明治初期以来S&W製のブレイクオープン、シングルアクションリボルバーを採用していた日本陸軍は明治二十一年頃から東京砲兵工廠で国産軍用拳銃の研究開発を開始し、明治二十六年に設計を完了した。これが翌年(1894年)日本初の制式国産軍用拳銃として採用された二十六年式拳銃だ。この銃は口径9mmの独自規格の弾薬を使用し、ダブルアクションオンリー、ブレイクオープン式だった。当時はすでに自動拳銃が登場しつつあったが、まだ制式採用した国はなく、この銃は世界的に見ても特に遅れたものではなかった。トリガーの突起がシリンダーストップを兼ねており、トリガーを戻すとシリンダーが自由回転してしまう(一度射撃を中止し、次に撃つときハンマーが空薬莢を叩く可能性がある)点がしばしば欠点と指摘されるが、これも当時はさほど珍しくはなかった。しかし後に中国大陸での戦役において冬季装備をした相手に対する効力(貫通力)が不足とされ、新しい自動拳銃の開発につながっていった。生産終了時期は不明としている資料もあるが、1925年としている資料もある。知られている最も大きなシリアルナンバーは15,227挺で、これをやや越える数が生産されたものと見られる。平均で年間500挺程度にしかならず、主力軍用拳銃としてはきわめて少ない。長い生産期間のうちに仕上げや細部の形状などが変化しているが、技術的に重要な変更点はない。この銃に関しては詳しい資料がなく、設計者の名前すら不明のままだ。アメリカの書籍の中には長文の説明があるものもあるが、大部分が銃器発達史的に重要ではないコレクター向けの細かい差異や分類、レアさの程度の説明等で占められている。このため今回は「実銃について」で詳細に論じるほどの内容はない。

 製品は二十六年式拳銃の中でも遅い時期の、グリップおよびトリガーガード後部の滑り止めがグルーブとなった型をモデルガン形式で再現したもの。トリガー、ハンマーに連動してシリンダーが回転し、ブレイクオープンもできるし、実銃通り工具を使わずにサイドプレートを開くこともできる。




当時の価格:完成品のみ 23,000円


より詳しい説明

製作記











戻るボタン