかり、ドライバーを奪うことに成功し、犯人を制圧した。

「もし当時リボルバーがあったら非常に簡単に犯人を制圧できた。我々は54式拳銃を携帯していたのにあえて使わなかったのだ。」 趙偉は語る。「5m以内で頭部を撃たない限りリボルバーで生命の危険が生じることはない。(頑住吉注:ゴム弾を使う場合)」

趙偉によれば、54式拳銃は貫通力が強く、極めて跳弾しやすい。54式拳銃の弾丸はターゲットに命中後にその中に留まることはなく、貫通した弾丸はさらに障害物にぶつかって跳ね返りやすく、誤って罪のない人を傷つけることになる。

趙偉は例をあげて言う。もし部屋の中で発射された弾丸はまわりの壁で何度も跳ね返り、敵を傷つけると同時に同僚を傷つける可能性がある。 「まるでビリヤードと同じだ。」

軍用銃から初の警察用銃まで

任務執行中に一度、趙偉は64式拳銃を犯人に向け撃ったことがある。弾丸は膝より下の足に命中し、貫通しなかったが、椅子に座った犯人は意外にもそれに気付かず、依然として窓の外を見ていた。「64式の弾丸の速さが、何と感覚がないという結果を生んだ。」 趙偉は回想する。

92式拳銃の威力は54式、64式拳銃と比べてさらに大きく、ダブルカアラムで十数発装填できる。「92式拳銃でスチールヘルメットを撃てば1発で両面を貫通する!」 趙偉は形容して言う。

王璞生によれば現在軍は64式拳銃と77式拳銃を廃棄しようとしており、92式の5.8mm口径新型銃は好評を博し、威力が大きく、精度が高いという。「だが警察に支給すべきではない。」という。彼によればこの銃は1発で3人を貫通することができるのだ。

軍が旧来の武器を廃棄し、新式武器を昇級させ、社会大衆的事件が増加するという状況に直面し、中国警察はますます自己に適した武器を探し出すことが困難になっている。こうした一連の困った状況が9mmリボルバー武器系統の誕生を促したのである。

実際のところ新式リボルバーはその誕生から議論を引き起こした。ネット上でも一部の匿名の者がこの新銃器に関する論争に参加しているのを見ることができる。

その中のある人は考える。欧米等西側の国家はすでにとっくにリボルバーを捨て去ったのに、何故中国がこの「中古品」を拾い上げて新たに梱包するのか? これは警察用装備の退化ではないのか?

大衆はこの銃に関する情報を誤解したかもしれないが、中国の小火器の権威である専門家艾西安によれば、ライフリングのある銃からゴム弾を発射するというのは国際的にも比較的先進的な技術であり、その表面的な部分だけを見てこの銃全体の価値を否定するべきではないという。

「1つの新しい事物が誕生するたび、いつも論争はついて回る。このリボルバーは現在の国内の法律執行の現状に最も適合していると考えられる。」 王璞生は言う。「中国警察には非致命性武器が必要だ。」

趙偉は言う。国外の警察官の一部は自分で銃を購入することができる。たとえばアメリカのSWATでは70%が自分で銃を購入している。一部の西側国家では私人が銃を購入できるので、警察との対立は比較的激烈なものとなり、警察も殺傷力の大きな武器を使用することが必須となり、これで初めて火力の優勢を保てる。

しかし中国では私人が銃を持つことは厳しく禁止されている。国内の現実的状況に照らせば、現場の巡邏警察、人民警察には殺傷力の大きい武器を配置する必要はない。9mmリボルバーは現場の業務に最も適しているかもしれないのである。

「新型リボルバーの重要な意味は、中国警察がついに自分の武器を持ったということにある!」 王璞生は警察の本音を吐露しているのかもしれない。

耐久性が向上

1999年冬のある夜、鄭州市の巡邏警察支隊の隊員だった林勇(仮名)は2人の自動車窃盗常習犯を追い、阻止するという任務を執行していた。彼は自分の運命がかくも劇的なものになるとは思いもよらなかった。

2人の犯人を追いながら林は腰の64式拳銃を抜いて威嚇射撃したが、犯人は止まらず、林勇は断固として銃を挙げて発射した。思いがけないことに2発目はジャムした。

この時、犯人と近接格闘するしかなく、体格の大きい犯人に対し林勇は形勢が不利になり、手の64式拳銃も犯人に奪われた。犯人は林勇の頭に向けて引き金を引いたが、意外にも銃はまだジャム状態のままだったので林勇は難を逃れ、最終的に形勢を逆転して2人の犯人を逮捕した。

1999年のこの実際に起きたできごとは鄭州公安系統に広く伝わり、多くの警察官が林勇は幸運だったと思った。まさに銃がジャムしたために一命をとりとめたのであり、さらに一部の者は犯人も運が良かったと思った。もし銃が問題を起こさなかったら犯人が早々に死んでいたかもしれないのだから。

しかし実戦には「もしも」はない。ひとたび問題が起きれば結果がどうなるかは予断を許さないのである。

自動拳銃はひとたび不発を起こせば手動で弾薬を排出することが必須である。64式拳銃はさらにこれがはなはだしく、工具の助けを借りてやっと弾薬を排出できるのである(頑住吉注:意味不明です。この銃は基本的にPPKのコピー品ですが、ベレッタジェットファイア等のようにエキストラクターが省略されているのかとも思いましたが、画像を見ると明らかに存在します)。実戦の中ではこれは往々にして致命的である。

「だがリボルバーならこれらの問題はない。もし不発が起きれば再度引き金を引くだけでよい。これで不発弾は飛ばされ、次の発射ができる。」 王璞生は言う。

連射時にジャムが起きないことの他に、さらにリボルバーにはピンポイントの射撃ができる長所がある。これは大規模な群衆衝突事件を処理する際にその作用が特に明らかになる。たとえば双方が大勢で武器を持って乱闘しているとき、現在最も多用される武器は暴動鎮圧銃である。この銃の最大の特徴は散弾射撃であり、発射時にチャンバーから数十発のゴム弾が射出され、殺傷範囲が広い。だが群集性の事件の際、この種の武器を使うと極めて容易に周囲の群衆に傷害を起こす。また王璞生が言うには、群集性事件を処理する際に殺傷性の武器の使用は許されない。

こうした場合、命中精度の高いピンポイントの警察用機械は最善の手段になるかもしれず、ゴム弾を装填した9mmリボルバーはまさに警察機械の一種であって命中精度も非常に高い。

王璞生は説明する。「もし大規模な乱闘があった際、特別警察の射撃技術をもってすれば、主要人物の関節を射撃してその行動能力を喪失させる目的は完全に果たせる。」

初めてリボルバーに触れてから現在まで、すでに1年半の時間が過ぎたが、その中でドライファイアの練習が王璞生に非常に深い印象を残した。

54式拳銃は100回もドライファイアするとファイアリングピンやファイアリングピンストップが容易に断裂する。このため訓練の際はいつもファイアリングピンとハンマーの間にゴム板を入れてショックを軽減している。だが9mmリボルバーならこういった配慮は必要なく、この銃は1万回でもドライファイアできる。

しかもリボルバーのバレルの寿命は非常に長く、3000発を越える。一方54式拳銃の場合3000発発射すればすでに廃棄処分の段階である。

現在警察用に使われている銃のうち例えば64式拳銃、77式拳銃といった多くの型はいずれもすでに部品の生産はされておらず、ひとたび壊れれば修復は困難である。ただし現実には多くの警察官に依然支給されているのは廃棄処分すべき銃なのである。

「初の銃」の利害を分析する

「これはまるでおもちゃの銃のようではないですか!」 初めて9mmリボルバーを見たとき、54式拳銃の使用に慣れた特別警察隊員は疑問の声を上げた。

最近9mmリボルバーには改良が加えられたばかりで、ゴム弾の発射音が大きくなり、威嚇力が増加した。

鄭州特別警察がこの新しい銃を1カ月余り試用して以来、まだ1度も新型リボルバーが大いにその力を発揮するところは見られていない。

2006年12月13日、午後4時頃、5人の男が国道106号線の南楽段に交通事故を装って車を止め、1人の車の持ち主の同情を利用して銃で撃ち殺し、女性の運転手を拉致し、ホンダオデッセイを奪って大手を振って逃げ去った。後の捜査で主犯と見られる容疑者は劉志偉という名で、家は鄭州市王胡寨の東部の一角にあると分かった。14日午後4時、鄭州特別警察は迅速に行動を起こし、劉志偉の逮捕を準備した。

その日の午後、劉志偉は建物の下の車中で、窓を開けて絶えず後ろを窺っていた。注意を引かないため、特別警察は全員私服だった。目標確認後、2台の車が交錯した電光石火的一瞬を利用して趙偉は54式拳銃を抜き、劉志偉の頭に突きつけて逮捕した。

事後、何故あえて54式拳銃を使用したのかと尋ねると、趙偉と王璞生はいずれも「特別の思い入れがあったからだ。」と答えた。

王璞生は16年、趙偉は18年、54式拳銃を使用してきた。2人は初めて54式拳銃で訓練したときのことを思い出すと、今でも同じように恐怖心にかられるという。

1つには銃声の恐怖、2つめは反動の恐怖である。「54式拳銃はたくさん発射すると耳鳴りがし、腕も痛くなる。」 趙偉は語る。初めて54式拳銃を使用してから2週間が経過すると、やっと趙偉の恐怖心はゆっくりと消えていった。

王璞は語る。ある銃の長所は欠点にもなり得る。またその欠点はまさに長所にもなり得る。警察内の職種により、場面により、状況により、区別して対処する必要がある。

例えば54式拳銃の銃声は大きいが、敵を威嚇することもできる。9mmリボルバーはシングルアクションもダブルアクションもできるが、ダブルアクションにすると往々にして正確な照準にきわめて大きな影響が出る。リボルバー用には2種類の弾薬が支給されるが、状況にぶつかって弾薬を変更するのは非常に面倒でもある。

「現場の人民警察、巡邏警察には9mmリボルバーが最も適している。彼らは突発的状況にぶつかることが比較的多いからである。予測不可能な状況下では多機能なリボルバーが最も良い。また彼らがあえて銃を発砲しないという危惧も打ち消す。だが我々特別警察が往々にして直面するのはすでに性質が定まっている案件であり、携帯する武器を選択できる。だからどんな武器を携帯するかは警察内部の職種や状況によって決める必要がある。」 王璞生は語る。

王璞生は続けて語る。「ある新型武器の性能は、必ず長時間の実戦を経て検証した上で結論を出す必要がある。」


 原ページには1枚だけ新リボルバーの画像があります。弾薬は銅色のフルメタルジャケットフラットノーズが普通弾、黒いラウンドノーズがゴム弾です。リボルバーとしては珍しくセーフティがあることも分かります。ランヤードリングは取り付け部らしきものがあるのにもかかわらずこの銃には装着されていません。アメリカ製の多くのリボルバーは、黒色火薬時代のなごりで必要以上に長いリボルバー用弾薬を使用する関係上シリンダーが長いものが多いですが、この中国製リボルバーは最低限の長さになっています。コンパクト化を実現していますが、まああまりカッコよくはないですね。全体のデザインは明らかにS&Wの亜流であり、グリップは滑り止めがツブツブ状の、ホーグに似た形式です。気にしすぎかもしれませんが、シリンダーにシリンダーストップがこすれてできた傷があり、銀色の下地が出るほど深いこと、シリンダーストップ用のノッチの中心とこの傷が明らかにずれていることにやや不安を感じます。

http://www.police.com.cn/Article/qicai/jywq/200608/8286.html

 このページの最初にあるのが初期型で、グリップの滑り止めの形状など細部が異なっているのが分かります。構造もほとんどS&Wと同じです。リアサイトは左右のみ調節できる形式です。バレル側面の窪みは重量軽減のためか冷却のためか分かりませんが、いずれにしてもあまり効果はなさそうです。

中国は麻薬で死刑、汚職で死刑、パンダの密猟でも死刑という国なので、街中で容疑者をバンバン射殺して平気なようなイメージでしたが、この点に関しては日本の警察に意外に近く、責任問題が生じるのを恐れて発砲をためらうケースが多いということのようです。このため比較的殺傷力の低い銃が求められ、また一般市民の銃所持に厳しい状況下ではそれで充分対応できると考えられているようです。通常セーフティが不要とされる銃にあえてセーフティを追加するあたりにも日本と似た傾向が見られます。

 しかし各国からの人権問題に対する批判とも関係があると見られるゴム弾の使用にはいろいろと疑問な点があります。例えゴム弾であっても警察官が発砲するというのは相当に緊迫した状況でなければありえないわけであって、そこでゴム弾を使用したのでは状況をコントロールできず、逆に一般市民や警察官自身が危険にさらされる恐れがあるのでは‥‥といったようなことを書こうと思ったんですが、やはり実際に問題が生じているようで、興味深い内容の記事を見つけました。次回はこの記事を紹介します。













戻るボタン